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■あしたのひかり  ■エキソニモ、インターネットアートへの再接続

 ■東京都写真美術館,2020.7.28-9.22 □あしたのひかり ■作家:岩根愛,赤鹿麻耶,菱田雄介,原久路,林ナツミ,鈴木麻弓 ■日本の新進作家5人(組)の写真展です。 充実した内容でした。 5人(組)の違いの面白さが飽きさせない。 岩根愛は東北桜と郷土芸能や墓地風景が「象徴としての光」と「いまここを超えていく力」の2テーマをジワッと融合させて迫ってくる。 菱田雄介のビデオは写真の延長ですね。 人物を数十秒動かさないで録る。 その映像は写真を見続けていたような錯覚を残す。 微妙に動く人物の表情や衣服が観る者の心までしっかり届く。 特に北朝鮮や韓国の人々は日々背景まで想像できる。 原久路と林ナツミは少女たちがとても新鮮です。 写真は少女と風景で一組ですが動静の差異に味わいがある。 鈴木麻弓は写真館を営んでいた家族の記録です。 東日本大震災の遺品はバラバラになっても家族がまとまっている。 強い力が働いているのを感じます。 赤鹿麻耶は作品過程も壁に貼り付けている。 メモに肝心なことが隠れているようです。 でも読む気がしない。 なんとか読ませたいですね。 *日本の新進作家vol.17展 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3815.html □エキソニモ ■作家:千房けん,赤岩やえ ■「エキソニモ」とは千房けんと赤岩やえのアート・ユニット名です。 ネットワークに接続されたソフトとハードの隙間を対象にしている。 多くはパソコンやスマホの誤動作現象を作品に取り込んでいます。 マウスやキーボードを破壊したりキツイ表現が多い。 最新作「UN-DEAD-LINK」はゲーム内キャラクタとピアノが連動しているが、坂本龍一が協力していると聞いて妙に納得。 面白かったのは「HEAVY BODY PAINT」。 これはビデオとペイントを連係させた作品で、微妙な動きがリアルに迫ってくる。 2階展示場「あしたのひかり」の菱田雄介のビデオ作品と手段は違うが方向が似ている。 写真とペイントの違いはあるがビデオの面白い性質を知りました。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3817.html

■DRAG QUEEN、ヨシダナギ

■西武渋谷店,2020.8.13-30 ■ヨシダナギの写真はプラスチックの触感がある。 ペインティングかしら?と作品にズズッと近づいてしまうわね。 しかも、たっぷり時間をかけた厚塗りの化粧は絵画と相性が良いから。 アヤフヤな性の境界を超える衣装と化粧はさすがヘビー級だわ。 でも彼らの映像インタビューを聞いているとパフォーマンスとしてのドラッグクイーンを目指しているようにみえるの。 漫画のキャラクターのようで、これではディズニーランド化は避けられない。 でも何人かは人生を感じ取れたけどね。 ダークさを散りばめたらより深みが出たと思う。 *館サイト, https://www.sogo-seibu.jp/shibuya/yoshidanagi/

■近代日本画の華、ローマ開催日本美術展覧会を中心に

■大倉集古館,2020.8.1-9.2 ■1930年ローマ開催の「日本美術展覧会」に出品した20点弱と関連作品で飾られている。 当時の団長は横山大観。 大観の「ローマ展ポスター」の威勢の良さが目立つ。 もちろん富士に太陽だ。 「ローマ展図録」も貫禄十分。 ムッソリーニも観に来たらしい。 比べて玉堂の風景、清方の人物、関雪の動物がいかにも長閑に感じる。 ムッソリーニの感想を聞きたいところだ。 リニューアル後の館は初めてだ。 館とホテルの間には無機質な池が造られている。 以前は心落ち着く庭があったことを記憶している。 今や雑草1本生えていない。 近頃の東京は逃げ隠れする場所がどんどん消えている。 *館サイト、 https://www.shukokan.org/exhibition/

■スーパークローン文化財展  ■日産アートアワード2020

□スーパークローン文化財展 ■制作:東京芸術大学ほか ■そごう美術館,2020.8.1-31 ■日本に近づいてくる展示順序がいいですね。 アフガニスタンから始まりウズベキスタン、タジキスタンそしてキジル、敦煌、高句麗、バガンと来ます。 日本に入って醍醐寺、法隆寺で終わりになる。 遥かシルクロードの旅をしてきた気分です。 おまけに「謎解きゴッホと文化財展」の予告もある。 クローンも制作直後の姿には遡れない。 起点として現時点の本物と同じ姿のクローンを造ると言うことです。 次に時間と空間をどこまで遡り再現するのか? このあたりがよく分からない。 文化財の多くは本物を見ることは不可能に近い。 素人からみるとクローンを本物にしてもまったく違和感がない。 制作中のビデオ映像、特に法隆寺釈迦三尊像再現工程、はクローン技術・技能の高さを教えてくれます。 ゴッホが4枚ほど展示されていたが「自画像」は感動しました。 もちろんクローンですが。 本物を並べられても分からないでしょう。 弱りましたね。 本物とは何か? *美術館、 https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/20/superclone2020/211001_superclone2020.pdf □日産アートアワード2020 ■作家:風間サチコ,三原聡一郎,土屋信子,和田永,潘逸舟 ■ニッサン.パビリオン,2020.8.1-9.22 ■そごう美術館を出て・・、日産グローバル本社内を通り、富士ゼロックスを横切ると日産パビリオンが見えてきます。 結構混んでいます。 この一角で美術展を開催しているが、ここだけはガラガラです。 地味だからでしょう。 5人の作品はどれも一癖あります。 配られた解説を読むと想像が膨らみます。 電化製品を楽器にして演奏する作品は楽しかった。 次にパビリオン内をみて回りました。 シアターではカーレースに参加したり大坂なおみとテニスができます。 新車「アリア」の試乗もできる。 車の未来のイメージを幾つかの空間に作っています。 美術展よりこちらの方が楽しかったですね。 帰りの本社ショールームで新車「キックス」にも触ってきました。 車は社会・経済への裾野が広いため革命的な飛躍ができない。 パビリオンも現在の車をそのまま生かした未来社会を描いている。 例え

■銀座線渋谷駅  ■宮下公園 MIYASHITA PARK

□銀座線渋谷駅 ■設計:メトロ開発,内藤廣建築設計事務所,東急設計,施工:東急.清水.鹿島共同企業体 ■銀座線渋谷駅の利用は仕事でも遊びでも少ない。 半蔵門線を選んでしまうからだ。 不要不急の銀座線だ。 「外苑前駅」に行くときぐらいだろう。 新しくなった渋谷駅に初めて降りた。 ・・鯨の背骨で覆われている。 ピノキオになった気分だ。 ホームは東地区中心に位置しているのがわかる。 明治通りの上に浮かんでいるからだ。 「 スクランブルスクエア 」との関係も通路を歩き回り身体的に解決した。 ハチ公へ行くには解体前の旧ホームを通っていく。 この周囲はやはり懐かしさがこびり付いている。 井の頭線だけが離れてしまった。 全ての工事が完了するまで西との行き来は混み合うはずだ。 *東急建設、 https://www.tokyu-cnst.co.jp/works/major/ginza.html □宮下公園 ■建築主:三井不動産,設計施工:竹中工務店 ■早速予約をして入る。 屋上の公園に行ったがもはや見る影もない。 スケートボードは半分以下になり、クライミングやビーチバレー場が出来ている。 公園ではなく、どこにでもある屋上庭園だろう。 見下ろすと「のんべい横丁」が身を縮め合っているのがみえる。 四面楚歌だ。 1階2階3階は商店・レストランになっている。 2階3階には通路は有るが、1階は歩道から店へ出入する構造だ。 壁はトタン、天井は剥き出しで、公園を意識しているのか内外の差を小さくしている。 地下は駐車駐輪場、北端にはホテルが連係している。 もはや隠れる場所がない。 地に根を下ろした<公園>を残していれば渋谷の風景はずっとリッチになったはずだ。 *MIYASHITA  PARK、 https://www.miyashita-park.tokyo/

■STARS展:現代美術のスターたちー日本から世界へ

□STARS展 ■作家:草間彌生,李禹煥,宮島達男,村上隆,奈良美智,杉本博司 ■森美術館,2020.4.23-9.6 ■広いスペースでゆっくり観ることができたわよ。 真夏を感じさせない。 作品も大きいし・・。 みたことのあるのも何度みてもいいわね。 「Sea of Time」(1998年?)のビデオ解説で宮島達男の顔を初めて知ったけど、どこかオジサン風だった。 その発光ダイオードが一人一人と繋がっているとは、やるわね。 同じように奈良美智の本棚の一冊一冊をみて彼が1950年代の生まれだと初めて知ったの。 やはりスターだから相応の年齢かな。 杉本博司「時間の庭のひとりごと」(2020年?)は「江之浦測候所」を背景に彼の言葉を綴っていくビデオ作品。 先週まで日経夕刊の連載を欠かさず読んでいたから身近に感じる。 舞踏家田中泯を登場させたのはモノゴトをみる眼が二人は近くなってきたからよ。 でも二人の作品は遠い。 そうそう、会場入口の村上隆「原発をみにいこう」(2020年)は事故現場とその周辺が気さくな日常にすっかり溶け込んでいたわね。 コロナの未来を描いたとも言える。 *館サイト、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/stars/index.html □音を消したチャイコフスキー交響曲第5番 ■作家:楊嘉輝サムソン.ヤン ■演者の楽器を動かす、息遣い、床の振動だけが聞こえてくる奇妙な感覚が楽しい。 楽器の音は消音させてある。 演奏者が作品をみれば何かを感じること大だとおもう。 *NAMコレクション012 *館サイト、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamcollection012/index.html □ムニーラ.アル.ソルフ映像特集 ■上映時刻が合わないので観なかった。 *NAMスクリーン013 *館サイト、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamscreen013/index.html □シオン ■韓国作家はキリスト教作品が多い。 ある意味不思議ね。 *NAMプロジェクト028 *館サイト、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamproject028/i

■ヨコハマトリエンナーレ2020

■横浜美術館,2020.7.17-10.11 ■日時指定のため11時半に入場しました。 でも半日では回り切れなかった。 映像作品が多いからです。 プロット48会場は諦めました。 勝手ながらテーマは原子力とみました。 記憶に残った4作品の為です。 ローザ・バルバ「地球に身を傾ける」の核廃棄物を埋めた敷地を上空から映した作品で原子力と人類は共存できないことを不気味な地形が教えてくれます。 キム・ユンチョル「クロマ」は素粒子まで分解し原子をなんとか無害にしている。 パク・チョンキン「遅れてきた菩薩」はネガ映像のため緊張感があります。 インド核実験や日本の原子力発電に仏教用語を多く使用しているのは何故なのか? ここに釈迦入滅を現代に再現する意味がある。 釈迦の弟子の一人は防護服にガイガーカウンターを身につけている。 火葬では釈迦の灰がまるで<黒い雨>のように降り注ぐ作品です。 作者作名は知りませんが「ビキニ環礁」の米国核実験の影響で島民はいまだ故郷に帰れない。 マーシャル諸島の海と空が何とも美しい。 ところでキャプションが独特ですね。 詩的過ぎて作品にストレートに近づけないのがもどかしい。 ディレクターはコロナのことは話していましたが・・、原子力もそうですが「作品を並び替え、境界を引き直し、泳ぎ回ること」ができる展示会は楽しい。 *館サイト、 https://www.yokohamatriennale.jp/2020/ *2020.8.9追記・・8月8日朝刊記事「核実験・原発事故 写真が伝える被害の実相」写真をみて横浜会場「ビキニ環礁」に映っていたドームが何であるのかが分かりました。 それは「ルニット・ドーム」です。 ルニット島で放射性物質を投棄しコンクリートで固めたものだが、劣化が激しく2019年5月に高レベル放射能に汚染された貝が見つかったようです。

■メルセデス・ベンツ、アート・スコープ2018-2020

■作家:久門剛史,ハリス.エパミノンダ,小泉明郎 ■原美術館,2020.7.23-9.6 ■日独アート交流招聘作家3名の展示会。 コロナで窓を開けているので蝉の声の中を観て回るようになる。 作品数は5点前後で控えめな感じがする。 どこに作品があるのか迷う室もある。 館と周囲と作品が混ざり合った展示だ。 気に入ったのは久門剛史の「Resume」。 部屋中にキャンバスを裏返して壁に立て掛けている作品だが絵具の色が白壁に微かに映っている。 開店休業のギャラリーのようだ。 気を吐いているのが小泉明郎だ。 「抗夢」はサーチライトを回しながら忙しい台詞で追い立ててくる。 しかし館全体は湿りのある梅雨空に囲まれて何とも言えないゆっくりとした時間が流れていた。 *館サイト、 http://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/exhibition/741/