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2月, 2019の投稿を表示しています

■奇想の系譜展-江戸絵画ミラクルワールドー

■東京都美術館,2019.2.9-4.7 ■美術史家辻惟雄著「奇想の系譜」に沿った展示会である。 会場は結構混んでいる。 でも作品が大きいから流れが良い。 先ずは伊藤若冲。 傑作が並んでいるので興奮する。 紫陽花の花弁も見事だ。 若冲の動植物はDNAまで躍動しているのが分かる。 次に曽我蕭白。 「群山図屏風」は後期出展で見ることができない。 展示品は前期と後期がほぼ入れ替わる。 損と得をした気分だ。 そして長澤芦雪。 やはり猿が一番。 岩佐又兵衛は重要文化財級が並ぶ。 だが絵巻物を含め小さい作品は飛ばす。 今日は観る時のリズムを大事にしたい。 やはり狩野派が登場すると満足度が上がる。 金碧障屏画の折れ折れの梅花を前にするとリッチな気分に浸れる。 白隠慧鶴は作品情報量が少ないので時間をかけずに鑑賞する。 そして琳派鈴木基一。 「夏秋渓流図屏風」はなぜ日本美術の教科書に載るのか?が本物を目の前にすると分かる。 歌川国芳はざっと流す。 混んではいたが最後までリズムを崩さす観ることができた。 *館サイト、 https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_kisounokeifu.html

■ル・コルビュジエー絵画から建築へ、ピュリスムの時代ー

■国立西洋美術館,2019.2.19-5.19 ■この美術館はコルビュジエの絵画と建築をどうしても繋げたいのね。 今回やっとそれを叶えた感じかな。 でもピュリスムを介すると誰でも繋がってしまう(ようにみえる)。 コルビュジエの肝心要の繋がり方はやはり分からない。 その中で「レアの主題による習作」「レア」(1931頃)は彼の生命への拘りがみえて面白い。 彼の建築表面には生物の匂いがない。 その拘りが背後に隠れているから味があるのかも。 でも彼の生命観が現代生物学の延長線上に有るから余計にわかり難い。 彼らピュリストに近いのはフエルナン・レジェだとおもう。 でもレジェの構造の力は弱い。 パブロ・ピカソとフアン・グリスの作品が並べられていたがピカソにもその限界が感じ取れる。 コルビュジエはキュビズムとは一線を画している。 彼はキュビズムを評価したけど内心はどうかしら? 今回はピュリスムの切り口で沢山の絵を観ることができたのは最高ね。 *館サイト、 http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019lecorbusier.html *「このブログを検索」語句は、 コルビュジエ

■RCRアーキテクツ展、夢のジオグラフィー

■TOTOギャラリー.間,2019.1.24-3.24 ■タイトルはカタルーニャの建築家集団名。 RCRはラファエル・アランダ、カルマ・ビジュェム、ラモン・ヴィラルタの3人の頭文字らしい。 2017年にプリッカー賞を受賞しているの。 会場は6作品の紹介ビデオと「ラ・ヴィラの森」の映像作品が占めている。 どの作品も風景に溶け込んでいる。 色彩も考えているわね。 現代建築の素材色であるグレーは使っていないところに親しみ易さや安心感が漂うのかもしれない。 陸上競技場のフィールドに森をそのまま残しているのも素敵よ。 「記憶に住まう土地=ジオグラフィー」はある変換を通して身体に写像している。 作品をみていると身体が喜ぶというより安らぐ感じがする。 この安らぎはどこから来るのかしら? 隠れた変換式があるのかも。 この式がブリツカー賞に繋がったのね。 *館サイト、 https://jp.toto.com/gallerma/ex190124/index.htm

■石川直樹、この星の光の地図を写す  ■木版画の魅力  ■大和美緒

■東京オペラシティアートギャラリー,2019.1.12-3.24 □石川直樹,この星の光の地図を写す ■会場に入った途端、目もくらむ太陽の輝き、真っ青な空?、凍薄の空気?、新雪の冷たさ・・、アラスカのデナリ、南極・南米最高峰の山々が忽然と迫ってきた。 ギャラリーの床・壁・天井白一色の雪景色が素晴らしい。 グリーンランド、イルリサットの雪に埋もれた墓地や街並みをみて石川直樹をやっと思い出してきた。 触覚的な「Mt.Fuji」も記憶にあった。 しかし初めて見る作品も多い。 それはポリネシアとミクロネシアそして日本の海だ。 日本では奄美、沖縄、台湾へ、そして北海道、サハリンへ。 「まれびと」から時間をも遡る。 ギャラリーは再び目も眩む白の世界「K2」で終わる。 付録「石川直樹の部屋」は楽しい。 彼の愛読書、遠征で使用した装備品などが置いてある。 石川直樹の全体像を初めて知ることができた。 それより世界の最高峰に登ってきたような気分を持てたのが最高である。  *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh217/ □木版画の魅力 ■これだけの木版画をみるのは久しぶりである。 磯見輝夫の力強い作品群に先ずは圧倒される。 河内成幸のNYでパリで鶏がバタバタしている3枚は口元が緩む。 川瀬巴水「東京二十景」と黒崎彰「近江八景の内」の比較ができたのが今日一番の拾い物。 女性作家では坂本恭子と佐竹邦子の作品が気に入る。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh218.php □大和美緒 ■地図を描いているのか?と一瞬近づいてしまった。 現代点描画である。 デジタル時代の落とし子登場! *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh219.php

■岡上淑子、沈黙の奇蹟

■東京都庭園美術館,2019.1.26-4.7 ■フォトコラージュは楽しい。 でも、まとめて観ると飽きてくる。 幾らでも意味を追うことができるからです。 作者も次々と作品に意味を貼り付けていくことができる。 作る側も観る側も食べ過ぎてしまう。 M・エルンストは飽きないようにコラージュ・ロマンにして解決したのでしょう。 岡上淑子は服装学院出身だけありファション系の作品に見応えがあります。 「コラージュは他人の作品を拝借して鋏と少しばかりの糊で・・」。 彼女はコラージュに後ろめたさを感じていたようです。 途中で写真や日本画へ向かったのもその理由かもしれない。 ところで自分で撮影した写真をコラージュに使うのは自慰のようでつまらない。 他人の作品を切り刻む必要があるということですね。 他者と混ざり合ってデペイズマンの効果が現れる。 *館サイト、 https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/190126-0407_okanoue.html