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6月, 2018の投稿を表示しています

■世界報道写真展2018

■東京都写真美術館,2018.6.9-8.5 ■大賞はベネズエラ大統領抗議デモ参加者が炎に包まれている写真です。 防火訓練のようで一瞬戸惑ってしまったがジワッと熱さが迫ってきました。 今年はこのジワッとしてくる作品が多い。 数万数十万単位の死傷者災害が無かったこともある。 環境問題はいつもジワッとですが慣れるのが怖い。 廃棄物処理は世界的に飽和状態に近づいている。 先日「G7プラスチックごみ海洋汚染問題協議」ニュースを見たが、米国と日本だけが具体的対策合意文書に著名をしなかった。 「社会にどの程度影響を与えるのか分からない」と日本政府は言っている。 このレベルの説明しかできない日本は最低でしょう。 そして食肉・酪農品需要が増大している中国、革新的農業技術で世界第二位の食品輸出国になったオランダの比較には興奮します。 政経分野ではロシアのセックスワーカーが300万人に迫っているが経済衰退が原因らしい。 国土も資源もあるロシアで何が問題になっているのか? ミャンマーのロヒンギャ難民がこの数年に何故多くなったのか? 「?」が毎年多くなっていきます。 世界が複雑になり見え難くなっている。 それでも会場は8部門が平均に展示されているので世界を冷静に俯瞰することができる。 「?」を持つだけでも一歩すすめたと考えるしかありません。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3060.html

■SUKITA、刻まれたアーティストたちの一瞬

■監督:相原裕美,出演:鋤田正義,布袋寅泰,ジム・ジャームッシュ,山本寛斎,永瀬正敏,リリー・フランキー,クリス・トーマス,ポール・スミス,YMO,MIYAVI他 ■新宿武蔵野館,2018.5.19-(2018年作品) ■昨年の「 デヴィッド・ボウイ・イズ 」を思い出しながら観てしまった。 鋤田正義といえばボウイやYMOしか知らないの。 それと寺山修司もね。 この映画はT・レックスのマーク・ボランで始まるけど鋤田の始まりでもある。 グラムロックは写真写りが良いから入り易いかも。 特に「ボウイはスタイリストの言いなりにはならない」から最高。 ポール・スミスの言葉よ。  写真家鋤田正義のスタートは遅れて1970年代からなの。 それは「時代に逆らわず、流れに乗っていく」彼の流儀にある。 いつもユックリと今を走っている感じよ。 「彼にはオフィス感覚がない」と坂本龍一が言っていたけど、それは撮る者と撮られる者の関係が曖昧になることだとおもう。 そこに親密性が立ち現れる。 でも鋤田が相手の芸術をどう思っているのか伝わってこない。 ここで止まってしまう。 親密が作品上では演劇的にみえてしまう。 ポートレイトのことで彼が何度か話していた問題がこれよ。 編笠の母親や老婆の後髪姿の作品のほうが心の奥へ通ずる道が見える。 でも彼の親密性は誰も真似できない。 演劇的リアルの凄さをね。 映画監督では「ミステリー・トレイン」のジム・ジャームッシュや話題のひと是枝裕和も登場したのは嬉しい驚きね。 鋤田を追っていくとアーティストの結びつきからその時代が塊となって現れて来る。 出演者はオジイやオバアが多かったけど、古さと新しさの区別がつかない彼の写真のように過去が現代に混ざり合ってくるドキュメンターリだった。 *映画com、 https://eiga.com/movie/88086/

■東京ミッドタウン日比谷

■建築主:三井不動産,設計:鹿島建設,施工:鹿島建設,オープン:2018.3.29 ■3月にオープンした「東京ミッドタウン日比谷」を見学する。 地下鉄日比谷駅から入ったが地下1階のアーケードが広々として素晴らしい。 直線の通路と円形の天井が余裕の調和で満たされている。 そして1階から3階までのアトリウムの吹き抜けが解放感を漂わせている。 アトリウム周辺は衣料・雑貨で固めその奥に飲食店が並んでいる。 衣料・雑貨に高級店は少ない。 飲食店を特定階に閉じ込めないのも特徴に挙げたい。 4・5階は映画館、6階は交流拠点「ベースQ」と屋上庭園から成り立っている。 特に映画館のロビーが桁外れに広い。 このビルは(7階以上のオフィスを除き)映画館施設として作られているようだ。 近くの日生劇場や宝塚劇場、シアタークリエに来た観客も序でに呼び込みたいらしい。 飲食店はちょっとリッチな客層を狙っている。 それにしても映画館ロビーの広さと比較して4・5階への往復通路が少ないように思える。 オフィス階に考慮したのかな? たぶん映画の客をアトリウム周辺に閉じ込めたいのだろう。 低層階は重厚な外壁で囲み、中からヅヅーンと高層ビルが聳え立っている。 遺産を生かす流行りの形だ。 波を打っているので柔らかみがある。 1階広場に緑が少ないのは日比谷公園が近い為だと思う。 映画客避難場所にもなる。 宝塚劇場地下の「みゆき座(スカラ座?)」は新ビル映画館の続きでスクリーン12・13になっている。 ともかく同じミッドタウンでも六本木と日比谷の違いは明白である。 *「東京ミッドタウン日比谷」サイト、 https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/jp/ *建築DBサイト、 http://www.eonet.ne.jp/~building-pc/tokyo-kensetu/tokyo-191hibiya.htm

■ル・コルビュジエとアイリーン、追憶のヴィラ

■監督:メアリーマクガキアン,出演:オーラ・ブラディ,ヴァンサン・ペレーズ,ドミニク・ピノン ■(ベルギー・アイルランド,2015年作品) ■大人びた映画ね。 嫉妬や愛憎がモヤモヤしているからよ。 はっきりさせない。 コルビュジエもカメラに向かって盛んに独白するけど心の内は分からない。 別荘E.1027への彼の落書きは子供っぽさからくる嫉妬かもしれない。 アイリーンもどこかおっとりしているわね。 飛行機好きにはみえない。 彼女は建築を子宮のように考えているの。 フェルナン・レジェとシャルロット・ペリアン*2も登場するけど人物像をハッキリ描かない。 モヤモヤドラマね。 でもコルビュジエと絵画や家具の関係を思い出させてくれたわ*1,2。 *1、 「ル・コルビュジエと20世紀美術」 (西洋美術館,2013年) *2、 「シャルロット・ペリアンと日本」 (目黒美術館,2012年) *アイルランド・日本外交関係樹立60周年記念事業作品 *ル・コルビュジエ生誕130周年記念作品 *作品サイト、 http://www.transformer.co.jp/m/lecorbusier.eileen/

■平田晃久展-Discovering Newー

■TOTOギャラリー・間,2018.5.24-7.15 ■若手建築家の作品はどれも似たようにみえてしまう。 模型の展示方法も同じです。 家と木々の関係などは「 藤井壮介展 」をより進めた感じですね。 映像は「Tree-ness House」と「太田市美術館・図書館」の最新2作品です。 前者は窓や通路に木々を植え生活と一体化を計っていますが狭ッ苦しい。 曲がりくねっていて歩くのにやっとです。 後者は公共施設の為まだ余裕があります。 でも部屋や通路の周囲に使えない余白が目立つ。 図書館の本棚も乱れ置きのため探すのに苦労するでしょう。 しかし躍動感が持てるのは確かです。 身体との一体感です。 彼は建築も生物種に含まれると言っています。 たぶん生物と同じ目線で建築を考えている。 多様関係の重視と生態系への拡張です。 時代の一つの正解にみえる。 しかし二つの映像をみて空間がチープ(=安っぽい)な感じがしました。 この複雑な狭さから逃げたい! 関係重視も良いのですが、関係逃避も有りです。 何もない空間に居たい。 ウサギ小屋住人からの意見でした。 *館サイト、 https://jp.toto.com/gallerma/ex180524/index.htm

■ルーヴル美術館展、肖像芸術-人は人をどう表現してきたか

■国立新美術館,2018.5.30-9.3 ■プロローグのエジプト2作品の対比は面白い。 「棺に由来するマスク」は未来の顔を、「女性の肖像」は過去の顔を求めているの。 2作品の時代差千年が女性を現実的にさせたらしい。 過去の自分の顔は今より美しいからよ。 「神に捧げ」「墓碑に刻み」記憶してもらう顔、「権力や権威」を見せびらかす顔、「表現や流行」を取り込む顔と展示は続く。 みる相手が誰か?肖像史では大事なのね。 肖像画と人物画の違いを意識させないのは肖像の定義が時代と共に変化したのかも。 会場ではオッと声をあげたくなる作品が時々現れる。 アングルや女流画家ルブランの2点、ゴヤなどなど。 「美しきナーニ」はちょっとキツイ感じね。 気に入ったのは「ヘラクレス(エロス)として表された子どもの小像」(ローマ彫刻)2点と「画家の妻と子どもの肖像」(ヴェスティエ)。 後者の子供と犬はビンビンに心が伝わり合っているのがわかる。 エピローグの2枚は昨年の「 アルチンボルド展 」(西洋美術館)には出展されていなかったはず。 今回の為に取っておいたのかしら? それはともかくルーヴルのパワーが会場の至る所で顔を出している展示会だった。 *展示会サイト、 http://www.ntv.co.jp/louvre2018/