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■福田美蘭展  ■ルーヴル美術館展-地中海四千年のものがたり-

■ 東京都美術館、2013.7.23-9.29 ■ http://www.tobikan.jp/museum/2013/2013_fukudamiran.html ■ パロディでしょうか? 作品全体が古ぼけているようにみえます。 現実世界を作品に取り込む時に、その時代の生き生きしているところを掴み損ねてしまった感があります。 作品化してもすぐに古くなってしまっているのではないでしょうか。 創作理由がキャプションに書いてあります。 そして絵をみますが文章と作品の関係も真面目すぎます。 面白そうだけどやっぱりツマラナイという絵ばかりです。 でも気に入った作品もありました。 「眠れる森の美女」。 カルペ・ディエムのように時代と無関係なテーマには強い作家だとおもいます。 つまらない記者が書いたニュースのような絵を描き続けるのか理解できませんでした。 ■ ルーヴル美術館展-地中海四千年のものがたり-、2013.7.20-9.23 ■ http://louvre2013.jp/ ■ このような展覧会はいつも疲れるばかりです。 しかし今回は疲れなかった。 リズムがあったからです。 キャプションも読み易い。 映像も目に優しい。 目玉の「ギャビーのディアナ」は素晴らしい。 その横にある「ランズダウンのパリス」も最高です。 四千年ですから全体の把握はできません。 しかしそれを無視してもかまわない展示思想があるように感じました。 やはりそれはリズムにあるとおもいます。 作品の数と質、配置、経路、解説、映像などから出ているリズムを巧くまとめるのが大事です。

■鳳が翔く-榮久庵憲司とGKの世界-

■ 世田谷美術館、2013.7.6-9.1 ■ http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/images/sp00164_ad.pdf ■ 展名や庵から日本美術かとおもったけど、なんとインダストリアル・デザイン展! キッコーマン醤油の卓上瓶が入口に展示されているの。 いつも見てる瓶だけど、1:1.618の黄金比率できていて<初めて知った驚き>があるわ。 毎日乗っているJR山手線の車両や成田エクスプレスN’EXも彼のグループが関わっている。 新宿西口新宿警察署交差点のサインリングもよ。 いままで見えなかったけど、あらゆるところにデザイン集団GKがあったのね。 秋葉原UDXのデザインもね。 展示数の多いヤマハバイクもとても素敵だわ。 最新のVMAXもいいけど、ヤマハXSV1サクラ(2007年)は醤油瓶と同じ日本的な形で最高ね。 でもなぜ日本的と感じるのかとても不思議。 三章の「道を求めて」、四章「美の彼岸へ」は再びの驚き。 儒教と仏教が融合したような内容なの。 「道具は道に具わりたるもの、道の具わりたるもの・・」。 デザインと東洋思想の融合でここまで入り込むのは凄いけどよくわからない。 道具とはなにか? デザインとは何か? これらは現世で使うものだから彼岸で展示会を終わらせるのは納得できない。 融合のまとめが五章に必要かも。 でも観客自身が現世の未来は切り開け、ということね。

■クリスチャン・ケレツ展

■ギャラリー 間,2013.7.19-9.28 ■ 「ルール」と「模型」のことがチラシに書いてある。 会場へ行ったが模型は見えたがルールは見えない。 あたりまえだが。 模型に立ち現れるリアリティと具象化については彼の言い分がよくわかる。 ルールを探したがそれは還元又はミニマルのようだ。 しかし作品はいただけない。 「鄭州高層ビル1,2案」「ロイチェンバッハ学校」は無機質感が漂う。 これをみて伊藤豊雄作品の有機感と比較してしまった。 「パライゾポリスの公営住宅」を俯瞰するとやはり同じである。 生活の豊かさは疑問である。 骨があって肉がないような考え方だと本人も言っているが、その向こうにあるものを見せて欲しい。 会場が狭いから骨だけで我慢するしかないのか。 *館サイト、 http://www.toto.co.jp/gallerma/ex130719/index.htm

■谷文晁展

■サントリー美術館、2013.7.3-8.25 ■ http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2013_3/index.html ■ イキイキとした江戸後期の世界が文晁を通してみえる展示会です。 文晁は芸術家というより職人絵師で教養人という感じですね。 やはり若い時に玄対に師事し南蘋画等中国文化に触れたこと、松平定信の仕官になったことが大きいですね。 今なら米国へ留学して官僚になったようなもんです。 しかも文化人との交流や弟子の育成が巧い。 弟子への絵画教育も①古画模写②実物写生③個性確立と現実的社会的な段取りを踏んでいます。 芸術家肌ではないので感動して唸る作品はありませんが、安心納得するものばかりです。 「ファン・ロイエン筆花鳥図模写」は模写以上の何かがあります。 後期の「八仙人図」は教養プロ絵師の作品そのものです。 「石山寺縁起絵巻」の補作や六・七巻は素晴らしい色ですね。 カネをかけているのがわかります。 これも安心納得します。 谷文晁を連れ立って江戸時代を周遊してきたようです。

■フランシス・アリス展-ジブラルタル海峡編-

■東京都 現代美術館,2013.6.29-9.8 ■「 メキシコ編 」 の続きよ。 でも夏バテのようね。 作品が少ないから。 メキシコ編に入れたらパンクしたかな? 夏休み向けの企画として取っておいたのね。 海の色や波の大きさ、風の匂いが会場一杯で子供たちと一緒にジブラルタルで泳いでいるようだったわ 。 海辺の砂遊びや水切りもね。 子供の頃には20以上切ったこともあるし・・。 海へ遊びに行ってきた感じの展示会だった。 *館サイト、 http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/141.html

■プーシキン美術館展-フランス絵画300年-

■ 横浜美術館,2013.7.6-9.16 ■仏300年間の長さは量が質を呼びます。 古典→ロココ→新古典→ロマン→自然→印象→ポスト印象→フォーヴ→キュビズム→エコール・ド・パリ。 ロシア皇帝・富豪コレクターの成果です。 有名画家では作品の1割くらい見た記憶がありますが全集だか展示会だか定かではありません。 気に入った作品はブーシェ、ドニ「緑の浜辺」、マチィス「カラーアイリスミモザ」。 ゴーギャンの2枚です。 横浜までもう一度足を運んでもいいですね。 *館サイト、 http://yokohama.art.museum/exhibition/archive/2013/20130706-79.html

■LOVE展

■森美術館、2013.4.26-9.1 ■ http://www.mori.art.museum/contents/love/index.html ■ これは面白い! <愛>について一癖ある作品群で構成されているからよ。 でも量と質があって消化不良になりそうね。 70名ものアーティストが出展しているから。 たとえば荒木経惟「センチメンタルな旅」はいろいろな美術館で観てきたけど、妻の裸体写真だけはいつも外して展示されているの。 でも今回はこれも入っていて充実感がある。 このように些細だけど決定的作品に漏れの無いことが展示を面白くしているようね。 会田誠展の性暴力抗議では多くの議論があったけど、結果として森美術館は信頼できるのではないかという気がしたの。 美術館は何か隠しているのではないか? 観客が作品の出展経緯を疑うようになれば最悪だもんね。

■江戸絵画の奇跡-ファインバーグ・コレクション展-

■江戸東京博物館、2013.5.21-7.15 ■ http://edo-kiseki.jp/ ■14日に行ってきた。 会期ギリギリで間に合った。 ところでファインバーグ夫妻のメッセージを読んでいたらプライス夫妻を思い出してしまった。 2006年7月に国立博物館で開催された「若冲と江戸絵」展 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=382 である。 さらに検索したらこのプライス・コレクションが東日本大震災復興支援として仙台市博物館・岩手県立美術館・福島県立美術館を巡回しているらしい http://jakuchu.exhn.jp/ 。 これは驚きだ。 プライスはファインバーグより20年早く若冲から入ったが収集品はどちらも似ている。 例えば今回「群鶴図屏風」(鈴木其一)が出展されているが、なんとプライスの「群鶴図屏風」も来日しているようだ。 両コレクションを日本で観られるのは嬉しい限りだ。

■川合玉堂

■ 山種美術館,2013.6.8-8.4 ■ 並べてみると55歳前後の作品が一番キリッとしてしていますね。 脳味噌が最高潮です。 その後は脳活動の衰えと経験の豊かさの二つが混ざり合ってより親しみやすさが増していきます。 これで何度見ても飽きがこないのでしょう。 玉堂の一番の色は水です。 「春風春水」の川の色です。 よく描かれる鵜飼は篝火と煙で水に色がありません。 この流れの速い水色が山々や木々に湿感を与えて日本の風景を決定づけています。 途中展示替えをして所蔵全点を紹介するようです。 *館サイト、 http://www.yamatane-museum.jp/exh/2013/140.html

■カラーハンティング展

■2121デザインサイト,2013.6.21-10.6 ■ 思ってもみない企画展である。 アフリカならまずはライオン狩から始めるのがよい。 次の古文書狩は面白い。 色から読み広げると見落としていた古い世界が現前するようだ。 メガネ狩や天気狩、唇狩など見える世界は全て狩れることを発見させてくれる。 しかしなんでも狩れることから驚きがどんどん少なくなっていく。 企画効果が長続きしない。 このような切り口の企画展を連発してくれ! 連日の暑さだから毎日行ってもよい。 *美術館、 http://www.2121designsight.jp/program/color_hunting/

■JR展・世界はアートで変わっていく

■ワタリウム 美術館,2013.2.10-6.2 ■ JRは去年の「 ひっくりかえる展 」 で知ったけどこれは続きのようね。 入場者のポートレイトを大型プリンタで作成してくれるの。 インサイドアウト計画の一環みたい。 世界で展開している彼の成功活動は日本ではちょっと違う感じ。 それは日本は街中に広告が溢れているからよ。 顔写真もゴミのように埋もれてしまう。 もう一つ、彼の<目>の拘りが日本のあらゆる狭さの鬱陶しさを余計意識させてしまうわ。 作品としてはパレスチナ人とイスラエル人の「向き合って」が一番面白かった。 彼の作品の面白さは<身軽さ>だとおもう。 実際塀や屋根をピョンピョン動きまわっているしね。 *館サイト、 http://www.watarium.co.jp/exhibition/1302JR/index_e.html

■世界報道写真展2013

■ 東京都写真美術館,2013.6.8-8.4 ■ 今年の作品は静かさがある。 肉片が飛び散り叫び声のする作品は少ない。 大賞が子供たちの葬儀のせいもある。 自制でも入ったのかな? この展示会はいつも世界の見落としや偏見、言葉の優位、想像の欠如を是正してくれる。 スーダン軍の武力衝突、ベトナムの同性愛者たち、サウスダコタ州のオグララ・ラコタ族、オハイオ州のホームレス、ローマ近郊の売春婦、リオデジャネイロのスラム街、エルサルバドルのギャング間闘争などが記憶に残った。 スポーツではドニ・ルーヴルの日本の相撲。 たった2枚の写真だが新鮮であった。 はじめて相撲の歴史や力士を見た思いである。 見慣れているテレビ相撲番組や新聞の写真はブヨブヨでどうしようもない。 * 「世界報道写真展2012」

■アンドレアス・グルスキー展

■国立新美術館、2013.7.3-9.16 ■ http://gursky.jp/ ■ 以前「サン・パウロ・セー駅」をみて凄い建物だと感激したことを思い出しました。 でも加工をしていたとは・・、この展覧会で知りました。 彼の作品は不要なモノを削除し必要な対象物を繰り返し並べています。 この繰り返しのリズムが宇宙的広さと静寂を招きます。 なにかこの世界に自分一人しかいない感覚に襲われます。 しかしどうも古臭い感じもします。 古き良きユッタリ感もあるということです。 20世紀の空気が漂っているのです。 過去にみたのは先の駅以外に数枚ありました。 でも名前を真面目に確認したのはこの展示会が初めてです。 写真史の授業に出席したような観後感がありました。