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1月, 2017の投稿を表示しています

■デヴィッド・ボウイ・イズ

■天王洲・寺田倉庫G1ビル,2017.1.8-4.9 ■日時指定チケットの為か会場は空いていてゆっくり回ることができた。 デヴィッド・ボウイの全体像を略2時間で観終わるようになっているの。 キャプションの文字数を含め計算された展示量だわ。 実はボウイの全体像が今まで見えていなかった。 現れては消えまた現れる・・。 カメレオンマンと言われるだけに追うのがしんどい。 彼の土台は舞踊家リンゼイ・ケンプと映画監督スタンリ・キューブリックの影響が大きいのかな? グラム・ロック表現の化粧・表情・動作はケンプから、グラム精神や宇宙志向はキューブリックからよ。 でもキューブリックの暴力的異常性はケンプが融和してしまった。 そして自身がシャーマンになり宇宙へ向かう。 性が有耶無耶になる宇宙では男でも女でもないボウイに変身していく。 1997年に下りベルリンで一皮むけたようね。 地球に戻ってきた感じかしら。 それでもボウイは宇宙人にみえる。 先日ドキュメンタリー映画「デヴィッド・ボウイ・イズ」(下記)を観たんだけど、彼のファンがこの展示会を観て「懐かしい、当時の思いでが連なる・・」と言っているの。 ボウイはローカル(母語内でしか見えない物事)な英国精神を多く持っているのかしら? これが宇宙志向と結びついているから遠い日本では分かり難い。 会場で山本寛斎や坂本龍一、北野武のインタビューを映していたけど彼らもボウイを捉えていないようにみえた。 「・・実に容易く自分を見失い、そして自分を発見できる」性格を持っていることにもある。 ボウイが影響を受けた芸術家周期表が貼ってあったけど多彩な顔ぶれで楽しい。 その隣にマイケル・クラークのダンス映像があるし、場内にはアンディ・ウォホールの「チェルシー・ガールズ」の資料もあったのが嬉しい。 そして丸みを帯びた自筆の詩と衣装の展示は言うことなし。 ボウイは最後まで宇宙人を演じ切ったと思うの。 これが最高よ! *FASHION PRESSサイト、 https://www.fashion-press.net/news/21016 ■デヴィッド・ボウイ・イズ ■監督:H・ハミルトン,出演:D・ボウイ,山本寛斎 ■恵比寿ガーデンシネマ,2017.1.21- ■本展覧会キューレータがヴィクトリア&アルバート博物館で行った宣

■日本画の教科書、京都編-栖鳳、松園から竹喬、平八郎へ-

■山種美術館,2016.12.10-17.2.5 ■1880年京都府画学校開校、1909年京都市立絵画専門学校創設が京都編一番の事件でしょう。 流派ごとの師弟制度から学校教育による変革です。 1911年第一回卒業写真が展示されていました。 数えたら22名。 学生服姿が4人いましたが名前をみても誰が先生で誰が生徒か見分けがつかない。 今からみると有名画家ばかりですから。 見慣れた作品群を前にすると季節や体調などで好みの絵が毎回違ってきます。 会場に入ると先ずは「班猫」、この猫は滑りのような肌触りが伝わってきて可愛くない。 このあとにミミズクやアヒル、シロクマなど登場しますが逆に愛嬌がありますね。 山口華陽の牛をみてもホッとする。 京都編の動物は微妙に擬人化されている。 逆に上村松篁の鳥は、ここが気に入っているのですがロボットにみえます。 母松園を引き継がなかったのもなかなかです。 そして小野竹喬の「冬樹」が外の風景に同期していて今日は特に気に入りました。 *館サイト、 http://www.yamatane-museum.jp/exh/2016/nihonga.html

■吉岡徳仁スペクトル  ■太陽の宮殿ヴィルサイユの光と影、カール・ラガーフェルド写真展

■吉岡徳仁スペクトル ■資生堂ギャラリ,2017.1.13-3.26 ■銀座へ行ったついでに寄ってきた。 会場はスモッグがかかりプリズムで分光された光が朝もやから射しているみたい。 北国での朝を迎えた感じね。 今日も寒い。 この作品はいろいろな場所で応用ができるとおもう。 でも舞台背景が必要だわ。 今回はスモッグを併用していたから作品としてみることができた。 プリズムの自然な色は安らぐわね。 *館サイト、 http://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/index.html ■太陽の宮殿ヴェルサイユの光と影,カール・ラガーフェルド写真展 ■シャネル・ネクサス・ホール,2017.1.18-2.26 ■「 マリーアントワネット展 」に合わせて開催したのね。 ラガーフェルドはシャネルの人だしタイミングがいい。 モノクロの為か建物に歴史が堆積している。 でもマリーアントワネットが生活していたようには見えない。 ドイツとフランスのすれ違いかもね。 材料や展示方法に工夫があって彼の写真への接し方がわかる。 *館サイト、 http://www.chanel-ginza.com/nexushall/2017/versailles/

■堀部安嗣展、建築の居場所

■ギャラリー間,2017.1.20-3.19 ■経済学者松原隆一郎の書庫を雑誌でみたことがあるが堀部安嗣の設計だと今知った。 堀部の建築からは「立ち去りがたい思いが湧きでる」とあったがその通り。 会場の写真や映像をみてもそれが窺える。 自然と人の間に建つモノとしての連続性が感じられるからだと思う。 堀部はそれを鼓動として捉え住む者の記憶に共振するのだ。 家具などを置いていくと調和が乱れることが多いが彼の建物では逆に豊かになっていく。 天井が高ければ良いと言うことでもない。 堀部は依頼人を深く尋ねて鼓動を作り出す。 これが共振して住む者の心身に平静をもたらす。 会場2階の「堀部安嗣、建築の鼓動」(映像30分)は1階展示物のまとめになる。 *館サイト、 http://www.toto.co.jp/gallerma/ex170120/index.htm

■endless山田正亮の絵画  ■瑛九1935-1937、闇の中で「レアル」をさがす

■東京国立近代美術館,2016.12.6-17.2.12 ■endless山田正亮の絵画 ■5千点を50年で計算したら4日に1点作成していることになる。 あのピカソには敵わないが凄い数です。 一つ一つの高質も想像できる。 「描き続けることが絵画との契約である」からでしょう。 最初の静物画で目が釘付けになります。 セザンヌをブラック風に描いたようで、しかも力強い。 そして画中の対象物が徐々に増えていき最後は分解していく。 「解体は始まったばかりだ」。 でも長方形に飛躍するのは謎です。 次のストライプも同じです。 「完成させないことだ、というより完成は過程なのだ」。 ストライプはエンドレスにみえます。 そしてグリッドの時代へ。 最後にグリッドも破裂解体していく。 WORK-Fをみて生物の進化を考えてしまった。 静物画が分解し方形細胞になりそれがストライプDNAになり、DNAから新しいグリッド細胞が発生し、再び破裂し別の何者かかになる・・。 WORK-Fの作品は全て気に入りました。 *館サイト、 http://www.momat.go.jp/am/exhibition/yamadamasaaki/ ■瑛九1935-1937,闇の中で「レアル」をさがす ■デビュー作「眠りの理由」は作品の前で立ち止まらせるだけの力が有ります。 しかし一枚一枚をみていると物語が漂い出す。 「レアル」を探したいのですがこの物語が邪魔をする。 彼の作品はレアルの周囲を揺れ動いている。 大戦前の不穏な空気が充満しているからでしょうか? *館サイト、 http://www.momat.go.jp/am/exhibition/ei-q/

■クインテットⅢ、五つ星の作家たち

■損保ジャパン日本興亜美術館,2017.1.14-2.19 ■テーマは「自然」で画家5人の60作品が展示されている。 画風が皆違うから飽きない。 堀田樹子の混ざり合った色彩は日本の自然の複雑さを感じさせる。 気に入った作品は「森の午後」と「深呼吸」。 逆に橋本トモコは油彩浮世絵のような感じで抽象美を楽しめる。 その中で「ツバキ赤く」が一番である。 木村佳代子は自然を宇宙にまで広げている。 画中に幾何学的な模様があるのでどこかカルト的だ。 自然の神秘を描きたいのかもしれない。 好みの作品が二点あったが題名を忘れてしまった。 白モクレン二花と桃色蓮だったとおもう。 川城夏未は蜜蝋の使用を強調している。 シットリとした赤で統一しているが素人が見ても蜜蝋の効果が分からない。 横溝美由紀は細い線でグリッドを描いている。 糸などを利用しているらしい。 でも自然との関係がよく見えない。 とりあえず5人の自然の切り口の違いを素直に楽しめれば良しとしよう。 *館サイト、 http://www.sjnk-museum.org/program/current

■DOMANI・明日展

■国立新美術館,2016.12.10-17.2.5 ■海外研修に参加した若手芸術家13名の作品展です。 分野が散らばっているので何が出るか次の室に入る時はドキドキしますね。 この中で池内晶子や松井えり菜の作品は観たことがある。 映像系が記憶に残りました。 南隆雄「Medi」、平川祐樹「fallen Candles」、折笠良のアニメ「水準原点」「ペンタゴン」などをです。 「Medi」や「fallen Candles」は動きが遅いので絵画の延長にみえる。 折笠良は言語を取り込んだ作品が多い。 他ジャンルへ越境していくような作品は強いのかもしれない。 同時に内向きの作品も多いようにも見受けられた。 1980年前後に生まれた作家が多いので今やパワー全開の時期です。 でも研修先の広がりや多種多様な材料の使用で個人差が大きく出ていますね。 *館サイト、 http://www.nact.jp/exhibition_special/2016/19thdomani/

■グレート・ミュージアム、ハプスブルク家からの招待状  ■黄金のアデーレ、名画の帰還

■グレート・ミュージアム,ハプスブルク家からの招待状  ■監督:J・ホルツハウゼン ■川崎市アートセンタ,2017.1.4-20 ■ウィーン美術史美術館の改修工事を撮ったドキュメンタリーです。 美術館の記録映画はどこも似てきますね。 館長と財務や企画などの事務職員、学芸員や修復家など専門職員たちの仕事に集約していく。 台詞まで他美術館と同じです。 そこに目玉の作品群が写し出される。 ここでは「バベルの塔」のブリューゲルでしょう。 でもハプスブルク家収集美術館の為、この家との関係を描き出すのに苦労しているのが分かります。 例えば名前に「帝国」の文字を付加するとかです。 チラシに「ルーヴルやメトロポリタンはデパートだがここは専門店・・」とあったが馬車や武器の館長も登場するので頷けます。 美術館をどう変えていくのか? 専門店としての長短が鍵になりそうですね。 *「 風景画の誕生,ウィーン美術史美術館所蔵 」(Bunkamura,2015年) *館サイト、 http://thegreatmuseum.jp/ ■黄金のアデーレ,名画の帰還 ■監督:S・カーティス,出演:H・ミレン ■DVDで観ました。 G・クリムト「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」をオーストリアから米国に移り住んだ相続人に所有権を移す裁判物語です。 「グレート・ミュージアム」が表ならこれはオーストリア美術界の裏の話になります。 *作品サイト、 http://golden.gaga.ne.jp/

■小田野直武と秋田蘭画、世界に挑んだ7年

■サントリー美術館,2016.11.16-17.1.9 ■秋田出身である義理の伯父の酒の肴はいつもハタハタ(鰰)だったことを覚えている。 当時は美味いとは思わなかったが酒を吞むようになってその旨さが分かった。 今はいない秋田弁の伯父と鰰の味を思い出しながら会場を歩いた。 美術系教科書には必ず小田野直武の1枚が載っている。 「不忍池図」である。 別物のような花と風景が不思議な一体感を成しているので一度みると忘れられない。 南蘋派や蘭学・博物学の影響と混ざり合った秋田蘭画の絵師たちを初めて知ることが出来て嬉しい。 秋田藩佐竹署山だけではなく熊本藩細川重賢、高松藩松平頼恭のなどの博物大名ネットワーク図も想像力を掻き立てる。 その後の司馬江漢から平福百穂の紹介など秋田蘭画全体を一望できる展示であった。 今年の初観としては申し分ない。 *館サイト、 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_5/index.html

■マリー・アントワネット、美術品が語るフランス王妃の真実

■森アーツセンターギャラリ,2016.10.25-17.2.26 ■ヴェルサイユ宮殿所蔵のコレクションはお見事。 それにしても若い女性で場内は大変な熱気ね。 前半は肖像画のオンパレード。 当時は兄弟が多いから名前を覚えるのも大変ね。 15番目の子アントワネットは極めて普通な女の子だった。 そして14才でフランス王太子に嫁ぐ。 勉強嫌いでパリのファッションに目覚めるのは当たり前かも。 乗馬も得意だったみたい。 故郷に居る母はハラハラね。 次には家具や食器類。 宮殿内の浴室、図書室、居間の再現は素晴らしい。 彼女の審美眼は確かだわ。 でもどういう食事をしていたかは分からない。 息抜きができる離宮トリアノンの存在は初めて知ったの。 後半は動乱の革命へ、そして牢獄から死刑台へ。 ここも歴史や政治は抜きで彼女の動向を中心に展開している。 最後までアントワネットに寄り添っていた内容だった。 遺品を通して彼女の真実が見えてくる展示会だったわ。 *展示会サイト、 http://www.ntv.co.jp/marie/