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■古典X現代2020、時空を超える日本のアート

■作家:川内倫子,鴻池朋子,しりあがり寿,菅木志雄,棚田康司,田根剛,皆川明,横尾忠則 ■国立新美術館,2020.6.24-8.24 ■「新旧アートくらべて魅せる」。 「比べる」とは「繋がり」を意識することですね。 先ずは仙厓X菅木志雄です。 仙厓は仏教的な円ですが、菅は人類史のようなゴツゴツした時間の流れを円に感じます。 石という物質がそうさせる。 花鳥画X川内倫子は写真の新鮮な生命の前に花鳥がくすんでしまった。 表裏の違いだと思います。 花鳥画は裏に生命を潜ましている。 円空X棚田康司。 彫像と目を合わせ無言の対話をすることができる。 棚田の等身大に近い像はこの対話が特に楽しい。 作品の前に長く居続けても飽きません。 刀剣X鴻池朋子は激しい。 天井で動物の皮を切り裂いている。 刃先をみると睾丸が縮みます。 同時に背筋がゾッとします。 日本刀で切られたら痛みを感じないでしょう。 痛みを超えた鋭さを持っているからです。 仏像X田根剛は旧=仏像だけで新が展示されていない。 光から現れる、そして光へ消えていく仏像を見ていると無の境地に入れます。 北斎Xしりあがり寿は楽しいですね。 でも漫画に近いと見慣れた作品になってしまう。 漫画は不利にみえます。 乾山X皆川明は思考の跡がみえます。 乾山と皆川明は似た者同士だからでしょう。 天井から吊るした作品などに苦心が見られます。 蕭白X横尾忠則も似た者同士ですがどちらも我が道を行くという感じですね。 ハハハハ。 横尾の笑い声が聞こえてきました。 *館サイト、 https://kotengendai.exhibit.jp/index.html

■JR横浜タワー  ■春の院展

□JR横浜タワー  ■建築主.設計:東日本旅客鉄道(株),施工:竹中工務店 ■開業,2020.5 ■6月に開業したJR横浜タワーを散策する。 低層部は旧横浜ステーションビルを改装し、その上に高層部オフィスを新たに加えたような建物になっている。 低層部にはJRビル「 新宿ミライナタワー 」と同じ「NEWoMan」が入居している。 「CIAL」と映画館「T・ジョイ」も一角を占めている。 敷地面積が十分な為かゆったりして気持ちの良いフロアだ。 このためエスカレータの配置も人の動きに合わせるように巧く分散されている。 アトリウムは「クインズスクウエア」に似て空間を意識させる。 レストラン街も壁を少なくして広場型を採用している。 緑が多いのも特長だ。 余裕の無い新宿タワーとは違う。 店舗通路の床タイルや壁紙の一部デザインが中東イスラム系のような柄を使っているのは珍しい。 屋上庭園に登ると「ベイクォーター」と「そごう」の間から横浜ベイブリッジが近くに、東には東京タワーやスカイツリーが微かに見える。 裏にまわると西口広場に「シュラトンホテル」がドカンと建っている。 高層部のオフィスは26階しかない。 高層にしては低い。 12,13階にはサービスオフィスが入っている。 2階からJR横浜鶴屋町ビルへ通路がのびている。 同時開業したビルだがホテルと駐車場になっている。 途中の通路は結構長い。 「日本のサグラダファミリア」横浜駅の工事もやっと終わったようだ。 *出店ウォッチ, https://shutten-watch.com/kantou/3458 *追記・・店内デザインは田根剛の作だと後から知った。 *「ブログ検索」に入れる語句は、田根剛 □春の院展 ■そごう美術館,2020.7.17-26 ■ついでに寄る。 今回は200点近くもあり量的見応えがあった。 これだけあると似たような作品が多い。 日本美術院内での流行があるのかもしれない。 *第75回展 *館サイト、 https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/20/75-spring-inten/

■和巧絶佳、令和時代の超工芸

■パナソニック汐留美術館,2020.7.18-9.22 ■工芸作家12人の展示会、でも知っている名前はいない。 会場入口の「Heel-less Shoes」を見て、あっ、この作品が舘鼻則孝だったのね・・、という流れなの。 何度かみているが作家名を覚えていない。 工芸系展示会に足を運ぶのが少ないかな?・・反省! しかも初めてらしき作家もいる。 安達大悟、佐合道子、新里明士、橋本千毅、山本茜。  使っている技法は、梅華皮、蒔絵、高蒔絵、九谷焼、赤絵細描、漆工、螺鈿、象嵌、截金、融着、研磨、金彩、鋳造、キャスト、鍛金、スランプ、彫漆、板締絞。 フロッタージュやイッチンも登場する。 工芸教科書を開く必要もありそう、「和巧絶佳」を堪能するにはね。 12人は1970年以降生まれの作家だから一番脂が乗っている時期かな。 現在の工芸状況を知るにもいいわね。 要単眼鏡。 *館サイト、 https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/200718/index.html *追記・・ブログのレイアウトを変更したけどどうかしら? Blogger提供の出来合い部品を使って組み立てたが微調整に時間がかかってしまった。 PCとスマホの連携が悪いわね。 まっ、これでよしとしましょ。 広告は入れないことにする。 匿名で運用しているからよ。

■開校100年 きたれ、バウハウスー造形教育の基礎ー

■東京ステーションギャラリー,2020.7.17-9.6 ■学校教育を切り口にしたバウハウス展は珍しい。 カリュキュラム図にはBAU=建築が中心に描かれています。 「・・造形活動の最終目標は建築である!」と。 会場では建築に行く迄の造形作品が並べられている。 例えば家具や食器など建築内部で使うモノたちです。 そして終章近くで建築作品が登場する。 会場構成が「建築の下に統合する・・」体系に沿っています。 でも説明がなければ建築が他分野と並列関係にあると見えてしまう。 7人の教師と専門科目の紹介で教育内容がある程度わかります。 7人とはイッテン、ホモイ=ナジ、アルバース、クレー、カンディンスキー、シュレンマー、シュミット。 科目は家具、彫刻、織物、壁画、印刷・広告、版画、陶器、金属、舞台、建築の10科目(工房)。 徒弟やマイスター制度の影響が強く感じられる。 これ以上に「実験精神に満ち溢れ」た生徒の身体を活かす実践教育が重要だったことが分かります。 途中「三つ組のバレエ」(オスカー・シュレンマー作、1922年初演)を上映していました。 色と形の饗宴ですね。 ダンサーのシンプルでリズミカルな動きも飽きがこない。 「道化、祝祭、神秘」三部構成の30分を楽しく観てしまいました。 そしてバウハウスの建築群はいつ見てもスカっとした直線が気持ちいい。 今でも衰えていないこの感覚は自然とは違った人間味を持つ幾何学的崇高さを感じますね。 そして6人の「バウハウスの日本人学生」の記録で会場は終わる。 美術学校の学園祭へ行ってきたような後味も残りました。 *館サイト、 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202006_bauhaus.html

■ドレス・コード?  ■糸川ゆりえ

■東京オペラシティアートギャラリー,2020.7.4-8.30 □ドレス.コード? ■ドレス・コードは服装規定と訳し、フォーマルからスマートカジュアル迄の7種類に分類されている。 でも、この展示会ではドレス・コードを再構築して新たなゲームをしようとしているの。 コードが強くなればなるほどゲームに近づくからよ。 ファッションはゲームなのね。 会場では13の新コードを疑問文にして観客に答えを委ねている。 質問のヒントとして現コードを揺さぶる作家やデザイナーの作品が展示されている。 と言うような展示構成かしら? 新コードは部品や素材を含め旧コードとの交通が激しい。 摩擦もある。 「組織のルールを守らなければいけない?」ではスーツや学生服から逃れられないし、「働かざる者、着るべからず」は労働着のジーンズは今も現役、「教養は身につけなければならない?」では有名画家をコピープリント!、「生き残りをかけて闘わなければならない?」は軍服の素材を再利用している。  留まったのは「他人の眼を気にしなければならない?」の「フォト・ノート」(ハンス・エイケルブーム)かな。 街ゆく人々を隠しカメラで、ヤンキーズの帽子を被っている人々、ストーンズのベロ・マークシャツを着ている人々、などなどを撮っていく。 そして同じキーを持つ人々を12枚=12人づつにまとめ展示しているの。 一人一人の全身まで眺めてしまったわ。 新コードが造られていく現場を見ることができるからよ。 「誰もがファッショナブルである」、これは笑っちゃった。 「ファッションは終わりのないゲームである」「与えよ、さらば与えられん」は2階展示場まで広げて劇団マームとジプシー、劇団チェルフィッチュを持ってきているけどよく分からない。 舞台衣装との関連かしら? 藤田貴大は皆川明「 書を捨てよ街へ出よう 」などで近づいているが岡田利規は聞いたことがない。 ドレス・コードに掛けるのは強引かもね。 ドレス世界の再分節化を試みた展示会だった。 表層の多様性は広がっているが現コードの堅牢さも感じられた。 アートだけでは決められないと言うことかな? *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh232/ □糸川ゆりえ ■侘び寂びを感じさせるわね。  *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag

■SOMPO美術館

■設計:大成建設,施工:大成.清水.鴻池建設共同企業体 ■2020.5開館 ■遠くから眺めるとモコモコした感じの建物だ。 ひとかじりした最中を地面に立てたようにみえる。 モナカだからモナモナ感と言える。 風変わりな駐車場と間違える人もいるはず、でも形は損保本社ビルに合う。 高層との比率もちょうど良い。  エントランスホールはコロナ対策で開店休業中のようだ。 展示会場を5,4,3階と下ってくる。 それにしても安っぽい建築材料を使っている。 プレハブ風の壁や階段だ。 窓がないので倉庫に近い。 2階ミュージアムショップもその延長だろう、窓はあるが・・。 先日の「 アーティゾン美術館 」は石材を利用した保守的な重さが気になったが、この「SOMPO美術館」は逆に軽さが気になる。 でも狭い敷地にモナモナ館を出現させたのだから日常的傑作に違いない。 *館サイト、 https://www.sompo-museum.org/about-us/concept/ □珠玉のコレクション ■開館記念展を観て回る。 多くは館所蔵品だが、「FACE」グランプリ作品も展示している。 *館サイト、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2020/opening_exhibition2/

■オラファー・エリアソン、ときには川は橋となる  ■もつれるものたち  ■いまーかつて、複数のパースペクティブ

■東京現代美術館,2020.6.9-9.27 □オラファー.エリアソン,ときには川は橋となる ■「二酸化炭素排出量を抑制しながらベルリンから日本まで作品を運ぶには・・?」。 最初の作品「クリティカルゾーンの記憶」をみて環境維持をここまで徹底するのか!と呆れてしまった。 いや、エリアソンは本気だ。 この流れが最後まで続くからだ。 途中の作品「サステナビリティの研究室」ではモノの再生可能性をこれでもかと追及している。 並行して光を取り込んだ作品が多いのに気付く。 幾何光学や波動光学の利用だ。 これは大気光学にも広がり、霧や氷そして氷河も対象にしている。 もちろん環境問題に繋がっている。 エリアソンを知ったのは「ニューヨーク・ウォーターフォール」に感動してからである。 副題「ときには川は橋となる」から巨大な滝を期待していたのだが、・・! 都市を利用する作家に梱包芸術のクリストがいるが環境アートとしてはエリアソンが直截だ。 彼の環境への本気度を知ることができて嬉しい。 *館サイト、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/ □もつれるものたち ■見当の付かない展示会だったが、配布資料を読みながらゆっくり進んでいくと作者と作品が現れてくる。 国家・政治・経済・自然を見つめ直す作品が多い。 考えさせられる内容ばかりだ。 例えば・・、①「進化する植物」②「ビットコイン採掘と少数民族のフィールド・レコーディング」③「ポーセリン(磁器)」④「解剖学教室」の映像4作品に絞ってみると・・。 ①は韓国の共同体批判を自然や高齢者に語らせている。 ②は中国の情報・エネルギ獲得が少数民族の犠牲で成り立ってきたこと、③はベトナム植民地時代の歴史文化の解釈問題を扱っている。 ②③は面白い出来栄えだった。 ④は福島にある博物館が原発事故に遭遇した後の文化的危機を議論する作品。 これは方向性が多様で内容が掴めなかった。 4映像をみるのに100分かかったが充実度も100%だ。 政治経済に関連付けると思いもよらない姿が作品に表れてくる。 *館サイト、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/kadist-art-foundation/ □いま-かつて,複数のパースペクティブ ■「もつ

■ロンドン・ナショナル・ギャラリー展

■国立西洋美術館,2020.6.18-10.18 ■1章「イタリア・ルネサンス」、2章「オランダ黄金時代」はリズムに乗れないまま観てしまいました。 準備が出来ていないと時空を飛べない。 いきなり聖ゲオ・・、聖エミ・・、聖ボシ、聖ゼノ・・ですから。 でも3章「イギリス肖像画」に入ると呼吸が合ってきましたね。 絵画と一体化していくのがわかる。 最高のコンデションで後半は観ることができました。 観客が少ない為もある。 コロナの効用ですか。 この展示会はイギリスがヨーロッパ絵画を如何に咀嚼・容認・展開していったのかが語られます。 各章名にイギリスの能動的な言葉が記されている。 例えば4章「グランドツアー」、6章「ピクチャレス」は当に直接的ですし、5章「スペイン絵画」は「発見」、7章「フランス近代美術」は「受容」、1章に戻ると「収集」というように・・。 これにロンドン・ナショナル・ギャラリーの歴史も重ねて弁証法的にイギリス絵画を形作っていきます。 今回の目玉の一つ、ゴッホの「ひまわり」が終幕近くに展示されていました。 SOMPO美術館の観慣れた「ひまわり」とは一味違います。 黄色が眩しかった。 *館サイト、 https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2020london_gallery.html