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3月, 2013の投稿を表示しています

■カリフォルニアデザイン1930-1965

■ 国立新美術館,2013.3.20-6.3 ■ 会場は仕切りが少なくスッキリと広々としています。 <カルフォルニアらしさ>があります。 それは「軍需産業の縛り」や「ナチズムからの逃避」の終結、「復員兵に対する高等教育」と「急増する中産階級」、そして遠い東海岸、メキシコや太平洋の近さ・・。 これら 時代変換と地理位置が解放感を持ち込んでいるのでしょう。 しかし多くは100円ショップで売られているようなキッチュな感じの作品ばかりです。 時代が一回りしてしまったのですね。 でも解放感は今でも失っていません。 この感覚は日本では生まれないでしょう。 *館サイト、 http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/california/index.html

■ルーベンス、これぞバロック

■Bunkamura・ザミュージアム,2013.3.9-4.21 ■ ルーベンスは組織で活躍する人だったのね。 工房作品の質と量を維持するため彼は殺されそうにもなったらしい。 組織の厳格さが分かる。 そして政治世界への接近も射程に入れている。 絵画も含めまさに彼のすべての行動がバロック、つまりカトリックとしての反撃なの。 これがチラシにあった「バロックの神髄」の意味なのね。 彼の描いた女性や子供の肌はモッチリ感があって素敵だわ。 カルヴァン派でもまいってしまうはずよ。 昔ルノアールに出会った時、ルーベンスの生まれかわりにみえたの。 筆さばきは違うけど体型やモッチリ感が似ているからよ。 そう思わない? *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_rubens/index.html

■フランシス・ベーコン展

■ 東京国立近代美術館,2013.3.8-5.26 ■ 金縁の額と反射するガラス張りを通して観るのがベーコンへの礼儀だと初めて知った。 額縁の写っていない画集でみるのとは俄然違う。 真剣に額縁やガラスも感じてしまうからである。 そして金縁とガラスの中にどうしようもない肉体が蠢いている。 「意識が飛び立つ瞬間へ!」「チャンスの到来を待つ!」。 彼の言葉が当てはまるのは60年代迄である。 例えば「教皇」たち。 しかし後半は変わる。 ひねくれた人物象の目が肉体から離れて関係性を饒舌に語るようになる。 でもその身体は沈黙する。 影響された舞踊家の舞台はベーコンとは似て非なるものにみえる。 「疱瘡譚」の土方巽もW・フォーサイスもベーコンから離れてしまっている。 生身とは時間の連続性が違うのかもしれない。 映画監督D ・リンチはいい線をいっているが・・。 80年代後半になると静かでツマラナイ絵になってしまう。 同性愛の緊張も、もはや見えない。 ところでマリリン・モンローの写真を見て「素晴らしい姿勢だ!」と彼が語っていたが同感。 *館サイト、 http://archive.momat.go.jp/Honkan/bacon2013.html

■アーウィン・ブルーメンフェルド美の秘密  ■夜明け前・知られざる日本写真開拓史・北海道東北編  ■APAアワード2013  ■第四回全国学校図工写真美術公募展

■ 東京都写真美術館 □アーウィン・ブルーメンフェルフルド美の秘密,2013.3.5-5.6 ■ んーン、久しぶりに職業写真家に出会ったようね。 人物がマネキンになる二歩手前で止まっていて、身に付けている口紅もマニュキュアもそしてイヤリングも衣装も、人物と同じ密度で撮られているの。 個々の意味さえも平均化されてしまい、写真の隅々まで均一だけど、みていると震えがやってくる。 <幸福であろう>近未来からやってきた人物像にみえる。 エドワード・スタイケン は過去からやって来たけどね*1。 ブルーメンフェルドに出会えて嬉しいわ。 *1、「 エドワード.スタイケン写真展 」(世田谷美術館,2013年) *館サイト、 http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-1803.html □ 夜明け前・知られざる日本写真開拓史・北海道東北編,2013.3.5-5.6 ■ ここの館は「夜明け前」が好きらしいわね。 写真の技術や器機は外国からの輸入品。 日本にとっては出来合いのソフトウェアみたいなもの。 しかし明治政府や写真家は体系的に写真を活用していたとはみえない。 だから夜明け前なのかなあ? *館サイト、 http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-1801.html □APAアワード2013,2013.3.2-17 ■ 広告写真の公募展。 今年の経済・文部大臣賞は感情だけが高揚していて中身の薄い作品にみえる。 優秀賞のトヨタ自動車「REBORN」のドラエモンもイマイチね。 ユニクロはUNIQLOらしい作品ね。 経済が停滞していると広告も単純化するのね。 でも全体をみるとさすが企業広告だけあって人・物・金がそれなりに行きとどいている感じがするわ。 *館サイト、 http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-1805.html □第四回全国学校図工写真美術公募展 ■ 小学校の図工に写真を取り入れていたなんて知らなかった。 生徒が作った猫や犬などのフィギュアを写真に撮っているの。 そのフィギュアがとても生き生きしている。 視覚的なコミュニケーション・プレゼンテーションを養うの

■あっぱれ北斎!光の王国展  ■川村麻純展  ■「パラの模型/ぼくらの空中楼閣」パラモデル展

■フェルメールセンター 銀座,2013.1.1-3.31 □あっぱれ北斎!光の王国展 ■ 初刷の状態に戻すのは前回の「フェルメール」と同じようだ。 印刷技術でしかも190%迄に拡大してあるから顔の表情や細かい文字などがはっきりわかる。 机上でじっくりみている気分になる。 このジックリみるところに北斎の楽しさがある。 これで「諸国瀧廻り」の水の流れと音に溶け込んでしまった。 「富嶽三十六景」でも北斎の気合が入っている作品といない作品があからさまに表れてしまう。 高価なベロ藍を多用しているところは気合が入っているようだ。 隅々まで見たという実感が残った。 *館サイト、 http://www.vermeer-center-ginza.com/ □ 川村麻純展 ■ 資生堂ギャラリ,2013.3.5-28 ■ 「母と娘」「姉と妹」の関係をインタビュウした映像作品が2点。 幼少の頃、娘から母をみた感想が語られる。 「授業参観日に化粧をした母をみるのが嬉しかった」「父に接するとき母に女をみた」 ・・。 同じ構成の後者は妹から姉をみた感想である。 「姉が彼氏と居る時は私に優しかった」「姉の顔と足が小さかったので憧れていた」・・。  このような作品は初めてなので新鮮だ。 何か秘密の話を聞いてしまったから新鮮に感じるのか? 息子からみた母、男兄弟の話はこれほど面白くはならないとおもう。 より外部に意識が向いてしまうのが男だからである。 *館サイト、 http://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/past/past2013_01.html □「パラ の模型/ぼくらの空中楼閣」パラモデル展 ■メゾン・エルメスフォーラム,2013.2.16-5.6 ■ プラモデルとパラモデルの違いがわからない。 どうも林泰彦と中野祐介の作ったグループ名であり且つコンセプト名らしい。 東京ステーションギャラリ で展示されていたのを思い出す*1。 面白くなかったが。 子供の頃に沢山の線路図を描いたり、サイボーグの構造を詳細に書いたりしたが、これの延長ではないのか? B・タウトの「都市の冠」は読んでいない。 しかし建築からは離れている作品とみたが。 以上、銀座で立ち寄った3館のメモ書き。 *

■ラファエロ

■ 国立西洋美術館,2013.3.2-6.2 ■ ラファエロの凄さとは何か? それはフィレンツェに行った時、ウフィッツィ美術館以上にピッティ宮殿に感動することです。 宮殿のラファエロにです。 しかし今回、その感動の到来はありませんでした。 今の世界がそして今の日本が騒がしい為だとおもいます。 新聞評にはラファエロの魅力は「中庸」であるとありました。 的を得ています。 観客も中庸でなければラファエロに共鳴できないからでしょう。 今の時代はエル・グレコ が似合っています*1。 *1、「 エル・グレコ展 」(都美,2013年) *館サイト、 http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/raffaello2013.html

■小林猶治郎展・超然孤独の風流遊戯  ■富田有紀子展

■練馬区立美術館,2013.2.17-4.7 □小林猶次郎展 ■ 関東ローム層の茶色や落葉広葉樹林の錆びた緑色が強い光の中で匂いを放っています。 この日本の色や匂いはほんの数十年前までは生活に溶け込んでいたはずです。 この色・匂いから湧き出る副題の「超然孤立の風流遊戯」は少し大げさです。 1930年頃から絵が変わったようです。 物がスッキリ見えるようになっています。 しかし匂いが薄くなりました。 結婚し子供が生まれて結核を忘れることができたからでしょう。 少し懐かしい日本の色や匂いに出会えて豊かな時を過ごせました。 *館サイト、 https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=m10231 □ 富田有紀子展 ■ 猶治郎の孫娘のようです。 花や果実の連作が数十枚の正方形キャンバスに描かれています。 この展示方法は写真を意識しています。 ガチ写真ですね。 新作の花の蕾を観ていると、<写真>を乗り越えなければならない時期にきているようです。 *館サイト、 https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=m10232