■SUKITA、刻まれたアーティストたちの一瞬

■監督:相原裕美,出演:鋤田正義,布袋寅泰,ジム・ジャームッシュ,山本寛斎,永瀬正敏,リリー・フランキー,クリス・トーマス,ポール・スミス,YMO,MIYAVI他
■新宿武蔵野館,2018.5.19-(2018年作品)
■昨年の「デヴィッド・ボウイ・イズ」を思い出しながら観てしまった。 鋤田正義といえばボウイやYMOしか知らないの。 それと寺山修司もね。 この映画はT・レックスのマーク・ボランで始まるけど鋤田の始まりでもある。 グラムロックは写真写りが良いから入り易いかも。 特に「ボウイはスタイリストの言いなりにはならない」から最高。 ポール・スミスの言葉よ。 
写真家鋤田正義のスタートは遅れて1970年代からなの。 それは「時代に逆らわず、流れに乗っていく」彼の流儀にある。 いつもユックリと今を走っている感じよ。 「彼にはオフィス感覚がない」と坂本龍一が言っていたけど、それは撮る者と撮られる者の関係が曖昧になることだとおもう。
そこに親密性が立ち現れる。 でも鋤田が相手の芸術をどう思っているのか伝わってこない。 ここで止まってしまう。 親密が作品上では演劇的にみえてしまう。 ポートレイトのことで彼が何度か話していた問題がこれよ。 編笠の母親や老婆の後髪姿の作品のほうが心の奥へ通ずる道が見える。 でも彼の親密性は誰も真似できない。 演劇的リアルの凄さをね。
映画監督では「ミステリー・トレイン」のジム・ジャームッシュや話題のひと是枝裕和も登場したのは嬉しい驚きね。 鋤田を追っていくとアーティストの結びつきからその時代が塊となって現れて来る。 出演者はオジイやオバアが多かったけど、古さと新しさの区別がつかない彼の写真のように過去が現代に混ざり合ってくるドキュメンターリだった。
*映画com、https://eiga.com/movie/88086/