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■Material,or ■偶然は用意のあるところに、西澤徹夫

□Material,or ■ディレクター:吉泉聡 ■2121デザインサイト,2023.7.14-11.5 ■「存在するありとあらゆるマティリアルが素材として意味づけされるプロセス・・」。 よく分からない文章です。 たぶん<素材>が日本語で<マティリアル>が英語?だからです。 マティリアルは素材よりも自然に近い? 素材は身体・経験からなんとなく理解できるが、マティリアルは辞書を引いても母語的な接近ができない。 会場を歩きだすと・・、 床に自然や人工界にあるモノが散らばっている。 鉱物・植物・動物、そこから加工した鉄・ガラス・プラスチック・ゴム・毛皮などなど。  分かった!、ここでのマティリアルは材料と訳してもよいかもしれない。 でもチョット違う。 気に入ったのはキツツキの巣を断面で切断した木片です。 室内での体の動きや鳥の考えが想像できます。 そして熊の寝ている模型です。 呼吸数は少ない。 いびきをかいている。 しかしナゼ熊の模型があるのか? 今回は<当たり前といえば当たり前の内容>でした。 *美術館、 https://www.2121designsight.jp/program/material/ □偶然は用意のあるところに ■ギャラリー間,2023.9.14-11.26 ■会場は美術展に近い。 それは展示されている建築模型が五月蠅く無いからです。 しかも細かいところを解説している。 例えば公園の夫々の椅子は会話をし易くするために位置を微妙に変化させている。 建物の壁は一日の日差しを確認して相応の色を選択している。 建物の周囲の勾配を少しずつ傾けて周囲との調和を図っている。 「偶然は用意のあるところに」がわかりました。 そして偶然とは感動に出会うことですね。  美術展室内を上から俯瞰した模型もある。 美術展会場は都市と同じである、と言っている。 つまり表層だけしか見せない。 都市を遊歩するときと同じです。 でもその奥を見てみたい! ・・覗き窓があった! *美術館、 https://jp.toto.com/gallerma/ex230914/index.htm

■ゴッホと静物画、伝統から革新へ

■SOMPO美術館,2023.10.17-2024.1.21 ■会場は混雑していますね。 当館では珍しい。 先ずは「麦わら帽のある静物」(1881年)が気に入りました。 器などはセザンヌを思い起こす。 その前の「髑髏」(1887年)もなかなかです。 ゴッホの絵画歴は10年しかない。 それだけ密度が濃い。 ゴッホが花へ向かったのは色彩訓練の為と聞いている、モデル代が無かったのも理由でしょう。 モンティセリなどを高く評価していたことも分かる。 そして花の静物画に焦点を当てているのである意味華やかです。 そして彼の最後の5年は衝撃的です。 「ひまわり(1888年)」も激しいがどこか冷めている。 過去を意識させるネットリ感が無いからでしょう。 自身の耳をそぎ落とした直後の「皿とタマネギのある静物」(1889年)は光も空気も爽やかです。 「ゴッホは何を学び、何を伝えたのか?」。 彼の精神は極限状態です。 しかし冷静にみえる。 乾いた狂気ですね。 この凄まじい均衡を自身の内に蓄え続けながらそれを作品として我々に突きつけた。 彼が教えてくれるのは<正気と狂気の均衡を保て>です。 関連する他画家の作品も多くて満足しました。 *美術館、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2023/gogh2023/

■それぞれの闘い、春陽会誕生100年

■東京ステーションギャラリー,2023.9.16-11.12 ■なぜタイトルが<闘い>なのか?観ていて分かりました。 それは春陽会が「画家のための自由な団体」だからです。 岸田劉生の影響力が強くなり梅原龍三郎が1925年に脱会、欧州帰りの画家と意見が合わず1933年に多くが脱会とある。 やはり<自由>なことから画家たちの意見が違う、活動がバラバラ等々の為でしょう。 長谷川潔、駒井哲郎などの版画家も入会している。 美術ジャンルが広い。 闘わなければ自由を獲得できない(?) 会場の円形特設室には岸田劉生と木村荘八が展示されていましたね。 特に永井荷風「墨東奇譚」は傑作です。 山本鼎の2枚「独鈷山麓秋意」「浅間山秋の朝」の深陽乾燥冷気赤茶風景が気に入りました。 ところでアントニー・レーモンドの登場には驚きです。 会員に建築好きの画家でもいたのでしょうか? そして岡鹿之助で締めています。 5枚くらいあったがまとめて観ることができて嬉しい。 今年4月開催の第100回春陽展は見落してしまった。 行っていれば春陽会の歴史が現代と繋がったかもしれません。 *美術館、 https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202309_shunyo-kai.html

■ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン ■創造の現場、映画と写真による芸術家の記録 ■読書する女性たち

■アーティゾン美術館,2023.9.9-11.19 ■最初の作品「汝、経験に依りて過つ」でサンサシオンの洗礼を受けました。 30度に傾いた室内に入ると立っていられない。 室が動いている!? 最後まで家具にしがみついていました。 いざ、あっち側へ! 「・・サンサシオン」は山口晃展です。 それも解説が全て漫画風になっている。 面白く読み進められる。 先ずはセザンヌの謎に迫ります。 もちろん漫画風ですが内容は凄い。 絵に興味がある人なら<セザンヌの謎>は通過儀礼でしょう。 ここでは筆の動かし方や視線のこと色のことなどを展開していく。 流石に画家の見方は深く鋭い。 次は雪舟にいきます。 しかし「四季山水図」はガラスで反射していてよくみえない。 さて、白一面に塗られた室内に入り・・、白壁を凝視していると、出た出た飛蚊症が。 これは眼中の蚊を眼底で見ているらしい。 ガンテイとは!? そして日本橋と高速道路やオリンピック関連など面白い漫画が続いていく。 その間をぬって画家の作品がある。 なかなか刺激的でした。 じっくり読み返したいので展示カタログを購入しようとしたら大きい。 鞄に入らない。 諦めました。 帰宅してWEBを見たらオンラインショップがある。 早速購入しました。 次展の4階へ・・。 アーティゾン美術館で映画を撮っていたとは初耳です。 とは言っても画家のドキュメンタリー映画ですが。 1951年から64年まで61人の画家を撮っている。 もちろん白黒だが前田青邨の「石橋」はカラーでした。 画家が製作しているところは見ものです。 筆遣いなどが分かる。 でもアトリエとしての自宅の和室は綺麗すぎる。 撮影のため晴着姿にしたのでしょうか? 映像の間に作品を観て回る会場でした。 映写前には椅子が二つで最初から見る気はないという想定ですね。 映像展示方法は見直してもらいたい。 WEBで条件付きで観られるようにする、などにです。 「読書する女性たち」もついでに寄る。 「読書という画題は男性に属する・・」。 しかし男性が読書する絵などは記憶にない。 みな女性です。 それも明治・大正時代の西洋で学んだ日本人画家に多い。 会場もこれに沿っている。 画中の読書空間は独特な雰囲気があります。 *美術館、 https://www.artizon.museum/exhibition/detail/55