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■幻想絶佳-アール・デコと古典主義-

■東京都庭園美術館,2015.1.17-4.7 ■この館に行くのは3年半ぶりだ。 目黒駅からの桜田通りは建築工事がやたら目に付く。 館入口周辺もスッキリした。 庭園もジメッとしたところが無くなってしまった。 「もののけ姫」のシシ神なきあとのようだ。 しかし展示はリニューアルの意気込みを感じた。 アール・デコと古典主義との関連をテーマにしている。 もちろんアール・デコを得意とする館だが、いつもの展示とは一味違うようだ。 知らない作家も多い。 ジャン・グージョン、アンドレ・メール、ジャン・デュバ、ロベール・プゲオン、ジャン・デピュジョルそしてアンリ・ラパン・・。 解説を一読しても頭に入らない。 まるでパリ市民を基準にした内容にみえる。 しかし何故か刺激的である。 もらったチラシには「両大戦間期のパリの建築とモニュメント選」が載っている。 展示を振り返りながらこの地図をみればやっぱパリに行きたくなってしまう。 パリ市街を、大戦間古典主義で分節化する楽しさを再発見できるからである。 *館サイト、 http://www.teien-art-museum.ne.jp/special/highlight/?id=content03

■パスキン展-生誕130年、エコール・ド・パリの貴公子-

■汐留ミュージアム,2015.1.17-3.29 ■「人間45才を過ぎてはならない。 芸術家であればなおのことだ」と言って自死したパスキン。 アルコール依存で肝臓を悪くし梅毒で鬱病でリュシとの不倫がうまくいかない状況では普通なら説得力がありません。 しかしそこは芸術家、劇的です。 彼の作品の素晴らしさは素描力にあるようです。 これをベースにもやもやとした輪郭線と真珠母色ではたまりません。 これだけのパスキンを一堂に観たのは記憶にありません。 しかしモヤモヤしているせいか枚数があると煙の中にいるようで感動が薄れます。 また硬さのある初期作品や寒いニューヨークを避けたキューバ旅行の作品など彼の全体像を初めて知りました。 モンパルナスの貴公子と呼ばれていたようですが、このような芸術家はいつの時代でも興奮させられますね。 *館サイト、 https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/15/150117/index.html

■クインテットⅡ-五つ星の作家たち-

■損保ジャパン日本興亜美術館,2015.1.10-2.15 ■展示された作品全体を組曲のように感じ取る展示会のようね。 「風景」が共有する旋律素材みたい。 澄み切った作品が多い。 春がそこまで来ているような会場で気持ちが良かったわ。 印象深かったのは自然の中に女の子の瞼が描かれている岩尾恵都子の作品群。 配色も面白い。 でも会場は全体として力強さに欠けているようにみえる。 何か物足りない。 脱皮前の幼虫のようね。 そろそろ蝶になる時期が来たんじゃない? *館サイト、 http://www.sjnk-museum.org/program/current/2788.html

■ワシントン・ナショナル・ギャラリ展-私の印象派-

■三菱一号館美術館,2015.2.27-5.24 ■娘エイルサ・メロンが収集した作品らしい。 背景色の清々しい絵が多い。 ルノワール「髪を編む若い女性」の紺、「猫を抱く女性」の黄緑、ルドン「ブルターニュの村」や「海岸沿いの村」の空色などどれも目が喜ぶ。 これはエイルサの感性なのか? そしてサイズが小さいので奥行の無いこの美術館に合っている。 ブータンの浜辺風景は小サイズのほうがしっくりする。 理由はよくわからないが海の潮風が画面から届くように感じられた。 ルノワールで気に入ったのは「ブドウの収穫」。 まるで細かい絨毯のような草原である。 彼が描く女性像を自然に適用したようだ。 ヴァイヤールはヴァトロンの逆を行く画家である。 裏側の視線ではなく表側の視線というところか。 ボナールと組んだ親密派の5章はサプライズだった。 国新美の「 ワシントン・ナショナル・ギャラリ展 」とは違った面白さがあった。 前回が公の顔なら今回は副題通り私的な顔だろう。 *美術館、 https://mimt.jp/exhibition/#washington