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■石元泰博写真展、生命体としての都市  ■琉球弧の写真  ■写真新世紀

■東京都写真美術館,2020.9.29-11.23 □石元泰博写真展 ■・・ということで、オペラシティーからの続きです*1。 ここ恵比寿ではシカゴ、東京そして桂離宮と続く。 前館と重なっていますね。 「シカゴ」初めの「雪と車」をみると粒子が細かい。 繊細に感じます。 これで全体がシットリしている。 次の「東京」はゴチャゴチャしていて楽しい。 副題「生命体としての都市」の意図がみえる。 建物自体から街角や駅の人混みを選んでいる。 でも東京は撮り難いと作家は言っていますが。 桂離宮はやはり平凡に感じる。 驚きは次章「多重露光」です。 「色とかたち」は目が喜びました。 モホリ=ナジ賞受賞の理由が分かりますね。 終章の「シブヤ、シブヤ」はファインダーを覗かない方法を取っています。 オペラシティーで得た判断はイイ線いってますね。 <白黒の人物画、非人物画はカラー>が作者の一番です。 この館では「多重露光」をカラーに追加します。 *1、「 石元泰博写真展,伝統と近代 」(東京オペラシティアートギャラリー) *生誕100年展 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3836.html □琉球弧の写真 ■作家:山田實,比嘉康雄,平良孝七,伊志嶺隆,平敷兼七,比嘉豊光,石川真生 ■1960年代から70年代の作品が多い。 この時期は濃い政治の時代ですが、特に沖縄は政治から離れた時期を知らない。 しかし7人の作家をまとめると島の生活まで含めての琉球が立ち現れてくる。 期間は20年ですが。 全体をみると雑念とした感じがします。 それが生活というものでしょう。 緊張感は有りますが、ある意味ホッとします。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3838.html □写真新世紀 ■作家:金田剛,後藤理一郎,セルゲイ.バカノフ,立川清志楼,樋口誠也,宮本博史,吉村泰英ほか ■「自由で独創的な写真表現を応援」する新人写真家の支援を目的とした展示会です。 写真の他には映像(含む音響)が多い。 それは実験映画を観ているようですね。 レイアウト等を凝らして展示空間全体を一つの作品としてみることができる。 写真芸術から飛び出ようとしています。 今回の3展示で一番面

■東京好奇心  ■寺山修司の言葉

■Bunkamura.ザミュージアム,2020.10.20-11.12 □東京好奇心 ■近頃は写真展が多いわね。 コロナ禍、絵画と比べて開催が容易だからかな? これも当初、写真展とは知らなかった。 タイトルが東京好奇心、しかも100人作家展よ。 古い写真家も多そう。 100人を追っていくと知っている作家は10人台しかいない。 でも会場を歩くと多くの作品に出会っていることが分かる。 それでも2割程度かな? 作品に時間幅があるので最新の東京とは言えない。 それにしても100人200枚は目まぐるしい。 東京の断片しかみえない。 そこに好奇心が芽生えれば良いかもね。 それが東京時空を超えられれば最高! *館サイト、 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_curiosity/ □イラストレーターが挑む寺山修司の言葉 ■寺山修司記念館に行ったことが無いの。 青森は青山へ行くのとは訳が違う。 展示をみて決心したの。 来年こそ青森へ。 *寺山修司記念館特別企画展in Tokyo *館サイト、 https://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/box_201016terayama.html

■守山友一朗展  ■石元泰博写真展、伝統と近代

■東京オペラシティアートギャラリー,2020.10.10-12.20 □守山友一朗展 ■入館して二階の若手作家展へ誘導されるのは初めてです。 ・・ぉぉっ、これは明るい。 水面が動き光っているからでしょう。 テーブルの小物を観ていると心がウキウキしてきますね。 水彩のようですが質感が油彩です。 初台へ来た甲斐があった!と頷いてしまう内容でした。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh235.php □石元泰博写真展 ■この写真展は高知美術館、写真美術館と連携しているらしい。 3館共同開催を会場で知りました。 作者については何枚かの記憶は有る。 もちろんまとめて観るのは初めてです。 彼は農業を学ぶため米国へ渡米、日系強制収容所で写真に興味を持ち、シカゴのニューバウハウスで写真を学んだ興味ある経歴を持っている。 自ずとシカゴと東京の作品が多い。 初期は高層建築など被写体の多くがバウハウスを感じさせるような手法で取っている。 しかし思ったより緊張感が無い。 これは4章「桂離宮」でも言えます。 3章「東京1」でヌードが数枚ありましたが気に入りました。 人物画はどこか面白味があります。 9章「ポートレート」も同じですね。 「唐十郎と李礼仙」は初めてで、「土方巽」のオートバイは見覚えがある。 そして12章「両界曼荼羅」は素晴らしい。 これだけ拡大すると壮観ですね。 次の13章「歴史への遡行」の仏像はカラーに味があります。 ・・。 まとめると、白黒なら人物画、非人物画ではカラーでしょう。 再確認のために写真美術館へ行くしかない。 高知はちょっと遠いですね。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh234/

■後藤克芳、ニューヨークだより

■渋谷区立松濤美術館,2020.10.3-11.23 ■絵画と言うより彫刻に近い。 スーパーリアリズムに属するが、これは日本工芸の延長でしょう。 丁寧に造られている。 工芸の精神が感じられます。 もちろん素材やテーマは違いますが、それは木材とアクリルのみで、濃くのある作品が多く、しかも味があります。 作品の前では一つ一つジックリ見てしまった。 作品名一文字の「A(アティーチョーク)」「E(茄子)」が気に入りました。 Aの立体感、Eの色艶・・、飽きないですね。 続いて「YOKO」の赤い唇の形、「UNTITLED」でキース・ヘリングの鍵の輝き、・・などなど切が無い。 ところで焼焦げたハートが数点あったが作家の失恋が長引いたのでしょうか? 後藤は1964年に渡米しています。 現地では荒川修作や篠原有司男たちと交流があったようです。 活気に満ちた時代をニューヨークで活躍したのは御見事!、羨ましい限りです。 *館サイト、 https://shoto-museum.jp/exhibitions/189goto/

■分離派建築会100年展、建築は芸術か?

■パナソニック汐留美術館,2020.10.10-12.15 ■建築圏から分離を宣言した分離派が先ずは彫刻に次に田園そして家具に向かったことを知った。 ・・民芸の影響を強く受けていたようにみえる。 生活に係わる民芸と比すれば「建築は芸術か?」の答えも見つけ易かったのだろう。 粘土をネリネリして造ったような1920年代の建築物模型をみていると母体に包まれた感触がやって来る。 このような住居に住んでみたいと思う。 関東大震災で公共建築を手がけたのは時の都合だが、これは民芸圏からの再分離と言える。 初めての公共で苦労しているのがわかる。 それは社会性を持たせるために芸術を抑える必要があったからだと思う。 それでも永代橋や聖橋、電信局や新聞社などの曲線は記憶に残る。 「我々は起つ!」「建築は芸術か?」。 大袈裟にもみえる言葉の終章はモダニズムの波に飲み込まれて離散したとある。 しかし材料や構造革命を経た現在からみると時代は一回りした感がある。 再々分離をして粘土をクネクネさせたような建築を又みたいものだ。 ところで文章で埋まりそうな会場構成だった。 この為か観終わったときには文字で腹一杯になってしまい具体展示物が思い出せなかった。 たしか椅子や机が置いてあったことは覚えているが・・。  *館サイト、 https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/201010/index.html

■トランスレーションズ展

■ディレクター:ドミニク・チェン ■2121デザインサイト,2020.10.16-2021.3.7 ■・・翻訳展? ヒトは勿論、動物や植物まで対象を広げ「関係の橋渡し」としてのトランスレーターを紹介している展示会のようね。 先ずは、聴覚や視覚障がい、あるいは失読症等々の人が世界とコミュニケーションを取る手助けをする変換器が並べられている。 例えば蝉の鳴き声を振動に置換し聴覚障がい者に蝉時雨を現実世界で体験してもらうとか・・。 ヒトと動物や植物では、例えば鮫が好みの科学物質を介入させ鮫と対話する、発酵食品の微生物にセンサーを取り付け発酵状況を知る、植物の気功の開閉を読唇術や人工知能を用いて植物の言葉を読み取る。 等々・・。 しかし似たようなものはどこかで見聞きしていた記憶があるわね。 トランスレーション研究は爆発的に広がっているからよく出会うのよ。 面白かったのは「見えないスポーツ図鑑」。 アスリートの体感を追体験できるの。 例えばフェンシングは剣の代わりに文字の形をした破片で、柔道では柔道着の替わりに手拭を、野球のバッターは紐の動きで球を打つ追体験する。 ・・うーん、上手く言えないから会場で見て頂戴。 コミュニケーション手段としてのトランスレータをどう考えどう作るか?に絞った展示だったが、ヒトの複雑な気持ちを表現する「モヤモヤルーム」をみても、その先にあるコミュニケーションに行き着くには時間がかかりそう。 *館サイト、 http://www.2121designsight.jp/program/translations/