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■桑久保徹 海の話し画家の話し

■トーキョーワンダーサイト渋谷、2010.08.07-09.26 ■ http://www.tokyo-ws.org/shibuya/index.html ■桑久保徹を知ったのはこの3月、国立新美術館アーティストファイル2010です。 その時ビビッときたので名前を記憶しておきました。 公園通りへ行く用がなく最終日の今日やっと観てきました。 点描画を長くしたように絵具を厚く激しく塗り重ねています。 波が押し寄せてくる広い海岸に祭りのあとを描いたような内容です。 祭りとは婚宴、料理、アトリエでの作業などです。 空は複雑な色でかきまわしたようです。 日常生活で疲れきってもうどうでもいいや!と思う時がありますが、そのような放心状態に陥った時の脳味噌の中身を描いたような絵です。 会場を一巡したあと心配になりました。 このような絵をこれからも描き続けることが可能なのか? 期限のある絵だとおもいます。 桑久保は近々に次なる飛躍が必要だと感じました。

■「99歳あっぱれ太郎」展

■岡本太郎美術館、2010.07.08-09.26 ■ http://www.taromuseum.jp/exhibition/collection.html ■渋谷駅の「明日の神話」はいつも歩きながらチラッと眺めていますが、岡本太郎の作品はジックリ見たことがありません。 今回イベント「TAROと踊ろう」に行ったついでに常設展にも入りました。 太郎の絵は抽象的ですが量感がありみる者に迫ってきます。そして意味のありそうな深みはパリでの人類学などから得た表現なのでしょうか。 館内も迷路のようになっていて次に何が出るかドキドキします。 ジックリみれて満足です。 「・・踊ろう」は太郎の彫刻が20作品も置いてある企画室でのダンスです。 上田遥と広崎うらん振付の2作品でしたが前者はダンサーが金色衣装、照明も原色で彫刻と融合して見応えがありました。 どちらも大道芸を意識した作品ですので太郎にピッタリでした。 美術館は川崎市緑地公園にあり館の回りにはたくさんのメタセコイアが高く聳えています。

■バウハウス・テイスト、バウハウス・キッチン展

■汐留ミュージアム,2010.9.18-12.12 ■女学生から掃除婦までが織物工房や金属工房に総動員されています。 バウハウスを支えていた人の広がりがわかります。  実物大キッチンが展示されていました。 みると火廻り・水廻り・食卓が3壁構造になっています。 水廻りは真ん中の部屋で外部ドアもあり食材の初期調理と後かたずけがし易い構造です。 材料を家に運び入れるところから食後のかたずけ迄での全体を考えていてバウハウスの具体の一面がよく見えました。 ゴミ捨についてはなかったですが・・。 環境問題はまだ関心が低かったのでしょう。 食器類はもちろんベジタリアン料理の写真まで展示されていてタイトルのテイストのひとつの意味がわかりました。 やはり実物大作品には巻き込まれますね。 そして同じビル内に最新のキッチンショールームがあるので現代との比較も可能です。 主催者はこれも狙っているのでしょう。 *美術館、 https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/10/index.html

■ドガ展

■横浜美術館,2010.9.18-12.31 ■ドガが裕福な家庭の出身、法律から絵画への転向、アングルへの信奉、眼の悪化など・・今回の展示会で知りました。  特に室内でのパステル画や写真は眼病と無関係ではありません。 しかしこのような知識をたくさん持ったからといって絵を見るのが楽しくなるとは限りません。 「落馬した騎手」の馬は固い筋肉が跳ねるような感じで観ても心が躍動します。 「湯浴みする女」「スポンジで背中・・」「浴語の朝食」などのパステル画は時空を巻き込んだデッサン力のある人物を描いていてさすがだとおもいます。 写真を見て描いたという絵は残念ながら写真のほうがすばらしいです。 しかしバレエ画が良いとは思いません。 特に手の動きに踊りの魂が入っていません。 ドガは1週間もあれこれ考えてしまう画家ではありません。「あっ!ドガだ・・。」という画家です。 *館サイト、 https://yokohama.art.museum/exhibition/archive/2010/20100918-89.html

■崔在銀展-アショカの森-

■原美術館、2010.09.11-12.26 ■大木の根っこをゆっくりと写すビデオ「フォエバ・ァンド・ァ・デイ」や逆に激しい動きの「森はいつからそこにあったのか?」を見ても何かを感じとろうとする気持ちが湧きあがりません。 写真「幻想の裏面」を見ると尚更滅入ってしまいました。 アショカ王の知識を増やしたところで作品への興味は進まないでしょう。 会場をひとまわりした後、早速場内ショップで数年前に出たカタログをめくると・・・。 1970年代前半から草月会館で活動したようです。 そこでの生け花はすばらしい。 彫刻・映画と活動を広げている韓国の芸術家だと初めて知りました。 隣にあった中村佳子対談集でもゲノムの話をしている・・。 深く知れば結構面白い芸術家のようです。 しかし今回の展示はつまらないの一言に尽きます。

■ウフィツィ美術館自画像コレクション

■損保ジャパン東郷青児美術館,2010.9.11-11.14 ■「ヴァザーリの回廊と自画像コレクション」がウフィツィからのタイトルです。 回廊に自画像が埋め尽くされている写真が展示されており目が釘付けになります。 美術館が現在も精力的に自画像を収集していたとは知りませんでした。 展示は期待以上でした。 鼻しか描いていない作品やイニシャル文字だけの作品など画家の性格が出ていて飽きません。 印象派画家が少ないのがまた清々していていいですね。 エリザベート・シャプラン「緑の傘を手にした自画像」の光を色彩に変換している作品に感心しました。 新たに美術館に保管される日本人画家、草間彌生・横尾忠則・杉本博司の自画像も展示されています。 この中で本物のメガネのフレームを回りに配置して眼鏡の光で目が見難くなっている無色彩の杉本博司の自画像はサプライズです。 ウフィツィ美術館がまた少し近づいてきた展示会でした。 *館サイト、 http://www.sjnk-museum.org/program/past/325.html

■陰影礼讃

■国立新美術館、2010.09.08-10.18 ■写真展だと思いきや絵画・版画・ビデオなどあらゆる作品が展示されていました。 タイトルを意識して観はじめたのですが直ぐに忘れてしまいます。 普通に陰影は存在するものですから。 会場は4章にまとめられていますがテーマと作品を強引に結び付けようとしている感じもします。 速水御舟の「秋茄子・・」は初めて見たのですが記憶に残りました。 ユージン・スミス「楽園への歩み」は子供時代のワクワクした感じと未知への不安があるすばらしい写真です。 ヴォディチコのビデオ「もし不審なものをみかけたら・・」は曇りガラスの後ろに実人物が居て会話をしているようで面白い作品です。 全体をふり返ると陰影は陰に隠れてしまい作品だけを鍋の中でごった煮にしたような展示会にみえました。

■フランダースの光-ベルギーの美しき村を描いて-

■BUNKAMURAザ・ミュージアム、2010.09.04-10.24 ■会場で出迎えてくれたアベールの絵を見た途端深遠な感覚に襲われてしまいました。 風景画でこのような体感は初めてです。 これが象徴主義だ、と説明にありました。 次のサードレールもアベールほどではありませんが何かひきつけられます。 しかし長く見ていると飽きます。 人物の描かれていない象徴主義絵画の限界でしょうか。 印象主義画家ではエミール・クラウスの草木の光輝く黄金色が会場を圧倒しています。 コクのあるビールを飲んでいるようです。 児島虎次郎がこのような絵を描いている理由が今わかりました。 当時彼はベルギーへ行っていたのです。  表現主義らしき絵もありましたがたいしたことはありません。 アベール、サードレール、クラウスの3人の絵に出会えただけで満足です。