■諸星大二郎展、異界への扉

■三鷹市美術ギャラリー,2021.8.7-10.10
■このギャラリーは広いとは言えない。 でも今回の展示会は疲れました。 会場は迷路のようにジグザグに壁で仕切られていて作品量も半端ではなかったからです。
壁には漫画の一部を切り取り4頁つづ貼ってある。 1頁あたり平均5コマで換算すると4頁なら20コマ。 出品リストには78作品とある。 つまり全体では1、560コマになる。 これを1コマづつ目で追いながら読んでいく。 疲れるはずです。 もちろん全部目を通しました。
作品の多くは異界を描きそこに蠢く妖怪で一杯です。 その絵の中は隅々まで意味があるようにみえる。 それもそのはず、背景には世界中の神話や歴史の破片が見え隠れしているからです。
その背景になった資料等も飾られている。 縄文時代の土器、古墳時代の装飾品、曼荼羅、絵巻、東北地方の伝説など。 ニューギニア神話や中国の伝記伝説。 旧新約聖書からグリムやアンデルセン童話も。 美術界からゴヤ、ボス、ダリなどなど。 そして植物学や魚介類も。 ・・。 これらが作品にぎっしり詰まっている。
手に取った漫画の表紙はそのまま異界への扉になる。 その異界の故郷が朧げにみえるのが今回の展示会です。