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■SANAA「環境と建築」、妹島和世+西沢立衛 ■白井晟一入門

■ギャラリー間,2021.10.22-2022.3.20 ■松濤美術館,2021.10.23-12.12 (タイトル順) ■二つの建築展をみてきました。 SANAA展は二人が取り組んでいるプロジェクトの途中経過をまとめたものです。 3階は十数点の全体像を4階はその部分に焦点をあてている。 多くは特徴ある広い屋根と細い柱で展開し、より環境に馴染ませようとしていることが分かる。 それは自然や都市に対してです。 中国(?)で建築中の劇場模型があったが席に顔を近づかせるとなんとなく雰囲気が分かる。 でも実物に座らないと何とも言えない。 未完成の作品展は素人には取っ付き難い内容でした。 「SANAA展」は感じさせる展示でしたが「白井晟一展」は読ませる展示方法です。 白井建築の外観を眺め内観に身を置くと精神が落ち着いていくのが分かる。 展示会も彼の創った空間を論じている。 洞窟のような濃い空気が象徴性や超越性を感じさせ精神を高めていく・・。 彼はコンパクトで廉価な住宅も検討していた。 しかし「安かろう悪かろう」とは一線を引き、どの住宅にも精神の高揚が必要だと考えていたようです。 白井の人間関係が見える展示会でした。 親戚から次々と広がっていく人々との結びつきが面白く語られていく。 彼の思想の成り立ちがわかる。 左右対称の切妻形大屋根をみているとドイツ農村の雰囲気も感じられる。 原爆記念館(案)や親和銀行の増築写真も味がありますね。 展示解説をほぼ読んだので疲れました。 *ギャラリー間、 https://jp.toto.com/gallerma/ex211022/index.htm *松濤美術館、 https://shoto-museum.jp/exhibitions/194sirai/ *「ブログ検索」に入れる語句は、 白井晟一 、SANAA

■小早川秋聲、旅する画家の鎮魂歌

■東京ステーションギャラリー,2021.10.9-11.28 ■小早川秋聲が外遊を煩雑にしていたのを知った。 グランドツアーの類にみえる。 1920年代の旅行は大変だったと思う。 遭難しかけたことも書いてある。 旅中に結婚までしている(?)。 1章「京都修行時代」から始まり2章「異文化との出会い」までは脳味噌が起きない。 旅行地図や葉書をみるのは楽しいが・・。 しかし3階から2階に降りた途端に作品が一変した。 「未来」(1926年)からは脳神経が活動しだした。 「玩具」(大正期)は目が喜ぶ。 ・・「長崎へ航く」「五月晴れ」(1931年)などスカッとした作品が次々と現れ見応えがある。 空気が澄み切っている。 それは3章「従軍画家」に入っても同じだ。 戦争画と言っても静寂が覆い血肉が昇華している。 彼は日中戦争を16世紀の戦国時代の延長として考えているようだ。 刀剣の手入れや茶の湯の人物はまさに中世日本の甦りである。 そして成吉思汗の馬と日本軍馬は同じにみえたはずだ。 時代差を凝縮し表現する、一つの歴史の見方かもしれない。 4章「静寂の日々」では旅の回想に気が休まったと思うが・・、なんとも言えない。 「國の盾」は戦後に何回も改作したらしい。 戦争の傷痕は大きい。 *美術館、 https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202110_kobayakawa.html

■印象派・光の系譜

■三菱一号館美術館,2021.10.15-2022.1.16 ■イスラエル博物館の印象派展は珍しい。 その前に、イスラエルが多くの印象派を所蔵していることは初めて知ったの。 でも富豪の層の厚さをみれば納得! よく知る画家の見慣れない作品が並ぶ展示はウキウキするわね。 知らない画家も数名いる。 ハッサム、レイセルベルヘ、ユリィの3人。 ユリィは3点もありベルリンの街が印象深い。 後期印象派も厚い。 セザンヌとゴーガンが5枚づつ展示されていたのは嬉しい。 そのうち9枚は出会っていたか思い出せない。 気に入ったのは「花咲くリンゴの木」(ドービニー)、「長椅子に座るミシア」(ヴュイヤール)など数点。 気楽に観るにはちょうど良い作品が多かった。 イスラエルを海外旅行先に選ぶことは少ない。 舞台系は日本で時々開催されるが今回のように美術系も増やして欲しいわね。 *イスラエル博物館所蔵 *美術館、 https://mimt.jp/israel/

■諸星大二郎展、異界への扉

■三鷹市美術ギャラリー,2021.8.7-10.10 ■このギャラリーは広いとは言えない。 でも今回の展示会は疲れました。 会場は迷路のようにジグザグに壁で仕切られていて作品量も半端ではなかったからです。 壁には漫画の一部を切り取り4頁つづ貼ってある。 1頁あたり平均5コマで換算すると4頁なら20コマ。 出品リストには78作品とある。 つまり全体では1、560コマになる。 これを1コマづつ目で追いながら読んでいく。 疲れるはずです。 もちろん全部目を通しました。 作品の多くは異界を描きそこに蠢く妖怪で一杯です。 その絵の中は隅々まで意味があるようにみえる。 それもそのはず、背景には世界中の神話や歴史の破片が見え隠れしているからです。 その背景になった資料等も飾られている。 縄文時代の土器、古墳時代の装飾品、曼荼羅、絵巻、東北地方の伝説など。 ニューギニア神話や中国の伝記伝説。 旧新約聖書からグリムやアンデルセン童話も。 美術界からゴヤ、ボス、ダリなどなど。 そして植物学や魚介類も。 ・・。 これらが作品にぎっしり詰まっている。 手に取った漫画の表紙はそのまま異界への扉になる。 その異界の故郷が朧げにみえるのが今回の展示会です。  *美術館、 https://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/event/20210807/

■甘美なるフランス、ポーラ美術館コレクション展

■Bunkamura・ミュージアム,2021.9.18-11.23 ■ポーラ美術館へ行く場合には1日かかる。 都内で開催する時は必ず観ないと勿体ない。 場内の各部屋の中心に居て十数枚の絵をゆっくりと回りながら眺める気分は最高よ。 調子の良し悪しで気にいる絵がいつも違うの。 今日は「エッソワの風景、早朝」(ルノワール)、「エラニーの花咲く梨の木、朝」(ピサロ)かな。 次に、並んで展示されていた「森の風景」(クロス)と「オーセールの橋」(シニャク)。 「ファルコネッティ嬢」(キスリング)がカール・ドライヤー監督「裁かるるジャンヌ」の女優と知ったのは嬉しい。 今回も文句なしに楽しませてもらったわよ。 *美術館、 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_pola/