■GENKYO横尾忠則  ■海、リビングルーム、頭蓋骨

■東京都現代美術館,2021.7.17-10.17
□GENKYO横尾忠則
■「原郷から幻堺へ、そして現況は?」。 副題とおりの展示構成で作家横尾忠則の全てが網羅されている。 「アーカイブ」を含め14章と細かに区切られているので通史としても分かり易い。 
私が気に入っている作品群は1990年中頃の「地球の中心への旅」に集まっていた。 江戸川乱歩、南洋一郎、山川惣治などに親しんだ彼の幼少年期を夢や時空を超えて描いている内容だが、いま再びまとめて見ることができて嬉しい。
横尾を知ったのは芝居のポスターだったと思う。 舞台からみると唐十郎の状況劇場より寺山修司の天井桟敷が似合う画風だった。 でも心情は唐十郎の舞台に近づいていたはずだ。 彼が画家へ移った時は驚いたが、寺山修司と唐十郎を併せ持った絵は「地球の中心への旅」、続く「死者の書」で完成されたのが分かる。 その後も変質狂のごとく滝やY字路ばかり描いているのをみると目が離せない。 次から次へと変身していくパワーには驚かされる。
「原郷の森」で彼の現況を初めて知った。 狂気のゴッホが爆発したような絵だ! まさに芸術は爆発だ。 寒山拾得に加わり寒山拾得忠則になってしまった。 このような画家に出会えて幸運と言うしかない。  
□海,リビングルーム,頭蓋骨
■作家:潘逸舟,小杉大介,マヤ・ワタナベ
■展示の多くが映像作品だった。 三人のひとり潘逸舟は海を撮った作品が並ぶ。 海岸に押し寄せてくる波をずっと見ていると不思議な感覚に陥る。 作者の意図は知らないが、この感覚は何とも言えない、いい気分だ。 人類の祖先が海で生活していた名残かもしれない。 閉館時刻が迫るなか他の二作家は上映時間が長かったので省く。