■菱田春草展

■東京国立近代美術館,2014.9.23-11.3
■逆転サヨナラ安打を体験したような展示会だった。 ホームランではないの。 菱田は努力家として弛まぬ挑戦をしているから渋いのよ。 4章ある陳列方法は社会状況を含んだ時系列と挑戦内容が作品にすなおに投影されていて分かり易かったわ。
朦朧体(1900年迄)時代の人物画は衣装を含め面白いけど、動物や風景はこれからという感じね。 春草と大観の比較は大観の勝ちよ。 
そして色彩研究(1908年迄)は飛躍の時代だわ。 構図を含め空の赤、海の青、雲の明暗は素敵ね。 気に入った作品が沢山ある。 構図の「松島」、色の「春色」「旭日」「月下波」「曙色」、「月火雁」も鳥の生気が溢れている。
落葉・黒猫(1908年以降)時代はむしろ思考が優先されてしまったように感じるの。 落葉は挑戦がみえるけど黒猫はそうではない。 病が邪魔をしているのかしら? 猫が本当に好きでないから? 画家としての頂点は1908年頃かもしれない。 37歳の若さで逝ったのは早過ぎる。 残念ね。
再び野球に例えるなら、彼は逐次ヒットを打ち続けていたの。 イチローの立場に近いわね。
*館サイト、http://www.momat.go.jp/Honkan/hishida_shunso_2014/index.html#outline