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5月, 2011の投稿を表示しています

■五十嵐淳展-状態の構築-

■TOTOギャラリー・間、2011.5.13-7.9 ■ http://www.toto.co.jp/gallerma/ex110408/index.htm ■北海道の住宅は風除室の採用や雪や凍土対策が必要です。 このため矩形にして木材を多用する。 半透明の合成樹脂の採用や入れ子設計で状態を制御する。 状態の構築とは光・温湿度・コストを意識して心地良い居場所を作ることだと受け取りました。 過酷な自然との距離がユックリと近づいて来るようで住む人の心が落ち着く作品です。 しかし「北海道」から離れると疑問です。 劇場コンペ案をみるとひらめきは良いのですが素材や特定の動きに目を囚われて深さと広がりが見られません。 カタログを見ると「家族四人のための・・」「母と娘のための・・」・・住宅が並びます。 ここまで家族構成を意識する理由がわかりません。 「一人になれる居場所・・」などは犬小屋を地面に埋めたような作品で理解できません。 個別・特殊過ぎます。 北海道の自然が厳し過ぎて「心地良い状態」が狭められてしまった感があります。 次回は個別から普遍をテーマに開催しましょう。

■表象とかたち-伊藤憙朔(きさく)と昭和の舞台美術-

■早稲田大学演劇博物館、2011.5.13-6.19 ■ http://www.waseda.jp/enpaku/special/2011/itou_kisaku_omote.jpg ■副題は「伊藤憙朔(きさく)と昭和の舞台美術」。 水彩画のように淡白で写実的な絵が多いわ。 浮世絵を崩してそこに西洋近代のリアリズムを盛り込んだ感じね。 まさしく「歌うな、語れ。 踊るな、動け」の舞台に都合の良い絵よ。 「夜明け前」(1934年)や「女の一生」(1954年)の原画を見ていると、役者の動きや物語の邪魔をしていないというのがわかるの。 そして観客は舞台美術を意識の背景、つまり無意識として鑑賞できる。 そんな絵ね。 その時もちろん意識は物語で一杯よ。 この舞台美術からどのような芝居かを想像できるけど、場内ビデオはイェイツの「鷹の井戸」しか上映していなかった。 想像が正解か否か幾つかの芝居のビデオを数分でいいから上映して欲しかった。 ところで溝口健二の大好きな「山椒大夫」の映画美術を担当していたとは知らなかったわ。 あのうるさい監督の下で働いていたとは憙朔は芸術家と言うより職人ね。

■プラハ1968

■東京都写真美術館、2011.5.14-7.18 ■ http://syabi.com/upload/3/1353/2011_05.pdf ■すべてから切り離された写真にみえました。 登場するプラハの市民、子供や老婆の顔もワルシャワ条約機構軍兵士も既に遠い歴史の一場面のようです。 1968年プラハの臨場感ある写真ですが何かが欠けています。 プラハ市民の冷静な行動が写真に影響しているから? ジョセフ・クーデルカの力量に問題があるから? それとも共産主義に失望して20世紀が終わったから? 会場出口に当時のポスターが数十枚貼ってありました。 「レーニンよ目を覚ませ」、「1945、1968」・・。 ポスターのほうが生き生きしていて歴史の連続性やプラハ市民の動きがみえました。 

■国宝燕子花図屏風

■根津美術館、2011.4.16-5.15 ■ http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/past2011_n03.html ■最初の10秒は、素晴らしい! 次の10秒は、金地との調和は最高! 次の10秒は、青と緑は言うこと無し 次の10秒は、・・・ 次の10秒は、青が濃過ぎる感じだ もっと明るい紫がいいんじゃないかな 次の10秒は、花が少し膨らみ過ぎる感じだ もっと角ばった切れのあるほうがいいんじゃないかな 次の10秒は、春だと言うのに重たい感じだな 次の10秒は、伊勢物語は関係無にみえるが・・・ 次の10秒は、光琳はあまり考えていないな 次の10秒は、まっ国宝だからな 次の10秒は、そろそろ飽きたな

■川端実展

■横須賀美術館、2011.4.23-7.3 ■ http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/kikaku/942.html ■マチスを角ばらせて厚塗りにしたような戦後の絵はとてもいいわ。 眼の動きの軌跡を描いたような「リズム」も悪くないけど・・、1970年代の作品は停滞気味ね。 20世紀後半の抽象画の潮流に翻弄されてたようにみえる。 でも1990年代に入ると再び落ち着きがでてきたようね。 いい作品があるわ。 日本画では80歳代の作品は見られたものではないけど、このような抽象画は歳を隠せることができるのかしら。 この美術館は芝生の庭が広いから海を両手で受け入れているような感じがするの。 川端実の絵は海と緑に囲まれた建物によく似合う。 中央正面入口にレストランがあるのも面白い。 川端実展特別メニユーを食べてきたわ。

■アンフォルメルとは何か?

■ブリジストン美術館、2011.4.29-7.6 ■ http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/ ■アンフォルメルとは何か? アンフォルメルは主義・流派ではない、と解説にあったようにナイものを論ずるのは難しいですね。 大戦の傷跡が残っているパリにいた抽象画家の作品がこの対象だと勝手に解釈しながら観ました。 J・フォートリエの不安が漂っている中間色に題名の重たさがスーパポーズしている絵画、菅井汲や堂本尚郎の若い頃の作品が記憶に残りました。 テーマに「?」がつくと観た後もしっくりきません。 この時は、アンフォルメルをなぜ議論するのか?なぜ質問するのか?を美術館はまずはまとめておいてほしいところです。 「テーマ名+?」は大事な所がすべてが先延ばしになってしまうようにみえます。

■驚くべき学びの世界展

■ワタリウム美術館、2011.4.23-7・31 ■ http://www.watarium.co.jp/exhibition/index.html ■イタリアで生まれた乳幼児教育の実践方法がテーマらしい。 会場に入ると壁一面に模造紙が貼られていて高校の文化祭のようだ。 しかも途中で途切れていたり、紙がまるまっていて読む気にならない酷い展示だ。 全体を把握するには場内の数十本のビデオをすべて見ること、そして350頁のカタログを読むことが必要だと感じた。 この館はパスポート制チケットを採用しているて何度も入場できるからいいが大変な労力を伴う。 ところで教育には門外漢なので何故に「驚くべき学びの世界」なのかわからない。 「驚かない学び」の実例比較を掲げて欲しい。 このようなテーマを美術館でおこなうのは吝かではないが場内構成をもっとわかり易いようにしてくれ。