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■夢見るフランス絵画

■Bunkamura・ザミュージアム,2014.10.18-12.14 ■予算には限りがあるから企画展を毎回豪華にはできない。 今回はカネを掛けない方だろう。 それは夢をみているような題名からいってもわかる。 出処を隠しているのもこのためだろう。 印象派とエコール・ド・パリの画家たちを登場させている。 ヴラマンクの10枚が印象に残るくらいか。 内花瓶が2枚あったがヴラマンクの花はあまり記憶がない。 あと藤田嗣治の「北那覇」。 これも初めて見る。 キスリングの女性像はいつみてもいい。 作品数の一番多かったのがユトリロだが最悪である。 ところでモディリアーニは彫刻家を目指していたのを初めて知った。 カネが無くて絵に転向したらしい。 これで首の長い理由がわかった。 散歩の途中にぶらっと立ち寄るのに丁度よい展示会である。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_france/index.html

■菱田春草展

■東京国立近代美術館,2014.9.23-11.3 ■逆転サヨナラ安打を体験したような展示会だった。 ホームランではないの。 菱田は努力家として弛まぬ挑戦をしているから渋いのよ。 4章ある陳列方法は社会状況を含んだ時系列と挑戦内容が作品にすなおに投影されていて分かり易かったわ。 朦朧体(1900年迄)時代の人物画は衣装を含め面白いけど、動物や風景はこれからという感じね。 春草と大観の比較は大観の勝ちよ。  そして色彩研究(1908年迄)は飛躍の時代だわ。 構図を含め空の赤、海の青、雲の明暗は素敵ね。 気に入った作品が沢山ある。 構図の「松島」、色の「春色」「旭日」「月下波」「曙色」、「月火雁」も鳥の生気が溢れている。 落葉・黒猫(1908年以降)時代はむしろ思考が優先されてしまったように感じるの。 落葉は挑戦がみえるけど黒猫はそうではない。 病が邪魔をしているのかしら? 猫が本当に好きでないから? 画家としての頂点は1908年頃かもしれない。 37歳の若さで逝ったのは早過ぎる。 残念ね。 再び野球に例えるなら、彼は逐次ヒットを打ち続けていたの。 イチローの立場に近いわね。 *館サイト、 http://www.momat.go.jp/Honkan/hishida_shunso_2014/index.html#outline

■ミレー展-愛しきものたちへのまなざし-

■府中市美術館,2014.9.10-10.23 ■ポーリーヌを描いた2枚はいいですね。 「ポーリーヌ・V・オノの肖像」と「古い服を着たポーリーヌ・オノ」です。 これは岸田劉生の麗子像だと直感しました。 ミレーはポーリーヌをどれだけ愛していたかこれでわかります。 依頼人に受取拒否された「・・市長ポール=オノレ・ジャヴァン」は緊張感が出ています。 肖像画で飯を食っていることがよくわかります。 家族を描くのとは違いますね。 ミレーは農村や農民を描く画家で有名ですが油絵400点のうちこれに該当するのは100点強しかないそうです。 会場を眺めても題材は広範囲で、画風も何度か違ってきていますね。 この中で一番気に入ったのは「牛に草を食ませる女」です。 解説にもありましたが宗教的な何かを感じます。 1859年作ですから人生でも経済的に充実してきた時期に重なります。 やはり精神的にも前向になれたのでしょう。 ミレーの全体像がわかる展示会で府中までやって来た甲斐がありました。 *館サイト、 http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/millet.html

■宗像大社国宝展-神の島・沖ノ島と大社の神宝-

■出光美術館,2014.8.16-10.13 ■大陸間航海で対馬に寄るのが面倒だから沖ノ島を通ったということぐらいしか知らなかった。 沖ノ島を覗くのは今回が初めてである。 沖津宮・中津宮・辺津宮の関係、古墳・大和朝廷から江戸時代までの政治を軸とした宗像大社の概要が分かり易く説明されている。 このような小さな島から朝鮮・中国などからの大量の出土品も驚きである。 後半の「宗像大社文書」も面白い。 源頼朝の書状など読むと当時の宗像大社の立場等々いろいろ考えさせられる。 「三十六歌仙図扁額」からも戦国時代以降の九州政治動向がわかる。 今回のようにゼロからの知識が得られる展示会は記憶に残る。 *IM、 https://www.museum.or.jp/event/82974

■見つめて、シェイクスピア!展-美しき装丁本と絵で見る愛の世界-

■練馬区立美術館、2014.9.28-11.30 ■英国製本装丁協会の装丁本入賞作品がづらっと並んでいます。 本ですから突飛さはありません。 鉄柵デザインは気に入りました。 できれば本の中も見たいですね。 紙の質感や色、活字や行間などもです。 シェイクスピアは読んだことがありません。 舞台は観ていますが。 彼の作品は人間関係を社会に強く絡めているから日本的喜怒哀楽がみえません。 ハムレットやオフィーリア、リア王、マクベス、オセロ・・彼らの心の持ちようにいつも違和を感じます 彼らの行動に理解できない場面が多くあります。 しかし面白いのです。 舞台しか観ていないからこうなってしまったのでしょうか? ドラクロアやシャガールの版画なども展示されていましたがシェイクスピアの受け取り方に違いが出てますね。 舞台でも演出家や役者、美術や音楽でガラッと変わるのと同じでしょう。 シェイクスピアは見る人によって違ってくるということかもしれません。 *館サイト、 https://neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=m10068

■進化するだまし絵

■BUNKAMURAザミュージアム、2014.8.9-10.9 ■ http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_deception/index.html ■最新のだまし絵が展示されているのかと行ったらガッカリね。 既になじみの作品ばかりなの。 騙された感じよ。 21世紀のピカピカの作品を展示してもらいたかったわ。 パトリック・ヒューズの作品は騙されていることがわかっても騙されてしまうところが面白い。 トニーアウスラの「ピンク」は別系列だけど気に入ったわ。 ・・他に騙されたいと欲する作品は見当たらなかった。 でも夏休みに来場する子供たちに古い作品も必要かもね。 ■牧野宗則富嶽二十景 ■BUNKAMURAギャラリ、2014.9.26-10.5 ■ http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/140926makino.html