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■窓展、窓をめぐるアートと建築の旅  ■鏑木清方 幻の<築地明石町>特別公開

■東京国立近代美術館,2019.11.1-2020.2.2 □窓展,窓をめぐるアートと建築の旅  ■バスター・キートンが初めに登場するので驚く。 いつもの風変わりな緊張感が楽しい。 郷津雅夫のNY下町アパートの窓から顔を出す住民の連作が気に入る。 そして岸田劉生の「麗子肖像」の解説を読んで初めてこの作品の構造が分かった。 奈良原一高の「王国」より「沈黙の園」は知っていたが「壁の中」は初めてみる。 女子刑務所の風景を撮った連作である。 林田嶺一の作品群は戦争の表裏が触覚的に迫ってくる。 窓といえばマイクロソフトのウィンドウだろう。 当ブログもこの窓を通して書いている。 全14章から成り立っているのでこれも窓なのか?と驚くような作品も後半は登場する。 変わったところでは7章の「世界の窓西京人」だろう。 西京に入国するには観客も審査に通らなければならない。 つまり一芸をしないと入れないのだ。 9章のタデウシュ・カントル「死の教室」で思い出した。 ポーランド映画祭が写真美術館で開催されたのだが、アンジェイ・ワイダ監督の記録映画「死の教室」もプログラムに入っていた。 都合で行けなかったが、これは必見だった。 最期の藤本壮介の住宅「HouseN」は窓を外から、そして内から見る入れ子構造になっていて面白い。 ガラクタのような作品もあったが結構楽しい展示会だった。 *館サイト、 https://www.momat.go.jp/am/exhibition/windows/ □鏑木清方,幻の<築地明石町>特別公開 ■「築地明石町」が行方不明だったことは知らなかった。 記念切手が家にあるので作品は知っていたのだが、しかし本物はなかなかだ。 短い解説も新鮮。 「新富町」「浜町河岸」に並んで三部作として展示されていたが明石町に目が行ってしまう。 関東大震災で明治の風景は失われた。 それを「明治風俗十二ヶ月」で蘇らせている。 配られた資料に「南紺屋町」付近から南下して「佃島」あたりまでの当時の地図が載っている。 作品と地図を照らし合わせ、現在の風景を思い浮かべながら比較すると楽しい。 「清方の作品をさらに味わうコツは、描かれた細部をすみずみまで徹底的に読み込むこと」と書いてあった。 ディープな明治時代にワープできるのが鏑木清方だ。 *館サイト、 https://www.moma

■㊙展、めったに見られないデザイナー達の原画

■ディレクター:田川欣也,作家:深澤直人,原研哉,平野敬子,伊藤隆道,柏木博,川上元美ほか ■21_21DESIGN SIGHT,2019.11.22-2020.3.8 ■作成過程の途中を見せる展示です。 それはスケッチや図面、模型ですが。 映像もあります。 デザイナーの卵なら有益かもしれない。 しかし素人では見る箇所がどこだか分からない。 使っている鉛筆はどこのメーカーを使っているとか、消しゴムはあの商品だとかに目が行ってしまいます。 たぶん本人も試行錯誤でしょうから一場面だけをみてもどうしょうもない。 どう変わっていったか、つまり微分して大きく変化したところを繋ぎ合わせてみれば少しは分かるかもしれない。 登場するデザイナーは有名人が多い。 日本デザインコミッティーに所属しているらしい。 でも26名の内5名くらいしか作品を思い出せない。 食器や家具はユニークでないと記憶に残らないからでしょう。 その一人隈研吾は知っています。 彼の展示は高輪ゲートウエイ駅です。 駅屋根の折紙がいくつも並んでいる。 やはり途中より完成品は納得できます。 それはシンプルで無駄が無いからです。 デザインとは付け加えるより削ぎ落していくものらしい。 特に工業製品はそういうものらしい。 そして追加要件ほど嫌なものはない。 クライアントもしっかりしていれば良い作品が生まれるはずです。 デザイナーの作成過程は絵画や彫刻より組織や人間関係が複雑で忙しそうですね。 *館サイト、 http://www.2121designsight.jp/program/inspiration/

■渋谷パルコ SHIBUYA PARCO

■建築主:渋谷パルコ,ヒューリック,設計・施工:竹中工務店他 ■2019.11.29開業 ■公演通りを歩いていくとちょっと厳めしいビルが見える。 これが新生パルコね。 近づくと建物1階にトンネルが通っている!? 早速地下一階から見て回る。 結構な混雑だわ。 変わっているのはフロアーガイドの店名が間接アドレス方式なの。 フロアー地図などは見ないで体感しろと言うことね。 エレベーター内の階名は全て英語!? よくみるとローマ字風だわ・・。 乗ってもフロアーガイトなどを当てにするな!ネ。 天井は剥き出し階もあり統一感がない。 鉄柱もみえる場所があり突貫工事だったのかしら? 外へ出ると建物周囲を階段等で歩くことができるみたい。 10階の屋上はまあまあだけどちょっと寂しい感じがする。 低層階だから20世紀末の風景が広がる。 6階迄は結構な数の店舗が入っている。 狭いから商品を絞り込む必要がある。 地下レストランを含め、任天堂などゲーム系店舗も充実していて渋谷センター街の延長として作られているように見える。 来場者も90%以上が20歳前後で1%が興味丸出しの爺婆だわ。 渋谷パルコは時々足を運ぶけど、それは劇場があるからよ。 杮落しは来年のため場内は見ることができなかった。 新客席数は600以上になるらしい。 今までの450席は中劇場では絶妙な数だったとおもう。 他劇場では得られない質の良い舞台との一体感を持っていたから。 周囲の赤絨毯の通路も親密だった。 でもエレベーターが混雑したし劇場エントランスも狭かった。 新しい劇場がどうなるか楽しみね。 今の渋谷は大人の街に変貌させたいらしい。 だから東急本店や文化村はセンター街の若者を直接には招き入れなかった。 でもパルコは今まで通りにみえる。 そしてセゾンの匂いが少しだけど残っていた。 それは8階に「ほぼ日曜日」が開店していたし、隣では草間彌生を上映していたからよ。 そこにはパルコ劇場もある。 さて、そろそろ、「スクランブルスクウエア」へ行ってみようかな。 *渋谷パルコサイト、 https://shibuya.parco.jp/

■未来と芸術展ーAI,ロボット、都市、生命ー

■森美術館,2019.11.19-2020.3.29 □未来と芸術展 ■衣食住の未来が半分以上を占めている。 この三つは身近なので作品に入りやすい。 しかもこの館が得意としているメタボリズムを全5章のうち2章も割いている。 マスターシティ、スマート・シティ、オーシャニクス・シティ、山水都市、ポロ・シティ・・。 環境問題はシビアになっているが、どれも1960年代メタボの延長にみえてしまう。 人口増加・食料不足への培養肉や昆虫などの食もそうだが、人間身体は衣食住に対して直ぐには変われない。  しかし後半の2章はその身体変容に迫る。 義肢精密化や皮膚形成手術などは現在科学の延長として理解できるがDNAやホルモン操作による「欲望の機械」、「器官なき身体」にまで広がると混乱する。 「気分の建築」も同じ感じかな? 倫理問題も付いて回る。 テーマが入乱れて芸術との関係がみえない。 3Dプリンターやドローンの利用は具体的で説得力がある。 特に3Dプリンターの活躍の場は広い。 AIの展示は扱い難いのは確かだ。 NASAの火星移住が詳細に語られていたのが面白かった。 末期医療ロボットが患者の腕を撫でながら家族の代わりをする作品は現実に戻されたがこれもアリだろう。 未来を描く有名漫画も紹介されていてテンコ盛りだ。 美術展というより博物展に近い。 未来は手探り状態のようだ。 しかし未来は近い! 未来が迫っていると感じた。 *館サイト、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/future_art/index.html □横溝静+松川朋奈-私たちが生きる,それぞれの時間 ■音楽はショパン「ワルツ10番」、それと数枚の写真で構成されている。 「未来と芸術展」で混乱した心身を整えてくれた。 *MAMコレクション011作品 *館サイト、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamcollection011/index.html □タラ・マダニ ■イラン出身タラ・マダニの風刺画や風刺アニメの作品展。 ザッとみる。 *MAMプロジェクト027作品 *館サイト、 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamproject027/i

■ダムタイプ|アクション+リフレクション  ■ミナ ペルホネン/皆川明 つづく  ■仮の声、新しい影

*以下の□3展を観る. ■東京現代美術館,2019.11.16-2020.2.16 □ダムタイプ|アクション+リフレクション ■アーカイブ展に近いが再編集した新作も展示されている。 たとえば25台のレコード盤を再作した「Playback」(2018年)が先ずは目に入る。 この1989年公演時の記録ビデオも上演している。 次の「MEMORANDUM OR VOYAGE」(2014年)は「OR」(1997年)「MEMORANDUM」(1999年)「VOYAGE」(2002年)を基にした作品なの。 大画面は迫力が違うわね。 今回上映の記録ビデオは約10本(80分)。 この中で「S/N」(1994年)が一番完成度が高いかな? その前の「pH」(1990年)でふっ切れた感じが出ている。 それまではダンスとマルチメディアがすれ違っているからよ。 パフォーマーたちに日常が見えてしまっている。 でも「pH」で肉体を解放したと思う。 「S/N」ではその肉体をマルチメディアに同期させることができた。 肉体のデジタル化ね。 ここに作者たちの言う「愛」「性」「死」「カネ」・・が舞台上に現れてくる。  ダムタイプのパフォーマンスは二つに分類されると思う。 一つはダンス、装置や道具で舞台が狭いとマイムや演劇に近づいていく。 「pH」と「S/N」は両者を融合できたことも面白い理由かもしれない。 ところで映像作品の展示方法を検討する時期だとおもう。 チケットを購入したら期日限定でスマホで観られたら便利よね。 展示会場内だけでもこのようにできたら嬉しいわ。 *美術館、 https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/dumb-type-actions-reflections/ □ミナ ペルホネン/皆川明 つづく ■皆川明の全貌がみえる。 8章で構成された会場はどれも個性が出ている。 「特別な日常服」をコンセプトにしている衣装ブランド「ミナ ペルホネン」。 「100年つづくブランドを」の思いでファッション活動を始めたらしい。 女性用が多いから彼のブランド名を知っている人は偏っているはず。 現在は家具や食器の制作、映像や舞台などで活躍を広げている。 なんと建築作品「シェルハウス」の実物まで展示されているの。 また「 書を捨てよ街へでよう 」(藤

■カミーユ・アンロ、蛇を踏む  ■李禹煥、版との対話  ■山田七菜子

■東京オペラシティアートギャラリー,2019.10-16-12.15 □カミーユアンロ蛇を踏む ■「いけばな」が並べられている会場にびっくり。 でも華道とは少しちがう。 俄仕込みのような感じかしら? タイトルを読んで驚く。 文学作品名とその一部が展示されているの。 たとえば「しあわせな日々」(ベケット)、「道徳の系譜」(ニーチェ)等々全39作品。 これで花と文章の断片の関係を追ってしまう。 その中に「蛇を踏む」(川上弘美)もある・・。  水彩でサラッと描いた絵画が次に並ぶ。 ストライプ模様が平面と立体そしてアイデンティティ・クライスまで進む作品群だと後から知って感心する。 そして「青い狐」の部屋へ。 壁一面に塗られた青色が細胞に活を入れてくれる。 そこに本や写真、絵画や彫刻などが無造作に置かれている。 ところが解説を読むとライプニッツから引用した構造で配置されているらしい。 次の「偉大なる疲労」(ヴィデオ13分)も観る。 これは「青い狐」を時間軸に伸ばしたようで彼女の思想が強く表れている。 構造から世界を把握したい! 個々のモノは彼女の好みが出ている。 自然環境への関心もある? 博物学的世界を描こうとしているが好みが雑音になり形にまとめ切れていない。 突っ込み過ぎると統合失調的作品になってしまうわね。 分解しそうな構造を美的優位性で支えている面白さが全ての作品にみえる。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh226/   □李禹煥,版との対話 ■「東洋的抽象」をテーマにした寺田コレクションの李禹煥版画作品を展示。 ミニマルな現代書道のようだわ。 *寺田コレクションより *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh227.php □山田七菜子 ■現代の野獣派!? *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh228.php

■フィリップ・パレーノ展、オブジェが語りはじめると

■ワタリウム美術館,2019.11.2-2020.3.22 ■どれも古臭いですね。 電気仕掛けのオブジェ作品がぽつぽつ並んでます。 例えば電気スタンド、スピーカーを内蔵した石、溶けて形が見えなくなった雪だるま・・。 1994年以降の作品とありますが、20世紀後半開催のテクノロジーを利用したオブジェ系美術展にみえる。 「・・オブジェたちは互いに会話をはじめる。 ・・周囲の細かな出来事や温湿光などに反応している。 ・・」。 どうやら技術的には高度らしいが見た目は分からない。 電気配線が剥き出しで材料も安っぽくみえるからです。 一つ一つの作品を分けず全体の雰囲気を観るのでしょうか? 「展示会(場)を一貫したメディアと捉える・・、出来事が展開する空間であり・・、個々の作品の意味ではなく・・、(場は)オープンスペースになり・・、時に応じて変化する・・、(場を)訪れることが時空の境界や感覚的経験を体験する・・」。 何んとなしに分かりますが・・、何んとなしに感じますが・・、何と言ったらよいのか・・。 *館サイト、 http://www.watarium.co.jp/exhibition/1910pareno/index.html

■ゴッホ展、人生を変えたふたつの出会い

■上野の森美術館,2019.10.11-2020.1.13 ■前半はハーグ派、後半は印象派からゴッホを眺める展示らしい。 副題にある「ふたつ」とは両派を指す。 これにバルビゾン派を繋げるとゴッホがみえてくる。 ハーグ派はよく知らない。 当ブログでも一つしかヒットしない*1。 前半はゴッホを考えながらハーグ派の作品をジワジワ観ることになる。 会場はけっこう混んでいる。 ゴッホの絵の生まれ故郷を初めて訪れた感じだ。 モンティセリの影響も知る。 1886年、ゴッホがパリへ出てからが後半になる。 ゴッホの動向も既知が多い。 先ずは印象派の画家たちの作品が並ぶ。 キャプションもゴッホとの関係を選んでいる。 「クロード・モネが風景を描くように人物を描かねば・・」。 壁に書かれたゴッホの言葉だ。 それにしてもゴッホはハーグを何故簡単に捨てただろうか? 表面的にそうみえる。 しかし展示前半を観た後では、両派が混ざり合っていくのがゴッホではないかと考えてしまった。 それは当たり前!と言われそうだが、実物のハーグ派を前にして初めてそのように推察できる。 今回の目玉「糸杉」をみてもそれを感じる。 画家としての濃密で短い10年を時間軸では区切れない。 *1、「 オランダ・ハーグ派展,近代自然主義絵画の成立 」(損保ジャパン興亜美術館,2014年) *館サイト、 http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=913189

■イメージの洞窟、意識の源を探る  ■写真新世紀

■東京都写真美術館,2019.10.19-11.24 □イメージの洞窟,意識の源を探る ■作家:志賀理江子,オサム.ジェームス.中川,北野謙,ジョン.ハーシェル,フィオナ.タン,ゲルハルト.リヒター ■赤ん坊を印画紙の上に乗せて撮影した北野謙「未来の他者より」が網膜に貼り付きました。 フィオナ・タンの10分間の映像「近い将来からのたより」は船を多く映している。 たぶん波の動きには人類祖先が海中で生活していた頃の記憶が残っているのでしょう。 海の波は<意識の源>に近づくための確実な風景です。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3441.html □写真新世紀,第42回公募受賞作品展 ■作家:江口那津子,遠藤祐輔,幸田大地,小林寿,田島顕,中村智道,吉田多麻希ほか ■写真が生活に溶け込んでいる実感が持てる。 どれも衣食住レベルの人間関係を写しているからです。 母の認知症や自身の闘病生活、スマホやSNS、ゴミなどに焦点をあてた作品が並ぶ。 今年は約2000名(組)の応募があり優秀賞7名と佳作賞14名の作品が展示されています。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3497.html

■ハプスブルク展、600年にわたる帝国コレクションの歴史

■国立西洋美術館,2019.10.19-2020.1.26 ■ハプスブルク一座の顔見世と言ってよい。 マクシミリアンからエリザベトまで主要な役者が総出演ですから。 8人の役者絵は何度みても飽きない。 おたふく風邪に罹っているようなルドルフ2世やヨーゼフ一世が一目惚れしたエリザベトの美貌は一度みたら忘れられません。 安定感漂うマリア・テレジアと明るいアントワネットもです。 顔長フェリペ4世に娘マルガリータ・テレサは似てませんね。 母親似ですか? 中世最後の騎士マクシミリアンは彼の甲冑が展示してある。 カッコイイですね。 彼がウィーン少年合唱団の生みの親とは驚きです。 この展示は誰がコレクターだったのかを教えてくれます。 フェルディナント・カールやレオポルト・ヴィルヘルムなどの名前もあがる。 クラーナハ、デューラー、ブリューゲルなど高北緯の画家が目に付きますがベラスケスも頑張っています。 レンブラントやティツィアーノの前に来ると周りの空気が緊張しているのがわかる。 作品が散けていて飽きのこない会場でした。 600年の総論と言ってよいでしょう。 *日本オーストリア友好150周年記念展 *館サイト、 https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019haus_habsburg.html *「このブログを検索」に入れる語句は、 ハプスブルク

■辰野金吾と美術のはなし  ■辰野金吾と日本銀行

■東京ステーションギャラリー,2019.11.2-24 □辰野金吾と美術のはなし ■明治時代の首席卒業生って中身が一杯詰まっている感じがするの。 そう思わない? 「建築家なら日本銀行と東京駅と国会議事堂を建てたい・・!」。 やっぱ詰まってるウゥ。 でも1919年のスペイン風邪で辰野金吾の国会議事堂を見られなくなったのは残念。 洋行時のスーツケースが展示してあったけどゴッツイ! 彼が設計したのかと勘違いしてしまった。 ともかく彼の建築はゴツいところがいい。 これが明治時代にピタリと合うの。 フランツ・バツラーの日本風東京駅案は江戸に逆戻りね。 彼の美術界への接近は洋画家松岡壽の存在があったことを知るが建築への影響はハッキリ見えない。 厳めしい公共建築を中和するような装飾性にそれが現れているのかしら? 例えば煉瓦の色や屋根の丸みや窓枠など様式の複合的な組み合わせに出ている。 彼の作品を飽きさせない理由が<美術からの力>と考えてよいのかなぁ? 帰りは展示内容を思い出しながら東京駅をじっくり眺め返してしまった。 *辰野金吾没後100年特別小企画展 *館サイト、 http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201911_tatsuno.html □辰野金吾と日本銀行 ■貨幣博物館,2019.9.21-12.8 ■買物途中に寄ってみた。 この館は十数年ぶりかも。 ステーションギャラリーと補足し合っている内容だわ。 もちろん日本銀行が中心だけど各支店の写真も並べると壮観ね。 英国留学「洋行日記」では情景を漢詩で表現していたり、相撲が好きだったことなど辰野金吾の知られざる一面が展示されている。 国技館はロイヤル・アルバート・ホールを参考にしたらしい。 序でに常設展も観る。 そして帰りには目の前の日本銀行を繁々と眺めてきたわよ。 *辰野金吾没後100年特別展 *館サイト、 https://www.imes.boj.or.jp/cm/exhibition/current/

■印象派からその先へ、世界に誇る吉野石膏コレクション展

■三菱一号館美術館,2019.10.30-2020.1.20 ■第一章「印象派誕生」第一室は数人の画家で始まるが、二室はピサロ、三室はシスレー、四室はルノアールそして再び画家たちへと散っていく。 思っていた以上に充実している。 でも薄い感じがする。 その理由が分かった。 見所でパステル画が登場するからだろう。 石膏とパステルの関係を強調したかった? いや、冗談! 第二章「フォーヴから抽象」はコンパクトに仕上がっているがとても濃い。 章間の濃薄が効いている。 ジックリ楽しめた。 第三章「エコール・ド・パリ」はシャガールで一杯だ。 タイガーボードも壁だけじゃない。 吉野石膏コレクションは2001年文化村での記録があったが中身は全く覚えていない*1。 自前の美術館は持っていないようだ。 替わりに山形美術館へ寄託しているらしい。 財団も資産運用と活用で両得なのだろう。 ところでタイトルが「・・その先へ」とある。 前衛と伝統のはざまの「エコール・ド・パリ」は革新性を失いその先は分解してしまった。 しかし沢山のシャガールでまとめているとは嬉しい<その先>だ。 *1、「 コーポレート・アート展 」(Bunkamura,2001年) *館サイト、 https://mimt.jp/ygc/