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■2014年美術展ベスト10

・ シャヴァンヌ展 ・ ラファエル前派展-テート美術館の至宝- ・ 岸田吟香・劉生・麗子、知られざる精神の系譜 ・ 暁の劇場-鴎外が試みた、或る演劇- ・ デュフィ展 ・ シモンドール、四谷シモン ・ フィオナ・タン-まなざしの詩学- ・ リー・ミンウェイとその関係展-参加するアート、そして世界とつながる- ・ 菱田春草展 ・ フェルデナント・ホドラ展-脈動する生命のリズム- ・ ディオールの世界-エスプリ・ディオール- *並びは開催日順。 選出範囲は当ブログ。 映画は除く。 1展おまけ。

■みんなのアムステルダム国立美術館へ

■監督:O・ホーヘンダイク ■ユーロスペース,2014.12.20- ■美術館改修工事のドキュメンタリーよ。 工事で発生する課題・問題を議論していくストーリーなの。 例えば自転車道で市民と対立、歴史あるアーチの工事ミス、室内色を巡って業者と重ねる折衝、大砲の陳列方法などなど。 そして自転車道問題が長引き、閉館4年の計画が10年に延びてしまったの。 よくぞここまで延ばした!! この作品の一番の面白さは館職員たちの顔が見えること。 元館長や新館長、部長、学芸員、広報など一人ひとりが意見を述べ行動する姿を映し出しているからよ。 工事が完了した美術館をみて一職員が、「あれだけ苦労したのに努力の跡が見えない・・。 これをエレガンスと言う・・」。 うん。 努力の跡が見えるような結果を出すなんてプロとは言えないもんネ。 *作品サイト、 http://amsmuseum.jp/

■ディオールの世界-エスプリ・ディオール-

■玉屋ASビル,2014.10.30-15.1.4 ■若きディオールは建築家志望だったらしい。 地面47cmからの質量感ある建築的彫刻的ニュールックをみると、なるほど彼の謎が一つ解けたように思える。 これに最新の美術と音楽を絡ませ、しかも女性の肉体をキャンバスにしているのだから最強の芸術作品といえる。 服装に関心が行き届かない者は芸術を語る資格がないとディオールに言われているような素晴らしい展示会場だ。 M・ディートリッヒもE・テイラーもM・モンローもB・バルドーもS・ローレンもⅠ・バーグマンもN・キッドマンもN・ポートマンも京マチ子も・・、マーガレット女王もグレース・モナコ公妃もダイアナ公妃も皇后美智子も・・、さり気なくディオールを着ていたのだ。 シンプルいずエレガンスのディオールは着る者に余分なことをしないしさせない。 *FASHIONPRESS、 https://www.fashion-press.net/news/12824

■新たな系譜学をもとめて-跳躍/痕跡/身体-

■東京都現代美術館,2014.9.27-15.1.4 ■副題は「身体の痕跡を辿り新たな跳躍をしよう」ということね。 作品の陳列順序はナゼか複雑。 気になった作品を書いていくわ・・ 1.ダムタイプ「TRACE/REACT」(2014、音響) 超指向性スピーカを使用した作品。 目を瞑と広い空間の中に居るみたいでづっと座って聞いていたかった。 2.シャロン・ロックハート「エシュコル=ヴァハマン式記譜法における4つのエクササイズ」(2011、映像) ノア・エシュコルは初めてよ。 腰と肘を中心にしてヨガの動きを速くしたような振付なの。 精神的に安定してるから見ていても草臥れない。 展示室にはパッチワーク作品が飾ってあるの。 彼女がデザインを考えダンサーが縫ったようだけどダンス作品との関係は薄い感じ。 でも彼女の美学が分かって面白い。 3.チョイ・カファイ「永遠なる夏の嵐」(2013、映像) 土方巽「夏の嵐」を記録するため、実験者の神経に電気信号を流して舞踏と同じ動きを電気媒体に保存するの。 デジタル化指向の行き過ぎかも。 作品はともかく芸術家としては楽しそうな人ね。 4.チェルフィッチュ「4つの瑣末な駅のあるある」(映像) これは元々チェルフィッチュの役者身体の動きや喋り方に特徴があるから分割して作品にできるの。 掘り下げれば面白い結果がでるかもしれない。 でも作品としての舞台も観ておきたい。 5.インバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンスカンパニ「ウォールフラワ(2014)」「DIO-CAN(1993)」(映像) 前者はこの現代美館で上演したので取り上げたのかしら? 完成度の高い作品にみえる。 後者は身体に絵具を付けて背景の壁に塗っていくとても刺激的なパフォーマンス。 20年の時代差を意識してしまうわね。 6.土方巽「肉体の叛乱」(1968、映像) 地下展示会場は「夏の嵐」で始まり「肉体の叛乱」で終わるとは、やはり土方巽の存在は大きい! ところで映像作品には椅子を2,3用意して欲しい。 ここは客が少ないから可能なはずよ。 どの美術館でも映像作品の展示は無理が出ているわね。 (7.)大植真太郎、森山未來、平原慎太郎「これがダンスに見える日」 展示室が離れていたので見落とした! 出口の掲示を見過ごしたかしら? ・・以上6点が会場で長く足を止

■ボストン美術館ミレー展

■三菱一号館美術館,2014.10.17-2015.1.12 ■府中美術館の「 ミレー展 」が面白かった、ということでここも訪れました。 ミレー25点他40点ですから、ミレーというよりバルビゾンやフォンテーヌブローの風景画が幅を利かしています。 農村風景は癒されますね。 ボストン美術館所蔵のためか良い作品が多い。  府中ミレーは物語力が素晴らしかった。 しかし今回は作品をじっくりみるだけの展示です。 この二つの展示会でミレーが近くにいる画家の一人になりました。 *artscapeサイト、 https://artscape.jp/exhibition/pickup/10104107_1997.html

■フェルデナント・ホドラ展-脈動する生命のリズム-

■国立西洋美術館,2014.10.7-15.1.12 ■「古代ギリシャではリズムは形という概念に近い」とあったけど、ホドラーはこの言葉をどのように噛みしめていたのかしら? 初期のダンスなど外部にあるリズムを作品に取り込んでいるのを見ると、E・J=ダルクローズのリトミックの影響は特に大きかったということね。   ある種のダンスは「身体化された感情」を表現するから「感情Ⅲ」はダンスを観ている感じだわ。 「無限へのまなざし」は描かれた身体そのものがリズムを作ろうとしている瞬間。 「バラのある自画像」の身体はリズムとして共鳴している。 脳の中はリズムで一杯だと目が言っているの。 ホドラーは少しづつカンディンスキーに近づいているんじゃない? 「ダンスを観る感動」から「ダンスの感動」へ。 彼はリズムと形の間にある雑音を取り除こうとしていたのかもしれない。 でも抽象ではないから大変。 それと彼の興味は既にそこから拡散してしまった・・。 この文章を書いているときに「リトミック音楽教育」の存在を見つけたの。 「オイリュトミー」からはR・シュタイナー(*1)を思い浮べるのでコンガラカル! 二人は関係があるのかしら?  *1、 「ルドルフ・シュタイナ展」(2014年) *館サイト、 http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2014hodler.html

■トーベ・ヤンソン展-ムーミンと生きる-

■そごう美術館.2014.10.23-11.30 ■ムーミンには口が有る? 探せば結構あります。 しかし鼻の穴のムーミンはいません。 ・・会場で見た限りですが。 ヤンソンは画家を志望していた。 でも上手いとはいえません。 自画像が多く展示されていました。 彼女の強い志がみえます。 1975年作品が最高と書いてありましたが、若い時の自画像の方が印象深いですね。 それとフィンランドの歴史と生活を知るのも楽しかった。 彼女の学生時代、冬戦争や継続戦争、ラップランド戦争のことなどです。 フィンランドが枢軸国だったことは言われてみて思い出すという始末です。 クルーヴ島の「夏の家」で過ごしたフィルムの中に「花のサンフランシスコ」が挿入されていました。 彼女の生きてきた時代、避暑地での安らぎを得る迄のすべてが凝縮されている歌に聞こえました。 *館サイト、 https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/14/tove/index.html

■ウフィツィ美術館展-黄金のルネサンス、ボッティチェリからブロンヅィーノ迄-

■東京都美術館,2014.10.11-12.14 ■ボッティは「パラケン」だけ? 行ってみたら10点近くも展示されていた。 おまけが付いて嬉しい気分だ。 ウフィツィ美術館では「ヴィーナス誕生」の横に陳列されていたはずである、昔のことだが。 しかしこの「パラケン」の方が強く印象に残こったことを覚えている。 理由はボッティの中ではパラスの顔が一番端整だからである。 この顔はダヴィンチに通ずるところがある。 つまりルネサンスの典型顔ということだ。 しかしボッティは固い。 よそよそしさが残っている。 この余所余所しさを取り除いて初めてルネサンスの黄金期と呼べるだろう。 それにはレオ、ミケ、ラファを待たねばならない。 もちろん猫の名前ではない。 他にはブロンジィーノの肖像画6点が気に入る。 初期を含めてのルネサンスはご無沙汰であった。 久しぶりに再会できてまたまた嬉しい気分だ。 *館サイト、 http://www.tobikan.jp/exhibition/h26_uffizi.html

■デ・キリコ-変遷と回帰-  ■佐藤信太郎-The spirit of The Place- 

■デ・キリコ-変遷と回帰- ■汐留ミュージアム、2014.10.25-12.26 ■ http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/14/141025/ ■このミュージアムが混んでいるのは珍しい。 狭いから余計ね。 でも章ごとに部屋の区切りもあって、キリコの全てがコンパクトにまとまっているの。 章の解説は易しい言葉で書かれているけど解りずらかったわ。 「変遷と回帰」が意味深な為かもしれない。 3章「ネオ・バロックの時代」は濃密さが漂っていて晩秋の今の季節にぴったりね。 そしてこんなにもキリコの馬を見たのは初めてかも。 4章「再生新形而上絵画」の道や建物そして空はギリシャの色と形。 彼がギリシャ生まれと知って納得。 子供時代の郷愁が彼の当時の思想と混ざり合って不思議な静寂が漂っているのね。 キリコを見るには周りが煩かった。 3章はいいけど4章は展示室が窮屈すぎる。 作品を見た直後は広い空間に目を持っていきたいの。 観終わっても変わった感覚が残って面白かったけど。   ■佐藤信太郎-The spirit of the place- ■キャノンギャラリーS、2014.10.31-12.15 ■ http://cweb.canon.jp/gallery/archive/sato-spirit/index.html ■キリコ展の帰りは品川に寄り道。 東京の風景写真展よ。 場内周囲の壁にはスカイツリーを眺めた作品が並べてあるの。 雪景色の東京は素敵ね。 でも「墨田区京島2010年12月25日」が一番。 昭和中期の下町の家々が並び背後にスカイツリーがちょっとだけ顔を出している作品。 光が物質に見えるの。 その光が反射した家々も物質そのものが表れている感じがする。 作者が言っている「ゲニウスロキ」かしら? あとは飲み屋のネオンや看板を写した作品。 これは見慣れた光景。 でも写真としてみると一味違った感じがする。 これも「ゲニウスロキ」かも。 多くの人にはホッとする場所だし、普段はじっくりと観察していないからよ。 

■ユートピアを求めて-ポスタに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム-

■世田谷美術館,2014.9.30-11.24 ■映画ポスターの第2章室に入った時は圧倒されました。 デザイン<力>が迫って来たからです。 1枚のポスターでその映画の全てが分かってしまう表現力もあります。 でも殆ど知らない映画ばかりです。 監督もS・エイゼンシュテイン、D・ヴェルトフそしてドイツのE・ルビッチくらいしか知らない。 それとB・キートン。 終わりの方では似たような作品が続いているので飽食気味になってしまいました。 これは第3章の政治ポスターでも同じです。 しかしコラージュ、タイポグラフィ、フォトモンタージュ等々あらゆる技法を使っての作品たちは、もし街角に貼ってあったら目に焼き付くこと間違いなしです。 レーニンは芸術に対しても包容力があったのでしょうか? 映画選択理由の一つに国民の低識字率とありました。 そしてスターリンでユートピアは全滅ですか? 最悪の世界情勢下でソビエト革命が達成できたのは奇跡といっても過言ではありません。 芸術と奇跡は相性が良いのでしょう。 ビデオ「ステンベルク兄弟の軌跡」のMOMA展示会(1997年)場面で、ロシア人が彼らの作品をやっと見ることが出来たとインタヴュに答えていたのが印象に残ります。 *松本瑠樹コレクション *館サイト、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00172 ■北大路魯山人展 ■塩田岩治を初めて知りました。 人との出会いとは面白いものですね。 魯山人の一点物は納得できる大柄ですが非実用と言えます。 しかしセット物は「食器」として唸らせる何かを持っています。 赤玉酒盃(5点1組)、赤呉須茶碗(5点1組)、赤呉須向付(10点1組)、総織部四方向付(5点)、志野釉輪花皿(5点1組)、鉄絵皿(5点)・・。 この器で酒を飲みたい!食事をしたい!と切に思わせる寸法・形・色を持っています。 *塩田コレクション *館サイト、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00090 ■アート・ゴキュメンタリスト安齋重雄 ■美術展等の記録写真ですか? クリムトやボイス、ノグチなどが登場していまし

■ウィレム・デ・クーニング展

■ブリジストン美術館,2014.10.8-2015.1.12 ■日本初公開27点を含む展示会である。 ポロックは知っているがクーニングは知らない。 なるほど作品をみればナゼ一般人に無名なのかがわかる。 一つは具象と抽象のどちらでもない中途半端な為である。 理解できないだけではなく不安も先走る。 二つめは対象が女体であるがこれもどっちつかずの感じだ。 滑らかさも無く想像し難い。 しかも会場で分かったことがある。 作者は端整で物静かな顔立ちだが、作品と落差があるのでA・ヒッチコックのサイコ映画に登場するような内なる狂気を秘めている人物なのでは? これらが重なり合い素人は直観的に避けたのかもしれない。 美術界では時代の位置づけからみて重要人物なのだろう。 改装があったようだ。 「ピエール・スラージュと新収蔵作品」「堂本尚朗とザオ・ウーキ」」「パナソニック4K」の部屋が出現していた。 堂本尚朗が去年亡くなったことを知る。 4Kディスプレイをいじったが拡大できるのがいい。 部屋ごとに置けば利用者も増えるだろう。 但しデータの弛まぬ更新が条件である。 *美術館、 https://www.artizon.museum/exhibition/past/detail/300

■高野山の名宝-高野山開創1200年記念-

■サントリー美術館,2014.10.11-12.7 ■これだけ沢山の仏像に出会えるなんて素敵だわ。 それも運慶快慶だもんネ。 二人の違いは一目瞭然。 運慶は地中海的で人間味が溢れている。 恵光、矜羯羅童子は健康優良児のよう。 制多伽、恵喜童子とで二組の双子みたい。 運慶も面倒くさくなってコピーしたのかも。 それに比べて快慶はアジア的ね。  「四天王立像」や「孔雀明王坐像」は仏画から抜け出たような感じがする。 どちらも柔剛の違いがあるけど、躍動感溢れる独特のハートビートが聞こえるの。 ドッキ・ドッキ・ドッキ・・。 ウーン、最高!! *美術館 、 https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2014_5/index.html

■東山御物の美-足利将軍家の至宝-

■三井記念美術館,2014.10.4-11.24 ■当時の会所では一度に千点以上も展示したと言われています。 現在陳列されているのは選び抜かれたものということになりますね。 伝来には凄そうな名前ばかり並んでいますし・・。 工芸室の「油滴天目」や「鸞天目」、「青磁輪花茶碗」はお馴染みです。 絵画室はいきなりですね。 「鴨図」「鶉図」は羽の温かみが伝わってきます。 「梅花小禽図」「梅花双雀図」の鳥たちもです。 これで「桃鳩図」が出品されていたら何も言うことはありませんでした。 後半は山水図と再び工芸です。 「秋景山水図」など見ているとゆったりした気分になります。 「東山御物は宮廷絵画と禅宗絵画の二種類に分類できる」と書かれていました。 この組み合わせは適度な緊張と安堵の両方が得られ精神的にとても良い。 足利将軍家たちもこのリズムに浸っていたのでしょうか? 南宋時代にちょっと行ってきた気分でした。 *館サイト、 http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/list.html

■ロイヤル・アカデミー展、ターナーからラファエル前派まで

■東京富士美術館,2014.9.17-11.24 ■富士美術館は初めてである。 チラシを持っていたので割引料金にしてくれた。 気前の良い館である。 ロイヤル・アカデミーの宣伝色が濃い企画展のようだ。 「設立・名声への道」「国家的地位の確立」「名声と繁栄」「モダンの受容と妥協」「アーティスト教育」の章名をみてもそれがわかる。 しかし章名が厳めしすぎないか? 聞いたこと見たことのない作者・作品が多い。 このため18・19世紀の英国の画家が何を見つめていたのか?興味深く観ることができた。 J・カンスタブルの風景は英国風土が直に伝わってきて面白い。 他に10枚前後気に入ったのがあったが全体の印象は弱い。 常設展示室にも寄る・・。 *館サイト、 http://www.fujibi.or.jp/exhibitions/profile-of-exhibitions.html?exhibit_id=1201409171 ■常設展 ■これはビックリ! なかなかのモノが揃っている。 宝を掘り当てた感じだ。 ・・。 最後の展示室6は「ロイヤルアカデミーの作家たち」で企画展と連携しているのも心配りが良い。 レノルズ、サージェント、ターナー等が並ぶ。 E・W・ウェイトの「雛菊の野の子供たち」が気に入る。 常設展も含めれば八王子迄来た甲斐は十分にあった。 *館サイト、 http://www.fujibi.or.jp/our-collection/exhibited-collected-works/exhibited-works-collection-list.html?exhibit_id=8201409051 ■創価大学 ■美術館に来たついでに見学する。 どちらも創価学会系のため隣接しているのだろう。 キャンパス内を一周したが広大である。 都内の大学からみたら考えられない敷地面積である。 木々の紅葉が素晴らしい。 校舎建物は宗教的な威厳を出そうとしている為かデザインが変わっている。 好みではないが。 途中、学生食堂で食事をする。 大学見学ではなるべく食堂に寄ることにしている。 正門前からバスで八王子駅に出て帰途に就く。

■活動のデザイン

■2121デザインサイト,2014.10.24-15.2.1 ■このような企画を担当したら心配で夜も眠れないでしょう。 活動やデザインが漠然としているからです。 デザインサイトでしか出来ない企画展名かもしれませんが・・。  「百年後の水筒」や「ドローンの巣」などがナゼ展示されているのか理解できません。 前者はとても興味深いのですが。 「ア・ミリオン・タイムズ」は会場を間違えているのでは? しかし一番面白かった。 「フィックスパーツ」のピクニックバッグを作る映像にはいつも紅茶が整然と置いてあるのがヤラセにみえました。 これで「ロースさんのセーター」は楽しかったのにもかかわらず、セーターでこれだけ盛り上がるのか?疑心暗鬼になりました。 一つ一つは面白いのですが焦点や作品間の連携が見えません。 手あたり次第に集めてきて作品を並べただけにみえました。 *館サイト、 http://www.2121designsight.jp/program/fab_mind/

■醍醐寺-御法に守られし-

■松涛美術館,2014.10.7-11.24 ■2階入口のビデオ「文化財調査」「五大力さん」をみてから地下1階会場に入る。 館へ行ってから知ったのだが、「過去現在絵因果経」は後半部しか展示されていなかった。 全場面を見られなくて残念! わかり易い絵で漢文が読めなくても誰もが理解できる絵巻だ。 国宝重文級の仏画も周囲に陳列されていて副題にあるような空間が現前している。 空海筆「大日経開題」は上手いとは言えない。 抄物からいって空海多忙の時に書いたのだろう。 2階は桃山・江戸時代の作品が並ぶ。 俵屋宗達「舞楽図屏風」は面白い。 宙に浮いて踊っている感じである。 足利尊氏の自筆物や信長・秀吉・家康の書状等もじっくりみる。 醍醐寺は昔のことだが二度行っている。 確か地下鉄の終点駅から歩いたはずだ。 途中の風景や境内を歩いた時のことを思い出しながら、帰りは神泉駅へ向かった。 この館は神泉が一番近い駅である。 *館サイト、 http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/160daigotemple/

■伊東豊雄展-台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡-

■ギャラリー間、2014.10.17-12.20 ■ http://www.toto.co.jp/gallerma/ex141017/index.htm ■やっと完成に近づいたのね。 会場は資料と模型、再現トランスウォールが陳列されていて9年の作成過程が簡素にまとめてあるの。 全方位3Dやドキュメンタリの映像もある。 「洞窟のような空間では床は壁になり、壁は天井へと変化していく・・」。 「誰も真似ができない集大成である」。 「21世紀に残る最初の建築物になるだろう」。 写真家や建築家の感想よ。 全景は箱型でおもったより普通に見える。 内部の体感を得るには実物を見に行かないとわからない感じね。 台湾は近いから機会がありそう。 楽しみが一つふえたわね。

■ザハ・ハディド  ■抽象の楽しみ  ■高畠依子展

■東京オペラシティアートギャラリー,2014.10.18-12.23 ■ザハ・ハディド ■嬉しい企画だわ。 東京オリンピック新国立競技場の動向がみえなかったからよ。 会場は素晴らしい。 ここでのジャン・ヌーベルや伊東豊雄の展示会を思いだしちゃった。 場内は彼女のアンビルド時代を意識した陳列作りにみえる。  「ザ・ビーク」の延長である「ヴィトラ社消防所」までは抽象絵画をそのまま建築に移し変えたような感じね。 でもマッスのある建物には移せない。 3D映像の「ギャラクシーSOHO」は気が抜けたようだわ。 この平凡さを越えるには高さを求める以外にない! 「北京商業中心コア・エリア」はこれで持ちこたえているし、ドバイの「オーパスタワー」は体積充満だけど周囲の高層建築がそれを許しているの。 しかも砂漠だし。 彼女の作品は<類は友を呼ぶ>特徴を持っているのかもしれない。 これに生物的な匂いのない事が加わる。  だから低階層で体積のある建物にする場合は周囲とのマッチングがとても重要。 新国立競技場の場合は周囲に高層建築が連なっていれば「北京商業中心」のように全体を維持できるの。 でも周りが公園だと違和感が先立つのね。 新競技場を異物として本能が感じちゃうのかもしれない。 この欠点を回避するには競技場を東京湾に持っていけばよいかも。 海は砂漠と同じで生物も無生物も受け入てくれる場所だから。 神宮外苑には合わないということね。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh169/ ■抽象の楽しみ ■加納光於は空間的緊張感があっていいわね。 逆に白石由子は色彩的ホンノリ感でホッとする。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh170.php ■高畠依子展 ■布をキャンバスに貼ってあるかと思った。 よくみたら描いているの。 ・・。 ハッハッハッ。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh171.php

■夢見るフランス絵画

■Bunkamura・ザミュージアム,2014.10.18-12.14 ■予算には限りがあるから企画展を毎回豪華にはできない。 今回はカネを掛けない方だろう。 それは夢をみているような題名からいってもわかる。 出処を隠しているのもこのためだろう。 印象派とエコール・ド・パリの画家たちを登場させている。 ヴラマンクの10枚が印象に残るくらいか。 内花瓶が2枚あったがヴラマンクの花はあまり記憶がない。 あと藤田嗣治の「北那覇」。 これも初めて見る。 キスリングの女性像はいつみてもいい。 作品数の一番多かったのがユトリロだが最悪である。 ところでモディリアーニは彫刻家を目指していたのを初めて知った。 カネが無くて絵に転向したらしい。 これで首の長い理由がわかった。 散歩の途中にぶらっと立ち寄るのに丁度よい展示会である。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_france/index.html

■菱田春草展

■東京国立近代美術館,2014.9.23-11.3 ■逆転サヨナラ安打を体験したような展示会だった。 ホームランではないの。 菱田は努力家として弛まぬ挑戦をしているから渋いのよ。 4章ある陳列方法は社会状況を含んだ時系列と挑戦内容が作品にすなおに投影されていて分かり易かったわ。 朦朧体(1900年迄)時代の人物画は衣装を含め面白いけど、動物や風景はこれからという感じね。 春草と大観の比較は大観の勝ちよ。  そして色彩研究(1908年迄)は飛躍の時代だわ。 構図を含め空の赤、海の青、雲の明暗は素敵ね。 気に入った作品が沢山ある。 構図の「松島」、色の「春色」「旭日」「月下波」「曙色」、「月火雁」も鳥の生気が溢れている。 落葉・黒猫(1908年以降)時代はむしろ思考が優先されてしまったように感じるの。 落葉は挑戦がみえるけど黒猫はそうではない。 病が邪魔をしているのかしら? 猫が本当に好きでないから? 画家としての頂点は1908年頃かもしれない。 37歳の若さで逝ったのは早過ぎる。 残念ね。 再び野球に例えるなら、彼は逐次ヒットを打ち続けていたの。 イチローの立場に近いわね。 *館サイト、 http://www.momat.go.jp/Honkan/hishida_shunso_2014/index.html#outline

■ミレー展-愛しきものたちへのまなざし-

■府中市美術館,2014.9.10-10.23 ■ポーリーヌを描いた2枚はいいですね。 「ポーリーヌ・V・オノの肖像」と「古い服を着たポーリーヌ・オノ」です。 これは岸田劉生の麗子像だと直感しました。 ミレーはポーリーヌをどれだけ愛していたかこれでわかります。 依頼人に受取拒否された「・・市長ポール=オノレ・ジャヴァン」は緊張感が出ています。 肖像画で飯を食っていることがよくわかります。 家族を描くのとは違いますね。 ミレーは農村や農民を描く画家で有名ですが油絵400点のうちこれに該当するのは100点強しかないそうです。 会場を眺めても題材は広範囲で、画風も何度か違ってきていますね。 この中で一番気に入ったのは「牛に草を食ませる女」です。 解説にもありましたが宗教的な何かを感じます。 1859年作ですから人生でも経済的に充実してきた時期に重なります。 やはり精神的にも前向になれたのでしょう。 ミレーの全体像がわかる展示会で府中までやって来た甲斐がありました。 *館サイト、 http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/millet.html

■宗像大社国宝展-神の島・沖ノ島と大社の神宝-

■出光美術館,2014.8.16-10.13 ■大陸間航海で対馬に寄るのが面倒だから沖ノ島を通ったということぐらいしか知らなかった。 沖ノ島を覗くのは今回が初めてである。 沖津宮・中津宮・辺津宮の関係、古墳・大和朝廷から江戸時代までの政治を軸とした宗像大社の概要が分かり易く説明されている。 このような小さな島から朝鮮・中国などからの大量の出土品も驚きである。 後半の「宗像大社文書」も面白い。 源頼朝の書状など読むと当時の宗像大社の立場等々いろいろ考えさせられる。 「三十六歌仙図扁額」からも戦国時代以降の九州政治動向がわかる。 今回のようにゼロからの知識が得られる展示会は記憶に残る。 *IM、 https://www.museum.or.jp/event/82974

■見つめて、シェイクスピア!展-美しき装丁本と絵で見る愛の世界-

■練馬区立美術館、2014.9.28-11.30 ■英国製本装丁協会の装丁本入賞作品がづらっと並んでいます。 本ですから突飛さはありません。 鉄柵デザインは気に入りました。 できれば本の中も見たいですね。 紙の質感や色、活字や行間などもです。 シェイクスピアは読んだことがありません。 舞台は観ていますが。 彼の作品は人間関係を社会に強く絡めているから日本的喜怒哀楽がみえません。 ハムレットやオフィーリア、リア王、マクベス、オセロ・・彼らの心の持ちようにいつも違和を感じます 彼らの行動に理解できない場面が多くあります。 しかし面白いのです。 舞台しか観ていないからこうなってしまったのでしょうか? ドラクロアやシャガールの版画なども展示されていましたがシェイクスピアの受け取り方に違いが出てますね。 舞台でも演出家や役者、美術や音楽でガラッと変わるのと同じでしょう。 シェイクスピアは見る人によって違ってくるということかもしれません。 *館サイト、 https://neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=m10068

■進化するだまし絵

■BUNKAMURAザミュージアム、2014.8.9-10.9 ■ http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_deception/index.html ■最新のだまし絵が展示されているのかと行ったらガッカリね。 既になじみの作品ばかりなの。 騙された感じよ。 21世紀のピカピカの作品を展示してもらいたかったわ。 パトリック・ヒューズの作品は騙されていることがわかっても騙されてしまうところが面白い。 トニーアウスラの「ピンク」は別系列だけど気に入ったわ。 ・・他に騙されたいと欲する作品は見当たらなかった。 でも夏休みに来場する子供たちに古い作品も必要かもね。 ■牧野宗則富嶽二十景 ■BUNKAMURAギャラリ、2014.9.26-10.5 ■ http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/140926makino.html

■リー・ミンウェイとその関係展-参加するアート、そして世界とつながる-

■森美術館,2014.9.20-15.1.4 ■人間関係の構築過程を描いているため美術というよりパフォーマンスに近い。 しかもその構築が具体的で且つ驚きの方法である。 例えば「ともに食す」は一緒に食事をする、「ともに眠る」は一緒に美術館に泊まる。 もちろん相手は一人の観客である。 運良く「ソニック・ブロッサム」に出会った。 これは歌の贈り物である。 実際に歌手が歌う。 それを一人の観客が座って聞くのだ。 会場を歩きながら人間関係というか他者と関係を結ぶということを深く考えてしまう。 他アーティストの作品も一章を割いて展示してある。 アラン・カブロの「コンフォート・ゾーン」を上映していたが、他者との距離感を考える作品である。 これは記憶に残った。 田中功起の「どれもこれも」は厨房の仕事を撮影したものだが、会場のオバちゃんオネエちゃんが批評を加えながら楽しく見ていた。 贈与を上手く使って人間関係を構築するのがミンウェイの方法のようだ。 偶々カネが絡まない。 今日の新聞をみたら「JKビジネス 実体を訪ねて」の記事が大きく載っていた。 資本世界でも色々な方法で人間 関係を結ぶのに忙しい。 他者との関係を結ぶことが、この世で生きる全てであると言っているようだ。 久しぶりの刺激に満ちた展示会だった。 *館サイト、 http://www.mori.art.museum/contents/lee_mingwei/index.html

■チューリヒ美術館展-印象派からシュルレアリスムまで-

■国立新美術館,2014.9.25-12.15 ■「すべてが代表作」とありましたが、この意味はスケッチや習作がほとんど出展していないことを言っているようです。 とは言っても結構なモノばかりですから全てが代表作にみえてしまいます。 スイスはスゴイス! 作家を一人づつ展示する方法もいいですね。 作家に集中できます。 セガンティーニの「虚栄」は一番バッターとして最高です。 これからみようとする展示をドキドキさせてくれます。 モネは目玉の「睡蓮・・」より「・・藁葺の家」「・・積み藁」「国会議事堂・・」の3枚が印象に残りました。 「睡蓮」は日本的自然感からみて好みが分かれるでしょう。 そしていつものシャガールがどういう訳かとても良かった。 あまり目にしない画家も一部屋とっているので広がりと深みのある展示になっています。 例えばホドラーとココシュカです。 M・ベックマンの3枚も気に入りました。 最後の部屋がジャコメッティとは悩みますね。 観後感が混乱しました。 *館サイト、 http://www.nact.jp/exhibition_special/2014/zurich/

■ノルマンディー展-近代絵画のはじまり-

■損保ジャパン日本興亜美術館、2014.9.6-11.9 ■ http://www.sjnk-museum.org/program/current/2139.html ■ノルマンディ地方はよく登場するけど今まであまり気にかけなかったの。 でもこの展示をみて「セーヌ河口岸」の存在を確信したわ。 「セーヌ左岸」とはちょっと違う意味だけどね。 作品リストのノルマンディ地図に20ほどの町名が載っていたの。 これは面白い。 この町名と作品を一つ一つ照らし合わせてルーアンからル・アーブル周辺迄の河川や海の姿、港や街並みを組み立てて五感風景を想像したの。 展示120点のうち町名のついた作品が8割もあるのよ! でも疑問ばかりね。 林檎は寒い地方の果物なのに雪の絵が1枚も無い! そして多くは冷たそうな海を描いているに海水浴の絵が多い!? 一度行って自分の肌でノルマンディの陽の光と風の流れそして土の匂いを感じるしかないわね。 でないと本当のことはわからない。 ともかくこれだけの画家を動員できる「セーヌ河口岸」は凄いとおもう。 地中海はやっぱり遠い! パリっ子は海をみたいのよ。 だから列車で二時間の距離は魅力かもね。  今回はたくさんの町名も覚えたしノルマンディー絵旅行は楽しかったわ。 

■中澤弘光展-知られざる画家の軌跡-

■そごう美術館,2014.9.12-10.13 ■彼は厳格な祖母に育てられたとある。 これが全てを物語っているようだ。 裸婦、舞妓、旅行、古美術収集・・、これらのテーマは厳格な幼少年期時代の反動から来ている。 世間からみれば男の趣味の範疇と取られるだろう。 黒田清輝のもとで外光表現を学んだがなかなか面白い作品がある。 地球上の風景とは思えない光を扱っている。 後半デザイナーに変身している。 装幀の全てを扱っているがこれも与謝野晶子の影響であリ本人の意志とは別だろう。 絵はともかく文字は見られたものではない。 時代が彼を活かしたのだとおもう。 副題にもあるように素人からみれば「知らない画家」の一人になるのは展示をみてもわかる。 *館サイト、 http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/14/nakazawa/index.html

■TYINテーネステュエ・アーキテクツ展

■ギャラリー間,2014.7.10-9.20 ■タイで作成した木造建築物は校倉造りに似ていていかにも涼しい感じがするわ。 温度・湿度・風がコントロールできるなら夏でも空調機は不要だもんね。 しかも住民も参加して近くで取れる材料で作るから費用も安くて済む。 これで蚊の対策があれば完璧よ。 グローバル・サスティナブル建築賞をとった理由も納得。 予算やデザイン重視に疑問を持ったというけど、世界に充満している資本の論理を何とかしたいということね。 このようなサスティナブルな活動が今後も続けるにはどうしたらよいのか?は論じていなかったようだけど(見過ごした?)、一番聞きたいところね。 社会組織の関係性を変える方法論もよくみえなかった。 こういうのはいつも建築から飛び出しちゃうのよ。 日本でも「小屋」や「原始的居場所」、「みんなの家」、「森のなかの住宅」等々似ている作品はあるけど肝心なところが違う。 グローバルの捉え方に差があるということかしら? ともかく不明な点が多々ある展示会。 サスティナブルに理解するしかない。 *館サイト、 http://www.toto.co.jp/gallerma/ex140710/index.htm

■ボヘミアングラス耀きの静と動-プラハ国立美術工芸博物館所蔵-

■サントリー美術館,2014.8.2-9.28 ■歴史などに興味があれば良いのでしょうが、使い古した食器が並べてある感じです。 気に入ったのは10に一つありません。 時代が遡るほどガラスが薄いから貧弱にみえるのです。 唐草文様などのベラン飾りなどは意匠が弱いのでエングレーヴィングが生きていません。 現代に近づくほど商品としての価値を取り込んでくるので欠点は少なくなってきますが、それにしても垢抜けしていません。 当時のヴェネチアン・グラスと比較できるコーナーがあったら面白かったでしょう。 *館サイト、 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2014_4/?fromid=topmv

■思い出のマーニーX種田陽平展

■江戸東京博物館,2014.7.27-9.15 ■本は読んでいたけど映画は未だ観てないの。 夏休みはどこも混んでいたから行ってないのよ。 この展示会も15日迄だから急いだの。 なんと日本の北海道が舞台!? しかも本に載っていた地図とは違う・・。 会場は「湿っ地屋敷」で一杯ね。 建物の平面間取りを頭に叩き込んで会場を回ったから屋敷の構造とイメージは忘れないわ。 でも現代美館での「借りくらしのアリエッティX種田陽平展」のようなドキドキ感は無かった。 やはり映画を先に観ないとだめかしら? 映画の補足のような展示会だったのが原因かもね。 そして物語の核心に触れていないから。 さーてと、映画を観に行きましょか? *館サイト、 https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/past/2014/

■磯崎新12X5=60

■ワタリウム美術館,2014.8.31-15.1.12 ■建築外の美術・映像・音楽・舞台などの文化手法を取り込み建築の解体・再編を試みた磯崎新の「建築外的思考」を可視化した展示なの。 多くは過去のビデオ(連続写真)を観ながら彼の思考の全体像に迫る試みのようね。 他の資料もあるけど。 建築と芸術は切り離せないのはわかる。 特に1960年からの数十年は、この関係が建築家や芸術家たちの身体を通して外部からもよく見えていたのね。 ビデオをみるとそれが分かる。 当時は彼らの行動を把握するのに観客も身体を使わざるを得なかった。 情報化された今との違いかもね。 イサム・ノグチとの展示会場は作成していく流れが面白いし、ホワイトハウスは時代の雰囲気がでている。 岡本太郎展の闇が利賀山房に引き継がれていくのは初めて知ったの。 ディスコ・パラディウムは光の間から劇場の古さがポロッとみえる時間の堆積感がいいわ。 ところで軽井沢の書斎「鳥小屋」の実物建築に登ったけど居心地は悪いわね。 本棚には中谷宇吉郎、谷崎潤一郎、多田富雄などが目に止まった。 そして会場入口の幹林院の言葉は磯崎新の建築外的総括の言葉そのものね。 作品が多くて総てをみる時間がなかった。 映像をみないと楽しくない展示会は大変ね。 ここはパスポート制チケットで何回でも入場できるのがいい。 来年迄開催しているから近くを通ったら寄ろうかな? *館サイト、 http://www.watarium.co.jp/exhibition/1408isozaki/index2.html

■陶の空感・草木の空間-川崎毅と関島寿子-  ■虎ノ門ヒルズ

■菊池寛実記念智美術館,2014.7.12-9.28 ■陶器と草木を使った作品が交互にならんでいる。 交互のため上手く切り替えることができない。 前の作品から直ぐに抜け出せない。 途中から慣れてきたがそれでもリズムが狂う。 素材が違っても対象が似ていればこれほど狂わないだろう。 家々と草木で編んだ籠だから接点が少なすぎる。  陶器の街並みは作るのが楽しいと感じた。 それは積み木の延長だし、近いところでは箱庭療法もある。 前回観た「泥象鈴木治の世界」と比べると芸術性は少ない。 籠は胡桃や柳の皮を使っている。 皮や枝を使うと籠からは遠くなるが、規則性のある作品の方が面白い。 美館をでると虎ノ門ヒルズが迫っていた。 開館して間もないので行ってみることにしよう! *館サイト、 http://www.musee-tomo.or.jp/past_exhibition.html ■虎ノ門ヒルズ ■建築主:森ビル,設計:日本設計,施工:大林組 ■六本木ヒルズやミッドタウンからみるとシンプルな建物である。 道路の上に建っているから地下と1階は敷地が狭い。 上階から順にホテル→住居→オフィス→カンファレンス施設→ショップ・レストラン。 4階まで中央部分はセキュリティがある為入れない。 窓側はレストランとショップ。 その間に一周まわれる通路がある。 一周できる構造がいい。 スッキリしている。 ショップやレストランも多いとは言えない。 メニュや値段をジックリ見てきたが並というところかな? 場所柄遊歩者は少ないが、余所者は来なくても結構というビルである。 *館サイト、 http://toranomonhills.com/ja/

■絵画の在か  ■みずのすがた ■塩川彩生展

■絵画の在りか ■ 東京オペラシティアートギャラリ,2014.7.12-9.21 ■若い画家24名の展示会です。 一人数点のため作品に入っていけません。 帰り、ギャラリ書店で画家たちの画集をみるとなるほど何か分かる気がしました。 やはり数で勝負でしょう。 若さは数です。 画集をみると悪くないですから。 キャプションの解説文は切れ味が良かったですね。 でも作品に対して肯定的すぎます。 概念的な内容が作品を遠ざけた感じもします。 画家の本心も聞きたかったですね。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh166/ ■みずのすがた ■山、海、島、川、田圃、・・いいですね。 一息つけました。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh167.php ■塩川彩生展 ■なんかボケーとした感じで・・これもいいですね。 ホッとする夢でもみているようでした。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh168.php

■ジョージ・ネルソン展、建築家・ライタ・デザイナ・教育者

■目黒美術館,2014.7.15-9.18 ■具体的企業での行動や冷戦下のモスクワでの展示会など、政治・経済を取り込みながら 創作しているから今みても古びていない。 彼の作品はCIの先取りであり、それはCSRやガバナンスにまで広がる。 会場には採算に合わない製品販売取り止めの話も多々ありリアルである。 このような広がりとは違うバウハウスを思い出してしまった。 20世紀前半のアメリカの豊かも背景にあるのだろう。 しかも彼はこの豊かさの影の部分をも問題視している。 椅子や机など素材や金具に古さがあるが彼の思想が伝わってくる。 1970年頃の日本車をみているようだ。 政治・経済を変革しようとする作品に込める思想も現代に直結だ。 彼は「(資本主義を背景にして)自然と人間の交わりから生まれる世界の全体がデザインである」と言っている。 これに通ずる世界観が作品にはある。 昨年、国新美館で開催した「カリフォルニアデザイン展」の西海岸的なデザインを覚えている。 今回は東海岸的でよりアメリカデザインの核心に迫っているようみえた。 *館サイト、 http://mmat.jp/exhibition/archives/ex140712

■ヨコハマトリエンナーレ2014-華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある-

■横浜美術館+新港ピア,2014.8.1-11.3 ■ 広場にデルボアの「トレーラ」が置いてあります。 キリスト教ホラー映画に出てきそうな車です。 神経質なデザインと鉄の錆がいいですね。 これをみてエッフェル塔と東京タワーの違いを考えてしまいました。 出だしは地味な作品ばかりです。 夏休みの子供たちには少しガッカリでしょう。 会場が広いせいで感じられませんが、量があります。 しかも派手な作品が少ない。 直ぐに忘れ去られそうです。  しかし大谷芳久コレクションは違います。 有名人たちが戦争賛歌をこれだけ世間に公開するのも異様ですね。 生死の状況次第で変わるのはしょうがないですが考えさせられます。   「芸術家はいきなり社会や宇宙と闘い始め、・・やがて忘却の旅人になる・・」、「子供は自身を主人公にした活劇やロマンスを空想するが、・・芸術家は子供時代に棲み続ける隠者である・・」とディレクタ森村泰昌は言っている。 会場には「忘却の海」が現前しています。 館バスで新港ピアに向かいました。 A・ザタリ「彼女に+彼に」、 H・ユンチャン「タンカー解体労働者」、Y・コビール「縫製工場労働者」などの映像作品が忘却の海に漂わせてくれました。 *主催者サイト、 http://www.yokohamatriennale.jp/2014/

■橋本コレクション指輪-神々の時代から現代まで、時を越える輝き-

■国立西洋美術館,2014.7.8-9.15 ■指輪は小さい。 一つの作品を観るのに一人がやっとだ。 もちろん単眼鏡は持っていったが。 指輪は自分の手に取って微妙に動かしながらみるのがよい。 これができないから辛い。  しかもダイアモンドは照明が強すぎる。 キラキラして見難い。 しかしどう転んでもダイアモンドは別格の感がある。 「指輪に美を求めたのは時代も後になってから」とあるが、第二章の「飾らない指輪」は面白い。 母の出産や子供のお守り、病気や災難の厄除けなど身につけるものだから現代でも理解できる。 第五章の「死と婚礼」も同じだ。 骸骨の指輪はどこのロックシンガーだっけ? 第七章の「モードと指輪」は国新美館のコスチュームへの対抗かな? 指輪の歴史を実物で俯瞰できて楽しかった。 照明を含め陳列方法はもっと検討する必要がある。 *館サイト、 http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2014ring.html

■建築家ピーエール・シャローとガラスの家

■ 汐留ミュージアム,2014.7.26-10.13 ■家具デザイナーのシャローは使い易さを第一に考えていたのね。 デスクなどは現代仕事机の原型にもみえる。 20歳からの10数年を英国家具会社で働いたから「独特な英国風」もある。 アールデコはたまたま時代の中で出会ったのよ。  そしてミニマリズムへ。 金属を人間の骨のように作品の急所に使い機能重視にしたのもミニマルへの理由ね。 次に建築へ行くのは必然。 部屋のスケッチを見ても家具より部屋全体を意識している。 建築試験不合格でも諦めない! ガラスの家をみた時ルーヴル美術館のピラミッドを思い出したわ。 部屋の中の明るさが素晴らしい。 日本の障子戸にもみえる。 でも何か気が抜けた感じね。 悪く言えば金属とガラスでできた入れ物ね。 1階診療所の延長と考えればこれでよいかもしれない。 *館サイト、 http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/14/140726/

■泥象鈴木治の世界

■東京ステーションギャラリ,2014.7.26-8.31 ■土をコネコネいじりながら形にしていくのは最高の喜びを得られるはずだ。 みながらそうおもってしまう。 第1室の作品は飽きが来る。 しかし第2室の清白磁が突然現れてから俄然調子がでてくる。 そして2階へ下って再度の赤土作品は第一室を超えている。 赤土作品をみているとパンを食べたくなってしまった。 「使うから観る」とあるが、清白磁の徳利や猪口なども素晴らしい。 「観るから詠む」は最初わからなかったが連作シリーズをみて納得。 「蘖」は葉が現実的で少し興醒めがする。 「一の芽」の作成過程をビデオ上映していた。 面白いが舞台の裏側を見てしまった感じだ。 「使うから観る、観るから詠む」流れに「作る」を入れると時間が淀みリズムが途切れる。 *館サイト、 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201407_OSAMU_SUZUKI.html

■現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展-ヤゲオ財団コレクションより-

■ 東京国立近代美術館,2014.6.20-8.24 ■普通、値段を気にしながら作品はみません。 でも美術を仕事にしている人は気にするでしょう。 今回は芸術で飯を食っていると想像して作品をみたらどうか?、と言っているようです。 しかし陳列の初めからM・レイやR・リキテンスタイン、A・ウォーホル、F・ベーコンを並べられると市場価格的にシラケますよね。  それよりも初めてみる20世紀初頭生まれの中国(台湾?)画家サンユウ、ユン・ジ、グォ・ボーチュアンは当時の時代や中国の歴史など多くの影響がみえて面白い。 そして20世紀中頃生まれの画家は面白くないのは何故か?  中国・台湾の政治影響力があるのでしょうか? もちろん中国系以外でも現代モノは初めてみる作品が一番ですね。 D・ホックニ「学位のための人物画」は解説と共に記憶に残りました。 *館サイト、 http://www.momat.go.jp/Honkan/core/index.html

■フィオナ・タン-まなざしの詩学-

■ 東京都写真美術館、2014.7.19-9.23 ■チケット売場で全てが映像と聞いて迷ってしまったわ。 8作品のうち2本は上映時間が既に決められているの。 きょう一日のスケジュールの組み直しが必要ね。普通にみて4時間はかかる。 「ディスオリエント」は引きこまれてしまった。 映像は2本あるのに音声は一つ。 しかし映像は中東からアジア一帯の貧困と環境汚染なの。 前者は映像と音声、後者は過去と現代の落差が激しい。 人間の豊かさとは何かを問うている作品ね。 長編作品「興味深い時代を生きますように」でフィオナ・タンが女性だと知ったの。 華僑の父とオーストラリア人の母を持っていることもね。 これで「ディスオリエント」の謎が解けた。 この自伝作品と「影の王国」の写真論とで彼女の全体像が見えてきたわ。 フィオナ・タンに出会えて楽しい一日だった。  「プロヴィナンス」も細かい質感で日常生活の人物像を描いていて意味深かったことを付け加えておくわね。 *館サイト、 http://syabi.com/contents/exhibition/index-2248.html

■建築家ガウディX漫画家井上雄彦-シンクロする創造の源泉-

■ 森アーツセンターギャラリ,2014.7.12-9.7 ■ ガウディの建築関連資料を見たのは初めてだ。 「パラボラアーチ」は崇高の中にもユーモアがある。 「平曲面」は生物的親しみがある。 「トランカディス」は死と再生の表現だ。 「人間は創造しない、発見がある・・」と彼は言っている。 「自然=師」と認識していることが展示を見てもわかる。 カサ・ミラの平面図は蜂の巣を変形しているようだ。 もし館内を歩いたら楽しさと目眩が襲ってくるだろう。 サクラダ・ファミリアは総勢300人の作業で2026年の完成らしい。 映像や模型をみてなるほどこれは凄いと再感激してしまった。 ところで漫画家井上雄彦がなぜ登場するのかよくわからなかった。 彼の漫画はとても控えめである。 このためガウディの資料や写真に跳ね飛ばされてしまっている。 逆にガウディの 内面にノッソリと迫っているようにもみえる。 黒子に徹しているようだ。 *美術館、 https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/2014/

■オルセー美術館展-印象派の誕生、描くことの自由-

■ 国立新 美術館,2014.7.9-10.20 ■ 思っていた以上に量があったわね。 オルセーでもこれだけの作品はジックリ観られないんじゃないかしら? 静物画が少なかったけどその分風景が多いし、歴史画や裸体もありバラエティに富んでいた。 マネを入口と出口の二つに分けたのも凝っていて面白い。 初めてみたモネの「草上の昼食」も考えさせられるわね。 セザンヌの同名も展示されていて満足よ。 気に入ったのはモネ「かささぎ」、マネ「婦人と団扇」。 印象派を越えた作品も混ざっていて19世紀後半のパリがそのまま乃木坂に来たみたいだった。 楽しかったわ。 *美術館、 http://www.nact.jp/exhibition_special/2014/orsay2014/index.html

■岡村昭彦の写真-生きることと死ぬことのすべて-

■東京都写真美術館,2014.7.19-9.23 ■岡村昭彦の作品は「ベトナム戦争」しか知らない。 これをベースにして世界の紛争地域を関連付け取材していることを初めて知った。 ベトナム戦争から世界の全てを掴もうとしている。 彼の行動としてのベクトルは、 ①ベトナム戦争からアジア周辺国へ・・カンボジア→マレーシア→韓国。 ②アジア周辺国から環太平洋植民地へ・・ハワイ→タヒチ→ニュージランド→オーストラリア。 ③環太平洋から合衆国へ・・ボストン、ベトナム戦争を開始したJ・F・ケネディ。 ④J・F・ケネディの故郷へ・・アイルランド→英国→ナイジェリア→ビアフラ→エチオピア。 彼の作品は1960、70年世界史の<見える化>を進めていることに気付く。 <見える化>は「何が問題なのか?」を把握する為の経営手法だが、彼の強い行動力がそれを可能にしている。 これで世界の全てを捉えようとしている。 好奇心を満たす展示会であった。 *館サイト、 http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2242.html

■ボストン美術館-華麗なるジャポニスム展-

■世田谷美術館,2014.6.28-9.15 ■タイトル通りの展示でした。 外国作品の横に日本の作品を並べて、どれだけ日本の作品から影響があったかを解説していきます。 影響の度合い、つまり日本文化を直接用いたか又は間接的かで二種類に分けられます。 前者はモネの「ラ・ジャポネーズ」などです。 後者はゴッホ「子守唄、・・」などですが、細かい部分まで影響力を論じているので眉唾物に聞こえてしまう場合が多々ありました。 例えば、木々のざわめきや配置、雪の景色や街路を見下ろす風景が、浮世絵の俯瞰構図・前景遮蔽・近接拡大・画面端対象切断・格子状画面と類似性が語られます。 しかし画家は浮世絵だけを見ていたわけではないはずです。 ところで「ラ・ジャポネーズ」は布柄の武者が飛び出てくるような立体感があり面白いですね。 数点を除き小粒の作品が多かった感じです。 *館サイト、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00171

■ゴー・ビトゥイーンズ-こどもを通して見る世界-

■森美術館、2014.5.31-8.31 ■ http://www.mori.art.museum/contents/go_betweens/index.html ■展示内容を想像できなかった。 しかし行ってみたら呆気なかった。 大人からみる世界の中の子供の姿であった。 でも移民や貧困・収容所・国際養子縁組・国籍結婚など子供たちにとっては大変に違いない。 作品構成を図にすると、 ①オトナ→世界→コドモ 次に生活の場の中の子供を作品にしたもの、つまり自分の子供たちを描いている。 これは、 ②オトナ→コドモ(→世界) ①と②はうまく分けられない。 ①に吸収されそうだ。 強引に世界が間に入ってしまう。 最後は子供の作品で、 ③コドモ→世界(→オトナ) 作品の90%以上が①と②である。 「コドモがわかったつもり」から逃げられないオトナの展示会に見えるが、③もあることから会場は親子連れが多い。 夏休み向けである。 この季節はこの種の展示会が多くなる。 森美術館は「LOVE展」や「アウト・オブ・ダウト展」など予想のつかない企画展が多い。 今回も何が出るか楽しみだったが、残念ながら驚きは少ない。

■イメージメーカーズ

■2121デザインサイト,2014.7.4-10.5 ■ J=P・グード、R・ウィルソン、D・リンチ・・。 ネームバリュウはあるけど少し保守的な感じがするわね。 グードの機械仕掛の人形は三宅純の曲を重ねても20世紀に戻ったみたい。 ウィルソンは動物のビデオインスタレーションがいいわね。 犬やハリネズミをじっと見ていると生命の鼓動が乗り移る感じよ。 リンチのリトグラフは全作品の中で最高。 表現に境界が無いことはわかるけど、やっぱりウィルソンの舞台、リンチの映画を観たい! ウィルソンは「ヴォイツェク」、リンチは「インランド・エンパイア」が最後だった。 「ピータ・パン」は日本で公開するかしら? リンチも新作を早く作ってちょうだい! 当分はビデオアートやリトグラフで我慢するしかないのね。 ところでホドロフスキの新作「リアリティのダンス」が公開されるって聞いた? 「エル・トポ」を超えられたら凄いわね。 *美術館、 http://www.2121designsight.jp/program/image_makers/

■鉄斎

■出光美術館 、2014.6.14-8. 3 ■ http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/highlight.html ■ 80歳になると作品の質は落ちるのが普通である。 ボケーとしてしまうからだ。 しかし水墨画というのは年齢を感じさせない。 それとも鉄斎だから? 彼の80歳代の作品はボケーではなくトゲーの感じだ。 木々などが刺々しい描き方になっている。 これが水墨画だと新しい領域に入った感じに見えてしまうから不思議である。 よーくみると雑なのだが・・。 抽象画に近づいているようにもみえる。 これもメリットである。 今回の展示は多くの漢文が訓読で表示されているので有難い。 絵と文から鉄斎の生き方がわかる。 儒教を中心にして人生を遊びきったという感じであ る。

■ジャン・フォートリエ展

■東京ステーションギャラリー,2014.5.24-7.13 ■「人質」の数点は観たことがあります。 でも初期の作品を含めこれだけの点数は初めてですね。 戦前の厚塗りや「黒い裸婦」「黒い花」など黒への傾向はとても面白く観ることができました。 1940年前後に「醸造用の林檎」などの果物を潰したような作品を描いています。 これが「人質」の形を生み出したのですね。 そして人質の顔は抽象的ですが自画像に似ていることも今回発見しました。 ジャン・ポランとの対談「怒り狂う者フォートリエ」では<怒り狂う者>にはみえませんでした。 彼はナイトクラブを経営して、しかもダンサーだったようです。 ポランのアンフォルメルに反論していたのも印象的ですね。 彼の作品には現実世界が凝縮しています。 この凝縮したドロッとしたものがアンフォメルというものでしょうか? もしそうなら彼がアンフォルメルの画家と呼ばれても十分納得できます。 *館サイト、 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201405_JEAN_FAUTRIER.html

■描かれたチャイナドレス-藤島武二梅原龍三郎まで-

■ブリジストン美術館、2014.4.26-7.21 ■ http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/ ■副題の時代29点を展示。 藤島武二は6点で一番多い。 日本女性に服を着させて描いた作品もある。 でも中国人を直に描いたほうが、時代の雰囲気は充満している。  女性人物画のため静かである。 当時の両国間の密度の濃さが表れている。 実のチャイナドレスも飾られている。 ほとんどが旗袍である。 映画などでよくみるが旗袍は満州族の衣装らしい。 漢民族衣装を問われてもイメージが浮かばない。 ほんの少しの間20世紀前半にタイムスリップでき た。

■台北國立故宮博物院

■東京国立博物館、2014.5.17-7.31 ■ http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1647 ■「白菜」だけは本館展示のようね。 でも100分待ち。 短気だから10分でも待てない! 平成館だけにしよ。 えっ?、「肉形石」は九州のみ!? ・・豚肉や白菜の無い中華料理なんて! しょうがないわね。 北宋徽宗も清乾隆帝も民族統一に文化財の必要性を感じていたということね。 作品をみると神秘性が無い。 欧州なら一神教でまとめるから容易なのかもしれない。 仏教系も少ない。 だから皇帝の苦労が滲み出ているの。 これで技巧に走るのよ。 でも神秘性の無い儒教圏のお陰で芸術が日常生活と直接に繋がるから楽しいのね。 豚肉や白菜もそう。 磁器類は食器として使うし、書はコミュニケーションの道具よ。 乾隆帝お気に入りの紫檀多宝格も日本で探せば二・三個は出てきそうな代物じゃない。 NHKスペシャル「故宮」を見て行ったから20世紀の歴史も考えてしまったわ。 「國立」を付けたのも必死なのがわかる。

■クールな男とおしゃれな女

■山種美術館,2014.5.17-7.31 ■クールな男なら観に行くでしょう。 ・・行ってきました。 安田靫彦「出陣の舞」、前田整頓「異装行列の信長」の二点。 信長が好んだ片身替に彼の性格が表れています。 吉川霊華「菅公之像」、菊池契月「紀貫之」の柔装束はいいですね。 知的です。 守屋格多々志「慶長使節支倉常長」はローマの町並みと侍衣装がよく似合います。 犬は一匹で十分ですが。 おしゃれな女のほうは小袖の話だけです。 衣装用語が少なすぎます。 これでは季節に似合ったタイトルが泣きます。 もっと衣装を中心に突っ込んだ内容にすべきです。 でも主催者側もわかっているはずです。 この館の所蔵作品ばかりで入場料もいつもより安いし常設展代わりのつもりでしょう。 *美術館、 http://www.yamatane-museum.jp/exh/2014/post-14.html

■世界報道写真展2014

■東京都写真美術館,2014.6.7-8.3 ■去年の写真展を再び見ているようだ。 地名が変わっただけで中身は同じである。 武力衝突はスーダンからシリアへ、麻薬ギャングはエルサルバドルからメキシコへ、LGBTはベトナムからコンゴへ、先住民はサウスダコタ州からノースダコタへ・・・。 そして毎度の貧困と家庭内暴力、環境汚染。 新聞で斜め読みをした台風ハイエンは400万の家を奪い、バングラディッシュのビルの倒壊は1100人の犠牲者があったことも再度脳みそに焼き付けてしまった。 「同じ時代、同じ空の下に」という副題らしい。 世界は戦争・貧困・差別・環境汚染・自然災害で毎年回っている。 「同じ時代、同じ空の下で、同じ事件を」が残念ながら現実である。 * 「世界報道写真展2013」

■シモンドール

■そごう美術館,2014.5.31-7.6 ■ 子供の頃、漫画の主人公に同化することがよくあった。 今の子供がシモンの人形を見ればどうだろう? そういえば会場には子供客がいない・・。 全作品を観て一番気に入ったのが、初めに展示してあった1984年頃の「少女の人形」3体である。 この作品は作者四谷シモンの存在が消えている。 つまりピュアな作品ということである。 この後の「機械仕掛」「天使」「キリスト」は時代と宗教を帯びていく。 作者の思いや思想が色濃く人形に現れていく。 最新作が展示されていた。 2013年の「シモンドル」、2014年の「ドリームドル」。 肌に現実味がでている。 現実に近づくことは人形が歳をとったということである。 人形も死ぬのかもしれない。 *館サイト、 http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/14/yotsuya/index.html

■徒然草-美術で楽しむ古典文学-

■サントリー美術館、2014.6.11 -7 .21 ■ http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2014_3/?fromid=topmv ■ 前半、17世紀江戸時代に展開した徒然草に関する資料を前に自身が持っている徒然草のイメージと重ねあわせていきます。 後半は海北友雪の「徒然草絵巻」を見ながら徒然草の世界に浸ります。 これだけの絵画作品が登場したのは、老若男女だれもが面白可笑しく理解でき、生きていくのに必要な知恵を与えてくれるからでしょう。 動乱の南北朝時代には注目されなかったのもよくわかります。

■バレエ・リュス展-魅惑のコスチューム-

■国立 新 美術館,2014.6.18-9.1 ■ 展示室1Eの壁無しは広くて感動するわね。 衣装が遠くまで見えて素敵。 初期・中期・後期そしてモンテカルロ時代の全34作品ごとに衣装や資料を展示する構成よ。 豪州国美がこんなにも集めていたなんて、やはり国土が広いから? 舞台を想像したいけどやはり限界があるわね。 数本の映像があったけど、見ると猥雑さのあるオリエンタリズムの雰囲気が出ている。 でもM・フォーキンからL・マシーンやB・ニジンスカに移った後はよくみえない。 G・バランシンになると再びみえてくるけど。 画家の動員、H・マティスやM・ローランサン、A・ドラン、G・ブラックと並べただけでディアギレフの統率力の凄いことがわかるわ。 他にP・ピカソやJ・コクトーもいるし当時の売れっ子なら誰でもありかしら? バジル大佐のG・キリコやA・マッソンはそれ以上ね。 この種の展示会でいつも思うことは、ニジンスキーの踊りを観てみたい! これに尽きる。 チラシをみると「バレエ・リュス踊る歓び、生きる歓び」*1を上映するみたい。 写真美術館で観たことがあるけどモンテカルロでは一番のドキュメンタリーよ。 *1.作品サイト、 http://www.phantom-film.jp/library/site/ballet/ *展示会サイト、 http://www.tbs.co.jp/balletsrusses2014/

■マリリンとアインシュタイン  ■造形美考-フォルムの「美」をめぐって-  ■純粋形態-アフリカ諸部族の貨幣-

■インターメディアテク ■ 東京駅周辺はよく歩いているが、1年前に開館したIMTにやっと行くことができた。 JPタワーKITTEの2・3階に位置している。 東京大学の大好きな上手物が揃っている。 しかし、・・ゲテモノにしかみえない。 大きく見開いた目で見つめる剥製大蛙・・、死にかかっているような蝙蝠のミイラ。 手に取れば崩れ落ちるような本。 怪人ドクトル・マブゼが持ち歩いている手術道具一式・・。 ウッゥッゥッ。 そして少しばかり錆びている金属製注射器。 ・・。 小石川分館がまた一つ増えたみたいだ。 でも場所がいい。 4階の旧東京中央郵便局長室や6階のKITTEガーデンからの眺めは素晴らしい。 企画展は上記の三つ。 常設展と入り混じって独特の雰囲気がある。 「アフリカ諸部族の貨幣」はケ・ブランリ美術館の提供である。 パリにあるが個性豊かな美術館である。 「投げナイフ貨幣」「足ブレスレット貨幣」「首輪の貨幣」など材料・装飾等が貨幣価値限界まで迫っていて面白い。 ブティックでは東京大学オリジナルワインやクッキーが売られていた。 もちろん買わなかったがオンラインショップもあるようだ。 *館サイト、 http://www.intermediatheque.jp/ja/schedule/view/index/pasts/id/IMT0031/year/2014 ■ JPタワー *館サイト、 http://jptower.jp/

■ヴァロットン展、冷たい炎の画家

■三菱一号館美術館,2014.6.14-9.23 ■一つにまとめられない色々な緊張感が溢れています。 例えば版画はムンクへの黒白の世界に通じているようです。 そして「赤ピーマン」には感情が塗り込められている異様さがあります。 「アトリエにいるマックス・ロドリーグアンリーク」の部屋はモノとモノの関係が切れています。 私生活から街頭デモや戦争まで緊張の連続で休まる暇がありません。 ヴァロットンの名前も作品も初めてです。 日本初の回顧展のようです。 遅くなった理由は、ヴァロットンの緊張感は現代ではあたりまえというか、時代が彼の先へ進んでしまったからでしょう。 *Internet museum、 https://www.museum.or.jp/report/488

■デュフィ展  ■蜷川有紀絵画展-薔薇の旅人-  ■CATS'LOVE「猫に恋」展@真鍋太郎

■Bunkamura・ミュージアム,2014.6.7-7.27 ■ デュフィをこんなにも堪能できたは初めてだわ。 彼は1905年にマチスに、1907年セザンヌに衝撃を受けたとあったけどセザンヌは消化できなかった。 でもマチスは友にできた。 テキスタイルデザインもマチスのリズムと色は合うはずよ。 家具や陶器への適用も重要な経験になったとおもう。 ドイツ表現主義に影響された版画もね。 力の籠った木版画は素晴らしい。 そして「馬に乗ったケスラー一家」「ポール・ヴィャール博士の家族」などの変わった肖像画は自信がなければ描けられない。 彼の作品には20世紀初頭の成果が一杯詰まっているようにみえる。 しかも音楽や工業デザインで 得たミニマルな様式。 この二つが自信の源かもね。 「クロード・ロランに捧ぐ」で私の神であると言っているけど、晩年の光の追及から黒への傾斜は必然かもしれない。 けれどよくわからない。 この時期に黒まで行くのは相当な探究心の持ち主ね。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_dufy/index.html ■ 蜷川有紀絵画展-薔薇の旅人-,2014.6.7-15 ■ 女優のようだけど。 歌手の八代亜紀と同様に上手で趣味としてはなかなかだわ。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/140607ninagawa.html ■CATS'LOVE 「猫に恋」展@真鍋太郎,2014.6.7-15 ■ 猫好きだから許してあげる。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/box_140607manabe.html

■暁の劇場-鴎外が試みた、或る演劇-

■ 森鴎外記念館,2014.4.26-6.22 ■森鴎外は高校時代以来ご無沙汰の作家だ。 彼が演劇に深く関わっていたことを知らなかった。 展示は親切で分かり易い。 芝居ごとの解説、スタッフや俳優、劇場風景などの資料や写真、スライドが並んでいる。 主な作品は、「玉篋兩浦嶼」「日蓮聖人辻説法」「假面」「ジョン・ガブリエル・ボルクマン」「静」「生田川」「寂しき人々」「ファウスト」「マクベス」「女がた」「ノラ」「曽我兄弟」。 戯曲だけでも全70作品はある。 「ノラ」は島村抱月が訳して鴎外の名を借りたとか、「マクベス」は稿本が鴎外・注解を坪内逍遥・これを元に鴎外が刊本した「逍鴎論争」もある。 鴎外が演劇に関わった一番の原因は弟篤次郎の存在かもしれない。 彼も医者だが歌舞伎に熱を入れていた。 しかし鴎外は医者・軍人・小説家という何でも屋の為か、何を考えていたのかよくわからない。 この展示会をみても彼は演劇が好きには見えない。 作家インタビュー映像にこの答えがあった。 加賀乙彦は「鴎外は翻訳ではなくて研究をしたかった・・」。 明治時代は翻訳が優先したため鴎外はそれに巻き込まれてしまったのだ。 平野啓一郎も「個人ではどうしようもできない、諦念がみえる・・」。 軍人も翻訳も本意でなかったのか? ・・鴎外の悩みが少しわかった。 館を出ると東京スカイツリーが一望できた。 *館サイト、 http://moriogai-kinenkan.jp/modules/event/index.php?smode=Monthly&action=View&event_id=0000000324&caldate=

■<<終わりなきパリ>>、そしてポエジー

■ 東京大学駒場博物館,2014.4.26-6.29 ■ 副題は「アルベルト・ジャコメッティとパリの版画展」。 小品のため知っている画家にも知らない画家にも集中力が必要だ。 所蔵品「大ガラス」を中心に副題の版画が展示されている。 ジャコメッティの版画は大味である。 それより周辺の今井俊満、黒田アキら日本人画家の作品は直感的に届いて心地良い。 そしてコルビュジエの絵画にも驚かない。 それはモデルニテの首都パリの誕生には外せないからである。 誕生にはあらゆるものを必要とすることから、この小さな展示会も多くの芸術潮流がチラついている。 キュレータ小林康夫の解説は小さいが深みがあるのでやはり集中力が必要。 パリの奥地は近づき難い。 パサージュでウロウロするしかない。 *館サイト、 http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/2014.html#Paris

■3Dプリンティングの世界にようこそ!  ■朝鮮金属活字文化の誕生展

■印刷博物館、2014.3.11-6.1 ■ http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/140311/index.html ■気にかけていた展示会でした。 でも物足りなかったですね。 理由は展示方法がスタティックだからです。 説明文と出力物だけの展示ですから。 プリンタの仕組みもボードに書かれているだけです。 もちろん何台かの実物プリンタは置いてあります。 2次元・3次元CADの歴史が長いので、3D印刷機は来るべくして来たという感じです。 これでインパクトも少ないのでしょう。 食品の素材もあるようです。 出力物は残念ながら写真でしたが本物を早くみたいですね。 それよりも食べてみたい。 知的財産権や製造物責任法も簡単に書かれているだけです。 銃作成のニュースが以前ありましたが、データがあればどこでも同じ物を作成できるのが長所でしょう。 結論としてはデータ作成技術がすべてのようです。 ■朝鮮金属活字文化の誕生展、2014.4.26-7.4 ■ http://www.printing-museum.org/exhibition/permanent/140426/index.html ■3Dのついでです。 韓国清州印刷博物館との姉妹提携10周年記念展です。 常設展のなかに設けた企画展ですが、凸版印刷会社のバックがあるので豪華な館ですね。 ハングル語は15世紀以降に広まったため日本と同じく漢字の活字が多いです。 蝋に彫る方法を映像紹介していました。

■超絶技巧!明治工芸の粋

■三井記念美術館、2014.4.19-7.13 ■ http://www.mitsui-museum.jp/pdf/pressrelease140419.pdf ■全ジャンルが飾られている展示室1をみてからジャンルごとの室を回るようになっているの。 室4の七宝と金工には唸るわね。  単眼鏡を持っていったけど小さい意匠がよく見えない。 手に取ってみなければ良さがわからない。 これだけの作品を観ていると凄いけれど諄い感じだわ。 「木をみて森をみず」のような観後感もある。 大きな作品はだめ。 並河靖之も凝縮させるために小さいものしか作っていない。 「木の中に森をみる」ことができるか? 最後の室7の漆工と薩摩。 薩摩には再びマイッタ。 手元において五感すべてでみないとだめね。 村田製作所は聞いていたけど清水三年坂美術館は初めてよ。 この二つが精密や技巧という言葉で技術と芸術が繋がっているのも面白 い。

■佐藤時啓-光・呼吸、そこにいる・そこにいない-  ■スピリチュアル・ワールド  ■JPS日本写真家協会展

■東京都写真美術館、2014.5.13-7.13 ■ http://syabi.com/upload/3/2238/satotokihiro.pdf ■「発光するペンライトや反射鏡の軌跡をフィルムに定着する・・」作品が最初に並べてあります。 ペンライト軌跡は真面目すぎますかね。 反射鏡は源氏と平家を合わせた大きな蛍のようです。 面白いのですがもう一つ感動が高まりません。 それよりもピンホールやカメラ・オブスクラを応用した作品のほうが引きこまれます。 街の風景がひび割れている「CLEANING LIGHTS」や「WANDERING CAMERA」の風景が落ち葉と重なっているような作品群です。 地味ですが気に入りました。 カメラをハンドメイドの道具として使っていて、技術と技能が上手く融合されています。 しかし 心をトキメカスような何かがが欠けています。 自然に対して受動的なこと、そして人が登場しないのが理由でしょう。 ■ スピリチュアル・ワールド-2014年度コレクション展-、2014.5.13-7・13 ■ http://syabi.com/upload/3/2240/spiritual_world.pdf ■この館にある3万点の中から日本の宗教や民間信仰など精神性に富んだ作品を選んだ展示です。 先の「佐藤時啓」の作品とは逆を行っています。 こちらは心を直撃します。 石川直樹「MT FUJI」、土門拳「古寺巡礼」、土田ヒロミ「俗神」、内藤正敏「婆バクハツ!」、奈良原一高「王国・沈黙の園」「ジャパネスク・禅」、藤原新也「全東洋写真・インド」。 過去に見た作品も多いのですが何度見ても呻ります。 ■ JPS日本写真家協会展-公募展第39回-、2014.5.17-6.1 ■ http://syabi.com/upload/3/2246/jps2014.pdf ■入賞作品が約300点。 文部科学大臣賞も東京都知事賞も金賞・銀賞・・も、どれをとっても差がありません。 入賞だけあってレベルは高いです。 差がでないところが現代写真の姿だとおもいます。 理由はカメラがコンピュータの一部に組み込まれてしまっているからです。 「佐藤時啓」の応用はなんとかそこから逃れたいように見えました。

■ジャック・カロ-リアリズムと奇想の劇場-  ■非日常からの呼び声-平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品-  ■公募団体ベストセレクション美術2014

■ 国立西洋美術館、2014.4.8-6.15 ■ http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2013callot.html ■ カロはいつも数点しか見たことがない。 副題にもあるように<奇想>を持った人と認識していた。 しかし奇想は彼ではなく周囲の人々だとこの展示をみてわかった。 もちろん彼の感性は鋭い。 あの腿や脹脛、上腕の躍動感溢れる筋肉の刀使いは素晴らしい。 まさに役者を描いているのだ。 彼は現代で言う演出家だろう。 奇想を持った役者を舞台に上らせて真のリアリズム演劇を版画という劇場で上演しているのだ。 ■ 非日常からの呼び声-平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品-、20164.4.8-6.15 ■ http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2014hirano.html ■ 平野啓一郎の作品は残念ながら読んでいない。 小説家らしい。 このためか会場にある解説文は面白い。 たとえば死とエロティズムの違いは「エロティズムは反復性だが死は一回性である」。 妄想が幻視と違うのは「時間を重ねて膨らんでいくもの・・」。 死は「他者の死をみて納得していくしかない」、そして「近い他者の死と、見知らぬ他者の死は違う」。 タイトルにもなっているが芸術作品とは「日常から連れだしてくれる呼び声である」。 解説に合わせて平易な作品を選んでいる。 というより解説が上手なので作品もわかり易いと騙されているのかもしれない。 グリコ(=カロ)のオマケのような展示会である。 ■ 公募団体ベストセレクション美術2014 ■東京都美術館、2014.5.4-27 ■ http://www.tobikan.jp/exhibition/h26_bestselection2014.html ■ ・・時間が余ったので都美に寄り道した。 27美術団体のイチオシ163点が展示されている。 しかし疲れる。 前回の光風会(*1) の1000点より楽だが。 作品の質も良い。 イチオシだからだろう。 絵画より彫刻が気に入った。 なぜなら地下ギャラリーの彫刻室に入ると疲れが吹っ飛んだからである。 版画もあったが絵画より新鮮な感じだ。 ということで今日はここまで。 *1、 http://ngswty.blo

■法隆寺-祈りとかたち-  ■バルテュス展

■東京芸術大学大学美術館,2014.4.26-6.22 ■ 東日本大震災復興祈念の開催よ。 聖徳太子をとても意識する展示になっているの。 太子像は10点くらいあったかしら? 中でも「二歳像」が一番可愛かったわ。 「金堂壁画模写」も10枚くらい展示されていたけどどれも素晴らしかった。 こんなに近くから見たのは初めてだもん。 圧倒されたわ。 国宝は「毘沙門天立像」と「吉祥天立像」の二点。 夫婦だったのね。 それでどこか日常的な表情を持っているのね。 会場は2階に分かれていて厄介だけど、立像間に距離があるからいろいろな角度からみることができるの。 この美術館は立像の見せ方が上手い! 「 興福寺仏頭展 」 の立像群も良かったのを覚えているわ。 ・・さて次は待望のキトラ古墳壁画よ。 *館サイト、 http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2014/horyuji/horyuji_ja.htm ■バルテュス 展 ■東京都美術館,2014.4.19-6.22 ■ なんとキトラは2時間待ち。 30分くらいなら並んでもいいと思っていたけど諦めるしかない。 残念ね。 玄武や白虎に会いたかったのに。 急遽変更して近くのバルテュス展へ! 少女画もいいけど風景画も最高ね。 ザラザラした表面の、光を閉じ込めたような質感は素晴らしいわ。 スキャンダラスな絵を描いた始まりは貧乏から抜け出したい為だったのね。 今回は節子夫人の協力があったからこれだけの作品を集められたのね。 アトリエや和服姿のバルテュスも見ることができて楽しかったわ。 帰りに絵葉書を1枚買ったの。 何だとおもう? 「おやつの時間」よ。 絵のなかの少女は食卓の中央を見つめているけど、そこには何も無いの。 でも何か置いてあったような跡があるから、少女はそれを思い出しているのよ。 *館サイト、 http://www.tobikan.jp/exhibition/h26_balthus.html

■映画をめぐる美術-マルセル・ブロータースから始める-

■東京近代美術館,2014.4.22-6.22 ■ 映画を観るのではなく、読む、聞くがキーワードのようです。 携帯でYOUTUBEやMP3の解説を聞きながら作品を見て回る仕組みです。 会場に入るとM・ブロータースの作品が数本上映されています。 そして黒幕で囲われた6本の通路がありその奥に作者ごとに展示されています。 かなりひねりの効いた作品もあります。 十数本あるので総て観ると1日かかるでしょう。 ですから作品の断片をみて満足した時点で次に移ります。 短い作品は違いますが。 印象深かったのは実験映画というよりドキュメンタリー風の、E・ボードレール「重信房子メイ足立正生」、A・サラ「インテルヴィスタ」の2本です。 映画は時間的リズムがあるのでそれにシンクロナイズしないと映画的感動が起きません。 しかもベンチは小さいしユックリできない。 そのように観たいなら映画館へ行けということです。 キーワードの見方に興味を持っていれば面白いのかもしれませ ん。 *館サイト、 http://www.momat.go.jp/Honkan/readingcinema/index.html

■ルドルフ・シュタイナ展-天使の国-

■ワタリウム美術館,2014.4.23-6.13 ■ 天使館のオイリュトミー舞台は時々観ていたけど、忘れていた名前シュタイナー。 これは彼の講義録つまり黒板ドローイングと建築・家具・ジュエリーなどデザインの二分野の展示なの。 ドローイングはキャプションを読んでも意味深だわ。 ビデオはすべて建築関係よ。 第一ゲーテアヌムの歴史、ドルナッハの丘の建物群、そして第二ゲーテアウム見学の3本。 この3本を観て建築の全体像が見えてきた。 煙突は木のようだし、植物的生物的な匂いのする建築が多い。 芸術表現はそのままイデアであるという考え。 そしてモノもココロもひとつの現実世界よ。 家具をみてもゲーテアヌム建築の形が宿っているようにみえる。 宇宙に繋がる統一感に満たされている感じね。 カンディンスキーやル・コルビュジエも彼の影響を受けたとあったけど、二人の作品をみてもこの統一感を持っていることから納得できる。 ゲーテは読むしM・エンデは大好きそして笠井叡のファンだということで、シュタイナーは昔からいつもそばにいたの よ。 *美術館、 http://watarium.co.jp/exhibition/1403steiner/index2.html

■桑原甲子雄の写真-トーキョー・スケッチ60年-  ■陶芸家・吉田喜彦展  ■鼻煙壺の魅力-沖正一郎鼻煙壺コレクション-

■ 世田谷美術館,2014.4.19-6.8 ■ 桑原は都市を歩きまわるのが好きなのだ。 そして都市の中にある人・物・事のどれも差別しない。 だから30年代の作品は面白い。 看板やバス停に書かれた文字、本屋の雑誌の記事名や著者、新聞の見出しや広告文章に釘付けになる。 プロマイド屋の写真を一枚一枚見ていく楽しさは劇中劇と同じ写真中写真である。 浅草では劇場の上演時間表を見ているだけで役者たちの生活が想像できる。 この時代の桑原はベンヤミンのごとく遊民になれたので都市の真髄を撮れたのだ。 しかし戦後はその生き生きした写真が消えていくようにみえる。 たとえばパリ。 「人間都市パリ」はパリの人間を撮ってしまった。 そこに都市を歩きまわる喜びは無い。 撮るための使命感や都市が分解してしまった興味が漂っているだけだ。 *館サイト、 http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/past.html ■ 陶芸家・吉田喜彦展 ■ これは素晴らしい。 チラシに「・・もの静かで、温かみのある、自然で、品格のある形」とあったが、まさにその通り。 会場を入ってすぐに80年代の作品が並んでいたが、作品の安定感というものに惚れ惚れしてしまった。 また指描文大皿の柔らかさのある感触もふっくらとした美味しいパンのようだ。 このような感覚を持てる陶磁器はめったにない。 ■ 鼻煙壺の魅力-沖正一郎鼻煙壺コレクション- ■ これも面白い。 嗅ぎたばこを入れる容器を鼻煙壷と言う。 調味料の容器だと勘違いしていまった。 煙草を入れるので大人が楽しめるデザインになっている。 と言っても大人のオモチャではなく芸術作品として作られているのがいい。 陶磁器やガラス工芸をみているようである。 今日は連休だったが混んでいなかった。 砧公園の新緑も素晴らしかった。

■こども展-名画にみるこどもと画家の絆-

■ 森アーツセンターギャラリ,2014.4.19 ■18世紀に子供の発見があった。 でも多くは大人の目をしているわ。 上流階級の子供が多い為かしら? C・レヴィ=ストロースには驚き! 小さいころから聡明な感じね。 「教室にて、・・」は生徒が生き生きと描かれていて気に入ったわよ。 子供を見ていたらF・トリュフォーの映画を思い出してしまった。 オランジュリー展を流派別に再構成したようだけど、20万人動員ならそのままを展示してほしかったわね。 子供と流派は無関係だもの。 でもオランジュリーらしい企画で楽しかったわ。 さすがルーヴルの逃げ場に位置するだけのことはあるわ。 *主催者サイト、 http://www.ntv.co.jp/kodomo/

■洋画家たちの青春-白馬会から光風会へ-  ■光風会展-第100回記念-

■東京ステーションギャラリ,2014.3.21-5.6 ■ 光風会の歴史を知るのは初めてだ。 100回展記念展である。 当時の洋画家たちは今とは桁違いに少ない情報量を噛み砕き消化しながら作品を作ったのだろう。 画家の個性というか不安や疑問も絵から感じ取れる。 新美で第100回展が開催されている。 「特別の主張とか抱負と云う看板はありません・・」。 この緩い設立趣意が100年間続いている理由なのかな? *主催者サイト、 http://kofu-kai.jp/100/index.html ■ 光風会展-第100回記念- ■国立新美術 館,2014.4.16-29 ■ ということで東京駅からブラブラ・・、二重橋から地下鉄に乗り乃木坂へ。 1000点を越える作品をバッと観る。 受賞作品の数十点はなるほど上手いようにみえる。 1000点の中にはこれは下手だ!というのも2割はある。 しかしこれだけの数をみていると自分の好みがわかってくる。 上手い下手ではなく好きだと思うものしか見なくなる。 会場を出ると疲れだけが残った感じだ。 *主催者サイト、 http://kofu-kai.jp/

■フランス印象派の陶磁器1866-1886

■汐留ミュージアム,2014.4.5-6.22 ■ コッテリした皿ですね。 料理の味は落ちるはずです。 やはり花瓶や壺の多い理由がわかります。 絵を一面にするので花瓶が長方形とはやり過ぎですね。 気に入った作品群は印象派ではありませんが、「花とリボン」シリーズです。 アビランド社の歴史と製品の流れがよくわかる展示会です。 絵画やテーブルなど細かいところまで行き届いていましたね。 得られた知識や情報が身体に染みわたっていく感じがしました。 *館サイト、 http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/14/140405/

■幸福はぼくを見つけてくれるかな?  ■船越保武、長崎26殉教者未発表デッサン  ■三井淑香展

■東京オペラシティアートギャラリ,2014.4.19-6.29 ■ 入口でネーム・アナウンサーが観客の名前を大声で呼んでくれるの。 ビックリ! 出展の半分が映像作品。 モノは限界が見えてしまう時代なのかしら? しかもコンピュータを付加すると巷に溢れる商品が際立ってしまう。 映像作品は他人の時間を持っているの。 観客は余裕を持って美術館へ行く必要があるわね。 「コンティニュイティ」は上演が40分。 二人目の息子で退場したけど面白かったから残念。 事前に作品情報の把握が必要かもね。 案だけど、会場でユーザIDを発行してその日はインターネットで映像作品を見れるようにしてほしいわ。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh163/ ■ 船越保武,長崎26殉教者未発表デッサン ■ 船越のデッサンは力強い。 力強さの中に希望や不安が漂っているの。 これを彫刻にすると穏やかな海をみている感じね。 でも弱々しくなりすぎている。 この差はどこから来るのかしら。 彫刻は時間をかけるから心が安定し過ぎてしまうのよ、多分。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh164.php ■ 三井淑香展 ■ これは面白い。 ファッションを創造しているようにもみえる。 このような作品を描ける性格の人って必ず近くにいるじゃない。 実際は描かないけど。 ついに描いてしまったの!?っていう感じね。 今回は三つの展示すべてが楽しかったわ。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh165.php

■オランダ・ハーグ派展、近代自然主義絵画の成立

■損保ジャパン東郷青児美術館,2014.4.19-6.29 ■ ハーグ派の展示会はあまり聞いたことがありません。 この為か場内の説明書がいつもより多い。 バルビゾン派やミレー、ゴッホ、モンドリアン等々との関連解説が一杯です。 もちろんですがオランダ特有の風景が目に付く、水車とか・・。 でも作品の多くに沼地というか干拓地特有の湿度があります。 このため遠くまで見通せる作品の方が気持ちが良いですね。 特に海がみえる作品は海風に変わり湿度から解放されます。 これは!と印象に残った作品はありませんでした。 パッとしません。 ほぼハーグ市立美術館蔵の作品でしたがモンドリアンは初期4枚が出品されていました。 *館サイト、 https://www.sjnk-museum.org/program/past/371.html

■驚くべきリアル  ■MOTアニュアル2014フラグメント-未完のはじまり-  ■MOTコレクション第1部私たちの90年1923-2013、第2部クロニクル1966-拡張する眼

■ 東京都現代美術館,2014.2.15-5.11 ■驚くべきリアル ■「訪問者たち」に出迎えられて嬉しい。 祝祭で感じる死はスペインならではの驚きと親しみがある。 この展示では日常で感じる死が多いのに気がつく。 たとえば「家族」などに。 マイノリティが負の方向に拡散している証拠である。 映像作品は「なだれ込む」と「保安官オイディプス」の2点。 映像は沢山の情報を得られるが想像力が広がらない。 最後に「無邪気な子供」に見送られる。 スペインのリアルの質が変わったことに驚く。 *館サイト、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/musac/ ■MOTアニュアル2014フラグメント-未完のはじまり- ■6人(組)の若手作家の展示会。 福田尚代の「本」と林中野コンビの「パラモデル」は過去に何回か観たことがある。 高田双生児の小作品は日本的な面白さがある。 盆栽のようだ。 宮永亮の「WAVY]は日本の風景を凝縮している。 吉田夏奈の柱は地球史の記憶を持っている。 このような建築に出会いたい。 青田真也のボトルは表面を削っても生活の匂いが付着している。 日本の風景の断片を集めた展示会である。 思っていた以上に面白かった。 *館サイト、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot2014/ ■MOTコレクション第1部私たちの90年1923-2013,第2部クロニクル1966-拡張する眼- ■一部と二部の繋がりがよくみえない。 タイ作家?の映像もなかなか面白かったが展示会構成を混乱させている。 クロニクル1966も寄せ集めの感がある。 寺山修司や三島由紀夫と並ぶ横尾忠則の写真、「他人の顔」を撮影中の磯崎新や武満徹、粟津潔のなどの写真が記憶に残ったくらいである。 小島信明の作品の保管方法や費用などを心配してしまった。 *館サイト、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-9019232013-1966/

■ポルディ・ペッツォーリ美術館-華麗なる貴族コレクション-

■BUNKAMURAザミュージアム、2014.4.4-5.25 ■ http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_pezzoli/index.html ■ 地下鉄のドゥオモで降りてガッレリアをブラブラしてからブレラ美術館へ行きます。 その行きか帰りに寄る美術館がここでしょう。 海外旅行は焦るので見落しが多い。 緊張しているからです。 この美術館は入口もわかりづらい。 特に絵画以外の工芸品、甲冑や金工品が多いので余計混乱します。 この緊張と混乱が海外旅行の醍醐味ですが。 「貴婦人の肖像」の空はもっと青いと記憶していました。 今回日本でみたら曇空のようです。 これが醍醐味との差でしょう。 初めてのミラノへ行った時はジーパンをはいて行きました。 しかし町には一人もジーパンをはいている人を見かけません。 驚きです。 ミラノはファッションに五月蝿いのです。 最近では3年前に行きましたがジーパンだらけです。 もはやファッションの街ミラノの面影はありません。 今でもこの面影を保っているのはヴェローナでしょう。 ヴェローナの街を歩いているとまだ鋭さが伝わってきます。 ・・渋谷を歩きながらミラノのことばかり考えてしまいました。

■栄西と建仁寺  ■世紀の日本画(後期)

■東京国立博物館・平成館、2014.3.25-5.18 ■ http://yosai2014.jp/ ■ 「ようさい」と読むのが正解だと知った。 禅宗の展示会は硬い。 一般の人々が登場しないからだろう。 そこが浄土系とは違う。 当初は建仁寺が天台と密教を兼修する寺ということも知った。 尖った道元より柔軟性があるようだ。 やはり栄西と言えば茶である。 茶が生活を豊かにしてくれることには毎日感謝している。 絵画は狩野山楽が目に付いた。 これだけの海北友松を観るのは初めてである。 禅宗は文化の最先端を走っていたことがよくわかる。 「大いなる心や」を持っていたからこそだろう。 ■ 世紀の日本画(後期) ■東京都美術館、2013.3.1-4.1 ■ http://www.nichibisai.jp/ ■ 前期(*1) の続きである。 総入れ替えと聞いている。 十分堪能できた。 今回はしかし初めての作品で気に入ったのが無かった。 強いて挙げれば下田義寛「ペルシャ門」、吉村誠司「硝子を透して」かな。 「幻想の世界」の章は日本の絵画史に似合っているのかもしれない。 *1、 http://ngswty.blogspot.jp/2014/02/blog-post_20.html

■101年目のロバート・キャパ

■東京都写真美術館、2014.3.22-5.11 ■ http://syabi.com/upload/3/2149/20140322.pdf ■ 「ロバートキャパ、ゲルダタロー二人の写真家」(*1) を思い出しちゃった。 二人を平等に並べた面白さがあった。 今回はボブの人柄や性格から作品をみようとしているのかしら? ギャンブル好きは初めて知ったけど。 何時みてもキャパの他者へのコミュニケーションの取り方は素晴らしいとおもう。 今回は主構成から外れた「その他の展示」が面白かったわ。 特にジョン・モリスのインタビュー映像。 ビンテージプリントやNIKON S等のカメラも。 でも横美と比較するちょっと弱い感じがする。 ボブの人柄が良すぎるからよ。  この勝負、横美の勝ち! *1、 http://ngswty.blogspot.jp/2013/02/blog-post_19.html

■中村一美展

■国立新美術館、2014.3.19-5.19 ■ http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/NAKAMURA_Kazumi/index.html ■ 「Y形」から横尾忠則の「Y字路」を連想してしまった。 Yは画家にとっては特殊な記号なのか? Yから「斜行グリッド」への流れはわかるが、「C型」はこの流れには無い。 次の連鎖-破房への序章なのでは? この連鎖 - 破房から破庵あたりが一番の円熟期とみた。 ヒトの生から死までが社会に拡張されていく精神性がみえる。 しかし次の鳥シリーズには混乱してしまう。 方向を見失ってしまったようだ。 そして終章の「聖」はなんといってよいのか言葉に詰まる。 仏教が純化を目指す為、再びインドへ逆戻りしている途中の作品にみえてしまったが・・。 観終わって荒川修作を思い出してしまった。 作品は正反対だが二人は似たようなことを考えていたのかもしれない。

■FACE展2014

■損保ジャパン東郷青児美術館,2014.2.22-3.30 ■ 公募コンクール形式の展覧会の為か作品の良し悪しに差がありすぎる。 技法をみても箔や岩絵具や紙に拘った作品と油彩にキャンヴァスだけの作品には差が表れている。 ここが公募の面白いところである。 絵を描くことが好きな人々の技量や絵画の個人的興味、社会的な位置付なども想像できて楽しい。 「絵画は何のために存するのか、絵画とは何なのか」は中村一美展のチラシである。 この答えの幾つかがFACE展にもある。  ・・さて明日は国新美館にでも行こうかな *館サイト、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/past/2014/

■イメージの力-国立民族学博物館コレクションに探る-

■ 国立新美術館、2014.2.19-6.9 ■ http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/power_of_images/index.html ■作品の前に立つと作られた時代の政治・経済・宗教や人々の生活をイメージしてしまいます。 しかし「世界の本質や構造」を掴みとることがその先にあるようです。 現代は形と色が溢れている世界にいます。 イメージから本質や構造を導き出すのは簡単なことではありません。 作品の多くは製作日が書かれていません。 収集場所と収集日だけです。 作られた時代は関係ないということでしょうか? 考古学や民俗学と歴史学の違いは無名か有名かで分けられると聞いたことがあります。 無名の作品を前にした時のイメージの練習が必要かもしれません。 多くの前提知識を持つ必要があるようにもみえます。 逆に子供のほうが上手かもしれないですね。

■コメ展

■2121デザインサイト,2014.2.28-6.15 ■ 地球氷河期やヒマラヤ山脈変動を乗り越え、モンスーン気候に適合するため多年草から一年草へと変身し、しかも水陸両用へ変化しつつ、種子で残る知恵を得て、人間生活との共存関係を選択したイネ! 宮沢賢治の言うセンス・オブ・ワンダーとしてのイネからコメの全体像を見せてくれます。 会場はしかしあの田圃の匂いはありません。 糠や麹の匂いもありません。 しめ飾りの藁の匂いが微かに漂うだけです。 録音のカエルや小大蛇、蝉の鳴き声の田圃の畦道が再現されています。 落差のある展示会です。 しかし会場を後にした時コメについての見方が深くなっていることに気が付きます。  つまり3粒が茶碗一杯の3000粒に増える裏に、気の遠くなるような自然の歴史と人の営みがあったことを考えてしまいます。  都会人にはインパクトのある企画です。 一粒のコメを見た時に喜びが沸き起こるようになるのです。 センス・オブ・ワンダーを感じ るようになります。 *美術館、 http://kometen.jp/

■内藤廣展-アタマの現場-

■ギャラリー間,2014.1.18-3.22 ■ 完成が近い草薙総合体育館と九州大学椎木講堂が目立つわね。 内藤廣の作品を観ているとピノッキオを思い出すの。 建物内部はピノッキオが鯨に飲み込まれた時に見た風景と同じだと直感したからよ。 以前ニューヨークのとある劇場でこれは蟻の巣の中だ!と、感じたことがあったけどこれと同じね。 建築はこうでなくちゃ。 想像力で飛び回ることができる作品を造れる建築家の一人だわ。 完成や半成の模型、素材や要素部品が一杯でいつもと違って本格的な展示にみえる。 活躍中の伊藤豊雄、安藤忠雄とSANAAや隈研吾の間に挟まれているけど保守本流を歩んでいる感じね。 会場には建築科学生が多いのも頷ける。 *館サイト、 http://www.toto.co.jp/gallerma/ex140118/index.htm

■蓮杖-没後百年日本写真の開拓者下岡蓮杖-  ■黒部と槍-冠松次郎と穂苅三寿雄  ■APAアワード2014

■東京都写真美術館,2014.3.4-5.6 □蓮杖-没後百年日本写真の開拓者下岡蓮杖-  ■ 蓮杖は写真に出会った時「絵画の代わりになる」と言っています。 しかし晩年に再び絵師に戻っています。 絵師に戻った理由がわかりません。 そしてナゼ写真師になったのか? これも本当の理由がわからない展示でした。 開拓者という言葉を使っていますが時代に乗った人でしょう。 時代の流れに乗れる人はそれなりの才能が必要です。 彼の作品から明治時代初期の人々が何をして何を考えていたのか想像できます。 侍や僧侶、飛脚や甘酒売などの商人、三味線や書の稽古などなどからです。 開拓者ではなく彼の目を通して生きた時代をみることの方が面白い展示会でした。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2143.html □ 黒部と槍-冠松次郎と穂苅三寿雄- ■ 山岳写真は特別です。 単なる風景とは違います。 当時は重たい写真機を持って写真をとりますから作品の質は良くありません。 登山経験者と未経験者の違いも大きいとおもいます。 未経験者は地球とか人生とか、まるごとのままの何かを想起します。 経験者特に北アルプス登山者は違うはずです。 靴や服装、五万分の1の地図、登山家の歩いている姿。 ディティールの一寸も漏らさず作品を舐めまわすでしょう。 山岳写真はやはり特別です。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2145.html □APAアワード ■ 経済産業大臣賞はボーイング787です。 素人には分かり難い溶接やリベット跡、そして銀びかりの身体。 電子機器とは違った迫力があります。 経済産業大臣及びその家臣なら諸手を上げてこの作品を支持するはずです。 気に入ったのは制服姿の女子高校生が写っている作品です。 彼女らはボーイング787を簡単に越えることができます。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2147.html