■ペギー・グッゲンハイム、アートに恋した大富豪

■監督:リサ・インモルディーノ・ヴリーランド,出演:サミュエル・ベケット,ジャン・コクトー,ロバート・デ・ニーロ他
■イメージフォーラム,2018.9.8-(アメリカ,2015年作品)
■ペギー・グッケンハイムのコレクター人生を撮ったドキュメント映画。 コレクションは美術品とその画家である。 両方を収集したのが異色だとおもう。 その収集は彼女自身の自由と存在感を高めるための手段のようだ。 手段達成への情熱と大胆な直感を彼女は持っていた。
彼女のコレクションは当時ひょっとしたらガラクタになりかねなかった。 デュシャン、エルンスト、ポロック、ピカソ、モンドリアン。 そしてカンディンスキー、ブルトン、カルダー、ジャコメッティ、ブランクーシ、タンギー、ダリ、キリコ・・。 最初はいい加減な作品を購入したが途中からデュシャンの意見に従っている。 彼から慧眼力も学んだ。
もう一つの<収集>であるアーティストつまり男性遍歴も大したものだ。 「作品より恋人のほうが多かった」「女性の自由と権利の”荒れた”見本」と言われたそうだが、アーティストへの支援は惜しまなかった。
「・・一番はポロックを見出したこと」。 彼女はインタヴューで語っている。 モンドリアンの言葉「アメリカで見た中で一番刺激的だ」を聞いて彼女は動いたのだろう。 度胸ある行動に出られるペギーがいなかったら現代美術はガラッと違っていたかもしれない。 リサ監督はベギーのユーモアを見つけて欲しいと言っている。 人生の滑稽矛盾洒脱がペギーの全身からジワッと滲み出ていた。
*作品サイト、http://peggy.love/