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6月, 2020の投稿を表示しています

■鴻池朋子、ちゅうがえり  ■宇宙の卵  ■パウル・クレー  ■印象派の女性画家たち

■アーティゾン美術館,2020.6.23-10.25 □鴻池朋子,ちゅうがえり ■「 ミュージアムタワー京橋 」を一周してから美術館に入る。 コロナ対策が厳しい。 6階に行くと先ずは工事中のような櫓が目に入る。 周辺の壁には熊や鹿を描いた作品が並べられ、本物の毛皮も吊るされている。 人間と動物の霊媒関係を描こうとしているようだ。 「人間は一匹の動物として・・世界を眺めている」。 昔話にも力を入れていることを初めて知った。 映像もその延長に感じられる。 より周縁へ、より境界へと仕事が広がっているようだ。 将来の鴻池朋子は美術界のイタコを目指しているのではないだろうか? *館サイト、 https://www.artizon.museum/collection-museum/exhibition/detail/2 □宇宙の卵,Cosmo-Eggs ■キューレーター:服部浩之,アーティスト:下道基行,安野太郎,石倉敏明,能作文徳 ■5階にダンボールや合板で建物を造り、映像・音楽・言語・建築・美術を駆使して一つの作品にしている。 「人間と非人間の共存・共生をテーマにしたインスタレーション」である。 石垣島の津波石の映像、リコーダを使い宮古島の鳥声をモチーフにしたゾンビ音楽、壁には琉球から台湾までの神話伝承が書かれ、中央にはオレンジ色の空気ソファが置いてある。 5分野が緻密に計算されて一つの卵として出来上がっている。 黄身が映像、卵白が音楽、殻が人類学、構造が建築と美術で出来た卵だ。 「卵の宇宙」だ。 <クール>と言ってよい。 ビエンナーレ出展作だけあって世界基準に達している。 6階の鴻池朋子展とテーマは接しているが表現の方向性が真逆だ。 2展をみて文化人類学の再流行を予感した。 *第58回ヴェネチア.ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 *館サイト、 https://www.artizon.museum/collection-museum/exhibition/detail/3 □パウル・クレー ■「新収蔵作品24点一挙公開!」。 24点は見応えがある。 嬉しいオマケだ。 *新収蔵作品特別展示 *館サイト、 https://www.artizon.museum/collection-museum/exhibition/detail/4 □印象派の女性画家たち ■画家

■ミュージアムタワー京橋(アーティゾン美術館)

■設計:日建設計,施工:戸田建設 ■2019.6竣工 ■開館5カ月目にやっと行くことができた。 地上23階、地下2階のビルは10階から22階がオフィス、低層部1階から6階にアーティゾン美術館が入る。 隣に建つ高層ビルは2024年完成で工事が始まったばかりだ。 両ビル併せて「京橋彩区」と名乗りアート系イベントエリアが計画されている。 1階カフェを八重洲通りに作らなかったのは4年後を意識したからだろう。 美術館に入る。 ビル内美術館は数階に分かれるのでわかり難い。 フロアガイドを見ながらロビー・ショップ・カフェ・トイレ・エレベータなど隈なく歩く。 建物中央の壁や階段は石を多用して重たい感じがする。 でも窓周辺のガラスと鉄のコンビネーションがそれを跳ね除けている。 展示室のフローリングが焦げ茶色で気に入った。 美術館床板の質や色は作品に影響するので重要だ。 早速6階の「 鴻池朋子展 」から観て回る・・。 *高層ビルサイト、 https://skyskysky.net/construction/201916.html

■画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン

■三菱一号館美術館,2020.2.15-9.22 ■「ナビ派が見たこども展」ですね。 この美術館はナビ派が多い。 親密さ、その延長にいる子供の絵は作品寸法も小さいので当館の部屋構造に合っている。 「 オルセーのナビ派展 」(2017年)の裏通りを歩いている感じです。 会場に入るとナビ派の誕生にかかわったゴーガンが出迎えてくれます。 ゴッホもいますね。 「路上」「散策」「都市」「公園」「家族」「庭」をタイトルに入れての日常の小作品が続く。 そこにヴァロットンの即物的表現を含めて都市市民の裕福さが感じられる。 エピローグの「永遠の子ども時代」のボナールは見応えがありました。 結局はボナールとドニが残った展開でした。 当展示会はボナール美術館が主催ですし、ドニは子沢山だったのが理由(?)でしょう。 *開館10周年記念展 *ARTAgenda、 https://www.artagenda.jp/exhibition/detail/3979

■高輪ゲートウェイ駅

■設計:JR東日本,隈研吾建築事務所ほか,施工:大林組,鉄建JV ■2020.3.14開業 ■ホームに降りると解放感がやってくる。 天井が高いからだ。 駅構内を歩き回る。 膜屋根を通過する光と側壁ガラスから入る自然光が構内を柔らかくしている。 木材を使用していると聞いていたが目立たない。 たぶん天井が肌色の為だろう。 床の木目調コンクリート(?)も本物の木材を見え難くしている。 全体に冒険心が無い色彩だ、飽きは来ないかもしれないが・・。  1階はホーム、2階は線路に沿って長い通路がぐるっと取り囲んでいる。 3階にコーヒー店がある。 シンプルな構造だ。 自動案内板が目立つ。 ロボットもいる。 無人売店があったが入っても何も買わない場合の細かい遣り取りはどうなるのだろう? 駅周囲は工事中だ。 泉岳寺方面へ行くにも遠い。 海側方面通路は将来伸びるのかな? 4棟の高層ビル完成は3年先だ。 2024年まで使い勝手の悪い駅かもしれない。 *出店ウォッチ、 https://shutten-watch.com/kantou/1133

■ピーター・ドイグ展

■東京国立近代美術館,2020.2.26-6.14 ■「なつかしくて、あたらしい」。 その懐かしさと新しさが1枚1枚違うの。 ゴーギャンやゴッホ、ムンクやマティス、そしてホッパーや横尾忠則を次々と思い出しながら観ていったからよ。 でも物語の出処がよくみえないから懐かしさは表面的なの。 ここが横尾忠則とは違うのね。 そして3章「・・スタジオフィルムクラブ」で表面的な理由が分かった。 映画の物語を借用していたからだと思う。 「13日の金曜日」や小津安二郎の名前もあがっていたし・・。 40枚近い映画ポスターをみてドイグがやっとみえてきた。 D・リンチ、F・トリュフォー、F・フェリーニ、M・アントニオーニ、J=L・ゴダール、P・P・パゾリーニ、小津安二郎、R・ブレッソン、北野武、L・ヴィスコンティ、黒澤明、S・レイ、L・ブニュエル、J・ジャームッシュ・・・。 一歩踏み込んだ映画好きにみえる。 「ターナー賞」にノミネートされた理由は幾つかの作品で暈しを使った湿度ある空気感を描いた為かしら? ところで、久しぶりの美術館でみる絵はヤッパ最高ね。 *館サイト、 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/peterdoig/ ■北脇昇、一粒の種に宇宙を視る *館サイト、 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/kitawaki2020/

■森山大道の東京、ongoing  ■写真とファッション、90年代以降の関係性を探る

■東京都写真美術館,2020.6.2-9.22 □森山大道の東京 ■久しぶりの美術館です。 森山大道は美術館で観るのが一番でしょう。 迫力が違う。 過去シリーズを取捨し再構成しているらしい。 新作もあるのが嬉しいですね。 作品の中の東京は見慣れているが一瞬動けなくなります。 それは「アレ・ブレ・ボケ」と言われている手法がその場所と人を異化して新しいリアルを出現させるからです。 特に白黒作品はそう思います。 カラー作品もいいですね。 色彩のドギツさがギリギリのところで止めてある。 白黒とは違った物語が見えてきます。 20世紀を強引に未来へ持っていこうとする力が働いている。 都市も肉体も20世紀が、大道の作品には、染みついているからでしょう。 *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3813.html □写真とファッション ■監修:林央子,作家:アンダース.エドストローム,高橋恭司,エレン.フライス,前田征紀,パグメント,ホンマタカシ ■副題の通り、90年代以降のファッションとその周辺を回想するため、 「here and there」やエレン・フライスの「Purple」など当時の雑誌を広げながら、「花椿」は登場しませんが、ファッションブランド「PUGMENT」で現代に繋げていく流れです。 高橋恭司、前田征紀、ホンマタカシなど作家との関係も初めて知る。 戸惑いました。 この時代のファッションは(私事多忙で)記憶からスッポリ抜けているからです。 マルタン・マルジェラくらいです。 前田征紀や安田都乃の作品も全体との繋がりが見えない。 結局は混乱したまま館を後にしました。 20世紀末を20歳前後で通過した人には分かるはずです。 *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3451.html

■ゴッホとヘレーネの森、クレラー・ミュラー美術館の至宝  ■永遠の門、ゴッホのみた未来

□ゴッホとヘレーネの森 ■監督:ジョヴァンニ.ピスカーリオ,脚本:マッテオ.モネータ,案内人:バレリア.ブルーニ.テデスキ ■(イタリア,2018年) ■「コレクターであるヘレーネ・クレラー・ミュラーを通してゴッホを描いたドキュメンタリー・・」とある。 クレラー・ミュラー美術館は行ったことがないしヘレーネもよく知らない。 ヘレーネの生い立ちやゴッホの出会いなどを挿入しながら作家や研究者の解説で進んでいく前半は面白い。 「ヘレーネのベッドは質素で小さかった」「大戦では看護に従事した」。 彼女にゴッホの影響が見える。 宗教の疑問からくる信仰の危機も同じだ。 しかし後半はヘレーネから離れていく。 ゴーギャンとの共同生活以降は死に急ぐゴッホを後押しするかのような流れになっていく。 それはゴッホの言葉で満たされながら終幕まで続く。 なかなか劇的だ。 ゴッホと人生観を重ねていたヘレーネのことをもっと知りたかった。 ヘレーネと後半の結びつきがぼやけていた。 美術館も遠くなってしまった。 最期まで彼女に寄り添えば統一感のある作品になっていただろう。 *映画com、 https://eiga.com/movie/91633/ □永遠の門 ■監督:ジュリアン.シュナーベル,   出演:ウィレム.デフォー,ルパート.フレントド,オスカー.アイザック他 ■(イギリス.フランス.アメリカ,2018年) ■先日、レンタルで観た「マザーレス・ブルックリン」に登場していたウィレム・デフォーが今回のゴッホ役だ。 どの役も同じにみえる役者だから気にならない。  「永遠の門」は1886年のパリから始まるが直ぐにアルルへ飛ぶ。 ゴッホの喋る言葉はしっかりしている。 この為か後半に入ってからのゴッホと4人の対話が面白い。 それは、耳を切り落とした直後の医者との問答、サン=レミ療養所入浴場面の兵隊との昔話、療養所を出る直前に交わす神父との論争、そして「医師ガシェの肖像」を描きながらのガシェとの会話。 ゴッホをイエス・キリストに近づけようとしているのが分かる。 ゴッホはキリストのように未来を語る。 彼の死姿は十字架から降ろされた時のようだ。  作品タイトルもそれに呼応している。 変わった映画だ。 ところで「リチャード三世」を読むゴッホの持つ本が小さ過ぎて気になった。 7センチくらいの

■有元利夫展、花降る空の旋律しらべ(中止)

■Bunkamura.ザミュージアム,2020.6.25-8.30 ■「新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、開催を中止することになりました・・」。 「東京好奇心」と違って延期は難しかったのね。 東京10年ぶりの回顧展だったのに残念! *有元利夫没後35年展 *館サイト、 https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_arimoto/ *「このブログを検索」に入れる語句は、 有元利夫