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2月, 2022の投稿を表示しています

■メトロポリタン美術館展、西洋絵画の500年

■国立新美術館,2022.2.9-5.30 ■天窓から自然光を通すMET改築工事による退避展らしい。 「西洋絵画の500年」と副題にあるように時系列に沿って表層だけを眺める感じだ。 フラ・アンジェリコ「キリストの磔刑」(1420年)で始まりクロード・モネ「睡蓮」(1919年)で終わる。 ちょうど500年だ。 しかし展示数が65作品でも結構疲れた。 自ずと観るのに集中力を高めたからだろう。 METは近ごろご無沙汰している。 館内で迷ってしまい、気がついたら十数点のクラーナハに囲まれていて度肝を抜かれたことを覚えている。 「パリスの審判」を観ながら昔のことを思い出してしまった。 旅行も当分無理だろう。 5月末まで開催しているので毎月行ってもよい。 *美術館、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2021/met/

■ミロ展、日本を夢みて

■Bunkamura・ミュージアム,2022.2.11-4.17 ■油絵はなかなか見応えがあります。 コクがある。 テンペラ「花と蝶」もみえる。 横浜美術館所蔵で私が一番好きな作品です。 1917年の油彩「シウラナ村」では浮世絵の影響が解説されている。 すべてが日本に繋がっている展示会ですね。 ミロがシュルレアリストに会わずに以後も油絵を描いていたら別の意味で面白かったはず。 初章ではミロの油絵に感動しました。 次章からはミロの抽象へ進んでいく。 彼は日本の自然観、木々や草花そして身近な動物を見る目に憧れたようです。 これに書道や民芸が肉付けされ、誰でも楽しめる抽象画になり、日本経済の上昇期と合致して素直に日本に受け入れられたのでしょう。 「祝毎日」(1966年)も書道風抽象画のためスンナリ納まる。 他の作品をみても書道の影響が大きい。 揮毫での身体の振動つまりリズムを作品に取り入れようとしている。 「見るミロを見る、見るミロを見ろ・・」。 瀧口修造です。 ここまで日本の文化や人間関係に接近した画家は珍しい。 *美術館、 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_miro/

■特別展ポンペイ

■東京国立博物館,2022.1.14-4.3 ■住居を具体的に再現しているところが今回の見所ね。 それは「ファウヌスの家」「竪琴奏者の家」「悲劇詩人の家」の3軒なの。 家の見取り図をみると部屋数が20から30もある。 裕福な家庭らしい。 住居の壁や床そして絵画や装飾品の色と形に囲まれていると喜びが迫ってくる。 フレスコ画の霞んでしまった青緑や赤茶の(漫画のような)写実的な動植物を見ていると心が落ち着く。 モザイク画も同じように多くの自然界を描いている。 馴染みの魚介類が多いのも身近に感じる。 「イセエビとタコの戦い」などはタイトルが美味しそう。 この動植物や魚介類を材料にして、数々の料理道具、例えば保温器や湯沸かし器、大きな壺などから新鮮な料理が想像できる。 ポンペイの上流層の日常生活がみえてくるわね。 でも市民生活はよく分からない。 奴隷の出世物語を含め中・上流層に近づくことができたと解説にあるが本当かしら? 人口1万人で600軒の店や工房と公共施設、例えば浴場、劇場、闘技場、下水道などから想像するしかない。 パン屋が30軒あったこともね。 台所が粗末なことから外食やテイクアウトも多かったようね。 たぶん江戸時代の落ち着いていた頃の江戸庶民の生活に似ていたような気がする。 ポンペイ展は過去に何回か観ているが、いつも新鮮な観後感がある。 「2000年前にタイムスリップできる空間演出を・・」とあったが「そこにいた」気分を今回も持てた。 楽しかったわよ。 *ナポリ国立考古学博物館主催 *博物館、 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2128 *「ブログ検索🔎」に入れる語句は、ポンペイ  ・・ 検索結果は3展 .  

■フェルメールと17世紀オランダ絵画展

■東京都美術館,2022.1.22-4.3 ■「窓辺で手紙を読む女」をじっくり観てきたわよ。 修復前は・・、静けさがあり手紙を読むには最適な空間だった。 女と手紙に集中できた。 修復後は・・、ざわめきが感じられる。 このため手紙以外のことがよぎる。 でも作品に安定感が増し完成度が高くなった。 修復後の方が気に入ったが修復前が好きな人もいるはずよ。 修正した人の意図はレンブラントに近づける為だけではなかったと思う。 「欺瞞や良心の欠如に打ち勝つのは誠実な愛のみである」。 描かれたキューピットの寓意らしい。 これで説明が増えて作品が騒がしくなったのね。 手前の果物がとても輝いていたのも目に残る。 周辺も清掃されたのかしら? うん、上野に足を運んだ甲斐があった! 他の70点も初めて観る作品が多い。 満足度の高い展示だった。 小さい肖像画が多いから単眼鏡を持っていると安心。 *ドレスデン国立古典絵画館所蔵展 *美術館、 https://www.tobikan.jp/exhibition/2021_dresden.html   *「ブログ検索」に入れる語句は、フェルメール  ・・検索結果は7展。     

■楳図かずお大美術展

■東京シティービュー,2022.1.28-3.25 ■「楳図かずお27年ぶりの新作」! 作品名は「ZOKUーSINGO 小さなロボット シンゴ美術館」。 101枚の絵画がズラリと並んでいる。 漫画ではなく絵画と言ってよい。 ・・横尾忠則を思い出してしまった。 二人は生まれも同じ1936年。 漫画家と画家の違いはあるが深層のどこかで繋がっているように感じます。 「わたしは真悟」の続編らしい。  さとるとまりん、 二台のロボットが人間に生まれ変わろうとする話のようです。 前半はリズムがあり冴えた流れで引き込まれます。 しかし後半はロボット類の大進化と戦争の勃発そして人類は天上へ避難・・。 詰め込みすぎですね。 作者は急ぎ過ぎたのでしょう。 そして世界を広く耕し過ぎた。 このため作品が完結したのかどうか定かではありません。 ロボットが人間に近づくのは20世紀の見方です。 「ブレードランナー」を含め多くの作品がこれです。 しかし21世紀は人間がロボットに近づいていく時代でしょう。 人体の一部がアンドロイド化しロボット化していく・・。 やはり人間は<死>、それに<老>や<病>を避けたい。 自己の意識が繋がれば良しとするところまで行ってしまう気がする。 加えて20世紀的<愛>も案じなければいけない。 このようなことを考えながら新作をみてきました。 いやー、21世紀は忙しくなりそうですね。 作者が後半に急いだのも分かります。 *美術館、 https://tcv.roppongihills.com/jp/exhibitions/umezz/