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■オラファー・エリアソン展、相互に繋がりあう瞬間が協和する周期 ■麻布台ヒルズ

■麻布台ヒルズギャラリー,2023.11.24-24.3.31 ■未だ見ていない麻布台ヒルズは来年行こうかな? と考えていたが今日にしました。 ・・神谷町駅を降りガーデンプラザAにあるギャラリーへ。 「オラファー・エリアソン展」は小規模ですね。 作品は10数点しかない。 そう、ホースから水を勢いよく出しストロボ照明をあてる大作が1点ありました。 さすが水のエリアソン。 作家のインタビュー映像をみて開催理由が分かりました。 タワー棟のオフィスロビーに彼の作品が常設されたからです。 これに関連した展示会らしい。  そしてヒルズを見学する。 だいぶ歩き回りました。 建物が分散しているからです。 春に開催された「 ヘザウィック・スタジオ展 」で模型を見ていたが、実際のコンクリートに石を混ぜ合わせた外壁とそのデザインは素晴らしい。 色彩も落ち着いていますね。 でも「緑あふれる・・」とあったが周囲は未だ草地です。 そしてレジデンスBも未だ工事中です。 遅れている理由をビジネス誌で読んだが建設会社も苦労しているらしい。 タワー高層階へ上ろうとしたが今日は貸し切りでした。 残念! ところでオフィスロビーにエリアソンの作品数個が宙に浮かんでいた。 材料は廃棄物を製錬した亜鉛のようです。 この亜鉛色の小さな立法体が連なって渦を巻いているのだが少し地味に見える。 でも「 私たちのエコロジー 」に繋がっていくのはお見事です。 昼食時だったのでタワー低層部のレストランを回る。 先日の虎門ヒルズと比較して昼食は千円高い。 理由は虎ノ門が会社員、麻布台は住人を対象にしているからでしょう。 しかも近隣には高層マンションが多い。 都心風景の変化が近頃は早すぎる。 それでも南側を歩くと霊友会やロシア大使館、白井晟一設計のノア・ビルなどは昔のままでした。 ところで六本木五丁目プロジェクトも開始されたようだがここもヒルズになるのでしょうか? ヒルズで埋め尽くされそう! *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、オラファー・エリアソン ・・ 検索結果は3展示 . *麻布台ヒルズ、 https://www.azabudai-hills.com/index.html

■2023年美術展ベスト10

*当ブログに書かれた美術展から選出. 並びは開催日順. 映画は除く. ■ クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ   東京都現代美術館 ■ 合田佐和子展、帰る途もつもりもない   三鷹市美術ギャラリー ■ ヘザウィック・スタジオ展   東京シティビュー ■ 本橋成一とロベール・ドアノー   東京都写真美術館 ■ 田沼武能、人間賛歌   東京都写真美術館 ■ デイヴィッド・ホックニー展   東京都現代美術館 ■ イヴ・サンローラン展、時を超えるスタイル   国立新美術館 ■ ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン   アーティゾン美術館 ■ 大巻伸嗣、真空のゆらぎ   国立新美術館 ■ 倉俣史朗のデザイン、記憶の中のなかの小宇宙   世田谷美術館 *昨年の美術展ベスト10は・・「 2022年美術展ベスト10 」.  *今年の舞台ベスト10は・・「 2023年舞台ベスト10 」. *今年の舞台映像ベスト10は・・「 2023年舞台映像ベスト10 」.

■蜷川実花展、瞬きの中の永遠 ■虎ノ門ヒルズ

■虎ノ門ヒルズ・ステーションタワー・TOKYONODE,2023.12.5-24.2.25 ■オーバル広場を歩いていて8年前に見学したことを思い出しました。 当時の虎ノ門ヒルズは森タワー一棟しかなかった。 現在はステーションタワー、ビジネスタワー、レジデンシャルタワーの三棟が追加されている。 先ずは東京ノードで「蜷川実花展」を観る。 ステーションタワー8階入口から45階へ。 天井が高くて気持ちが良いですね。 そして・・花・蝶・金魚に囲まれた作品群の中を歩くのは楽しい。 蜷川実花は写真家より映像作家へ比重を移しているらしい。 気に入ったのは「Breathing of Lives」「Embracing Lights」。 この2作は都市と自然が対象だが似ている。 前者は<日本の季節>に接するように都市を撮影している。 後者では<季節の記憶>が表現されている。 柔らかな海の波、機内からみた雲、光り輝く青空、湿気の多い空気、どれもが懐かしい。 ヒルズ開館記念展として満足しました。 ステーションタワーの店舗は未だ開店前が多い。 ということでビジネスタワーの低層部へ行く。 昼食時の「虎ノ門横丁」を見てきました。 混み合うのは夕刻からでしょう。 しかしこの界隈は何もない。 ヒルズ完成でビジネス街として一層近づきましたね。 虎ノ門ヒルズ駅ができて便利になったのは確かです。 *虎ノ門ヒルズ、 https://www.toranomonhills.com/ *🐸の Twitterへ ・・

■キース・ヘリング展、アートをストリートへ

■森アーツセンターギャラリー,2023.12.9-2024.2.25 ■太くて絵文字のような作品は思わず笑顔を誘い、一度見たら忘れられない。 場内も華やかです。 1980年代ニューヨークが再現されている。 辛辣なメッセージも含まれていますね。 彼は心に決めていた。 「行くべきところはニューヨーク以外になかった!」と。 ゲイ・AIDS・天使は1980年代の裏NYを代表する語句かもしれない。 彼はそれを受け入れ消化する力を持っていた。 公共へ目を開いたのが幸いです。 その場をアートで解放した。 そして彼は「社会貢献活動を多く行ない、AIDS撲滅活動や恵まれない子供たちへ・・」天使のごとく振舞った。 30歳の生涯を全力で駆け抜けましたね。 *美術館、 https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/keithharing/index.html

■私たちのエコロジー、地球という惑星を生きるために ■さわひらき ■地主麻衣子

■森美術館,2023.10.18-2024.3.31 ■「環境危機に現代アートはどう向き合うのか?」。 会場は「全ては繋がっている」「土に還る」「大いなる加速」「未来は私たちの中にある」の4章でまとめている。 具体物をアートに変換、過去との比較や回帰、将来の方向性を示唆、などなど多彩です。 環境に無関係にみえる作品もある。 その中で2章「土に還る」は日本の環境問題を扱っていて政治的です。 米国核実験で被災した第五福竜丸事件やチッソ水俣病事件、1970年前後の排気ガス、これら放射能や薬品、大気汚染への告発作品は先鋭的です。 そして映像の力は強い。 20作品くらいあったが、長中編(20分前後)は次の4本を選ぶ。 「時の矢」(エミリヤ・シュカルヌリーテ)、「ナイト・コロニー」(アピチャッポン・ウィーラセタクン)、「制御された炎」(ジュリアン・シャリエール)、「人と神と泥について」(アリ・シェリ)。 上記では「人と神と泥について」がいいですね。 ナイル川近郊で昔ながらのレンガ造りを撮影した作品でマッタリ感があり心身が緩みました。 このような風景はなくなる運命ですか? この展示会は環境抜きで先ずは素直に観たほうがよい。 あとからナルホドと環境に連携できれば尚よいでしょう。 *美術館、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/eco/index.html NAMコレクション「さわひらき」の会場はテレビ画面で数作品を上映していた。 多くは以前観たものです。 NAMプロジェクトでは地主麻衣子の「空耳」が展示されていました。 *美術館、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamcollection017/index.html *美術館、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamproject031/index.html

■倉俣史朗のデザイン、記憶の中のなかの小宇宙

■世田谷美術館,2023.11.18-24.1.28 ■倉俣史朗が亡くなり既に30年も経っている。 でも彼の家具はまったく歳をとらない。 家具となったガラスやプラスチックや金属から時間がつるっと滑り落ちてしまっている。 時間が付着できない。 それは重力を消している為かもしれない。 時間は重力に吸い付く。 「ガラスがプラスチックを真似る時代だ・・」。 家具はどれも軽くて明るい。 「裁判官の椅子は替えたほうがよい・・」。 権力はどこまでも重い椅子で押さえつけてくる。 パリ国立高等美術学校でのインタビューが上映されていた。 作者への質問は「「ミス・ブランチ」は狂気寸前の匂いがあるようだが、いかがか?」。 ヨーロッパの生活・文化には薔薇が深く入り込んでいる。 彼らには「ミス・ブランチ」に沢山の意味が付着して見えるのかもしれない。 多くの日本人は梅や桜と違い薔薇に深い意味を持たないはず。 歴史も文学も無い。 薔薇はバラになり浮遊し重力も時間もなくなる。 「ミス・ブランチ」に狂気を見出すのは深読みです。 ところで作者がこの質問に何と答えたのか聞きそびれてしまった。 *美術館、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00216 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、倉俣史朗 ・・ 検索結果は2展示 .

■大巻伸嗣、真空のゆらぎ

■国立新美術館,2023.11.1-12.25 ■大巻伸嗣(おおまきしんじ)・・、初めて知る作家かもしれない。 先ずは(1章)大きな籠のようなものがドカンと置いてあるのに驚く。 でも、ありきたりな感じもします。 次(2章)はフォトグラム。 光と影、ボヤケとユラギ。 なかなかいい。 そして(3章)舞台美術。 ダンス映像もある。 映像では美術が脇役にみえる。 ドローイングに目が釘付けになる。 力強い線です。 作者の自信が零れている。 4章は暗い会場に揺れなびく布の「真空のゆらぎ」。 タイトルロールの通り、見た途端にこれが今日の山場だと分かります。 暗闇の海岸に打ち寄せる大波にもみえる。 ずーっと見ていると不思議な気分になってきますね。 これはソラリスの海か? 知らない惑星に降り立って海を見ている自分とは誰(何)か? 5章は水彩画。 先日の「横尾忠則、寒山百得」と同じコロナ下という環境で作られた即興画らしい。 水彩の抽象画だが。 6章は映像「Rustle of Existence」。 17分なので最後まで観る。 字幕は詩に近い。 雑木林を映している。 人類の遠い出生、その輪廻を感じさせる。 これも気に入りました。 再びドローイング(7章)。 舞台のドローイングと同じように即興的で力強い身体性の動きがみえる。 幅広い分野に関心を持っている作家にみえます。 もう名前は忘れないでしょう。 舞台芸術で出会えるのが楽しみです。 ところで、この展示はチケットを購入しないで入場できた。 チケの有無の違いは何か? 入場料を払っても、お釣りが戻る内容でした。 *美術館、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/ohmaki/index.html *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、大巻伸嗣 ・・ 検索結果は2展示会 .

■横尾忠則、寒山百得展 ■キュビズム展、美の革命

□横尾忠則,寒山百得展 ■東京国立博物館・表慶館,2023.9.12-12.3 ■百得に合わせて作品百点が展示されている。 その作品の作成スピードが驚きの速さです。 日付が記載されているのでそれが分かる。 毎日完成させている時期もある。 そして似たような内容で続くことが多い。 たとえば印象派風、キリコ風、E=mc2系、FUSION系、ポスター風などなど・・。 でも次に何が出るのか予想はつかない。 作者は寒山拾得へ融合しようとする気配がみえますね。 三位一体か? 「風狂」の境地に近づけたか! ますます盛んにみえます。 *美術館、 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2598 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、横尾忠則 ・・ 検索結果は4展示会 . □キュビズム展,美の革命 ■国立西洋美術館,2023.10.3-2024.1.28 ■「横尾忠則展」が早く終わったので西洋美術館に寄る。 先ずはポーラ美術館所蔵のセザンヌ作「4人の水浴の女たち」「ラム酒の瓶のある静物」に出会えたのが嬉しい。 私の好きな2点です。 ピカソとブラック以後のキュビズムの流れがよく分かりますね。 14章に分かれているが1章ごとの枚数が少ないので取っ付き易い。 作家と作品がしっかり脳に刻まれていきます。 そして終章がル・コルビュジエで終わるのも象徴的です。 また全体を通してセザンヌの影響が色濃く表れている。 1907年のセザンヌ展の衝撃が想像できます。 ところで第一次世界大戦中のフランスとドイツの論争は初めて知った。 ここは面白く観ました。 キュビズムの歴史を分かり易く分類し、しかも豊富な作品でまとめた展示は滅多にみることができない。 ポンピドゥーセンターと当館共同企画の成果が現れています。 *美術館、 https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2023cubisme.html

■Material,or ■偶然は用意のあるところに、西澤徹夫

□Material,or ■ディレクター:吉泉聡 ■2121デザインサイト,2023.7.14-11.5 ■「存在するありとあらゆるマティリアルが素材として意味づけされるプロセス・・」。 よく分からない文章です。 たぶん<素材>が日本語で<マティリアル>が英語?だからです。 マティリアルは素材よりも自然に近い? 素材は身体・経験からなんとなく理解できるが、マティリアルは辞書を引いても母語的な接近ができない。 会場を歩きだすと・・、 床に自然や人工界にあるモノが散らばっている。 鉱物・植物・動物、そこから加工した鉄・ガラス・プラスチック・ゴム・毛皮などなど。  分かった!、ここでのマティリアルは材料と訳してもよいかもしれない。 でもチョット違う。 気に入ったのはキツツキの巣を断面で切断した木片です。 室内での体の動きや鳥の考えが想像できます。 そして熊の寝ている模型です。 呼吸数は少ない。 いびきをかいている。 しかしナゼ熊の模型があるのか? 今回は<当たり前といえば当たり前の内容>でした。 *美術館、 https://www.2121designsight.jp/program/material/ □偶然は用意のあるところに ■ギャラリー間,2023.9.14-11.26 ■会場は美術展に近い。 それは展示されている建築模型が五月蠅く無いからです。 しかも細かいところを解説している。 例えば公園の夫々の椅子は会話をし易くするために位置を微妙に変化させている。 建物の壁は一日の日差しを確認して相応の色を選択している。 建物の周囲の勾配を少しずつ傾けて周囲との調和を図っている。 「偶然は用意のあるところに」がわかりました。 そして偶然とは感動に出会うことですね。  美術展室内を上から俯瞰した模型もある。 美術展会場は都市と同じである、と言っている。 つまり表層だけしか見せない。 都市を遊歩するときと同じです。 でもその奥を見てみたい! ・・覗き窓があった! *美術館、 https://jp.toto.com/gallerma/ex230914/index.htm

■ゴッホと静物画、伝統から革新へ

■SOMPO美術館,2023.10.17-2024.1.21 ■会場は混雑していますね。 当館では珍しい。 先ずは「麦わら帽のある静物」(1881年)が気に入りました。 器などはセザンヌを思い起こす。 その前の「髑髏」(1887年)もなかなかです。 ゴッホの絵画歴は10年しかない。 それだけ密度が濃い。 ゴッホが花へ向かったのは色彩訓練の為と聞いている、モデル代が無かったのも理由でしょう。 モンティセリなどを高く評価していたことも分かる。 そして花の静物画に焦点を当てているのである意味華やかです。 そして彼の最後の5年は衝撃的です。 「ひまわり(1888年)」も激しいがどこか冷めている。 過去を意識させるネットリ感が無いからでしょう。 自身の耳をそぎ落とした直後の「皿とタマネギのある静物」(1889年)は光も空気も爽やかです。 「ゴッホは何を学び、何を伝えたのか?」。 彼の精神は極限状態です。 しかし冷静にみえる。 乾いた狂気ですね。 この凄まじい均衡を自身の内に蓄え続けながらそれを作品として我々に突きつけた。 彼が教えてくれるのは<正気と狂気の均衡を保て>です。 関連する他画家の作品も多くて満足しました。 *美術館、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2023/gogh2023/

■それぞれの闘い、春陽会誕生100年

■東京ステーションギャラリー,2023.9.16-11.12 ■なぜタイトルが<闘い>なのか?観ていて分かりました。 それは春陽会が「画家のための自由な団体」だからです。 岸田劉生の影響力が強くなり梅原龍三郎が1925年に脱会、欧州帰りの画家と意見が合わず1933年に多くが脱会とある。 やはり<自由>なことから画家たちの意見が違う、活動がバラバラ等々の為でしょう。 長谷川潔、駒井哲郎などの版画家も入会している。 美術ジャンルが広い。 闘わなければ自由を獲得できない(?) 会場の円形特設室には岸田劉生と木村荘八が展示されていましたね。 特に永井荷風「墨東奇譚」は傑作です。 山本鼎の2枚「独鈷山麓秋意」「浅間山秋の朝」の深陽乾燥冷気赤茶風景が気に入りました。 ところでアントニー・レーモンドの登場には驚きです。 会員に建築好きの画家でもいたのでしょうか? そして岡鹿之助で締めています。 5枚くらいあったがまとめて観ることができて嬉しい。 今年4月開催の第100回春陽展は見落してしまった。 行っていれば春陽会の歴史が現代と繋がったかもしれません。 *美術館、 https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202309_shunyo-kai.html

■ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン ■創造の現場、映画と写真による芸術家の記録 ■読書する女性たち

■アーティゾン美術館,2023.9.9-11.19 ■最初の作品「汝、経験に依りて過つ」でサンサシオンの洗礼を受けました。 30度に傾いた室内に入ると立っていられない。 室が動いている!? 最後まで家具にしがみついていました。 いざ、あっち側へ! 「・・サンサシオン」は山口晃展です。 それも解説が全て漫画風になっている。 面白く読み進められる。 先ずはセザンヌの謎に迫ります。 もちろん漫画風ですが内容は凄い。 絵に興味がある人なら<セザンヌの謎>は通過儀礼でしょう。 ここでは筆の動かし方や視線のこと色のことなどを展開していく。 流石に画家の見方は深く鋭い。 次は雪舟にいきます。 しかし「四季山水図」はガラスで反射していてよくみえない。 さて、白一面に塗られた室内に入り・・、白壁を凝視していると、出た出た飛蚊症が。 これは眼中の蚊を眼底で見ているらしい。 ガンテイとは!? そして日本橋と高速道路やオリンピック関連など面白い漫画が続いていく。 その間をぬって画家の作品がある。 なかなか刺激的でした。 じっくり読み返したいので展示カタログを購入しようとしたら大きい。 鞄に入らない。 諦めました。 帰宅してWEBを見たらオンラインショップがある。 早速購入しました。 次展の4階へ・・。 アーティゾン美術館で映画を撮っていたとは初耳です。 とは言っても画家のドキュメンタリー映画ですが。 1951年から64年まで61人の画家を撮っている。 もちろん白黒だが前田青邨の「石橋」はカラーでした。 画家が製作しているところは見ものです。 筆遣いなどが分かる。 でもアトリエとしての自宅の和室は綺麗すぎる。 撮影のため晴着姿にしたのでしょうか? 映像の間に作品を観て回る会場でした。 映写前には椅子が二つで最初から見る気はないという想定ですね。 映像展示方法は見直してもらいたい。 WEBで条件付きで観られるようにする、などにです。 「読書する女性たち」もついでに寄る。 「読書という画題は男性に属する・・」。 しかし男性が読書する絵などは記憶にない。 みな女性です。 それも明治・大正時代の西洋で学んだ日本人画家に多い。 会場もこれに沿っている。 画中の読書空間は独特な雰囲気があります。 *美術館、 https://www.artizon.museum/exhibition/detail/55

■イヴ・サンローラン展、時を超えるスタイル

■国立新美術館,2023.9.20-12.11 ■「・・大事なのはラインだ」。 ディオールの言葉です。 「・・スタイルは永遠である」。 当展示会でのサンローランの言葉です。 ラインは何とか分かる。 でもスタイルとは何か? サンローランはディオールの後を継いだが、直ぐに時代と共に走り出す。 その特徴は「紳士服を女性向けに改良した」ことで始まる。 これで女性を解放できる!? 手っ取り早い。 次は「机上の旅」で異国を想像しデザインに取り込む。 そして美術や舞台芸術からの感動を服飾に適用する。 ・・。 時代を消化していくのがわかる。 ところで彼がディオールを引き継いだ直後の「トラベーズ・ライン」には美が感じられる。 気に入ったのはイヴニング・アンサンブルのカーディガン類。 ゴッホとボナールなど画家へのオマージュのジャケット。 これらはライン→シルエット→つまり形が素晴らしい。 彼のラインにはディオール(の美)が無意識として存在している。 彼の言う「スタイル」は大きな時間の流れの中でみえてきます。 時代を(作品に)消化する才能をスタイルと言っているように聞こえる。 彼のスタイル=美がすぐには見えない理由がここにある。 彼の作品を微分するとライン=ディオールが、積分するとスタイル=サンローランがみえてくる。 *美術館、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/ysl/

■永遠の都ローマ展 ■荒木珠奈展、うえののそこから「はじまり、はじまり」

■東京都美術館,2023.7.22-12.10 ■「ローマ展」作品の多くがカピトリーノ美術館所蔵です。 私の記録では昔に一度ここを訪れている。 しかし記憶が無い。 地味だったということですか? でも中庭の模様は素晴らしい。 ローマの航空写真のなかではピカイチです。 「ミケランジェロによる広場構想」として今回も一章を割いている。 会場に入ると「カピトリーノの牝狼」(複製)が置いてある。 たしか教科書にも載っていたはず。 じっくり眺めました。 狼にしては表情や体形に鋭さが無い。 やはり子供を育てているからでしょう。 目玉は「カピトリーノのヴィーナス」です。 この作品も写真で何回かみている。 悪くはないが、じっくりみると・・、いやとても良い。 四章は絵画コレクションだが、知っている画家は少ない。 会場はやはり地味ですね。 硬さのあるローマ帝国史をおさらいしているようです。 彫刻が多いので余計に硬かった。 近頃はイタリアにはご無沙汰しています。 またイタリアに行きたいですね。 でも今日の展示会はそのきっかけにはなりません。 ということで「ローマ展」横で開催している「荒木珠奈展」もみることにしました。 初めて聞く作家です。 メキシコに留学したようです。 骸骨があるある・・、「メキシコ万歳」ですね。 しかし銅板版画が得意のようです。 会場入口の作品は学生らしさが抜けないが、途中に展示されていた版画はなかなかです。 紙・木・土を使った作品も多い。 その成果として、地下会場に上野の風景が広がっている。 とは言っても、真っ黒い大きなカボチャの骸骨ような彫刻が置いてあるだけですが。 その周囲に破片らしい彫刻も落ちています。 20世紀の上野には暗い顔がある。 戦争引揚者と闇市、東北の終着駅、アメ横やパチンコ村の繁華街・・。 作品はこれを表現しているがきわめて抽象的です。 「岩倉使節団」がカピトリーノを訪ねてから150年、上野は戦後80年です。 上野の闇はもはや抽象的にならざるをえない。 *美術館、 https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_rome.html *美術館、 https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_tamanaaraki.html

■宇川直宏展 Final Media Therapist @Dommune

■練馬区立美術館,2023.9.10-11.5 ■宇川直宏のプロファイルには「現”在”美術家」「映像作家」「グラフィックデザイナー」・・、幾つも並ぶ。 「全方位的アーティスト」です。 でも「DOMMUNE主宰」が一番分かり易い。 会場は前口上で始まり、1章(1925ー1950)から6章(2020-現在)は年代順で音声(ラジオ)・映像(テレビ)・インターネットのアンダーグラウンド系配信史を具体的装置と作品で展開。 7章から9章はマスメディア・ローカルTV局などでの実践活動報告。 10・11章はAIも駆使しての絵画創作活動になっている。 その方向は放送・出版・広告を越えようとしている。 メディア世界の広さと深さを感じさせます。 「DOMMUNE」をみてもそう思う。 知らない人々と出来事で一杯ですね。 先日「ジェーン・バーキン追悼」番組をちらっとみたが、私は「欲望」のバーキンしか知らない。 これでもか!とバーキンに迫っていく。 作品量は半端でない。 雑音まで一緒くたで迫ってきます。 面白いのだが取っつき難い。 変わったセラピストです。 *美術館、 https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202306031685756682

■アンドレ・レオン・タリー、美学の追求者

■監督:ケイト・ノヴァック,製作:アンドリュー・ロッシ,出演:アナ・ウィンター,マーク・ジェイコブス,イヴ・サンローラン他 ■アマゾン・配信(アメリカ,2017年作) ■アンドレ・レオン・タリーとは何者か? 30分ほど観ていても分からない。 はじめはデザイナーかと思ったが・・。 スタイリストとは何か? これが分からなかったからです。 彼はD・ブリーランドの助手として美術館で働きだす。 ブリーランドに祖母の面影をみたからです。 彼は米国南部で生まれ育った。 そこで祖母から親しみのある厳格で自制心を持つ育て方を受けた。 「日曜日の教会はファッションショーのようだった」。 彼は懐かしく回想している。 そしてWWD紙パリ支局に移る。 アンディー・ウォーホルの電話番もしている。 最後にヴォーグの編集に携わりパリ・ファッションショーで影響力を増していく。 彼の職業は雑誌記者と言ってよい。 でも彼の記事は読んだことが無い。 これも彼が何者かが分からなかった理由です。  H・クリントンが大統領選に敗れた時の彼のショックは大きかった。 今も続く黒人差別を生き抜いているからでしょう。 フロントロウにアナ・ウィンターを(写真等で)よく見ていたがその横にアンドレがいたとは驚きです。 彼にとってスタイリストとは自分らしく生きると同義語だったはずです。 *映画com、 https://eiga.com/movie/98650/

■わたしたちの国立西洋美術館、奇跡のコレクションの舞台裏

■監督:大墻敦(おおがきあつし),出演:国立西洋美術館職員,今津京子,陶山伊知郎ほか ■川崎アートセンター,2023.8.26-9.8(日本,2023年作) ■国立西洋美術館は2020年10月から1年半の長期休館に入った。 企画展示室の屋根にあたる前庭の雨漏修理、その前庭をコルビュジエ案に戻すことが休館理由らしい。 この期間に撮ったドキュメンタリー映画です。 内容は前庭の工事状況を背景にしながら職員の仕事ぶりを映す。 山形展・富山展概要、ドイツ美術館への貸出、特別展の特徴や作品履歴が重要なこと、作品購入会議などなどを淡々と描いていきます。 館長や職員の横顔も紹介する。  この数十年の間に予算が半減されてヒトモノカネが足りないことを館長は嘆きます。 新聞社等が仕切る特別展の将来不安もある。 内容は保守的にみえます。 仕事が地味にみえる。 モノを扱う部分を多く描いているからでしょう。 これからの美術館はどうあるべきか? 「アジアの人々がこの西洋美術館へ来れば西欧をみることができる・・」、と館長は言っている。 20世紀の延長を目指しているのでしょうか? ドキュメンタリー映画は<モノ>との相性は良いが<情報>を撮るのは難しい。 21世紀の姿は見えてきませんでした。 *映画com、 https://eiga.com/movie/99209/

■デイヴィッド・ホックニー展 ■「あ、共感とかじゃなくて。」 ■被膜虚実、横尾忠則ー水のように

■東京都現代美術館,2023.7.15-11.5 ■ホックニーの近作を観るのは初めてです。 ・・これは楽しい! ピカソに衝撃を受け、その後の「自然主義の罠」を克服した作品を前にすると眩暈がします。 多視点を考慮しているからです。 久しぶりに脳みそがピクピクしだした。 iPadを使っても独特の画風になるのは「世界をどのように描くか」の追求が衰えていないからでしょう。 ノルマンディーの四季は遊び心も一杯ですね。 「ありのままでいろ、好きなことをしろ、人生を楽しめ!」。 彼のメッセージです。 被膜虚実では「山羊を抱く/貧しき文法」(2016年、百瀬文)が一番でした。 「第一次世界大戦中にイギリス海軍が日本軍に大量の山羊を支援として贈ったものの、性的処理用にという支援の意図を理解できなかった日本軍が全てを食用に供してしまった・・・」。 ・・! ここから作者は他者としての山羊と対話を試みる・・。 *美術館、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/hockney/ *美術館、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/empathy/ *美術館、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-230715/

■風景論以後 ■何が見える?

■東京都写真美術館,2023.7.19-11.5 ■風景論とは何か? 会場には写真と映像が展示されている。 それらをみても風景論はよくわからない、作者の意図を少しは窺えるが・・。 論がつくとやはり言葉で表現したくなる。 映像作品は10本くらいですか? いつものとおり長編作品は選択しました。 今回は「略称、連続射殺魔」(1969年作、足立正生ほか監督、86分)を観ることにする。 これは1968年に4都市で発生した「 永山則夫連続射殺事件」を扱った作品で、永山の軌跡を辿る内容です。 彼は、・・生まれた網走から青森へ、そして上京して渋谷フルーツパーラ店に就職。 密航するが失敗。 宇都宮の自動車整備工場へ、守口で米屋へ、羽田空港レストランへ。 盗みで補導。 川崎でクリーニング店へ、新宿で牛乳配達。 再密航が失敗。 杉並で牛乳配達、青森に帰り、長野で自衛隊入隊失敗。 十数回の転職後、横須賀で銃を盗む。 その後も、新宿で喫茶店のボーイを、・・。 永山の就職先の職場や住込み寮も正確に撮影している。 彼が見たであろう故郷や都市の風景をそのままの状態で観客はみることができます。 そして彼が働いていた姿を想像できる。 彼の心情まではわからないが、彼のみた風景がどのようなものだったのか、生々しく伝わってくる。 今みると1960年代の風景は安物に囲まれた重苦しい、しかし妙に活気があります。 貧乏だが貧乏人とは思っていない活気だ。 それは皆が夢を持っていたから。 しかし永山はどうだったのだろう? なぜ何度も密航を企てたのだろう? あの風景が硬直した冷たいモノにみえていたのだろうか? ・・。 大島渚「東京戦争戦後秘話予告編」(1970年、6分)が流れていた。 レネやゴダールを意識した予告にみえる。 因みに私の大島渚ベスト3は「太陽の墓場」「日本の夜と霧」「絞首刑」。 でも、いま観直したらベスト3は違ってしまうかも。 映画も一期一会だからです。 *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4538.html *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4536.html

■中川衛、美しき金工とデザイン

■パナソニック汐留美術館,2023.7.15-9.18 ■中川衛(なかがわまもる)は重要無形文化財「彫金」保持者で、特に追求しているのは象嵌です。 「象嵌(ぞうがん)とは金属の表面を鏨(たがね)で彫りそこに異なる金属を嵌め込んで模様を作る技法・・」とチラシにある。 中川はパナソニック(株)で商品デザインを担当していたらしい。 1970年代の電気カミソリやヘアドライヤー、ラジオが展示してある。 当美術館と関係が深いですね。 その後、故郷の伝統工芸加賀象嵌に魅了され彫金家の道に入る。 象嵌は細かい。 作品にぐっと近づいてみる。 それにしても照明が暗い。 作品も暗くなる。 もっと照明を! 「夕映えのイスタンブール」(2011年)の作成過程を映像でみたが1年近くかけている。 必要条件は忍耐ですか? 条件の結果、幾何学的で地味な作品が多くなる。 後継者の問題が雰囲気として伝わってきます。 3章の「国境と世代とジャンルを超えて」でもそれが分かる。 金属を扱う工芸家に若者の成り手が少ないのでしょう。 ジュエリーは人気らしいが・・。 食器や花瓶、建築や衣装(靴)など本体につける模様である象嵌はそれだけで不利です。 現代は(商品としての)本体が優先されるからです。 しかも社会にゆとりがないと模様は衰えていく。 厳しい時代が続く予感がします。 *開館20周年記念展  *美術館、 https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/23/230715/

■甲斐荘楠音の全貌

■東京ステーションギャラリー,2023.7.1-8.27 ■作品の何枚かは観た記憶があるが甲斐荘楠音(かいのしょうただおと)という名前は初めて聞きます。 師匠村上華岳をより現実的にした女性画を多く残している。 しかも顔の描き方が独特ですね。 ボヤッとぼやけている、特に目の周りがです。 クマができているのでは? どこか健康に欠けている女性達にみえる。 「金針を持つ女」(1925年)のように岸田劉生風もあるが、当の岸田からは「デロリとした絵」と言われていたらしい。 「島原の女」(1920年)のうつむく目はダ・ヴィンチの聖母子を、また「裸婦」(No.026,1926年)はパスキンを思い出させる。 気に入ったのはダ・ヴィンチを意識した「美人之図」(1929年)。 しかし動きのある舞踊画はデロリのため狂乱化してしまう。 異様な雰囲気です。 「畜生塚」(1915年)は完成していたら大化けしていたかもしれない。 明治大正の画家が歌舞伎などに興味を持つのはよく聞くが、彼の特筆は時代劇映画に携わったことでしょう。 溝口健二監督の何本かは観ているが甲斐荘の名前は憶えていません。 時代・衣装考証など裏方の為ですか。 特に「旗本退屈男」を長く担当していたらしい。 会場には主人公市川歌右衛門の衣装やポスターがずらりと並んでいる。 まさに「越境する個性」ですね。 回顧展の少ない理由がわかりました。 絵画はデロリ、映画は旗本退屈男なら現代ではエンタメの分野になります。 *美術館、 https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202307_kainosho.html

■テート美術館展、光・ ターナー・印象派から現代へ  ■蔡國強、宇宙遊<原初火球>から始まる

■国立新美術館,2023.6.29-10.2 □テート美術館展,光・ ターナー・印象派から現代へ ■ブレイクとバーン=ジョンズの挨拶はともかく、ターナーやコンスタブルは分かるが、次にはフランス印象派やハマスホイも登場する。 ターナーの講義資料などもあり難解ですね。 カンディンスキーやマーク・ロスコもあり混乱します。 テーマが<光>だといくらでも言い訳が付く。 しかも会場の解説は取っつき難い。 画家名作品名が入っているからです。 こうなったら次に何が出るか?目が喜ぶか? 後半のキネティック・アートは楽しかったが古さが感じられる。 この20年の進化が激し過ぎます。 テートの「ごった煮美術展」と言ってよい。 台風余波のためか東京の空に躍動感が戻りました。 雲も生き生きしている。 栄養たっぷりの空に大満足です。 まさにモンスーンの空気と光です。 テートにはこの<光>がありません。 *美術館、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/tate/index.html □蔡國強,宇宙遊<原初火球>から始まる ■いわき市四倉海岸「満天の桜が咲く日」をもう一度みたい! 昼花火の傑作です。 火薬絵画は聞きなれない。 日本では<花火>が完成完璧のため周辺へ広まらなかった? 北京オリンピックを含め作者の全体像を初めて知りました。 彼は大陸精神の強さを持っています。 *美術館、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/cai/index.html

■野又穫 Continuum 想像の語彙 ■寺田コレクション ハイライト ■小林紗織

■東京オペラシティアートギャラリー,2023.7.6-9.24 *以下の□3展示を観る. □野又穫Continuum想像の語彙 ■寺田コレクションで目にしていた野又穫をまとめて観られるとは嬉しい。 彼の作品群を眺めていると・・、建築図面に近い雰囲気が漂ってくる。 もちろん建築技術からは遠いのですが。 理由の一つは無機質だからでしょう。 植物などは雑草のように描くので図面として乱さない。 人を描いているのは「静かな庭園40」くらいです。 それも小さい。 建物や空の色は青・白・緑系でどれも同じにみえてくる。 どれも冷たい。 茶系が何枚かあったが目が温まります。 しかし、飽きてきますね。 <宗教>や<実存>が感じられない。 <歴史>も薄く<空想>と同列の<図面>に傾いているからでしょう。 後半、毛色の違った作品が展示されていたので気を取り直す。 それは夜景です。 光を描く。 ・・。 2014年以降の作品も最後に展示してある。 題名は「Continuum」。 彼が歩いてきた時間を遡っていくようにみえました。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh264/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、野又穫 ・・ 検索結果は3展 . □寺田コレクション ハイライト ■一息つくことができました。 ハイライトの為か作家を多めに作品は少なめにしたのでバラエティ感がある。 奥山民枝「犬の目の中の時間」(1995年)に再会! 犬好きの私には特別な一枚です。 野又穫「世界の外に立つ世界1」(1993年)もある。 コレクション展の野又穫はとてもいい。 1枚だけ、だからです。 彼の作品は連続(Continuum)展示に弱い。 それは建築図面に近づいていくからです。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh/detail.php?id=290 □小林紗織 ■これは楽しい。 よくみるとコラージュです。 リズム感がある。 温かみもある。 ハイライトと小林紗織で再び野又穫展が生き返りました。 3展それぞれの位置づけが見事でした。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh/detail.php?id=291

■セレンディピティ ■本橋成一とロベール・ドアノー ■田沼武能、人間賛歌

*下記□3展を観る. ■東京都写真美術館,2023.4.7-9.24 □「セレンディピティ」とは「・・予期しない発見をする」という意味らしい。 作家は予期しない写真は撮らないはずです。 気に入った作家は牛場茂雄、吉野恵理香、島尾伸三、竹内正史。 観客からみて、予期しないことが予期されています。 *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4530.html □「本橋成一とロベール・ドアノー」二人の作品群が交互に並べられている。 二人の年齢差は30年。 この差が見えないのが面白い。 つまり二人は同世代、ではなく同時代人でしょう。 炭鉱も、サーカスも、パリと上野も、レ・アール市場と築地市場も、サン・ソヴァンとチェチェルスクも、喜怒哀楽を愛する方向が同じです。 終章、「新しき物語へ」で二人は離れてしまった? 現代住宅風景と沖縄与那国島や真木共同働学舎は切り口が違う。 すべて似てしまったらツマラナイ? そして1980年代がもはや歴史にみえてしまった。 本橋がドアノーに引っ張られた為かもしれません。 *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4534.html *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、ロベール・ドアノー ・・ 検索結果は4展 . □「田沼武能、人間賛歌」は「戦後の子どもたち」から始まる。 田沼は1929年生まれで終戦時は16歳です。 彼の1950年代作品群「戦後の子どもたち」に迫力があるのは彼が敗戦を体験したからでしょう。 直前に観た本橋成一の終戦はドアノーに預けたことで乗り越えた。 次章「人間万歳」は戦後の子どもたちが成長した世界を撮っている。 地球規模の人間賛歌ですね。 一転して3章「ふるさと武蔵野」は市民の生活が武蔵野に溶け込んでいる。 ダイナミックな三段跳びでした。 *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4532.html *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、田沼武能 ・・ 検索結果は3展 .

■ウォーターズ竹芝

■設計:JR東日本建築設計,施工:清水建設,企画開発:東日本旅客鉄道:管理:アトレ他 ■開業,2021.1.10 ■2棟からなりホテルやオフィス、劇場が入っている複合施設である。 竹芝埠頭に繋がっている。 劇団四季の専用劇場が3つもある。 調べたら2005年に「南十字星」を観に来ていた。 竹芝といえば伊豆諸島の玄関だろう。 高校時代に竹芝(桟橋)と青梅(線)を知った。 海水浴と登山への入り口だが、これで東京が一気に広がった。  平日のため閑散としている。 建物内部の壁や床の装飾はどこか安っぽい、湿っぽい。 レストランやスーパー、薬、マッサージ店が混ざり合っている。 シンガポールやマニラのショッピングセンターへ行った感じだ。 汐留水門からは浜離宮その後ろに汐留ビル群がみえる。 竹芝埠頭からはレインボーブリッジ、有明、・・豊海埠頭が広がる。 北京、ソウルの人々と仕事で付き合ったことがある。 彼らは「ゆりかもめ」に乗りたがっていた。 湾岸を見たいからだ。 あらためて東京は港湾都市だと認識した。 ヨーロッパでも大都市ではアムステルダムしかない。 海と接する場所は変化しているようで何かが取り残されていく。 竹芝を歩いていると、それが思い出したように目に入る。 *ウォーターズ竹芝、 https://waters-takeshiba.jp/

■ガウディとサグラダ・ファミリア展

■共同企画:サクラダ・ファミリア贖罪聖堂建設委員会財団 ■東京国立近代美術館,2023.6.13-9.10 ■統一感の無い場内で戸惑ってしまう。 入場して直ぐの映像、角の多い狭い仕切り、突然現れる大広間、そして4章「ガウディの遺伝子」はガラガラ、・・。 高校の文化祭を思い出します。 集中力が必要ですね。 でも掲げていた「歴史」「自然」「幾何学」の三つのキーワードを手掛かりに入っていくことができました。 時代背景、直筆の図面や絵画、愛読書などをみているとガウディが身近に降りてきます。 幾つもの重しを吊った双曲線を逆にすると聖堂のシルエットが現れるのには驚きです。 謎が一つ解決しました。 塔一つ一つに付けた名前を知ったことも嬉しい。 もう一つ、寄付金資料が事細かく展示されていたことでしょう。 貧困層の寄付で賄っていた時期がある。 その関連絵画も並んでいる。 贖罪とは何か?考えさせられます。 完成が遅れに遅れたのは内戦や大戦以外に幾つもの要因があったのですね。 現在は入場料が主な収入ですがコロナ下でそれも滞っていた。 2026年完成が待遠しい。 終章、日本の建築家(名前を忘れた)が磯崎新設計の双曲線を評価している映像に足が止まりました。 「ガウディは・・、感性で双曲線の取捨選択を最後にしていたはず。 磯崎新は設計者の感性を疑いそれさえもしない、そこが凄い・・」(このような内容だった?)。 実際の上海ヒマラヤズセンター内部をみると人間感性では捨てたいような曲面も見受けられる。 今日は双曲線と寄付が特に記憶に残りました。 *美術館、 https://www.momat.go.jp/exhibitions/552 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、ガウディ ・・ 検索結果は3展 .

■発掘・植竹邦良、ニッポンの戦後を映す夢想空間

■府中市美術館,2023.520-7.9 ■植竹邦良(うえたけくによし)の絵は初めてかもしれない。 何枚か展示されている同志の池田龍雄・中村宏は知っていたが・・。 60年代・70年の政治の時代をどう描くか藻掻いていた様子がうかがえます。 政治を描く場合、写真や映画と違い絵画だと抽象へ進んでしまう。 次第に心象比率が多くなっていく。 その気配は次第に隠れてしまう。 当時のアバンギャルドの影響もある。 副題「ニッポンの戦後を映す夢想空間」は作者を的確に表しています。 池田龍雄や中村宏との違いは夢想がより偏執に向かっていることでしょう。 虚無僧や列車が印象的です。 「スピナリオ電車」(1977年)を描いた80年代前後は失調症的な感じもプラスされる。 90年代に入ると好みの工事現場が多くなる。 「タワー記」(1994年)などは晴れやかに感じます。 50年前後の作品が一番気に入りました。 40年代の人物、50年代の工事現場、風景スケッチは生き生きとしている。 戦後の解放感がある。 まだ政治が彼に届いていないからでしょう。 *美術館、 https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakutenkaisai/exhibition_2023_1_uetake.html

■マティス展

■主催:ポンピドゥー・センター,朝日新聞,NHK他 ■東京都美術館,2023.4.27-8.20 ■「20年ぶり・・」とあったが2004年西洋美術館での「 マティス展 」以来ということですね。 マティスの一生を網羅した内容にみえます。 1869年生まれと聞いて作品との差異に驚きます。 時代をいつも越えようと描いていた。 会場では彼の「自画像」(1900年)が出迎えてくれる。 元気のよい複雑な色彩が気に入りました。 探求時代の「金魚鉢のある室内」(14年)「アトリエの画家」(17年)もいいですね。 建物と室壁の黄ばんだ白がなんともいえない。 今回の展示では油絵が最高です。 後半には「赤の大きな室内」(48年)も展示されている。 彼は1941年に十二指腸癌に罹っている。 体力が減退し、これが切り絵に向かった理由と聞いています。 日本の工芸を身近でみていると「切り絵」は未完成にみえる。 「ヴァンス・ロザリオ礼拝堂」をまとめて観られたのは嬉しい。 でも、やはり未完成にみえる。 彼にとっては精一杯の出来栄えだったのでしょう。 「私が選んだのではなく、運命によって選ばれた仕事・・」と言っている。 切り絵と宗教に包まれてマティスは子供に戻っていったのでしょう。 *美術館、 https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_matisse.html

■常盤橋タワー

■設計:三菱地所設計,施工:戸田建設 ■2021.6.30竣工 ■東京駅八重洲の大丸を通り呉服橋へ歩いていくと常盤橋タワーが見えてくる。 「新丸の内ビル」をこじんまりさせた感じだ。 どちらも三菱地所のため設計を似せたのだろう。 37階建てだが全てオフィスになっているのでツマラナイ。 入居会社名をみると古川電工系が目につく。 解体している東京海上ビルの引っ越先にもなっているらしい。 地下1階から3階まではレストランだ。 都心サラリーマン向けの店舗が並んでいる。 3階には「食堂」らしきエリアがある。 入居している社員向けらしい。 ビルの裏へ回る。 川沿いの緑が気持ちよい。 トーチタワーが建つ場所は旧ビルの解体工事をしている。 2027年竣工予定だ。 まだ4年もある。 常盤橋タワーは待っていられなかったのだろう。 それにしても呉服橋や常盤橋は歩いて渡ったことがない。 三越や室町へ行くときは地下鉄に乗ってしまうからだ。 このあたりは江戸城の入り口だったと聞いている。 今は線路と川に挟まれた陸の孤島のような場所にみえる。 次に来るのはトーチタワーが完成する4年後だろう。 *常盤橋タワー、 https://tokyotorch.mec.co.jp/about/

■大阪の日本画

■東京ステーションギャラリー,2023.4.15-6.11 ■知らない作家ばかりです。 見覚えのある作品もありますが。 中之島美術館所蔵が多い。 この美術館も行った覚えがない。 別世界ですね。 先ずは北野恒富の生活慣れしている美人が並んでいる。 衣装も凝っている。 絞り染めが多い。 「いとさん、こいさん」の意味を初めて知りました。 大阪漫才も連想させます。 画家の名が広まらなかった理由が分かりました。 それはパトロンがついていたからです。 つまり食うには困らない。 作品にどこか余裕があるのはそのためでしょう。 それは船場派の花や鳥、魚そして虎などをみてもわかる。 矢野橋村の象のようにボッテリした新南画にもです。 生田花朝の繊細で躍動感ある祭りの背後に商人の活気まで見て取れる。 そして最後を飾る池田遙邨「雪の大阪」は素晴らしい。 朝日に輝く雪が眩い。 近頃は大阪に行っていない。 旅する時が再び来たようです。 *美術館、 https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202304_oosaka.html

■今井俊介、スカートと風景 ■寺田コレクション、ハイライト ■山口由葉

■東京オペラシティアートギャラリー,2023.4.15-6.18 ■作家今井俊介は女性が着るスカートから発想を得たと言っています。 でも作品からスカートは連想できない。 女性身体もです。 スカートも女性も昇華させている。 そこからファストファッションが生まれる瞬間に立ち会っているような新鮮さがあります。 しかし思ったほど動きがみえない。 これから動くのか? 先ほど寄り道してきた練馬区立美術館で「(抽象で)緑色は扱い難い・・」と言っていた大沢昌助を思い出してしまった。 今井の緑も目に残りますね。 それよりも桃色が難しく感じます。 桃は慎重に配しても軽率に向かう。 でも今井はそれを上手く宥めている。 今日は、大沢昌助と今井俊介の抽象を比較できて楽しかった。 作風はまったく違いますが、今井は原因(はじまり)を大沢は結果を描いていると言えるでしょう。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh261/ *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh/detail.php?id=287 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh/detail.php?id=288

■大沢昌助展

■練馬区立美術館,2023.4.29-6.18 ■「水浴」(1941年)をみて美術館へ行くことにしました。 ギリシャ彫刻と昭和時代の水遊びが不思議とマッチしていたからです。 風景もキュビスム的でスカッとしてますね。 この作品は入口に展示してあった。 1940年代前後はセザンヌを意識している。 シュルレアリスムに距離を置いていたことも気に入りました。 「白い家」(1950年)もいいですね。 1階会場をみて、このまま物の質感や不思議さを描いていくと予想しました。 2階に上ると、なんと!抽象画で埋め尽くされている。 これは驚きです。 「モダン、シンプル、自由、軽やか」に描いた結果でしょうか? 抽象のなかに精神的安定感が見られます。 生活からくる安定と同質のものです。 彼が目指していたものは抽象民芸と言ってもよい。 幾つかの作品はこれに到達している。 絵をみる楽しさが沸いてくる展示会でした。 *美術館、 https://neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202302021675300347

■歌舞伎町タワー

■設計:久米設計,施工:清水建設,運営:東急株式会社 ■2023.4.14開業 ■新宿駅ホームからいつも遠くに眺めていたのだが、やっと館内を見学してきた。 外観は青白いガラスのため雪が積もった氷壁のようにみえる。 トー横からエスカレーターで2階に入る。 「祭り」をテーマにした屋台がぎっしりと詰まっている。 小さな舞台もある。 「歌舞伎町横丁」だ。 繁華街では見慣れた光景だが売りは安心感だろう。 3階・4階はnamcoと体験型のアミューズメント施設。 5階はウェルネス施設。 美と健康と食事の組み合わせらしい。 歌舞伎町でウェルネスとは珍しい。 2階から5階迄の組み合わせをみて誰を対象としている建物なのか?悩む。 しかも子供から大人まで一緒くたにだ。 6階は劇場。 900席だからコクーンやパルコより大きい。 この夏の「少女都市からの呼び声」は観に来る予定だ。 9階は映画館。 東急系の109シネマズが入っている。 坂本龍一監修の売店があったがこれは新鮮だった。 しかし上映と上演が重なるとエレベーターが混み合うだろう。 17階にはダイニングやバーが入っている。 18階以上はホテルだが5月開業と聞いている。 帰りのエスカレータからプリンスホテルが眼下に見える。 西武から東急の流れはまだ続いているのか? 周辺をぐるっと回る。 バス乗降所もある。 団体客を呼び込むのかな? 地下はライブホールらしい。 どの階も昼間のため開店休業のような雰囲気だったのは仕方ない。 夜に来るしかない。 *歌舞伎町タワー、 https://www.tokyu-kabukicho-tower.jp/

■羽田エアポートガーデン

■設計:日建設計,施工:西松建設,管理運営:住友不動産 ■2023.1.31開業 ■羽田に降りて、今年1月に開業した「エアポートガーデン」を寄り道してみた。 多摩川にへばり付いている細長い建物だ。 第三ターミナルからジャパンプロムナードと呼ばれる通路で2階へ結ばれている。 日本文化を意識した売店が連なる。 2階、1階、地下1階はショッピングゾーンだ。 和菓子・和食が目立つためか<江戸>をテーマにしたような雰囲気がある。 レストランでは寿司、鰻、蕎麦、饂飩、ラーメン、お好み焼き、カレー・・。 もちろん旅行用小物からローソン、マツモトキヨシまである。 目新しいところはない。 要は空港直結の1700室のホテルと言うことだろう。 気にいったのは宿泊者以外でも利用できる天然温泉「泉天空の湯」である、今日は入らなかったが。 住友不動産は「有明ガーデン」のコンセプトをそのまま羽田に適用したようだ。 ただしイベントホールをコンサートから会議室等に変更してある。 羽田は付け足しばかりで複雑な空港になりつつある。 *羽田エアポートガーデン、 https://www.shopping-sumitomo-rd.com/haneda/shopping/

■東京ミッドタウン八重洲

■建築主:八重洲二丁目北地区市街地再開発組合,設計:日本設計,施工:竹中工務店 ■2023.3.10グランドオープン ■一か月前にオープンしたミッドタウン八重洲を見学に行く。 ミッドタウンでは三作目だ。 規模は一番小さくみえる。 東京駅に近い。 地下にバスターミナルを持っている。 この為か商店の品ぞろえは小物が多い。 土産用だ。 レストランも軽食店が連なる。 地下1・2階にバスターミナルがある。 新しくできた新宿バスターミナルと比較しても狭い。 行先も北関東が多いようだ。 4・5階のイノベーションセンターへ上る。 会議室などのビジネス施設からできている。 今は閑散としている。 庭テラスもある。 7階から38階はオフィスになっている。 エントランス案内をみると数十社が入居している。 中堅企業が多いようだ。 40階から48階はブルガリホテル。 宝飾店がホテルを経営しているとは知らなかった。 調べると1泊50万円前後が多い。 面白いのは区立城東小学校が低層階に入居していることだろう。 1階入口から中を覗くと下駄箱などが置いてある。 しかし窮屈な感じだ。 隣の小さなアネックスビルには子供用施設もある。 近隣住民を考慮していることが分かる。 六本木、日比谷のミッドタウンと比較すると日常生活の匂いがする。 ブルガリホテルだけが浮いている感じだが。 駅前にできた新時代の雑居ビルと言えるだろう。 *東京ミッドタウン八重洲、 https://www.yaesu.tokyo-midtown.com/

■The Original

■ディレクター:土田貴宏 ■2121デザインサイト,2023.3.3-6.25 ■<オリジナル>の意味は、「・・世の中に深く影響を与えるデザインを指す」「・・必ずしも始まりという意味ではない」。 この定義に従って「確かな独創性と根源的魅力、純粋さ・大胆さ・力強さを・・」備えた製品を選んでいます。 デザインの対象と言えば<衣食住>でしょう。 <衣>を除き<住食>の中で使用する家具・食器類の出展が多い。 変わったところでは、熊のぬいぐるみ「ディアベア」が出展されていました。 ほどよい野性味、客観的な可愛いさ、極端にすり寄って来ない。 このため飽きない。 さすが<オリジナル>といえます。 なんと「カロリーメイト」もある。 1個の大きさは100kカロリーで、焼きが均一になる穴が開いていて大きさもちょうど良い。 なるほど。 そして「シグマ・コンパクトカメラ」。 このカメラを手にすると「自分が何を観てどのように撮るのか意識させられる」。 スマホでパチパチ撮る時とは違います。 見た目も重要ですが、やはり身体が納得するか否かにかかっている。 作品を自身で持ったり座ったりしたかったですね。 *美術館、 https://www.2121designsight.jp/program/original/ *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、2121デザインサイト ・・ 検索結果は23展 .

■ルーヴル美術館展、愛を描く

■国立新美術館,2023.3.1-6.12 ■1章「ギリシャ古代神話」と2章「キリスト教」に分類、これに沿い展示・解説している。 二系統の愛の違いがはっきり見えてきますね。 先ずはプーシェが迎えてくれたが知らない画家も多い。 今回は古代神々の、キリスト教徒の、名前から作品に入っていくことになる。 神々や教徒の名前からどのような愛になるのかが決まる。 複雑な鑑賞です。 楽しい作品が1枚ありました。 それは「ナクソス島のバッカスとアリアドネ」(ブラッツァ作)。 小さくてごちゃごちゃしているが単眼鏡でじっくり見ていると時が経つのを忘れます。 単眼鏡が役にたちました。 会場が混んでいるからです。 キャプションに近づけない場合もある。 解説を読まないと愛の経緯が分からない。 そして3章「人間のもとに」で日常の愛に近づく。 4章は嬉しいオマケですね。 前半では所々にあるイタリア色にも目が喜び予想以上の内容でした。 さすがルーヴル、裏切りません。 *美術館、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/love_louvre/index.html

■ブルターニュの光と風 ■憧憬の地ブルターニュ

■SOMPO美術館,2023.3.25-6.11 ■ブルターニュを描いた美術展を二つ観る。 先ずは新宿SOMPO美術館へ。 カンペール美術館所蔵品展です。 もちろん初めての作品が多い。 16世紀まで独立国家であった「ブルターニュ公国」の存在も知る。 ケルトの歴史・文化、カトリック系の衣装や風習など、この地を絵画で知ってもらおう。 このような企画ですね。 前半は未知の世界に浸れました。 後半はブルターニュに集う画家たちの作品が並ぶ。 P・ゴーギャン、E・ベルナール、P・セリュジェ、M・ドニ・・。 S・コッテと「バンド・ノワール」は新鮮な暗さです。 「さよなら、ゴーギャン」(セリュジェ、1906年作)の二人の姿が印象に残りました。 *SOMPO、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2022/bretagne2023/ ■国立西洋美術館,2023.3.18-6.11 続いて上野西洋美術館へ。 こちらは物量作戦ですね。 ゴーガンが10枚以上並んでいる。 全国の美術館から掻き集めたようです。 でも海外からはオルセーの2枚しかない。 4章「日本発、パリ経由、ブルターニュ行」で多くの日本人画家が登場するのに驚きます。 なぜブルターニュは画家を惹きつけるのか? 「ケバケバした派手な避暑地より朴納な土地へ・・」。 中村義夫がツマラナイ答えを出している。 日本で言えば20世紀初頭の東北奥地へ行くようなものでしょう。 「ここは私の国ではない」とO・ルドンは言っている。 パリからの交通の便が整ったからでしょうか? それはともかく量的な観応えがありました。 二展をまとめるとブルターニュがグッと近づきます。 特にカンペール美術館の力が大きかった。 西洋美術館HPの観光映像も参考になりました。 ところでゴーギャンとゴーガンの表記は一つに統一してほしいですね。 *西洋美術館、 https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2023bretagne.html

■深瀬昌久、1961−1991レトロスペクティブ ■土門拳の古寺巡礼

■東京都写真美術館,2023.3.3-6.4 ■「深瀬昌久」の会場は二十世紀私的佳境風景が広がる。 彼の作品は私小説ならぬ<私写真>と言われている。 愛憎と家族が塗り込められた白黒写真を見ていると、なんとも言えない時代の匂いが蘇る。 誰もいない芝浦屠畜場、湿った松原団地、初めて降り立ったケネディ空港、1974年の家族写真、野良猫サスケ、・・。 ・・忘れていた自身の風景と比較する。 ヨーロッパ旅行での作者の足指や顔半分が写っている作品には笑ってしまった。 当時の旅行の裏側が垣間見える。 彼は行きつけバーの階段から転落し以後シャッターを切ることがなかったと聞いている。 沈みつつある「ブクブク」は見事な終章だ。 *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4274.html 久しぶりの「土門拳」に期待したが、そうでもなかった。 土門を知った頃はいつもイナバウアーになっていたのだが。 会場に入って即戸惑ってしまった。 通路が狭い、写真間の距離が近い、そして作品順序が乱れている。 「室生寺」からやっと落ち着いて観ることができた。 納得できる作品は十数枚あったが、詰め込み過ぎにみえる。 無理に急がされたような観後感が残った。 *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4317.html

■ヘザウィック・スタジオ展

■東京シティビュー,2023.3.17-6.4 ■1994年にロンドンで設立された当スタジオの創設者はトーマス・ヘザウィック(1970年生)です。 名前も作品も初めてですね。 ここでは28プロジェクトを紹介している。 先ずは流体を意識した自動車が置いてある。 次の「上海万博英国館」(2010年)の揺れるアクリル棒や「ロンドン・オリンピック聖火台」(2012年)の開花姿を見ているとベクトルを意識します。  それは「ひとつになる」「みんなとつながる」という力と方向をです。 「職人が作った小さなものに宿る魂に心を踊らせていた」(ヘザウィック子供時代)。 これで職人の彫刻性が見え隠れしていたのですね。 続く「イーストビーチ・カフェ」(2007年)、NYの「ヴェセル」(2019年)も彫刻的です。 さらには記憶や自然を融合させたいようです。 記憶では「バンド金融センター」(2017年)、「ツァイツ・アフリカ現代美術館」(2017年)、「コール・ドロップス・ヤード」(2018年)などなど。 でも自然はパッとしません。 「サウザント・ツリーズ」(2021年)や「麻布台ヒルズ/低層部」(2023年予定)の木々草花は在り来たりです。 単なる鉢植えです。 「海南舞台芸術センター」(2020年)、「グーグル・ベイ・ビュー」(2022年)などの太陽・水・空気の扱い方は巧い。 そして最後に形と動きに着目し椅子や机などに「遊び」を加える。 ・・。 楽しい建築展でした。 映像も10点前後あっったが上映時間は数分のため緊張を維持できた。 隅から隅まで、じっくり観てきました。 *美術館、 https://tcv.roppongihills.com/jp/exhibitions/heatherwick/index.html

■六本木クロッシング2022展、往来オーライ! ■ヒグチユウコ展、CIRCUS FINAL END

*以下の□2展を観る. □六本木クロッシング2022展 ■森美術館,2022.12.1-23.3.26 ■22組の作家が出展しているが、知っている作家は写真家の石内都だけでした。 1980年代が一番多いかな? 生まれた、そして育った国や土地、生活などを背景に作家の出自からテーマを見つけようとしている作品が多い。 ある意味ローカルです。 都市の下町、沖縄・北海道へ(から)、アジア二世やLGBTとして・・、工事現場、回転寿司、自動倉庫、・・、木を齧るビーバーとの共同制作まである。 オモチャ箱をひっくり返したような内容といってよい。 これでスクランブル交差点のような時代が出現する。 往来はオーライ!ですが、若い作家たちの不安や迷いも見える。 交差点でローカルがグローバルに変換されるはずです。 *美術館、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/roppongicrossing2022/index.html □ヒグチユウコ展 ■森アーツセンターギャラリー,2023.2.3-4.10 ■作品量が並ではない。 しかも猫ネコnekoねこニャンコ・・、猫好きにはたまらない。 犬好きの私としては不満です。 猫又猫の見過ぎで前半で飽きてしまった。 でも後半に入ると俄然見応え分野が広がる。 プロとしての意地でしょう。 映画ポスターも、江戸時代の画家やグッチとのクリエイションもなかなかです。 会場は若い女性で一杯でした。 *美術館、 https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/higuchiyuko/index.html

■合田佐和子展、帰る途もつもりもない

■三鷹市美術ギャラリー,2023.1.28-3.26 ■1940年生まれの合田佐和子は<焼け跡から>出発するしかない。 作品はまるでガラクタだ。 硝子、針金、機械部品、毛糸、鉄・・。 次第にタマゴやヘビ、人魚に近づいていく。 白石かづこ・瀧口修造との出会いがあって、時代と共に走り出したようにみえる。 転機は油絵だろう。 これで映画と演劇を取り込んでいく。 劇団状況劇場「鐵假面」「ベンガルの虎」「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」「女シラノ」そして「さすらいのジェニー」・・。 ポスターや原画が並ぶ。 次に演劇実験室天井桟敷「中国の不思議な役人」「奴婢訓」「青ひげ公の城」「上海異人娼館」そして「さらば箱舟」・・。 壮観である。 この二つの劇団は水と油だ。 しかし彼女の油絵はどちらの劇団にもヌルッと相性が良い。 横尾忠則のポスターを思い出してしまった。 彼のポスターも悪くはないが・・、彼女の作品は唐十郎と寺山修司の身体にベットリと絡み付いていく。 そして写真への接近とエジプトへの移住。 逞しい行動力である。 彼女は自身を叱咤激励するため、朝は沢庵を噛りコーヒーを飲みルー・リードを聴きながら仕事に向かった、と娘が回想している。 エジプト帰還後はシュルレアリスムを彷彿させるような作品が並ぶ。 UFO、通信、オートマティズム・・、神が降りてきた!? レンズ効果で光り輝く虹色の絵画が並ぶ。 精神疾患で入院し、黄斑浮腫にも罹かる。 体力が衰えてからは手に色鉛筆・・。 まさに戦後日本を駆け抜けた作家と言ってよい。 帰る途も、つもりもない! *美術館、 https://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/event/20230128/

■ダムタイプ2022:remap ■アートを楽しむ ■画家の手紙

■アーティゾン美術館,2023.2.25-5.14 ■6階会場は暗くてウロウロしてしまいました。 入口の挨拶文も読めない暗さです。 慣れても作品の規模や境界がよく分からない。 周囲にレコード盤が置いてあり、レーザー光や音が闇に漂っていて、中央付近の2箇所に映像が映し出されている。 帰宅した今説明書を読んでいます。 「・・空間にただよう信号から、なにを情報として受け取り、問として引き受けるのか。 形をつかめないもの、聴き取れない音、届かない場所に対して、今どのような想像力を持っているのか・・」。 緊張感を持って会場を歩かないといけなかった。 厳しい空間でした。 当美術館とダムタイプは毛色が違うので戸惑ってしまいました。 *ダムタイプ第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 *ダムタイプ、 https://www.artizon.museum/exhibition/detail/555 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、ダムタイプ ・・ 検索結果は5ブログ . ■5階の「アートを楽しむ」は所蔵品から数点を選び詳細な解説を付けるという試みです。 裏話や人間関係などから作品を膨らまして楽しく観ることができました。 「画家の手紙」も手紙が中心だが、この延長にある企画でしたね。 *アートを楽しむ、 https://www.artizon.museum/exhibition/detail/65 *画家の手紙、 https://www.artizon.museum/exhibition/detail/556

■エゴン・シーレ展

■東京都美術館,2023.1.26-4.9 ■エゴン・シーレ展はいつも章立てが膨れます。 今回も14章ある。 しかし会場を後にする時、シーレを堪能した満足感がやってこない。 彼の周辺が騒がしすぎた? シーレのみは4章しかない。 もう少し比率を変えても良いでしょう。 新味はシーレの自然観です。 「山や水、木や花・・、人間の身体と同様の動きがある」。 彼のセリフです。 自我への強い探究心が自然にも向かったように見える。 鏡前の彼は不安と自信に溢れています。 不安への比重が増したことで版画を拒否し、そしてヴァリからエディートに動いた。 死の1918年は自信が覆っています。 「横たわる長髪の裸婦」「リボンをつけた横たわる少女」(チョーク画)は単純で力強い。 気に入りました。  「・・私の絵は世界中の美術館で展示されるべきだ」。 その裏には不安が付着しているのを感じさせる。 この両極の鬩ぎ合いがいつの時代でも観る者に突き刺さるのでしょう。 *レオポルド美術館所蔵展 *美術館、 https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_egonschiele.html *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、エゴン・シーレ ・・ 検索結果は4ブログ .

■Sit,Down.SitDownPlease,Sphinx. ■彫刻家の素描・版画 ■川人綾

*以下の□3展を観る。 ■東京オペラシティアートギャラリー,2023.1.18-3.26 □Sit,Down.SitDownPlease,Sphinx. ■作家は泉太郎。 内容を知らずに入ったが、最初に白くて重たいマントを着るように、次に説明をスマホで聞くように言われる。 取り出して聞くがボソボソ声でよく掴めない。 展示ルールを話しているようです。 しかも10分以上かかる。  ようやく見始めるが壊れかかった電子機器や映像装置などが置いてある。 奥にゴーグルを掛けている客が見える。 参加するには儀式を受けなければいけないようです。 迷ったが次の部屋にいく。 途中の説明らしき文章もボソボソ文字でよくわからない。 なんと、そこには黒いテントが十数個つくられている! 白いマントを引っくり返すと黒いテントになるらしい。 マントを脱いで見様見真似で黒いテントを組み立てる。 そして陶磁器の番号札を受け取り順番を待つ。 その間はテントのなかで一息つく。 なかなか順番が回ってこない。 日曜日で混んでいるのか? ここでキャンセルしてしまいました。 このような展示は嫌いではないのですが・・、平日に来るべきだった。 ゴーグルやテントの次には何があるのか? ギャラリーHPも見ないで行ったのが失敗でした。 不完全燃焼です。 観客は日頃から突然の参加に対応できる準備はしておかないといけない。  *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh258/ □彫刻家の素描・版画 ■船越桂の素描が先ずは目に入る。 力強くて彫刻を見ているようです。 船越でも名前が保武はエッチングが生き生きしている。 中野滋のブロンズやテラコッタ作品は物語を紡ぎ出している。 夫々に見応えがあります。 深井隆の木製作品を見て「 芸大退任記念展 」を思い出してしまった。 こちらの展示は完全燃焼しました。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh/detail.php?id=284 □川人綾 ■初めての作家です。 これは楽しい。 幾何学模様でも温かみがある。 凹凸も利用しているのでより立体的にみえる。 爽やかさがあり気持ちが良い。 再び完全燃焼しました。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh/detail.php?id=285

■平子雄一x練馬区立美術館コレクション、遺産・変形・再生

■練馬区立美術館,2022.11.18-23.2.12 ■「観葉植物や街路樹、公園に植えられた植物など、人によってコントロールされた植物を「自然」と定義することへの違和感を持ち・・」。 展示会チラシを読んで平子雄一に興味が湧き練馬へ行く。 先ずは3mx10mの大作が目に入る。 4分割され左から普通の山々草木を置き、次にその延長としての室内と作者らしき姿、そして木になった作者のアップ、最後に緑の山々草木を反転して赤基調で描いている。 自然と人間の対等性を表現しているようにみえます。 お互い力強い。 人間も自然の一部と認識しているようにもみえる。 同時に当美術館収蔵品10点ほどが同じ部屋に展示されていました。 2階は小学校関係の美術展らしい。 公園も館内も子供が多かった理由です。 平子の作品は小サイズの習作がホールにも置いてあった。 2枚のため10分で観終わってしまいました。 予定を追加して都営地下鉄と連絡が良い オペラシティ へ行くことにする。 *美術館、 https://neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202208261661495217

■祈り・藤原新也 ■それぞれのふたり、萩原朔美と榎本了壱

*以下の□2展を観る。 ■世田谷美術館,2022.11.26- □祈り・藤原新也 ■「インド放浪」に衝撃を受けた記憶が蘇る。 今みても褪せていない。 影響を受けてインド旅行にも行った。 「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」「病院で死にたくない、死は病ではないから」・・。 初めてみる後期作品も出展している。 「 沖ノ島 」は数年前に観たが、香港雨傘革命、福島原発事故、瀬戸内寂聴などなど。 また門司港の「少年の港」も新鮮だ。 「寿命とは切り花の限りある命のようなものだ」「死の終わりは定食でよい」・・。 後期作品も全てがインドに繋がっているようにみえた。 *美術館、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00211 □それぞれのふたり,萩原朔美と榎本了壱 ■二人が誰であるのか最初は分からなかった。 なんと天井桟敷の俳優であり演出・美術を担当していたのだ。 雑誌「ビックリハウス」にも関わっていたらしい。 展示を見ながら少しずつ蘇ってきた。 「 高丘親王航海記 」の書写が壁一面に貼ってある。 笠井叡演出の舞台を観ていたことも思い出す。 芝居は演出家の名前で観るので俳優やスタッフの多くを知らない。 きょうは藤原新也、萩原朔美、榎本了壱の3人が記憶の中をかき混ぜてくれた。 充実した時を持てた。 *美術館、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00116 *「ブログ検索🔍」に入れる語句は、寺山修司 ・・ 検索結果は舞台系で 41ブログ .

■柔らかな舞台、ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ

■東京都現代美術館,2022.11.22-23.2.19 ■オランダの映像作家オルデンボルフの作品展です。 映像6本が上映されている。 「マウリッツ・スクリプト」(2006年)と「ヒア」(2021年)を観る。 どちらもオランダ植民地時代の影響が現代に投げかけている内容でした。 ブラジルがインドネシアがオランダ領だった! 歴史では入門かもしれない。 でも突然、目の前に出されると上塗り知識が剥がれ落ちます。 植民地や移民をテーマに意見が異なる人達が議論していく。 そこに文化や芸術を被せていく。 ブラジル先住民やクロンチョン音楽などを調査・演奏し歴史の繋がりを再認識する。 現代オランダにより深く入り込むことができます。  次に日本で撮影した「彼女たちの」(2022年)を観ることにする。 林芙美子と宮本百合子を描いているらしい。 とくに林はインドネシア経由でオランダと結びついている。 しかし閉館時刻が迫っていたので別日を検討する。 ウェルカムバック券を発行してもらいました。 でも再び行く元気が出るかどうかです。 しかも当美術館は陸の孤島ですからね。 映像展はいつも躊躇します。 絵画や彫刻など動かない作品を観客が動きながら観る。 これを前提に館が建てられているからです。 今日の映像展示方式はいつもより良いほうですが・・。  自宅配信が無理なら、各地に空間を用意して観客はそこに出向きゴーグルを掛けて観る。 あらゆる展示会もちろん仮想空間にも対応できます。 近くの駅にこのような美術館の出前館ができればいいですね。 *美術館、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Wendelien_van_Oldenborgh/

■クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ

■東京都現代美術館,2022.12.21-23.5.28 ■ディオールと彼のメゾン後継者そして日本との関係を主に扱っているの。 彼の作品はひと目でわかる。 さすがディオールね。 もちろんラインよ。 「・・何よりも大事なのは全体のラインだ!」(ディオール)。 複雑な仕立ては1000時間もかけるらしい。 でもバッグは何故こんなにゴッツイのかしら? 日本での出来事も密に語られているわね。 京マチ子や皇后美智子の名前もみえる。 でも日本の自然を取り入れた作品はラインが良くない。 特に植物はいかに昇華するか?にかかっているようね。 写真は高木由利子が担当しているらしい。 シャッター速度を8秒にして最初の4秒はモデルを静止状態にさせ、次の4秒でモデルがゆっくり動く。 モデルの静動で決まってしまうから斑ができてしまう。 作品ごとに評価が割れるとおもう。 楽しかったのは後継者の作品を系統的に観ることができたことかな。 ディオールを継いだイヴ=サン・ローランを筆頭にマルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、そして現在のマリア・グラツィア・キウリが並ぶ。 彼らにはディオールと葛藤した跡がみえる。 彼か私か! 行き来する揺れが作品に現れている。 それだけディオールは手強い。 後半から大規模な会場演出で戸惑ってしまったわ。 ディオールや後継者との対話が終わり、彼らが遠くに行ってしまった。 *美術館、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Christian_Dior/