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9月, 2014の投稿を表示しています

■リー・ミンウェイとその関係展-参加するアート、そして世界とつながる-

■森美術館,2014.9.20-15.1.4 ■人間関係の構築過程を描いているため美術というよりパフォーマンスに近い。 しかもその構築が具体的で且つ驚きの方法である。 例えば「ともに食す」は一緒に食事をする、「ともに眠る」は一緒に美術館に泊まる。 もちろん相手は一人の観客である。 運良く「ソニック・ブロッサム」に出会った。 これは歌の贈り物である。 実際に歌手が歌う。 それを一人の観客が座って聞くのだ。 会場を歩きながら人間関係というか他者と関係を結ぶということを深く考えてしまう。 他アーティストの作品も一章を割いて展示してある。 アラン・カブロの「コンフォート・ゾーン」を上映していたが、他者との距離感を考える作品である。 これは記憶に残った。 田中功起の「どれもこれも」は厨房の仕事を撮影したものだが、会場のオバちゃんオネエちゃんが批評を加えながら楽しく見ていた。 贈与を上手く使って人間関係を構築するのがミンウェイの方法のようだ。 偶々カネが絡まない。 今日の新聞をみたら「JKビジネス 実体を訪ねて」の記事が大きく載っていた。 資本世界でも色々な方法で人間 関係を結ぶのに忙しい。 他者との関係を結ぶことが、この世で生きる全てであると言っているようだ。 久しぶりの刺激に満ちた展示会だった。 *館サイト、 http://www.mori.art.museum/contents/lee_mingwei/index.html

■チューリヒ美術館展-印象派からシュルレアリスムまで-

■国立新美術館,2014.9.25-12.15 ■「すべてが代表作」とありましたが、この意味はスケッチや習作がほとんど出展していないことを言っているようです。 とは言っても結構なモノばかりですから全てが代表作にみえてしまいます。 スイスはスゴイス! 作家を一人づつ展示する方法もいいですね。 作家に集中できます。 セガンティーニの「虚栄」は一番バッターとして最高です。 これからみようとする展示をドキドキさせてくれます。 モネは目玉の「睡蓮・・」より「・・藁葺の家」「・・積み藁」「国会議事堂・・」の3枚が印象に残りました。 「睡蓮」は日本的自然感からみて好みが分かれるでしょう。 そしていつものシャガールがどういう訳かとても良かった。 あまり目にしない画家も一部屋とっているので広がりと深みのある展示になっています。 例えばホドラーとココシュカです。 M・ベックマンの3枚も気に入りました。 最後の部屋がジャコメッティとは悩みますね。 観後感が混乱しました。 *館サイト、 http://www.nact.jp/exhibition_special/2014/zurich/

■ノルマンディー展-近代絵画のはじまり-

■損保ジャパン日本興亜美術館、2014.9.6-11.9 ■ http://www.sjnk-museum.org/program/current/2139.html ■ノルマンディ地方はよく登場するけど今まであまり気にかけなかったの。 でもこの展示をみて「セーヌ河口岸」の存在を確信したわ。 「セーヌ左岸」とはちょっと違う意味だけどね。 作品リストのノルマンディ地図に20ほどの町名が載っていたの。 これは面白い。 この町名と作品を一つ一つ照らし合わせてルーアンからル・アーブル周辺迄の河川や海の姿、港や街並みを組み立てて五感風景を想像したの。 展示120点のうち町名のついた作品が8割もあるのよ! でも疑問ばかりね。 林檎は寒い地方の果物なのに雪の絵が1枚も無い! そして多くは冷たそうな海を描いているに海水浴の絵が多い!? 一度行って自分の肌でノルマンディの陽の光と風の流れそして土の匂いを感じるしかないわね。 でないと本当のことはわからない。 ともかくこれだけの画家を動員できる「セーヌ河口岸」は凄いとおもう。 地中海はやっぱり遠い! パリっ子は海をみたいのよ。 だから列車で二時間の距離は魅力かもね。  今回はたくさんの町名も覚えたしノルマンディー絵旅行は楽しかったわ。 

■中澤弘光展-知られざる画家の軌跡-

■そごう美術館,2014.9.12-10.13 ■彼は厳格な祖母に育てられたとある。 これが全てを物語っているようだ。 裸婦、舞妓、旅行、古美術収集・・、これらのテーマは厳格な幼少年期時代の反動から来ている。 世間からみれば男の趣味の範疇と取られるだろう。 黒田清輝のもとで外光表現を学んだがなかなか面白い作品がある。 地球上の風景とは思えない光を扱っている。 後半デザイナーに変身している。 装幀の全てを扱っているがこれも与謝野晶子の影響であリ本人の意志とは別だろう。 絵はともかく文字は見られたものではない。 時代が彼を活かしたのだとおもう。 副題にもあるように素人からみれば「知らない画家」の一人になるのは展示をみてもわかる。 *館サイト、 http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/14/nakazawa/index.html

■TYINテーネステュエ・アーキテクツ展

■ギャラリー間,2014.7.10-9.20 ■タイで作成した木造建築物は校倉造りに似ていていかにも涼しい感じがするわ。 温度・湿度・風がコントロールできるなら夏でも空調機は不要だもんね。 しかも住民も参加して近くで取れる材料で作るから費用も安くて済む。 これで蚊の対策があれば完璧よ。 グローバル・サスティナブル建築賞をとった理由も納得。 予算やデザイン重視に疑問を持ったというけど、世界に充満している資本の論理を何とかしたいということね。 このようなサスティナブルな活動が今後も続けるにはどうしたらよいのか?は論じていなかったようだけど(見過ごした?)、一番聞きたいところね。 社会組織の関係性を変える方法論もよくみえなかった。 こういうのはいつも建築から飛び出しちゃうのよ。 日本でも「小屋」や「原始的居場所」、「みんなの家」、「森のなかの住宅」等々似ている作品はあるけど肝心なところが違う。 グローバルの捉え方に差があるということかしら? ともかく不明な点が多々ある展示会。 サスティナブルに理解するしかない。 *館サイト、 http://www.toto.co.jp/gallerma/ex140710/index.htm

■ボヘミアングラス耀きの静と動-プラハ国立美術工芸博物館所蔵-

■サントリー美術館,2014.8.2-9.28 ■歴史などに興味があれば良いのでしょうが、使い古した食器が並べてある感じです。 気に入ったのは10に一つありません。 時代が遡るほどガラスが薄いから貧弱にみえるのです。 唐草文様などのベラン飾りなどは意匠が弱いのでエングレーヴィングが生きていません。 現代に近づくほど商品としての価値を取り込んでくるので欠点は少なくなってきますが、それにしても垢抜けしていません。 当時のヴェネチアン・グラスと比較できるコーナーがあったら面白かったでしょう。 *館サイト、 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2014_4/?fromid=topmv

■思い出のマーニーX種田陽平展

■江戸東京博物館,2014.7.27-9.15 ■本は読んでいたけど映画は未だ観てないの。 夏休みはどこも混んでいたから行ってないのよ。 この展示会も15日迄だから急いだの。 なんと日本の北海道が舞台!? しかも本に載っていた地図とは違う・・。 会場は「湿っ地屋敷」で一杯ね。 建物の平面間取りを頭に叩き込んで会場を回ったから屋敷の構造とイメージは忘れないわ。 でも現代美館での「借りくらしのアリエッティX種田陽平展」のようなドキドキ感は無かった。 やはり映画を先に観ないとだめかしら? 映画の補足のような展示会だったのが原因かもね。 そして物語の核心に触れていないから。 さーてと、映画を観に行きましょか? *館サイト、 https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/past/2014/

■磯崎新12X5=60

■ワタリウム美術館,2014.8.31-15.1.12 ■建築外の美術・映像・音楽・舞台などの文化手法を取り込み建築の解体・再編を試みた磯崎新の「建築外的思考」を可視化した展示なの。 多くは過去のビデオ(連続写真)を観ながら彼の思考の全体像に迫る試みのようね。 他の資料もあるけど。 建築と芸術は切り離せないのはわかる。 特に1960年からの数十年は、この関係が建築家や芸術家たちの身体を通して外部からもよく見えていたのね。 ビデオをみるとそれが分かる。 当時は彼らの行動を把握するのに観客も身体を使わざるを得なかった。 情報化された今との違いかもね。 イサム・ノグチとの展示会場は作成していく流れが面白いし、ホワイトハウスは時代の雰囲気がでている。 岡本太郎展の闇が利賀山房に引き継がれていくのは初めて知ったの。 ディスコ・パラディウムは光の間から劇場の古さがポロッとみえる時間の堆積感がいいわ。 ところで軽井沢の書斎「鳥小屋」の実物建築に登ったけど居心地は悪いわね。 本棚には中谷宇吉郎、谷崎潤一郎、多田富雄などが目に止まった。 そして会場入口の幹林院の言葉は磯崎新の建築外的総括の言葉そのものね。 作品が多くて総てをみる時間がなかった。 映像をみないと楽しくない展示会は大変ね。 ここはパスポート制チケットで何回でも入場できるのがいい。 来年迄開催しているから近くを通ったら寄ろうかな? *館サイト、 http://www.watarium.co.jp/exhibition/1408isozaki/index2.html

■陶の空感・草木の空間-川崎毅と関島寿子-  ■虎ノ門ヒルズ

■菊池寛実記念智美術館,2014.7.12-9.28 ■陶器と草木を使った作品が交互にならんでいる。 交互のため上手く切り替えることができない。 前の作品から直ぐに抜け出せない。 途中から慣れてきたがそれでもリズムが狂う。 素材が違っても対象が似ていればこれほど狂わないだろう。 家々と草木で編んだ籠だから接点が少なすぎる。  陶器の街並みは作るのが楽しいと感じた。 それは積み木の延長だし、近いところでは箱庭療法もある。 前回観た「泥象鈴木治の世界」と比べると芸術性は少ない。 籠は胡桃や柳の皮を使っている。 皮や枝を使うと籠からは遠くなるが、規則性のある作品の方が面白い。 美館をでると虎ノ門ヒルズが迫っていた。 開館して間もないので行ってみることにしよう! *館サイト、 http://www.musee-tomo.or.jp/past_exhibition.html ■虎ノ門ヒルズ ■建築主:森ビル,設計:日本設計,施工:大林組 ■六本木ヒルズやミッドタウンからみるとシンプルな建物である。 道路の上に建っているから地下と1階は敷地が狭い。 上階から順にホテル→住居→オフィス→カンファレンス施設→ショップ・レストラン。 4階まで中央部分はセキュリティがある為入れない。 窓側はレストランとショップ。 その間に一周まわれる通路がある。 一周できる構造がいい。 スッキリしている。 ショップやレストランも多いとは言えない。 メニュや値段をジックリ見てきたが並というところかな? 場所柄遊歩者は少ないが、余所者は来なくても結構というビルである。 *館サイト、 http://toranomonhills.com/ja/