■チームラボ・ボーダーレス
■森ビルディング・デジタル・アート・ミュージアム,2024.2.9- ■「ボーダーレス」は常設展示であるため、麻布台ヒルズを訪れるたびに気にはなっていたものの、いつも後回しにしていた。 今回ようやく見学する機会を得た。 展示の中心となるのは映像作品であるが、電球や照明のみを用いた作品もいくつか設置されている。 観客は映像に囲まれた空間の中を自由に歩き回り、それぞれの作品を体験していく。 映像は壁全面に投影されているため、個々の作品の境界は曖昧である。 題材としては草木や花、小動物などの自然物のほか、日本文化に由来するモチーフが多く見られた。 電球を用いた作品では、部屋全体が鏡張りになっているため、視界が無限に広がるような感覚を得られる。 また、照明作品「非対称コスモス」は、宇宙の恒星と対話をしているような感覚を味わうことができ、純粋に楽しかった。 一方で、場内は全体に暗く、展示空間が複雑につながっているため、すでに観た部屋に再び入り込んでしまうこともあった。 自分が今どこにいるのか分からなくなることもしばしばで、後から展示内容を確認すると見落としていた作品も少なくなかった。 およそ一時間ほど歩き回りながら鑑賞したが、次第に新鮮味が薄れ、退場することにした。 チラシには「境界なく連続する一つの世界の中で、さまよい、探索し、発見する」と記されている。 実際に館内を巡ってみると、「さまよう」という言葉ほど、この展示体験を的確に表すものはないように思えた。 作品と作品の境界が消失し、観客自身もまた空間の中で方向感覚を失う。 この体験こそがチームラボの意図した鑑賞のあり方なのだろう。 ただ、その一方で、映像表現が日常のさまざまな場面にあふれる今日においては、視覚的刺激だけでは驚きを持続させることが難しくなっているようにも感じた。 その意味では、没入感を生み出す技術の高さと同時に、その体験をいかに更新し続けるかという課題も抱えているのかもしれない。 なお、来場者の大半は外国人観光客であった。 言語による解説に依存せず、視覚と感覚を通して楽しめる展示であることが、国籍を問わず多くの人を惹きつけている理由なのだろう。 *美術館、 https://www.teamlab.art/jp/e/tokyo/