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8月, 2021の投稿を表示しています

■縄張りと島、加藤翼  ■夏の風景、寺田コレクションの日本画  ■衣川明子

■東京オペラシティアートギャラリー,2021.7.27-9.20 □縄張りと島 ■何をしている映像なの? バラックのような建物に綱をつけて皆で引っ張っている。 もう壊れそう。 ・・崩れた! 横になっている灯台のような建物を起こそうとしている。 ・・起き上った! これは祭りの山車(だし)と同じかもよ。 ひっぱるのは同じだけど、通りを練り歩かないで広場で立ち上がらせる。 起き上がった達成感を持つこともできる。 馬鹿らしいけど、これは楽しい。 作者の作品で「アンダーグランド・オーケストラ」、「ウッドストック2017」はどこかで出会ったことを思い出す。 この数年で民衆参加の祭の方向へ発展させたのね? ということは、より楽しくなること間違いない!      *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh241/ □夏の風景 ■先ずは大野俊明「風の渡る道」などの4枚。 一回り大きいから自ずと目がいってしまう。 涼しさはないが風景の雄大さが暑さを凍結させてくれる。 大きい作品といえば西野陽一「竜宮1」。 これは2枚組のはず?  もう一枚の「竜宮2」は青系の涼しい感じだった気がする。 夏の風景としては後者がよかったかな? 加藤翼の祭りの後には、このように落ち着ける作品群が必須よ。 美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh242.php □衣川明子 ■朦朧とした色々が何とも言えない。 夢の中へ誘われそう。 上記2展示を観たあとのデザートとして最高ね。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh243.php

■ココ・シャネル、時代と闘った女  ■ココ・アヴァン・シャネル

■監督:ジャン・ロリターノ,出演:ココ・シャネル,フランソワーズ・サガン他 ■Bunkamura.ルシネマ,2021.7.23-(フランス,2019年作品) ■シャネルは知りません。 そこでウィキペディアを一読して映画館へ行くことにする。 読むのに1時間かかってしまった。 それだけ複雑な人のようです。 ・・なんと!ウィキの文章をそのまま映像にしたようなドキュメンタリー映画でした。 しかし映像の力は強い。 シャネルの出自や男性遍歴から当時の女性の立場・役割を見せつけられます。 仕事中の彼女をみると当に厳しい管理者ですね。 気難しい性格も持っている。 才能がある。 それを時代が管理者から経営者に引き上げた。 同時にナチスへの接近や労働組合敵視など時代に翻弄され続けている。 シャネルが採用したジャージー生地や実用的なスーツは画期的にみえます。 でも香水はよくわからない。 材料や製造に化学が絡むと途中が見えない。 彼女がNo.5の裁判で苦しむのは商品の全体を掴めなかった為もあるでしょう。 1970年頃でも仕事師風老婦人にみえる。 彼女は最期まで戦士です。 誰と闘ったのでしょうか? 慣習・制度・共同体そして国家・・、相手が多過ぎます。 「時代と闘った」とありますが、この副題に落ち着きそうです。 *映画com、 https://eiga.com/movie/94692/ ■ココ・アヴァン・シャネル ■監督:アンヌ・フォンテーヌ,出演:オドレイ・トトゥ,ブノア・ポールプールド他 ■amazon.配信(フランス,2009年作) ■上記はドキュメンタリーだったのでドラマを1本みることにする。 シャネルに関する映画は4本あるが適当に選んだのがこれです。 序幕オーバジーヌ孤児院風景と終幕は鏡階段でのファッションショウに挟まれた、殆どがバルサンとカペルの三角関係を扱っている無難な内容の映画でした。 「アメリ」のトトゥはシャネル役が合いますね。 *映画com、 https://eiga.com/movie/54218/

■YOKOO LIFE、横尾忠則の生活  ■The Artists、横尾忠則

■渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」,2021.7.17-8.22 ■21_21DESIGN SIGHT.GALLERY3,2021.7.21-10.17 (タイトル順) ■今朝の新聞に「サイコマジック」(アレハンドロ・ホドロフスキー著)の書評が載っていた。 評者は横尾忠則。 「エル・トポ」にひっくり返ってしまったことが書いてあった。 私も公開時に千代田公会堂でこれを観てヒックリ返ってしまった記憶がある。 ヌーベルバーグ終焉の時代に、この作品は衝撃的だった。 近年、横尾は新聞書評を精力的に熟している。 評者の中では出番がいちばん多いはずだ。 欠かさず読んでいるが、絵画以上に力を入れているようにもみえる・・! 「ほぼ日曜日」でも彼の書評が展示されていた。 それよりレコードジャケットや書棚に並んだ背表紙を見るのが楽しかった。 彼の好物が小豆とカレーというのも初めて知った。 入院も大好きらしい。 病院の食事は健康的だし・・?  デザインサイトではカルティエ現代美術財団からの依頼で横尾が描いた120人のアーティストの似顔絵が並べてある。 数か月で描いたので体が固まってしまい入院したことを彼は楽しそうに語っていた。 飽きっぽい、忍耐力が無いと彼は言っているが、企業や財団からの依頼はそれを跳ね除けている。 世間を渡るときはメリハリが必要になるのは仕方ない。 *ほぼ日曜日、 https://www.1101.com/hobonichiyobi/exhibition/4226.html *21_21DESIGN SIGHT、 http://www.2121designsight.jp/gallery3/the_artists/

■マン・レイと女性たち

■Bunkamura.ミュージアム,2021.7.13-9.6 ■女性たちの口述はないが、マン・レイのオーラルヒストリーを紐解くような展示会です。 彼の結婚のあらましは・・、ニューヨークで詩人アドン・ラクロラ、パリに行き歌手でモデルのキキ・ド・モンパルナス、モデルのリー・ミラー、ダンサーのアディ・フィドラン、そしてロサンゼルスに戻りジュリエット・ブラウナーと旺盛です。 この5人の女性と多くのモデルが彼の創作空間を形成していたのが分かります。 そしてマン・レイにとっての狂乱の20年代はニューヨークよりもパリだった。 「ダダはニューヨークでは生きて行けない」と彼は言う。 パリのシュルレアリスム運動とマン・レイは相思相愛の仲でしょう。 戦禍が激しくなると彼は写真から絵画に移る。 でも絵は売れない。 戦後は彼の過去作品を再制作・複製・量産していく。 「マン・レイとは誰だったのか?」。 「イジドール・デュカスの謎」を手押し車に乗せ「フェルー通り」をトボトボと歩いていくマン・レイ・・。 彼の位置づけを誇張せずに表した姿かもしれない。 マン・レイという人物を多くの女性から間接的に知ることができた。 そして20年代のパリを巧く切り取った内容でした。 彼が辿った住居や活動したパリの地図を見て、またパリへ行きたくなってしまいました。 *美術館、 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_manray/

■風景画のはじまり、コローから印象派へ

■SOMPO美術館,20201.6.25-9.12 ■当美術館では2017年に「 ランス美術館展 」を開催している。 ランス第二弾ということかしら? でも2019年の「 ドービニー展 」もランス美術館蔵品が多かった。 しかも副題は「バルビゾン派から印象派への架け橋」。 今回と副題が似ている。 これを含めると第三弾かもね。 1章はコローで一杯よ。 コローの絵は安心できる。 その理由が分かった。 それは木々をいじくりまわすから。 日本庭園に近づくので安定=安心に繋がるのかもしれない。 2章は「バルビゾン派」。 ルソーが1枚あったけど気に入る。 動物画家の存在も知る。 でも日本のように動物を凝視するような描き方ではない。 風景の一部に徹するのかな? 3章は「版画家の誕生」。 当時の版画は写真と同じね。 後代の画家にとっては版画から先代の情報を得るの。 4章は「ブータン」。 7枚構成だけど港が多い。 海が入ると風景が広がる。 海無しバルビゾンに対抗して1章を割いたのね。 5章は「印象主義の展開」。 ルノワール、シスレー、ピサロまで来ると流石に明るい。 今日も東京は暑かった。 涼むには最適な内容だったわよ。 *ランス美術館コレクション展 *美術館、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2020/musees-reims-2021/

■GENKYO横尾忠則  ■海、リビングルーム、頭蓋骨

■東京都現代美術館,2021.7.17-10.17 □GENKYO横尾忠則 ■「原郷から幻堺へ、そして現況は?」。 副題とおりの展示構成で作家横尾忠則の全てが網羅されている。 「アーカイブ」を含め14章と細かに区切られているので通史としても分かり易い。  私が気に入っている作品群は1990年中頃の「地球の中心への旅」に集まっていた。 江戸川乱歩、南洋一郎、山川惣治などに親しんだ彼の幼少年期を夢や時空を超えて描いている内容だが、いま再びまとめて見ることができて嬉しい。 横尾を知ったのは芝居のポスターだったと思う。 舞台からみると唐十郎の状況劇場より寺山修司の天井桟敷が似合う画風だった。 でも心情は唐十郎の舞台に近づいていたはずだ。 彼が画家へ移った時は驚いたが、寺山修司と唐十郎を併せ持った絵は「地球の中心への旅」、続く「死者の書」で完成されたのが分かる。 その後も変質狂のごとく滝やY字路ばかり描いているのをみると目が離せない。 次から次へと変身していくパワーには驚かされる。 「原郷の森」で彼の現況を初めて知った。 狂気のゴッホが爆発したような絵だ! まさに芸術は爆発だ。 寒山拾得に加わり寒山拾得忠則になってしまった。 このような画家に出会えて幸運と言うしかない。   *美術館、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/genkyo-tadanoriyokoo/ □海,リビングルーム,頭蓋骨 ■作家:潘逸舟,小杉大介,マヤ・ワタナベ ■展示の多くが映像作品だった。 三人のひとり潘逸舟は海を撮った作品が並ぶ。 海岸に押し寄せてくる波をずっと見ていると不思議な感覚に陥る。 作者の意図は知らないが、この感覚は何とも言えない、いい気分だ。 人類の祖先が海で生活していた名残かもしれない。 閉館時刻が迫るなか他の二作家は上映時間が長かったので省く。 *美術館、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-annual-2021/