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■クールな男とおしゃれな女

■山種美術館,2014.5.17-7.31 ■クールな男なら観に行くでしょう。 ・・行ってきました。 安田靫彦「出陣の舞」、前田整頓「異装行列の信長」の二点。 信長が好んだ片身替に彼の性格が表れています。 吉川霊華「菅公之像」、菊池契月「紀貫之」の柔装束はいいですね。 知的です。 守屋格多々志「慶長使節支倉常長」はローマの町並みと侍衣装がよく似合います。 犬は一匹で十分ですが。 おしゃれな女のほうは小袖の話だけです。 衣装用語が少なすぎます。 これでは季節に似合ったタイトルが泣きます。 もっと衣装を中心に突っ込んだ内容にすべきです。 でも主催者側もわかっているはずです。 この館の所蔵作品ばかりで入場料もいつもより安いし常設展代わりのつもりでしょう。 *美術館、 http://www.yamatane-museum.jp/exh/2014/post-14.html

■世界報道写真展2014

■東京都写真美術館,2014.6.7-8.3 ■去年の写真展を再び見ているようだ。 地名が変わっただけで中身は同じである。 武力衝突はスーダンからシリアへ、麻薬ギャングはエルサルバドルからメキシコへ、LGBTはベトナムからコンゴへ、先住民はサウスダコタ州からノースダコタへ・・・。 そして毎度の貧困と家庭内暴力、環境汚染。 新聞で斜め読みをした台風ハイエンは400万の家を奪い、バングラディッシュのビルの倒壊は1100人の犠牲者があったことも再度脳みそに焼き付けてしまった。 「同じ時代、同じ空の下に」という副題らしい。 世界は戦争・貧困・差別・環境汚染・自然災害で毎年回っている。 「同じ時代、同じ空の下で、同じ事件を」が残念ながら現実である。 * 「世界報道写真展2013」

■シモンドール

■そごう美術館,2014.5.31-7.6 ■ 子供の頃、漫画の主人公に同化することがよくあった。 今の子供がシモンの人形を見ればどうだろう? そういえば会場には子供客がいない・・。 全作品を観て一番気に入ったのが、初めに展示してあった1984年頃の「少女の人形」3体である。 この作品は作者四谷シモンの存在が消えている。 つまりピュアな作品ということである。 この後の「機械仕掛」「天使」「キリスト」は時代と宗教を帯びていく。 作者の思いや思想が色濃く人形に現れていく。 最新作が展示されていた。 2013年の「シモンドル」、2014年の「ドリームドル」。 肌に現実味がでている。 現実に近づくことは人形が歳をとったということである。 人形も死ぬのかもしれない。 *館サイト、 http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/14/yotsuya/index.html

■徒然草-美術で楽しむ古典文学-

■サントリー美術館、2014.6.11 -7 .21 ■ http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2014_3/?fromid=topmv ■ 前半、17世紀江戸時代に展開した徒然草に関する資料を前に自身が持っている徒然草のイメージと重ねあわせていきます。 後半は海北友雪の「徒然草絵巻」を見ながら徒然草の世界に浸ります。 これだけの絵画作品が登場したのは、老若男女だれもが面白可笑しく理解でき、生きていくのに必要な知恵を与えてくれるからでしょう。 動乱の南北朝時代には注目されなかったのもよくわかります。

■バレエ・リュス展-魅惑のコスチューム-

■国立 新 美術館,2014.6.18-9.1 ■ 展示室1Eの壁無しは広くて感動するわね。 衣装が遠くまで見えて素敵。 初期・中期・後期そしてモンテカルロ時代の全34作品ごとに衣装や資料を展示する構成よ。 豪州国美がこんなにも集めていたなんて、やはり国土が広いから? 舞台を想像したいけどやはり限界があるわね。 数本の映像があったけど、見ると猥雑さのあるオリエンタリズムの雰囲気が出ている。 でもM・フォーキンからL・マシーンやB・ニジンスカに移った後はよくみえない。 G・バランシンになると再びみえてくるけど。 画家の動員、H・マティスやM・ローランサン、A・ドラン、G・ブラックと並べただけでディアギレフの統率力の凄いことがわかるわ。 他にP・ピカソやJ・コクトーもいるし当時の売れっ子なら誰でもありかしら? バジル大佐のG・キリコやA・マッソンはそれ以上ね。 この種の展示会でいつも思うことは、ニジンスキーの踊りを観てみたい! これに尽きる。 チラシをみると「バレエ・リュス踊る歓び、生きる歓び」*1を上映するみたい。 写真美術館で観たことがあるけどモンテカルロでは一番のドキュメンタリーよ。 *1.作品サイト、 http://www.phantom-film.jp/library/site/ballet/ *展示会サイト、 http://www.tbs.co.jp/balletsrusses2014/

■マリリンとアインシュタイン  ■造形美考-フォルムの「美」をめぐって-  ■純粋形態-アフリカ諸部族の貨幣-

■インターメディアテク ■ 東京駅周辺はよく歩いているが、1年前に開館したIMTにやっと行くことができた。 JPタワーKITTEの2・3階に位置している。 東京大学の大好きな上手物が揃っている。 しかし、・・ゲテモノにしかみえない。 大きく見開いた目で見つめる剥製大蛙・・、死にかかっているような蝙蝠のミイラ。 手に取れば崩れ落ちるような本。 怪人ドクトル・マブゼが持ち歩いている手術道具一式・・。 ウッゥッゥッ。 そして少しばかり錆びている金属製注射器。 ・・。 小石川分館がまた一つ増えたみたいだ。 でも場所がいい。 4階の旧東京中央郵便局長室や6階のKITTEガーデンからの眺めは素晴らしい。 企画展は上記の三つ。 常設展と入り混じって独特の雰囲気がある。 「アフリカ諸部族の貨幣」はケ・ブランリ美術館の提供である。 パリにあるが個性豊かな美術館である。 「投げナイフ貨幣」「足ブレスレット貨幣」「首輪の貨幣」など材料・装飾等が貨幣価値限界まで迫っていて面白い。 ブティックでは東京大学オリジナルワインやクッキーが売られていた。 もちろん買わなかったがオンラインショップもあるようだ。 *館サイト、 http://www.intermediatheque.jp/ja/schedule/view/index/pasts/id/IMT0031/year/2014 ■ JPタワー *館サイト、 http://jptower.jp/

■ヴァロットン展、冷たい炎の画家

■三菱一号館美術館,2014.6.14-9.23 ■一つにまとめられない色々な緊張感が溢れています。 例えば版画はムンクへの黒白の世界に通じているようです。 そして「赤ピーマン」には感情が塗り込められている異様さがあります。 「アトリエにいるマックス・ロドリーグアンリーク」の部屋はモノとモノの関係が切れています。 私生活から街頭デモや戦争まで緊張の連続で休まる暇がありません。 ヴァロットンの名前も作品も初めてです。 日本初の回顧展のようです。 遅くなった理由は、ヴァロットンの緊張感は現代ではあたりまえというか、時代が彼の先へ進んでしまったからでしょう。 *Internet museum、 https://www.museum.or.jp/report/488

■デュフィ展  ■蜷川有紀絵画展-薔薇の旅人-  ■CATS'LOVE「猫に恋」展@真鍋太郎

■Bunkamura・ミュージアム,2014.6.7-7.27 ■ デュフィをこんなにも堪能できたは初めてだわ。 彼は1905年にマチスに、1907年セザンヌに衝撃を受けたとあったけどセザンヌは消化できなかった。 でもマチスは友にできた。 テキスタイルデザインもマチスのリズムと色は合うはずよ。 家具や陶器への適用も重要な経験になったとおもう。 ドイツ表現主義に影響された版画もね。 力の籠った木版画は素晴らしい。 そして「馬に乗ったケスラー一家」「ポール・ヴィャール博士の家族」などの変わった肖像画は自信がなければ描けられない。 彼の作品には20世紀初頭の成果が一杯詰まっているようにみえる。 しかも音楽や工業デザインで 得たミニマルな様式。 この二つが自信の源かもね。 「クロード・ロランに捧ぐ」で私の神であると言っているけど、晩年の光の追及から黒への傾斜は必然かもしれない。 けれどよくわからない。 この時期に黒まで行くのは相当な探究心の持ち主ね。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_dufy/index.html ■ 蜷川有紀絵画展-薔薇の旅人-,2014.6.7-15 ■ 女優のようだけど。 歌手の八代亜紀と同様に上手で趣味としてはなかなかだわ。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/140607ninagawa.html ■CATS'LOVE 「猫に恋」展@真鍋太郎,2014.6.7-15 ■ 猫好きだから許してあげる。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/box_140607manabe.html

■暁の劇場-鴎外が試みた、或る演劇-

■ 森鴎外記念館,2014.4.26-6.22 ■森鴎外は高校時代以来ご無沙汰の作家だ。 彼が演劇に深く関わっていたことを知らなかった。 展示は親切で分かり易い。 芝居ごとの解説、スタッフや俳優、劇場風景などの資料や写真、スライドが並んでいる。 主な作品は、「玉篋兩浦嶼」「日蓮聖人辻説法」「假面」「ジョン・ガブリエル・ボルクマン」「静」「生田川」「寂しき人々」「ファウスト」「マクベス」「女がた」「ノラ」「曽我兄弟」。 戯曲だけでも全70作品はある。 「ノラ」は島村抱月が訳して鴎外の名を借りたとか、「マクベス」は稿本が鴎外・注解を坪内逍遥・これを元に鴎外が刊本した「逍鴎論争」もある。 鴎外が演劇に関わった一番の原因は弟篤次郎の存在かもしれない。 彼も医者だが歌舞伎に熱を入れていた。 しかし鴎外は医者・軍人・小説家という何でも屋の為か、何を考えていたのかよくわからない。 この展示会をみても彼は演劇が好きには見えない。 作家インタビュー映像にこの答えがあった。 加賀乙彦は「鴎外は翻訳ではなくて研究をしたかった・・」。 明治時代は翻訳が優先したため鴎外はそれに巻き込まれてしまったのだ。 平野啓一郎も「個人ではどうしようもできない、諦念がみえる・・」。 軍人も翻訳も本意でなかったのか? ・・鴎外の悩みが少しわかった。 館を出ると東京スカイツリーが一望できた。 *館サイト、 http://moriogai-kinenkan.jp/modules/event/index.php?smode=Monthly&action=View&event_id=0000000324&caldate=

■<<終わりなきパリ>>、そしてポエジー

■ 東京大学駒場博物館,2014.4.26-6.29 ■ 副題は「アルベルト・ジャコメッティとパリの版画展」。 小品のため知っている画家にも知らない画家にも集中力が必要だ。 所蔵品「大ガラス」を中心に副題の版画が展示されている。 ジャコメッティの版画は大味である。 それより周辺の今井俊満、黒田アキら日本人画家の作品は直感的に届いて心地良い。 そしてコルビュジエの絵画にも驚かない。 それはモデルニテの首都パリの誕生には外せないからである。 誕生にはあらゆるものを必要とすることから、この小さな展示会も多くの芸術潮流がチラついている。 キュレータ小林康夫の解説は小さいが深みがあるのでやはり集中力が必要。 パリの奥地は近づき難い。 パサージュでウロウロするしかない。 *館サイト、 http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/2014.html#Paris

■3Dプリンティングの世界にようこそ!  ■朝鮮金属活字文化の誕生展

■印刷博物館、2014.3.11-6.1 ■ http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/140311/index.html ■気にかけていた展示会でした。 でも物足りなかったですね。 理由は展示方法がスタティックだからです。 説明文と出力物だけの展示ですから。 プリンタの仕組みもボードに書かれているだけです。 もちろん何台かの実物プリンタは置いてあります。 2次元・3次元CADの歴史が長いので、3D印刷機は来るべくして来たという感じです。 これでインパクトも少ないのでしょう。 食品の素材もあるようです。 出力物は残念ながら写真でしたが本物を早くみたいですね。 それよりも食べてみたい。 知的財産権や製造物責任法も簡単に書かれているだけです。 銃作成のニュースが以前ありましたが、データがあればどこでも同じ物を作成できるのが長所でしょう。 結論としてはデータ作成技術がすべてのようです。 ■朝鮮金属活字文化の誕生展、2014.4.26-7.4 ■ http://www.printing-museum.org/exhibition/permanent/140426/index.html ■3Dのついでです。 韓国清州印刷博物館との姉妹提携10周年記念展です。 常設展のなかに設けた企画展ですが、凸版印刷会社のバックがあるので豪華な館ですね。 ハングル語は15世紀以降に広まったため日本と同じく漢字の活字が多いです。 蝋に彫る方法を映像紹介していました。