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3月, 2021の投稿を表示しています

■ライゾマティクス_マルティプレックス  ■マーク・マンダース  ■TCAA受賞記念展、風間サチコ 下道基行

■東京都現代美術館,2021.3.20-6.20 □ライゾマティクス_マルティプレックス ■ライゾマティクスとはメディアアート・広告・エンターテインメントから建築・都市開発などの企画・設計・実装をおこなう企業なの。 見所は振付家MIKIKO率いるダンスカンパニー「ELEVENPLAY」の舞台かな? オリンピックを意識する時期だし・・。 他の映像・照明機器やロボット、デバイス等々も量を拡充して国立競技場で展開できる、もちドローンもね。 ところで週刊文春4月1日号を読むとMIKIKOも交代させられるらしい? 野村萬斎も辞めているし、このままでは東京オリンピック開会式は(開催できても)最悪になりそう。 式はテーマが一番大事。 近年で良かったのは社会保障制度を取り入れた ロンドン開会式 。 リオはダンスが最高、北京とソチは国家が前面にでていて後味が悪かった。  *館サイト、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/rhizomatiks/ □マーク・マンダース,マーク・マンダースの不在 ■顔のブロンズ像(樹脂も?)は迫力がある。 顔に板が組み込まれているの。 気に入ったわ。 *館サイト、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mark-manders/ □TCAA2021受賞記念展,風間サチコ&下道基行 ■二人の作品は数点だけど京橋や横浜で観ていたのを思い出す。 今回、作者の領域の広さを知ったのは嬉しい。 風間サチコの木版画は漫画と言うより劇画に近い。 忘れかけていたトーマス・マンに彼女がリスペクトしているのもまた嬉しいわね。 久しぶりにハンス・カストルプのサナトリウムや戦場を思い出しながら観てしまった。 *館サイト、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/TCAA_2019_2021/

■写真家ドアノー/音楽/パリ

■監修:クレモンティーヌ・ドルディル ■Bunkamura・ザミュージアム,2021.2.5-3.31 ■ドアノーと言えば写真美術館の壁に貼ってある「パリ市庁舎前のキス」を思い出す。 今回は彼自身の言葉「耳から写真の道へ・・」に沿う音楽に絞った写真展のようだ。 戦後パリ市民は先ずは音楽で潤ったことが作品から見え聴こえてくる。 知らない演奏家が多いが活き活きした下町の生活が甦る。 久しぶりにパリ肌の暖かさに浸れた。 人物写真は被写体にどれだけ近づけるか? ドアノーには良い仲介者がいたようだ。 作家ロベール・ジロー、詩人ジャック・プレヴェール、ピエール・ベッツ(?)、俳優モーリス・パケなどなど。 「写真を撮るために狩りはしない」「ひたすら待ち伏せをするだけ」。 「釣り人」であるドアノーなら尚更彼らが必要だ。 1960年以降になると目がどこに向いているのか分からなくなる。 やはり50年代までが彼の時代かもしれない。 音楽以外は物足りなかった。 でもF・トリュフォーのデカ版があったのは嬉しい。 コロナが終わったらどこに行きたいかって? もちろんパリだ! *美術館、 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_doisneau/ ■水津達大展,風景の行方 ■水が緑になり・・、もう初夏の気分だ。 *美術館、 https://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/box_210310suizu.html

■電線絵画展ー小林清親から山口晃までー

■練馬区立美術館,2021.2.28-4.18 ■1章「晴れやか、誇り高き電信柱」、2章「晴れやか、誇り高き電柱」・・。 なぜ同じようなタイトルが続くのか? それは電信柱・電信線と電力柱・配電線の違いです。 1章は電話で1860年代、2章は電気で1880年代から敷設が始まった。 でも電柱は電柱ですね。 しかも郵便制度もこの時期に開始された。 ネットワーク時代の誕生を見る展示会とも言える。 絵の中に電柱や電線を描くか描かないか? 画家も分かれるようです。 多くの作品は邪魔に見えない。 その時代や都市生活を強調している絵は風景の一部になっているからでしょう。 でも強く意識すれば異様にもみえる。 ここが面白い。 気に入ったのは河鍋暁斎・山岡鉄舟合筆の「電信柱」、川瀬巴水の「東京十二景色」と木村壮八「東京の民家」の幾枚か、チラシに載った小林清親の「富嶽眺望」などなど。 「富士には電信柱もよく似合ふ」。 写真でしたが小出楢重「枯れ木のある風景」は好きな一枚です。 10章には碍子の本物も展示されていたが、玉村方久斗「碍子と驟雨」もいいですね。  これに高架線が入ると完璧になる。 昭和の風景といえば高架線でしょう。 でも当時は蒸気機関車の為まだ見ることができない。 電柱電線が日本の風景から消えるのはもう少し先の事ですかね? *館サイト、 https://neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202012111607684505

■狐の嫁いり、澤田知子  ■永遠の日本、白川義員

■東京都写真美術館,2021.3.2-5.9 □狐の嫁いり ■証明写真をみるとある種の感慨や緊張が感じられる。 試験、免許、入社、パスポート・・・。 会場には証明写真で一杯! でも証明写真ではなくて人物写真と呼ぶらしい。 ポートレイトね。 よーく見ると証明写真にもみえる。 それは「化かしているから」。 どちらの写真も騙す要素が入っているからよ。 だから狐の嫁入りになるのね。 うふふ・・。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3848.html □永遠の日本 ■これは引き延ばし過ぎかしら!? 感動しないのは粒子が粗いから? 赤、桃、黄に輝く山々は荘厳さが漂う。 でも抽象画を見ているような錯覚にも陥る。 大判にしても迫ってくるとは限らない。 ポスターを見ているような感じかな?  作品は外国では売れたらしい。 山々の色に感動したからよ。 日本には火山はあるし、雪も多いし、四季もある。 山岳信仰も残る。 そこに朝日や夕日を被せるのはよくあること。 「永遠の日本」は自然と信仰から来ていたのね。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3455.html

■南薫造、まさにニッポンの印象派

■東京ステーションギャラリー,2021.2.20-4.11 ■初めて聞く画家名、1883年広島生まれの南薫造の回顧展です。 先ずは1章「美校時代」そして2章「留学時代」と続く。 1907年に彼は英国へ留学したが水彩画が引き金だったのには驚きですね。 1900年頃の日本は水彩画黄金時代だったことも初めて知った。 3章「帰国後の活躍」に入り受賞歴を重ね終わった頃の1910年代後半から見応えのある作品が並び始める。 水彩と油彩の二刀流です。 南アジア旅行の水彩画が活き活きしている。 旅日記に楽しさが溢れていますね。 後に東アジア旅行が加わるが南と同じ調子です。 そして農村風景の油彩画には親密さが表われています。 副題に「印象派」とあるがそのようには見えない。 でも人物画はイマイチですか。 風景画にみえる人々も人形のようです、・・逆に風景にマッチしているが。 それと静物画もです。 作品数も少ない。 3章の終わり30年40年代は左壁に水彩、右壁に油彩が並ぶ構成です。 左壁の「朝鮮風景」は何とも言えないカラフルな色彩で惚れ惚れします。 右壁にはキャベツ畑が広がる・・。 絵を観る喜びが広がりますね。 久しぶりに至福の時がやってきました。 終章「晩年 郷里での活動」で会場は出口になる。 こんなにも絵画的リズムが合う画家に出会えて嬉しい。 *南薫造没後70年展 *館サイト、 https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202102_minami.html

■吉田博展、美が摺り重なる

■東京都美術館,20201.1.26-3.28 ■吉田博の全体像を初めて知ることができて、いやー!楽しかった。 故ダイアナ妃執務室の写真や瀬戸内海集の帆船くらいしか知らなかったからだ。 ダイアナ妃は版画にターナーの光を見たのかもしれない。 彼の成功はフランスではなくアメリカに向かったことだろう。 「それはアメリカから始まった」をみて、これなら米国で売れる!と確信できるからである。 浮世絵を発展させ現代的に甦えらせている。 しかも人文主義的美学から距離を置いているのもグローバル向けとして相性が良い。 マッカーサーが厚木に降りた時「吉田博はどこだ?」と聞いただけのことはある。 九州男児の活きの良さもいい、黒田清輝をぶん殴ったのはやりすぎだが。 しかし作品はそれを感じさせない。 工数がかかる、しかも共同作業の版画は精神と肉体の抑制が必要だからだろう。 東南アジアやインド旅行は羨ましい。 20世紀前半にこれだけ綿密な計画を立てパワーのある旅をしているのが凄い。 その力を戦争中は従軍画家として大陸に向けている。 しかしこれだけ作品をみると最後は飽きる。 後半、安定感はあるが自然の揺らぎがすくなくなってしまった。 満腹感は120%である。  *吉田博没後70年展 *館サイト、 https://www.tobikan.jp/exhibition/2020_yoshidahiroshi.html

■コンスタブル展、光を描く・・空気が動き出す

■三菱一号館美術館,20201.2.20-5.30 ■1986年伊勢丹美術館展の記録を読み返す。 まったく覚えていないし、コンスタブルが画家名だと知ったのもその時だ。 チラシの「日本では35年ぶり・・」は伊勢丹展を指しているのだろう。 今回は「イースト・バーゴルドのコンスタブル家」から始まる。 彼の戸外制作は印象派とは違う。 光というより気温や湿度を含めての空間を描こうとしているようだ。 「空は自然界の美の源」は画家の言葉だが「太陽」は出てこない。 それにしても初期の作品は深緑が沈み過ぎている。 その中でビビッと響いた2枚がある。 なんとタイトルをみるとターナーだった! 「ペンブローク城」「アイズルワースの船着き場」だ。 ロイヤル・アカデミーの対決は既に前半でついてしまった。 あらためて後半の「ウォータールー橋の開通式」と「出航するユトレヒトシティ」の対決をみても同じ感想を持ってしまった。 風景画先駆者の一人として納得できるが、日本展35年ぶりという長すぎる理由も分かった。 *テート美術館所蔵展 *館サイト、 https://mimt.jp/constable/