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9月, 2018の投稿を表示しています

■日本橋高島屋新館

■設計:日本設計,外装:SOM(スキッドモア.オーウィングズ.アンド.メリル),施工:鹿島建設 ■新館開業2018.9.25 ■9月25日にオープンした高島屋S.C.新館を見学。 中央通りからみると重要文化財の本館との調和が見事ね。 外装デザインは東京ミッドタウンを手掛けたSOMとのこと。 7階までが新館で以上32階まではオフィスらしい。 これで4つの建物から構成される日本橋高島屋の全体像がみえたと言っても良いかしら? 新館フロアは思っていたより狭い感じがする。 軽さを感じさせる専門店で統一しているの。 日常(すむ)と仕事(はたらく)に直結したコンセプトらしい。 本館との間のガレリアは有機的に統合されていない。 馴染むのには少し時間が必要ね。 屋上のグリーンテラスは2019年春オープンで工事中。 日本橋界隈は「日本橋」を挟んで途切れてしまっている。 三越(三越前駅)から高島屋(日本橋駅)までの間は歩く楽しさがない。 同じように銀座と京橋もね。 三井不動産は三越より北の室町周辺に力を入れているし・・。 「日本橋」の両岸が繋がるのはやって来るかしら? *高島屋サイト、 https://www.takashimaya.co.jp/nihombashi/about.html

■渋谷ストリーム

■設計:東急設計コンサルタント,施工:東急建設,大林組 ■開業:2018.9.13 ■第二弾「渋谷ストリーム」へ行ってきたわよ。 第一弾の「渋谷ヒカリエ」は2012年開業だから既に6年が経過したのね。 ストリームは地上35階だけど高く感じられない。 ビル表面に板を貼ってあるようなデザインが垂直の流れを邪魔しているからだとおもう。 遠くから見ても継ぎ接ぎのようで野暮に見える。 ビルのフロアは1階から3階が店舗、13階迄がホテル、14階からはオフィス、そしてアネックスにホールが入っている構成よ。 食事時だったけど日本1号店のバルセロナ発パエリア店「チリンギート・エスクリバ」周辺がやはり一番混んでいたかな。 オフィスのエントランスを見たかったけど入れなかった。 グーグル日本法人の入居は来年らしい。 ホールもイベント時刻でないと開館しないようだわ。 どちらも見ることが出来なくて残念! それよりストリームの名前の通り渋谷川を取り込んだコンセプトに見応えがある。 ここは首都高が遮り行き難い地区だけど、将来はビルの中心を通り渋谷川沿いに伸びるストリーム・ラインが渋谷駅と繋がるらしい。 渋谷川は昔からのドブ川だけど上手く利用しているとおもう。 川沿いの遊歩道は店舗「渋谷ブリッジ」などを取り込みながら代官山方面へ続いているの。 渋谷が苦手としていた地域をストリーム・ラインで活性化できれば楽しくなるわネ。 *渋谷ストリームサイト、 https://shibuyastream.jp/

■松尾敏男展 ー清心な絵画ー

■そごう美術館,2018.9.8-10.14 ■松尾敏男の作品はよく見ますがまとまった展示は初めてですね。 1章「新しい日本画を志して」2章「内省的な絵画から写生重視へ」3章「現代における日本画の可能性を信じて」の構成です。 4章は・・なかった? 会場出口付近が分かり難かった為です。 初期作品の木々などは平面のように広げて具体と抽象の中間を狙っています。 対象群を大きく分割して力強さがある。 かつ異界に通ずる物語もみえる。 これが新しい日本画であり内省的と言える。 彼はフランス映画や歌舞伎、旅行が好きだったようです。 舞台美術や緞帳も担当している。 人物画は少ないので記憶に残ります。 マルセル・カルネ「夜の波止場」の女優は人間の強さが窺えるし、歌舞伎役者七代目中村芝翫は人柄が表れている。  相撲取りの化粧まわしもあったが花模様は変わっていて面白いですね。 旅行の成果である中国の山々やヨーロッパの都市、日本の四季風景画は大画面で迫力があります。 後半は写生重視に移った。 でも植物画はどこか幽玄的にみえます。 ここが彼の絵の忘れられない一因となっている。 内省が続いているかのようです。 会場のインタビュー映像では生まれ故郷長崎について多くを語っていました。 「長崎夜景」は山々の民家の灯りをホタルのようにたくさん描いて素朴さがある。 でも日本画の可能性については聞き洩らしてしまった。 *2016年8月没後初の回顧展 *館サイト、 https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/18/matsuo_toshio/

■ペギー・グッゲンハイム、アートに恋した大富豪

■監督:リサ・インモルディーノ・ヴリーランド,出演:サミュエル・ベケット,ジャン・コクトー,ロバート・デ・ニーロ他 ■イメージフォーラム,2018.9.8-(アメリカ,2015年作品) ■ペギー・グッケンハイムのコレクター人生を撮ったドキュメント映画。 コレクションは美術品とその画家である。 両方を収集したのが異色だとおもう。 その収集は彼女自身の自由と存在感を高めるための手段のようだ。 手段達成への情熱と大胆な直感を彼女は持っていた。 彼女のコレクションは当時ひょっとしたらガラクタになりかねなかった。 デュシャン、エルンスト、ポロック、ピカソ、モンドリアン。 そしてカンディンスキー、ブルトン、カルダー、ジャコメッティ、ブランクーシ、タンギー、ダリ、キリコ・・。 最初はいい加減な作品を購入したが途中からデュシャンの意見に従っている。 彼から慧眼力も学んだ。 もう一つの<収集>であるアーティストつまり男性遍歴も大したものだ。 「作品より恋人のほうが多かった」「女性の自由と権利の”荒れた”見本」と言われたそうだが、アーティストへの支援は惜しまなかった。 「・・一番はポロックを見出したこと」。 彼女はインタヴューで語っている。 モンドリアンの言葉「アメリカで見た中で一番刺激的だ」を聞いて彼女は動いたのだろう。 度胸ある行動に出られるペギーがいなかったら現代美術はガラッと違っていたかもしれない。 リサ監督はベギーのユーモアを見つけて欲しいと言っている。 人生の滑稽矛盾洒脱がペギーの全身からジワッと滲み出ていた。 *作品サイト、 http://peggy.love/

■超えてゆく風景展 ー梅沢和木XTAKU OBATAー

■ワタリウム美術館,2018.9.1-12.2 ■二人展ですが量と質が際立って不均衡です。 展示室2階・3階は梅沢和木の作品が壁一杯です。 大小写真の上に丹念に又は粗雑に細かく絵具で描いてある。 ゴミゴミしていて近寄らないと何が描かれているのかわからない。 作品ごとの境界も定かではない。 風景というより壁でしょう。 なんとそこに小畑多丘のロボットのような木造彫刻が2点、ズトーンと向かい合っているだけ。 両者には緊張感が漂っています。 B-BOYとB-GIRLがこれからダンスを踊ろうとするその一瞬を捉えている。 微妙に振動しているようにみえる背景の梅沢と共鳴していますね。  展示室4階は小畑の写真と映像がともに1点。 「Takuspe buttai Abstoract」は色々な抽象物体が画面を横切る二次元的動きをしている。 面白いようでつまらない。 敢えて3次元を無視しているからでしょう。 2階の続きで4階も彫刻を見たかった。 でも展示室自体の問題もありますね。 3階と4階は中途半端な空間のため作品も中途半端になってしまいそう。 今回の2階は面白い空間が出現していました。 *美術館、 http://www.watarium.co.jp/exhibition/1809hyperlamd/index.html

■ブラジル先住民の椅子 ー野生動物と想像力ー

■東京都庭園美術館,2018.6.30-9.17 ■動物の優しい顔がいいわね。 猿、豹、鹿、獏、鷲、鷹、蝙蝠、魚、亀・・。 コンドル、アルマジロ、アリクイ、ハチドリ、カエル・・。 知らない名前もある。 見ているとホッとする。 蛇や蜘蛛はいないようだわ。 癒し系かな。  記録映像「ブラジル先住民の椅子ーメイナクの人々の生活と椅子作りの紹介」(12分)と「ブラジル先住民が語るメイナク族と椅子」(25分)を最後にみる。 前者映像はメイナク族部落とその生活の一端が映し出され、ジャングルに行き大きな木を斧で倒し椅子を作っていく様子が紹介されているの。 森の木から動物が生まれ出てくる感動が持てたのは嬉しい。 でも今もこのような生活をしているのかしら? 文化遺産としての保存映像かもしれない。 後者は椅子作りの問題点が語られる座談会形式の映像よ。 メイナクの人々は椅子を民芸品ではなく芸術品として扱ってもらいたいらしい。 経済的都合が背景にあるのも分かるわね。 汐留ミュージアムで「河井寛次郎展」が開催されているけど、日本でも作家と職人の関係や機械の使用などの相違からくる民芸運動批判があった。 この映像でも斧かチェーンソーかの話がでていたから意見を統一するのは大変そう。 中庭の池がみえる一室に掲げてあるブラジルと先住民の地図は作品全体を把握するのに最適よ。 その中でメイナク族が住んでいるマトグロッソ州の名前を見た途端レヴィ=ストロースを思い出してしまったの。 うーん、悲しき熱帯! 今回は伝統や宗教性も感じられるけど西欧社会に影響された現代作品ばかり。 副題にもあるように想像力としての表現を楽しむ展示会のようね。 *館サイト、 https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/180630-0917_benchesofthebrazilian.html *追記。 ブログのデザインを9月初旬に変更したの分かった? 「Blogger」を利用しているけど更新があり古い機能が使えなくなってしまったからよ。 新しいスケルトンを使って再構築したけど微妙なデザインが作れない。 クリック(タップ)操作が増えてしまった。 コードは修正したくないし・・。 これでいくしかないわね。

■マノロ・ブラニク -トカゲに靴を作った少年-

■脚本・監督:マイケル・ロバーツ,出演:マノロ・ブラニク,アナ・ウィンター,リアーナ,パロマ・ピカソ,シャーロット・オリンピア,ジョン・ガリアーノ ■(イギリス,2017年作品) ■「履き心地は悪いが美しい」「とても痛いが気分がいい」「履いたことはないが持っている」・・。 女性の靴の選び方は理解できない。 カナリア諸島でのマノロ・ブラニクの幼少期は素晴らしかったはずだ。 作品中の楽し気な生物や植物をみてもそれが分かる。 そして彼はパリ、ロンドン、ニューヨークと渡り歩いていく。 どこかジェームス・ディーンに似ている。 セクシーな青年だったらしい。 ダイアナ妃が彼の靴を履いてから爆発的に売れ出したと言っている。 アフリカへの接近も一歩誤れば下品にみられるが、そうならないのが彼の凄いところだ。 プラド美術館でゴヤの靴を論じている場面も面白かった。 この映画に登場する有名人はマノロの靴を無条件で称賛する。 アナ・ウィンター、パロマ・ピカソ、イマン、ジョン・ガリアーノ、ソフィア・コッポラはともかく初めて聞く名前が多い。 やはり靴の世界は遠い。 マノロはランペドゥーサの「山猫」の話をしたがる。 「・・マノロが面白いと思っていた時代は過ぎ去ろうとしている」と誰かが言っていた。 「庭仕事が一番」の彼も主人公ドン・ファブリツィオと人生を重ね合わせる時期に来ているのかもしれない。 ただしルキーノ・ヴィスコンティの「山猫」しか私は知らないが。 *映画comサイト、 https://eiga.com/movie/87776/