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■ポール・デルヴォー夢をめぐる旅

■ 府中市美術館、2012.9.12-11.11 ■ http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/delvaux/index.html ■ デルヴォーその人に焦点をあてた展示会のようね。 入口で彼の略年譜を配っていたし、彼の生活の事を多く解説していたからよ。 彼がシュルレアリスムに近づいたのは自由になれると思ったから。 シュールの思想なんて関係ない。 両親に雁字搦めにされていたからよ。 美術の勉強もタムとの結婚も反対されるし<自由>がなかった。 目の大きい裸婦や汽車もギリシャ神話も、彼の若い時の心の傷や思い出が一杯詰まっているの。 夢と言うより現実に彼の過去が溶け入ったのよ。 ところで高校の授業のオデュッセイアに彼は感動したとあったけど、ベルギーの高校の歴史や国語は他国であるギリシャをどのように扱っているのかしら? デルヴォーの絵にギリシアをみる時、ヨーロッパというものが身体的に理解できないところだわ。 作品は小粒が多かったけど、初期作品もありデルヴォーの全体像が浮かび上がる面白い展示会だった。

■スタジオ・アッズーロ展  ■日活創立100年記念資料展  ■濱谷浩写真展  ■中村正義の<顔>展

■川崎市市民ミュージアム、2012.9.22-11.4 ■ http://www.kawasaki-museum.jp/azzurro/index.html ■ 人とのインターフェースを持った映像作品が数点展示されています。 映像進歩が激しい中、残念ながら古く感じる作品ばかりです。 解説も最小限にして実際に触ってくれという企画のようです。 できれば上海万博など最新の作品が観たかったですね。 でもこれ以上突っ込むと費用等で問題がでるのでしょう。 ICCや写美館などからみると落ちますがしょうがないですね。 ■ 日活創立100年記念資料展、2012.8.4-11.4 ■ http://www.kawasaki-museum.jp/display/exhibition/exhibition_de.php?id=232 ■ 予告編をまとめて上映していたビデオが面白かったです。 1950年末から70年にかけての映画の予告編です。 「紅の翼」や「嵐を呼ぶ友情」、「アラブの嵐」・・から「あばれ丁半」「女の警察」「殴り込み」・・まで正月封切り映画が中心です。 当時のスターは石原裕次郎と浅丘ルリ子がダントツですね。 他に二谷英明や吉永小百合などです。 以前「日活向島と新派映画の時代展」(*1) を観ましたが、この資料展をみると日活の大衆路線、特に任侠物へ変遷したのがよくわかります。 ■ 濱谷浩写真展、2012.8.4-11.4 ■ 「こども風土記」「地の貌」「アメリカン アメリカ」の3シリーズの作品がブッキラボウに展示されています。 作品の多くは時代の風景をそのまま静かに切り取ったような感じがします。 風景や人物も何故か音がしないのが特徴ですね。 300枚近くもあるので濱谷の世界にどっぷり浸かれます。 ■ 中村正義の<顔>展 ■ http://www.kawasaki-museum.jp/display/exhibition/exhibition_de.php?id=233 ■ 中村正義を初めて知りました。 しかしどこかでみたような絵も数枚あります。 代表作の顔シリーズの展示です。 この川崎に彼の住居を改築した美術館があるそうです。 雑誌「20世紀」の表紙を飾った福田赳夫・大平正芳・三島由紀夫・戸川昌子・杉村春子はその人らし

■お伽草子

■サントリー美術館、2012.9.19-11.4 ■ http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2012_05/?fromid=topmv ■ 400もあるうち知っている物語は「浦島太郎」など数本である。 しかし物語同士はどこか繋がっている。 絵巻を見るのはいいがこれから物語を想像するのは現代では容易ではない。 お伽草子の決定版ビデオなどは作成されているのかな? 「日本昔ばなし」のようなビデオでもよい。 サントリーのようなお固いところは嫌がるかもしれないが、あれば立体的になり、子供たちにも身近な展示会になるはずだが。

■日本ファッションの未来性

■ 東京都現代美術館、2012.7.28-10.8 ■ http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/136.html ■ 平面性をテーマの一つにしているのは分かるけど、全体の展示も平面的になってしまい印象が弱いわね。 ビデオは三宅一生、川久保玲、山本耀司に焦点を当てていてちょっと古臭いし、「日常にひそむ物語」も未来性が感じられない。 テーマからみて内容がついていかなかったということ。 会場が広いからもっとデパートのバーゲンセールのように現物をたくさん投入したらどう? 特に若手の作品をね。 これで「日常にひそむ物語」をあからさまにできるから未来の物語が見えてくるわ。 三宅一生はデザインサイトでよく会うから近況がわかるけど他の古株は良く見えない。 展示会で若手が生き生きとしていたのは一年前の「感じる服考える服」(*1) かな。 今回の展示会はこの一番大事な新鮮さが無かったのよ。 *1、 http://ngswty.blogspot.jp/2011/10/blog-post_25.html

■館長庵野秀明特撮博物館

■ 東京都現代美術館、2012.7.10-10.8 ■ http://www.ntv.co.jp/tokusatsu/ ■ これは凄いですね。 モノの威力が会場に漂っています。 今回は音声ガイドを利用しましたが解説件数が70件、時間が60分といつもの3倍のボリウムがありました。 質も申し分ありません。 館長庵野秀明の意気込みが伝わってきます。 短編映画「巨神兵東京に現る」の裏話は一つも見逃さず見てきました。 巨神兵はもちろん建物から原始雲までほぼ全てが手作りです。 でも裏話を知らなければCGと区別できたのか? この分野に興味を持っていないと難しいかもしれません。 展示会全体を見渡してもウルトラマンは特別な存在ですね。 あの銀色に光るヌメッとした感じのシンプルなカラダはどこから生まれてきたのか? 成田亨は「真実と正義と美の化身」と言っていますがやはり謎です。 「特殊美術係倉庫」はこの展示会に深みを与えています。 ミニチュアと言っても本物が歴史を語っているのですから。 モスラから始まって観客が歩ける特撮ステージの終わり迄よく練られた中身の濃い内容でした。

■記憶のドラマ依田洋一朗展

■三鷹市美術ギャラリー,2012.8.25-10.21 ■エンパイア劇場、リヴァティ劇場、ロウズ・ジャージ劇場、ジークフェルド劇場、コロナ・プラザ劇場、タイムズ・スクウェア劇場、セルウィン劇場、ロウズ・プラザ劇場・・。 ニューヨークの匂いが一杯。 しかも劇場の椅子をたくさん描いているのが珍しい。 彼はよく行って座ったのよ。 そしてその時の触覚として記憶されているの。 リリアン、ロイドやチャプリンそしてマーロウやハメットから彼の映画遍歴も見えてくるわ。 でも楽屋など裏ばかり描いていて上演舞台が描かれていない。 「シティ・オブ・エンジェル」は芝居もあったのかしら? たぶん彼は芝居をあまり観ないのね。 でも劇場は大好き。 そしてホテルもね。 この二つは記憶の建物としては一番だから。 ビデオ作品「ホテルペンシルベニア終焉の日々」は改装前のパンフレット、領収書、レストランのメニュー・・などホテルの風景と共に写真に撮っているの。 誰もが旅の思い出として同じ事をするはずよ。 20世紀のニューヨークにどっぷり浸れる展示会ね。 *館サイト、 http://mitaka.jpn.org/ticket/120825g/flyer.jpg

■ホームアゲイン  ■三菱商事アート・ゲート・プログラム

□ホームアゲイン ■ 原美術館,2012.8.28-11.18 ■ 10人のアーティストが5年間日本に滞在したときの作品らしい。 ・・無難な動物や植物が多いのはどうしてか? 多くの絵には何故か暗さがある。 ハチ公や銀座、日比谷の作品もあったが興味がでない。 彼らにとって日本は創造し難い場所かもしれない 。 ところで「アートのほうき、かえりな垣」という作品があった。 これは良くできていると作者をみたら杉本博司だった。 ナント!! *館サイト、 https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/exhibition/328/ □ 三菱商事アート.ゲート.プログラム ■EYE OF GYRE ■ 表参道へ行ったついでに立ち寄る。 若手アーティストの支援プログラムである。 10人の奨学生の65作品が展示してある。 原美術館と同じ感じである。 しかし観客が喜ぶ作品が並んでいる。 オークションで販売されるだけのことはある。 絵を売るという目的があるから一生懸命に描くのだろう。 この目的の差異がそのままが原美術館の作品との差異が出ているのかもしれない。 *館サイト、 http://www.mcagp.com/

■船田玉樹展―異端にして正統、孤高の画人生-

■練馬区立美術館,2012.7.15-9.9 ■玉樹と共に彼の師や影響のあった人の絵が展示されています。 彼は日本画から前衛まで守備範囲が広く焦点が定まりません。 このため御舟や古径、靫彦と丸木位里や岩橋英遠の違いなど、玉樹との比較内容が人ごとに違うので混乱しました。 結果、他者からの影響力がどの程度なのか計り兼ねます。 つまり玉樹は何を考えているかわからないのです。 70年後半の河童連作は彼の心情が表れています。 自身を河童に見立てているところをみると、充実して描いているとは到底みえません。 チラシ表紙を飾っている「花の夕」は灰色の桜の幹がとてもリアルに感じました。 56年の作品「臥龍梅」や79年の「老梅」も幹が異様です。 45年頃の「ひばり」や「麦」は素朴で気に入りました。 ともかく最後まで混乱している画家にみえました。 *館サイト、 https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=m10228