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■鬼に訊け

■監督:山崎祐次,出演:西岡常一ほか ■東京都写真美術館,2012.5.26-6.8 ■宮大工西岡常一の記録映画である。 宮大工棟梁の知らない世界を観るのはウキウキする。 「用材は木を買わずに山を買え」、「木は生育の方位のまま使え」、「堂塔の木組みは、寸法で組まず木の癖で組め」、・・、法隆寺宮大工口伝である。 木の建物としての法隆寺が一千年経ってもなぜ残っているのか少しずつ分かってくる。 西岡の鉄との対決、コンクリートとの対決は凄まじい。 前者では法隆寺棟梁を辞し、後者は薬師寺で辛苦を舐めた。 しかし今や法隆寺や薬師寺を建てる人・物・情報の多くを失ってしまった。 彼が持っているすべてを残そうとしているが限度がある。 この映画を「西岡常一の遺言」とチラシに書いてあったが、たとえ遺言があっても将来への不安感が漂う内容であった。 *映画com、 https://eiga.com/movie/57520/

■ゴヤの<<青い服の子供>>

■ルーヴルDNP,2012.4.27-10.28 ■展示作品は1枚だけ。 だから観に行くのか行かないかハッキリするわね。 今回はゴヤの「青い服の子供」。 背景は青系統でしかもかわいい子供だから副交感神経が高まり満足感は+よ。 ここは事前予約をしないとだめなの。 行く人は忘れないでね。 *館サイト、 http://museumlab.jp/exhibition/09/index.html

■川内倫子展  ■光の造形

■東京都写真美術館,2012.5.12-7.16 ■観客が良質な暇(ヒマ)を持っていないと受入れてくれない作品です。 作品は若さが感じられます。 日本風土の色と香りも感じます。 これらを基に想像力を広げるのに時間がかかるからです。 得られる感動も小さい。 ビデオは3本ありましたが途中で席を立ちました。 最後まで見たい力を作品は持っていません。 良質なヒマを持っていない観客は欲張りですね。 同時開催の「光の造形」がどぎつく感じました。 「JPS展」がでしゃばり過ぎていると感じました。 これも「川内倫子展」の影響です。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-1593.html

■現代日本画の精華

■郷さくら美術館東京 ■ http://www.satosakura.jp/tokyo/ ■3月に開館した新しい美術館である。 郡山市にある姉妹館でオーナーは企業家とのこと。 コンパクトな三階建である。 多くは聞いたことのない画家であるが総て日本画が嬉しい。 1階は桜、2階は動物、3階は花木が特集で全90点。 屏風並も数点あり迫力は十分である。 作家数や画題数の多さに気を配っているようである。 しかも昭和生まれに絞っている。 このためか駄作も少なからずあるが全体にレベルが高い。 気に入ったのも数点あった。 4冊の図録をみると相当数持っているようである。 三ヶ月ごとに入れ替えをするらしい。 目黒駅から近いので行きやすい。 楽しみの館が一つ増えた。

■テマヒマ展

■2121デザインサイト,2012.4.27-8.26 ■最初にビデオを見て次に整然と並べてある作品に対面する。 ここの展示方法です。 ビデオ予習のためか作品に親しみがでます。  しかも整然とですからリズミカルに心身に入ってきます。 ここは商品の展示が多いからこの構成が効果的です。 きりたんぽやちまき(笹巻)の作り込みにはガス炊飯器や米挽機などの機械も使います。 しかし価格からみて投入した人の手と時が大きいことがテマとヒマの条件のようです。 できあがった物は旨い美い巧いのはいうまでもありません。 60種類の商品が持っているテマヒマから東北の一つの全体像が見えてくる展示会です。 東南アジアなどに行った時に現地の人や物、風景に出会った時に感じるあの感覚も同じだとおもいます。 懐かしさもあります。 ところでビデオで上映していた「味噌黒米餅」を見てとらやに寄ったのですが売り切れでした。 一日15個限定販売とのことです。 *美術館、 http://www.2121designsight.jp/program/temahima/

■インカ帝国展

■国立科学博物館、2012.3.10-6.24 ■ http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2011/inka/index.html ■インカ帝国って14世紀に栄えたの。 知らなかったわ。 インカ帝国は文字を持たなかったことも。 展示会場はとても緩やかな感じがするの。 観客は文字に縛られないことでインカ帝国を自由に想像できる。 これは場内で感じたことよ。 文字が無いことでミイラを作る死生観もできたようね。 ミイラになって現実世界で生活できるのは話し言葉だけの世界では可能なのよ。 話し言葉は今しか存在しないから。 過去の話しも今のことになるからよ。 でも文字と鉄を持たなくて4000Kmの範囲を支配するのは無理があるわ。 スペインに簡単に敗れた理由はこれね。 帝国内では争いが耐えなかった。 そしてスペイン側についた地域もたくさんあったはずよ。 じゃが芋や唐辛子、トマトが帝国からやってきたのも嬉しいわね。 スープストックトウキョーで「豚肉とじゃが芋のインカ風スープ」を販売していると聞いたから早速食べに行こうかな。 でも豚肉ではなくてアルパカにしてね。 

■市川亀治郎大博覧会

■ヒカリエホール、2012.4.28-5.9 ■ http://www.kamehaku.jp/ ■俳優の顔と名前は覚えたことがない。 しかし亀治郎と萬斎の二人は名前で芝居を、現代劇が多いが、観に行くことがよくある。 なぜならこの二人の舞台は身体というものをいつも新しく感じ考えさせてくれるから。 6月に猿之助を襲名するようである。 これで歌舞伎が忙しくなると他ジャンルへの出演が少なくなるかな? 「前例がなければ、つくればいい」をこれ以上の銘として新しい分野を切り開いていって欲しいな。 大博覧会はヒカリエの見学のついでに寄ったのだが、このヒカリエで大人の渋谷を取り戻したいということらしい。 地下3階から9階まで隈なく歩いたが30代をターゲットにしているようだ。 しかし劇場やレストランを増やしただけでは大人は集まらない。 東横文化に始まり、セゾン文化、次に東急文化、そして若者文化の渋谷だが、一つの思想を持った広がりが地域として定着しなければ新しい渋谷文化になれない。 ヒカリエだけではまだ何も見えない。

■三鷹天命反転住宅

■三鷹天命反転住宅 ■住宅の見学会へ行ってきたわ。 見学会は入門編からプロ級の5種類があるの。 一番驚いたのは床がコンクリートで凹凸があること。 凹凸はなんとかなるが、コンクリートが住む気ちを起こさせない。 木で出来ているなら分かるけど。 あと、日本文化が安易に取り入れられているところがだめ。 障子と畳の回りに敷かれている石が最悪。 取り入れない方がいいわ。 この二点が改善できるなら住んでもいいかもね。 靴を脱ぐ行為を中途半端にしたことが一番の失敗ね。 荒川修作はもはや米国人なの。 これは鮫が住む住宅だわ。 鮫は生きている間は動き続けなければいけない。 動き続けていれば見返りがある家ね。 カラフルな色は受け入れることができるし、床や天上の傾きもいい。 荒川修作+マドリン・ギンズの二人は興味があるけど、この住宅は西洋的な思い入れが強すぎるようね。 養老天命反転地はどう感じるのか訪れてみたいわ。 *住宅サイト、 http://www.rdloftsmitaka.com/events

■BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展

■東京オペラシティアートギャラリー,2012.4.13-9.2 ■ビート・タケシの映画は一目置くが絵は上手いとはいえない。 やはりペンキ屋のせがれである。 今回はパリで開催した展示会の再現らしい。 彼好みの方法で日本を紹介をしている作品が多い。 だからこの日本で開催すると少しズレている感じだ。 1994年のバイク事故のリハビリとして絵を描くようになったとタケシは言っている。 これだから絵より魚の模型だとかビデオの方が面白い。 しかしコメディアンにもかかわらず色々な肩書きを持っていて凄い人だとあらためて納得する。 ここはいつも二階で収蔵品展を同時に開催している。 今回は「船越保武展」が開かれていたが30点近いブロンズ像に感動してしまった。 カトリック女教徒が多いが信仰の関心と無関心の両方が表現されていてなんともいえない感情が沸き起こってくる。 船越保武とビート・タケシは水と油だが離れすぎると逆に違和感が無くなるから面白い。 *館サイト、 http://www.operacity.jp/ag/exh141/

■レオナルド・ダ・ヴィンチ展inシアタ-

■制作総指揮:フィル・グラブスキ ■Bunkamura・ルシネマ,2012.4.21-5.18 ■美術展「 レオナルド・ダ・ヴィンチ、美の理想 」の付録映画です。 なんと9点もの絵が揃ったロンドン・ナショナル・ギャラリの展示会風景を映画にまとめたものです。 ルーヴルの「岩窟の聖母」や初公開の「救世主キリスト」も入っています。 ロンドンではチケットが即完売したようです。 司会者が絵の前で著名人、例えば写真家、音楽家、舞台監督や主教にインタヴューしていきます。 彼らが勝手気ままなことを喋るのがこの映画の面白いところです。 「救世主キリスト」を女優フィナオ・ショウは「家のドアに誰か訪問客が来たような感じの絵」だと言っています。 ドアの周辺は期待と静寂が覆っています。 ドアを開けた時、闇の中から彼が現れます。 顔はボヤけていますが不思議な現実感があります。 ロンドン版「岩窟の聖母」の額縁を新しく作るところも面白かったですね。 一部分に16世紀の材料をそのまま使い、それに合わせて新しく付け加えたそうです。 絵は古いニスを取り除いて掃除しました。 ロンドンへ直ぐにでも飛んで行きたいくらいです。 *館サイト、 http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/12_leonardo.html