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■マリー・ローランサンとその時代展

■ニューオータニ美術館,2012.7.14-9.30 ■三つの建物を串刺ししているホテルニューオータニは館内が迷路になっているの。 気分は古い温泉旅館の中を探検しているのと同じね。 驚きと目眩があってとても素敵よ。 暑い中でのローランサンの人形のような人物は涼しさがあって落ち着くわね。 同時代のフランスと日本の画家が残りの1/ 3づつで均衡が取れた展示だった。 荻須高徳のパリ風景がこんなにも静かさがあるとは初めて気が付いたわ。 バレエ関係の資料は中途半端よ。 古家新の観劇の話もあったようだけど。 どうせならローランサンを含めてもう少しまとめて欲しい。 でもあまり考えたくない夕涼みにはちょうどよい展示ね。 *館サイト、 http://marielaurencin.jp/history/

■スタジオ・ムンバイ

■ギャラリー間,2012.7.12-9.22 ■木材や土壁の破片、壁には写真がぎっしり飾ってあり足の踏み場も無い。 黒ずんだ焦茶色が会場を包み込んでいてまるでインドにいるようだ。 作品の多くはコルビュジエを想起する。 そして木材の組み合わせは校倉造りに似ている。 高温高湿なら校倉造りは合うかもしれない。 豪雨の写真が1枚あったが、しかしこのような湿気だと木が腐るのは速そうである。 土壁やレンガの比重を増やしたほうが長持ちするかもしれない。 この館の2階に本屋がある。 はたして参考本の一つに「コルビュジエのインド」が置いてあった。 立ち読みすると彼は64歳になってから23回もインドに行っている。 スタジオ・ムンバイへの影響も大きいはずである。 会場にあった10台前後のビデオのすべてが建物の周辺や住民を撮影している。 このような環境や文化の重視とコルビュジエ+校倉造りの関係がよく見えない。 スタジオの作品が住民の支持を得ているのか?は不明である。 *館サイト、 http://www.toto.co.jp/gallerma/ex120712/index.htm

■アール・デコ光のエレガンス

■汐留ミュージアム,2012.7.7-9.23 ■暑い今の時期はガラス作品がいい。 それもアール・デコが一番。 ヌーボーだと感情が昂ぶって逆に汗がでてしまう。 会場の最後を飾ったのはカッサンドルのポスター、「ノルマンディー号」と「北極星号」。 これも旅行時期としては最高。 特にノルマンディー号はニューヨーク迄の航海が4日間、短すぎず長すぎないベストな日程だ。 アール・デコ様式満載の「洋上の宮殿」に住めるなんて夢のようだ。 リニューアル企画展はもちろん「アール・デコ、ノルマンディー号」だね!庭園美術館さん? *美術館、 https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/12/120707/index.html

■鋤田正義展  ■自然の鉛筆

■東京都写真美術館,2012.8.11-9.30 ■「YMO」をみて頭がキーンとしたから即恵比寿へ直行よ。 テーマごとに個室を作って展示してあったけど、でも作品の多くは切れ味が良くないの。 商業写真は力があるのはわかるけど、時代に助けられた面もあるわね。 その中で広間に飾ってあったバナー作品はよかったわ。 「デヴィット・ボウイ」とともにね。 *館サイト、 http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-1651.html ■自然の鉛筆 ■写真の世界では鉛筆はカメラに、紙はフィルムに相当するんじゃないかしら? でもこの展示は紙=フィルムの話ばかりね。 素人にとってカメラは気にするけどフィルムは写ればいいというレベル。 だからつまらない授業のようでアクビがでるのよ。 タルボットの写真集から採ったからしょうがないけど誤解する題名だわ。 でも写真はフィルムの歴史だと言いたいのがわかった。 カメラじゃないのよ。 ダゲレオタイプ、鶏卵紙、ゼラチン・シルバー、タイプC・・全部覚えた! *館サイト、 http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-1595.html

■与えられた形象-辰野登恵子/柴田敏雄 -

■国立新美術館,2012.8.28-10.22 ■辰野登恵子と柴田敏雄の二人展です。 前者は知りません。 後者は3年前写美館で企画展があったので覚えていました。 主催者はこの二人の共通点を強調したいようでが、絵画と写真では作品を前にして湧き出る意識の流れが違うので水と油です。 柴田敏雄ですが白黒作品をB0版近くの大きさまで引き伸ばして展示されています。 カラーならともかくコンナモノをみても面白くありません。 テーマを強調したいのでしょう。 後半は写真集と同じくらいのサイズになり観る喜びのリズムが戻りました。 最後に彼の新作がありましたがいいですね。 色が薄くなって軽やかです。 会場出口でダムの25枚写真を1枚のポスターにした「DMS」を予約販売していましたが最高です。 柴田の写真は白黒に関しては集中できるサイズでないとボヤケてしまいます。 ところで辰野ですが、1984年のマティスの壁柄に似た作品はみずみずしくて詩的です。 その後も悪くはありませんが・・、しかし新作は救いようがありません。 形象は与えられたものなのか? 描く動機も不明です。 *館サイト、 http://www.nact.jp/exhibition_special/2012/given_forms/index.html

■藤田嗣治と愛書都市パリ

■松濤美術館,2012.7.31-9.9 ■昨日観た「 ちひろ 」の色とイメージに対して藤田の線のまた違う素晴らしさを再認識してしまった。 具体的に対象を描けるので世界がリアルに現前できる。 文章の文字や意味をぶれないで受け止めることができる。 また違った本の記憶が子供時代に残るはずである。 藤田の場合は詩や小説が多く子供の絵本は少ない。 文学者との協調態度や本に対する考え方も違うので比較はできないが、ちひろ展でのモヤモヤが解消された。 挿絵本には当時のフランス画家も総動員だが藤田のこの分野の活動は素晴らしい。 でもパリ滞在中での日本紹介の絵は少しおかしい。 いつものことだが海外にいると日本文化をしっかり観察していなかったことを思いやられる。 *館サイト、 http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/153fujitatsuguharu/

■ちひろと世界の絵本画家たち

■損保ジャパン東郷青児美術館,2012.7.7-8.26 ■絵本の絵はディテールを写実的に描いたほうが子供の記憶の深い部分に残るのでは? 誰にも子供時代があったのだが思い返せばこう感じてしまう。 いわさきちひろは水彩画の良さを発揮しているのだが、むしろ大人好みの絵にみえてしまう。 物語の複雑な面白さをこの絵は受け止められるのか? 会場には世界の絵本画家52名の作品も展示されている。 実際の絵本も手にとれるようになっていた。 10冊くらいジックリ読んでみないとわからないが、もはや子供時代の心に戻ってみることができない。 *館サイト、 http://www.sjnk-museum.org/program/past/351.html

■歴史の天使

■ワタリウム美術館,2012.8.4-11.11 ■どれもどこかでみた写真ばかり。 ギンズバーグのビデオも去年の「 ハートビート展 」と同じもの。 なんと図録をみたら以前にも同じ企画展をおこなっているようね。 何人かの作家は入れ替えているようだけど。 多木浩二の言葉は素敵だったけど他は新鮮味ゼロだわ。 好きな作品は何度観ても飽きないけど、前回の「 ひっくりかえる展 」の作品を再び展示するのは早すぎる。 これなら常設展並の料金にすべきよ。 しかも館のHPも最新展示会名が更新されていないわよ! いっそうのこと夏休みにしちゃたらどう? *館サイト、 http://www.watarium.co.jp/exhibition/under.html

■レーピン展

■BUNKAMURA.ザミュージアム,2012.8.4-10.8 ■習作だが「コサック」が新鮮で一番気に入った。 トルストイは「コサック」や「船曵き」より「夕べの宴」が良いと言っているがこれは非暴力主義者としての感想だろう。 「思いがけなく」や「皇女ソフィア」もより演劇的である。 演劇的が時代を呼び込む。 これらは革命から戦争そしてソビエト崩壊迄の20世紀ロシアの起源に戻って出会ったような作品である。 映画スターウォーズの全作品の後に「新たなる希望」を再び観た時のようなロシア、ソビエト、そして再びロシアの時間的円環で結ばれる感動がある。 しかしこのような絵はすぐに凍りついてしまう。 もはやギリシアやローマ時代と同じだ。 一年もすれば見たことも忘れてしまうだろう。 だから多くの人がレーピンの名前など知らないのはあたりまえである。 トレチャコフ美術館はモスクワに行くたびに立ち寄ったがいつも閉館していた、、昔のことだが。 今のモスクワは興味が失せたから行く気がしない。 でもトレチャコフ美術館は一度入ってみたいものだ。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_repin/index.html

■夢の光

■東京都写真美術館、2012.7.21-9.23 ■ http://syabi.com/upload/3/1591/tamura.pdf ■飛行機好きに出会えて嬉しいですね。 田村彰英の1960年代作品「BASE」はこの結果として政治的にはなりません。 最新映像2012年作品「NAF ATSUGI  F/A18・・」をみても彼は変わっていないのがわかります。 羽田空港第一ターミナル屋上からA滑走路の離陸機を、城南島海浜公園で着陸機を一日中飽きずにみている人って結構いるじゃないですか。 この感じが漂っています。 でも機体が金切り声をあげているような作品にして欲しいですね。 金属を舐めるような感じもです。 だから「湾岸」はともかく「家・HOUSE道ROAD」や「名もなき風景のために」のような作品は冴えないのです。 チラシの戦闘機は最高ですね。 これを含め納得できる作品が数点ありますがやはり飛行機好きだけが出過ぎているようです。