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■荒木飛呂彦原画展・ジョジョ展

■ 森アーツセンターギャラリー,2012.10.6-11.4 ■ 焦茶色の肌に唇が厚いポリネシア系人物に、マッチョな体型、イタリア的な服装や装身具で着飾っている登場人物はどこかで見たような見ないような懐かしさがあるわね。 たぶん25年の長さが熟成しているのね。 「ジョジョメノン」を購入した感想は・・ C・イーストウッドとの対面、グッチのクルーズコレクションの取材は素敵よ。 メトロポリタン美術館「クロイスターズ」や都市型演劇「スリープノーモア」、回転木馬「ジェンズカルーゼル」は飛呂彦が自身で選んだのかしら? だったら凄い! 短編漫画「岸辺露伴グッチへ行く」はグッチが貨幣交換以上に等価交換の優位性を持っているなんて!? でも漫画は毎週リアルタイムで読んでいないと駄目ね。 来週の発売が待ち遠しい!と思わなきゃ。 このような原画展もたまにはいいけどね。 *美術館、 https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/2012/

■始発電車を待ちながら

■ 東京ステーションギャラリ,2012.10.1-2013.2.24 ■ 東京駅復元工事完成記念展である。 ギャラリ入口がわからない。 駅員に聞くと北ドームに移動とのこと。 2,3階が会場の為チケット購入後3階へエレベータで昇る。 旧会場と同じくレンガが剥き出しである。 広くなった感じだ。 ヤマガミユキヒロの「PLATFORM NO1 / NO2」が面白い。 東京駅ホームからの風景と線路を描いて、その上から映像で電車を行き来させる作品である。 電車や信号の光が幻想的で不思議な感じがする。 他はどこかで観たような作品ばかりだ。 観終わって、出口へ向かう2階通路はなんと北ドームの周囲を歩くようになっている! 1階の行き来する人々が下に見える。 とても贅沢に感じる。 そしてミュージアムショップを通らないと出られない。 複雑な構造のギャラリになってしまった。 *館サイト、 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/pdf/121025.pdf

■巨匠たちの英国水彩画展

■BUNKAMURA.ザミュージアム,2012.10.20-12.9 ■ 水分を含んだ空気や光、そして海や川のしっとりとした透明感は水彩画ならです。 水彩画は今の写真機の代わりだったんですね。 携帯に便利でグランドツアー(英国田舎貴族の放蕩修学旅行)先でも容易に描けるからです。 前半のキーワードである水彩画・ピクチャレスク・グランドツアーの三点は同時に進められたような展示に構成されています。 そしてナポレオン登場前はパリ・ローマ・ナポリ・スイスへ。 登場後はスペイン・アフリカそしてアジアへと作品は広がっていきます。 後半はW・ブレイクを経てラファエル前派を含めたヴィクトリア時代を扱っています。 グワッシュにボディカラーが登場しますから より油絵に近づいた作品が多いですね。 水彩画は英国近代の美術史そのままの感じがします。 まさに「国民的美術」です。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_manchester/index.html

■リヒテンシュタイン・華麗なる侯爵家の秘宝

■国立新美術館,2012.10.3-12.23 ■この館の 無機質立方体の室でのバロック・サロンは似合いません。 しかし天井画をみると展示にチカラが入っているのが分かる。 この努力でリヒテンシュタイン家の目からバロック世界を豊かに想像できる内容になっています。 ルーベンスは10点。 「キリストの哀悼」「果物籠を持つサテュロスと召使の娘」「占いの結果を問うデキウス・ムス」の三点が気に入りました。 キリストの灰色の顔と唇。 もはや復活は無理ではないのか? サテュロスと娘の不気味な微笑みはなんなんだ!  デキウス・ムスの頭の中が真っ白け! どれも劇的です。 他にダイク「マリア・デ・タシスの肖像」は人間味が、レンブラント「キューピッドとしゃぼん玉」は愛の微妙さが表れています。 「ようこそ、わが宮殿へ」。 招待された気分で観てきました。 *展示会サイト、 http://www.asahi.com/event/liechtenstein2012-13/

■山下保博Xアトリエ・天工人展

■ギャリラー間,2012.10.13-12.22 ■ 天工人は建築事務所名でテクトと読む。 現在迄の活動状況が展示されている。 作品はモノを7分類、コトを7分類し二次元表を作り位置づけている。 モノはチャレンジの方向性を、コトは組織活動の方法を論じているらしい。 とくに化学を手段の一つにしているのが特色だ。 特殊コンクリート、特殊コーティング、特殊ガラス、特殊・・・。 とても変わった建築物が結果として提出されている。 デザインが奇抜すぎるのは少し不安だが。 日本の敷地は狭いから需要があるとおもう。 作品は住みやすいのか?は見ただけではわからない。 周囲の人と環境を巻き込みながら進めているのが頼もしい。 冒険しながら今も走り続けているというのが感想である。 *館サイト、 http://www.toto.co.jp/gallerma/ex121013/index.htm

■操上和美展  ■機械の眼・カメラとレンズ  ■日本写真作家協会(JPA)会員展・地球はいま

■東京都写真美術館、2012.9.29-12.2 ■ http://syabi.com/upload/3/1653/kurigami.pdf ■ 粗粒子や傷を含んだまま現像されているモノクロ写真は<時>を意識するのは必然の流れだわ。 被写体も時に埋没していて抜け殻のようにみえる。 だからシリーズ「NORTHERN」はあまりにも退屈、「陽と骨」よりもね。 「被写体は愛の対象物だ」と言ってるけど愛も時の中に消えていくしかない。 これは映画「ゼラチンシルバーLOVE」にもいえることね。 それはゆで卵だけにリアルさが残ってしまったからよ。 ■ 機械の眼・カメラとレンズ、2012.9.22-11.18 ■ http://syabi.com/upload/3/1649/120816_the_eye%20of_the_machine.pdf ■ やっとカメラに到着。 「光の造形」(*1) で操作技法、「自然の鉛筆」(*2) でフィルム、そして今回がシリーズ最後。 フォーカスが少しわかったわ。 焦点距離との関係がね。 大判カメラや35mmカメラの歴史的存在意義もね。 どう?凄いでしょう? ■ 日本写真作家協会(JP A )会員展・地球はいま、2012.10.6-10.21 ■ http://syabi.com/upload/3/1718/jpa.pdf ■ 入選した会員の200作品が展示されているの。 多くの作品は一発勝負だとわかる。 だから1枚1枚みていくのに飽きが来ない。 ・・写真家のプロとアマの違いは何か?を考えちゃった 。 1.写真に対して高度な挫折経験があること。 2.企画力を持っていること。  または写真向きの良い地頭を持っていること。 この二つがプロの必要条件ね。 写真という文字を除けば世間の会社員と同じような条件になってしまったの。 これが今の写真芸術の姿かもしれないわね。 *1、 http://ngswty.blogspot.jp/2012/05/blog-post_25.html *2、 http://ngswty.blogspot.jp/2012/08/blog-post_18.html

■田中一光とデザインの前後左右

■2121デザインサイト,2012.9.21-2013.1.20 ■ 田中一光の全体像がコンパクトにまとめられている。 1室は装幀本を、2室は10の机に作品を分類配置し壁にはポスターが一面に貼ってある。 グラフックデザインらしい秩序あるスタティックな構成である。 5机の「パフォーミングアーツと演劇」をみると、若い時に演劇にのめり込んだらしい。 既にグラフックから飛び出ている。 彼のデザインは最初から文化の設計を目指していたようにみえる。 セゾン文化を作り上げた一人としてその成果がある。 作品の文字は生き生きしている。 対象物をリアルに捉えているからだ。 グラフックデザイナーは裏方である。 裏方は亡くなってからよくみえるようになる。 広範囲な活動だったから展示会名は「前後左右」より「四方八方」が適しているだろう。 *館サイト、 http://www.2121designsight.jp/program/ikko_tanaka/

■メトロポリタン美術館展

■東京都美術館,2012.10.6-13.1.4 ■広地域にもかかわらず洗練されている作品が多いですね。 しかし4000年は広がり過ぎですね。 メット17の学芸部門のうち12部門も参加したからでしょう。 まっ、小粒なのはしょうがない? 入場して即、古典的風景が来るのはいつものことですがヨーロッパの深さを感じます。 この種の感慨は日本画には無いことです。 でもあとがよくありません。 自然を7章にわけて展示していますが分類がメタメタです。 メトロではなくメタロポリタンです。 展示の流れに素直さがありません。 ところで普段見ないアメリカの画家が随所に登場してくるのが新鮮でした。 ティファニー創設者の長男ルイス・コンフォート・ティファニーのステンドグラスはいいですね。 東洋は少なかったのですが、その中で杉本博司が一点。 さすがです。 会場出口に展示会記事の載っている新聞が置いてありました。 なんと、記事の解説者は彼でした。 アハ!  *館サイト、 https://www.tobikan.jp/exhibition/h24_metropolitan.html

■ジェームズ・アンソール 写実と幻想の系譜

■ 損保ジャパン東郷青児美術館,2012.9.8-11.11 ■ 「牡蠣を食べる女」は明るく暖かみがある。 彼は自信を持ってこれを出品したが、女性の食事場面を描くことに非難が出たらしい。 このような文化的非難が起こることは彼も事前にわかっていたはずだが? このような彼の情報の偏りは、父と母の格差から来る家族のいざこざが原因だろう。 画家に似合わない服装の自画像を描くのもそうだ。 格差を引き継いだ彼の時代把握の偏りがグロテスクへ向かった。 この結果としての展示会目玉である「陰謀」はなるほどいい絵だ。 疑心暗鬼からくる希望や不安のブラックな笑顔で一杯だ。 *館サイト、 http://www.sjnk-museum.org/program/past/353.html

■篠山紀信 写真力

■東京オペラシティ・アートギャラリ,2012.10.3-12.24 ■ 昨日行ったら100人ほど並んでいたわよ。 このギャラリーでこんなに混むのは初めてかも。 篠山は芸能人が対象だからね。 作品の多くは縦横数メートルもあるものばかり。 だから混んでいても苦にならない。 宮沢りえのオッパイとお尻は最高だわ。 でも篠山の作品は結局はプロマイドね。 しかも高級プロマイド。 三島由紀夫では細江英公の深遠なるマゾヒズムを思い浮かべるけど、篠山だとこれがキッチュになるの。 これで三島も貴乃花や長嶋茂雄と同列ね。 この数十年間、彼の作品は進歩もなければ退歩もないようにみえる。 押し入れにしまってあったスタープロマイドを久しぶりに取り出してみたような展示会だったわ。 *展示会サイト、 http://www.operacity.jp/ag/exh145/

■棚田康司「たちのぼる。」展

■練馬区立美術館,2012.9.16-11.25 ■ 作品の前に立って話しかけても見向きもしてくれません。 目は明後日の方向に向いています。 少年少女だから心が揺れ動いているのでしょう。 まさに「天空へ昇っていく少年」です。 彼らが昇って行った後に、幾つかの作品が地上の残っていました。 それは「W ATCHING THE WHEEL 」、「 ONE OF THEM] 、「FISH」、「 CHILD 」、「 FLOWER 」、「内的凶暴性」、「支配と従属」などです。 つまり天空へ昇る作品と地上に留まる作品の二種類を棚田は創ったのです。 舟越桂を思い出してしまいました。 舟越の作品とは対話ができます。 深い話を、です。 舟越に対抗できるのは天空に昇る少年少女ではありません。 それは後者の地上に留まっている作品です。 何故ならほんとうの話ができますから。 *館サイト、 http://www.neribun.or.jp/web/01_event/d_museum.cgi?id=10229

■シャルダン展ー静寂の巨匠-

■三菱一号館美術館,2012.9.8-13.1.6 ■ シャルダンの果物をみてディドロが「旨そうで思わず手が出そうになる」と言ったようです。 でもこの旨さは現代とは違う味にみえる。 リアルさの追求より光や空気や当時の雰囲気を重視しているので、これは18世紀のウマ味ですね。 むしろ17世紀フランドル静物画の果物のほうが現代的なおいしさが迫ってきます。 人物画は表面に光沢がないので物語にすんなりと入り込める。 高級な童話画をみているようですね。 セザンヌは彼を「只者ではない」と言っています。 それは色使いを褒めたのであって、セザンヌの静物画や人物画に漂う<存在の謎>は感じられません。 シャルダンは18世紀のウマサであり、世紀を越えられません。  ですから現代人にとって安心して観ていられる画家の一人です。 *館資料, http://mimt.jp/exhibition/pdf/outline_chardin.pdf

■対話する時間

■ 世田谷美術館、2012.9.15-11.11 ■ http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html ■ 館の改修工事をしたようだが以前との違いがわからない。 室内の壁が白くなった?高級感の床になった?。 かっこいいタイトル「対話する時間」をつけて作品は8章に分類して展示されている。 しかし作家は69人もいて130点数。 一人約二点。 バラバラで焦点が当てられず対話が続かない。 しかも分類は逆に観客を縛ってしまう恐れがある。 改修工事で半年間も休館していたから学芸員も調子がでないようだ。