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11月, 2010の投稿を表示しています

■REALITY LAB 再生・再創造

■東京ミッドタウン・2121デザインサイト,2010.11.16-12.26 ■入場して25分のビデオを見ないとタイトルの意味がわからない。 展示の順序は、再生ポリエステル素材から布を作成→平面立体構造研究→一枚の布から衣服を作成、と進む。 1枚の紙から複雑な三次元構造が生まれる三谷純の立体折り紙はすばらしい。 これを適用した三宅一生の作品132_5.は有限な地球資源から生まれた21世紀の匂いがしている服だ。 服を触ってみたが残念ながら素材はゴワゴワしている。 これでも当初から比べると格段に良くなっているらしい。 しかし複雑な服が二次元にたたまれていく姿には感心した。 総合力とは必要な人・物を総動員してこの世界に新しい何物かを実現させる力を言うが、展示会で三宅一生たちはこの「総合力」を誇示していた。 そしてこの力のない芸術家は21世紀を生きるのが大変だと言っているようにみえた。 *美術館、 http://www.2121designsight.jp/program/reallab/index.html

■カンディンスキーと青騎士

■三菱一号館美術館、2010.11.23-2011.2.6 ■ http://mimt.jp/aokishi/index.html ■カンディンスキの1908年以降の作品はそれ迄とは画風が大きく違っているわ。 ムルナウに移り住んだこともあるけど、ペインティングナイフから離れ絵筆の広がりを得たのも理由の一つのようね。 抽象前夜の1908年からの2年の作品が10点ほど飾ってある3階大広間は、色と構成の饗宴で素晴らしの一言ね。 「塔のある風景」「私の食堂」「虹の見える風景」「ムルナウ近郊の鉄道」「まっすぐな道」・・は長く観てても飽きないわ。 1910年からの抽象画は「秋のための習作」「冬のための習作」「コンポジションⅦのための習作」の3点が最高。 脳が観る喜びで一杯になるわ。  すべて習作だけどね。 でも1913年迄の作品で展示はおしまい。 後期作品が無くて中途半端だったけど、しかし満足感は十分よ。

■手塚雄二

■横浜・そごう美術館、2010.10.23-11.28 ■ http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/10/1023_tezuka/index.html ■会場に入ったとたん手塚雄二は描くことが好きではない、と直感しました。 努力して好きになろうとしている結果の絵です。 近寄って木の葉や岩の塗りをみると唸らせるものがありますが、作品は観る者に残るものを何も与えません。 そして「覇徒」の鳩や小作品の蜘蛛や蟷螂は生きている生物には見えません。 これらは画家の戦略なのでしょうか? 凡庸な対象を積極的に選んでいるのですから何かあるとは思いますが・・。 後期作品「風宴」「千の滝」「晩夏」は気に入りました。

■ファンタスマ

■東京大学総合研究博物館・小石川分館、2010.11.6-12.5 ■ http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2010FANTASMA.html ■人体模型、生物の剥製、鉱物などの標本の間にケイト・ロードの作品が飾ってある。 鉱物に似た作品は素人がチョット見ただけでは標本と区別がつかないのもある。 しかしケイトの作品は中学生が作った模型のようだから多くは見ればわかる。 錆びた顕微鏡や動物の骨や古くなった貝殻が学術的に重要だなんてわからないのでゲテモノの間にゲテモノが飾ってあるようにしか見えない。 変な意味でつり合いがとれているようだ。 しかしこのような展示会を観ると脳味噌はカオス状態になるしかない。 テラスから小石川植物園内の紅葉と池で泳ぎ回っている鴨を眺めてすっきりしてから帰宅の途についた。

■セーヌの流れに沿って

■京橋・ブリヂストン美術館、2010.10.30-12.23 ■ http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibit/index.php?id=81 ■パリ周辺からセーヌ湾までの地域ごとの作品が並んでいる。 モネが一番多いようだ。 出品している日本人画家は40人はいるだろう。 このうち半分以上は初めて知る名前だ。 知らなかった画家の絵をみるのはとても楽しい。 土田麦僊が「日本人の訪問客が多過ぎてうるさい」とあったが当時の状況が見えるようだ。 最後に2枚ほど戦後の絵が飾ってあった。 高畠達四郎と香月泰男。 香月は若い時にパリへは行かなかったのか? 亡くなった1974年作の「エトルタ」が展示されていたが、頭の中はシベリアでいっぱいになってしまった。

■トランスフォーメーション

■東京都現代美術館、2010.10.29-2011.1.30 ■ http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/118/1 ■午前中には見終わる予定が丸一日かかってしまった。 ヴィデオ作品が多かったこともある。 人間の境界が不確定な無意識世界の、特に人間から動物、動物から人間への変身作品が多い。 しかし無意識の世界は今も闇のままだ。 分子生物学や情報科学により今後数百年で人間の意識や肉体は大きく変容するはずだ。 人類の「幼年期の終り」は思ったより早く来ると思う。 その時、このままでは無意識は叛乱するだろう。 残念ながら芸術や人類学には無意識の展望が見出せないことをこの展示会は物語っている。 それにしても西洋人は変身するのが下手だな。 マッシュ・バーニの作品を見ればそれが分かる。 東洋の作品がつまらないのは動物へそして動物からの変容が日常的だからだ。