■イヴ・サンローラン展、時を超えるスタイル

■国立新美術館,2023.9.20-12.11
■「・・大事なのはラインだ」。 ディオールの言葉です。 「・・スタイルは永遠である」。 当展示会でのサンローランの言葉です。 ラインは何とか分かる。 でもスタイルとは何か?
サンローランはディオールの後を継いだが、直ぐに時代と共に走り出す。 その特徴は「紳士服を女性向けに改良した」ことで始まる。 これで女性を解放できる!? 手っ取り早い。 次は「机上の旅」で異国を想像しデザインに取り込む。 そして美術や舞台芸術からの感動を服飾に適用する。 ・・。 時代を消化していくのがわかる。
ところで彼がディオールを引き継いだ直後の「トラベーズ・ライン」には美が感じられる。 気に入ったのはイヴニング・アンサンブルのカーディガン類。 ゴッホとボナールなど画家へのオマージュのジャケット。 これらはライン→シルエット→つまり形が素晴らしい。 彼のラインにはディオール(の美)が無意識として存在している。
彼の言う「スタイル」は大きな時間の流れの中でみえてきます。 時代を(作品に)消化する才能をスタイルと言っているように聞こえる。 彼のスタイル=美がすぐには見えない理由がここにある。 彼の作品を微分するとライン=ディオールが、積分するとスタイル=サンローランがみえてくる。