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3月, 2022の投稿を表示しています

■シダネルとマルタン展

■SOMPO美術館,2022.3.26-6.26 ■二人の名前はあまり聞かない。 2012年に当美術館で「 シダネル展 」が開催されたくらいです。 象徴派からも印象派からも中途半端なため展示会から漏れてしまうのでしょう。 会場で名前を隠すとどちらの絵なのか指摘できない。 技法も多彩です。 19世紀末フランスの何人かの画家を思い出させる画風です。 時系列の変化が激しかったともいえる。 マルタンは壁画にも手を出していますね。 「ここに私の後継者がいる」とシャヴァンヌに言わせている。 裕福になった頃の二人の作品はつまらない。 金儲けに忙しかったのでしょうか? それも一段落して、余裕ができた晩年は「北のシダネル」「南のマルタン」として無事に収まっていました。  *美術館、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/#now

■本城直季(un)real utopia

■東京都写真美術館,2022.3.19-5.15 ■本城直季の作品を初めて見た時は衝撃というより不思議な驚きがやってきました。 風景の被写体は模型か? と、見えたからです。 展示されている200点はこの模型方法で撮られている。 「アオリ」と呼ばれる技法らしい。 しかし模型に合わない風景もある。 それは夜景、雪景色、高層建物、細かい複雑な風景、人物が小さすぎる、・・これらは模型が発揮できない。 そしては展示方法でも違いがでます。 作品を壁(垂直)に掛けるより机(水平)などに置いて見るほうが模型が強調される。 世界が不思議な楽しさに染まりますね。 「small planet」の「東京駅」など初期作品が面白い。 昨年末に観た「 松江泰治、マキエタCC 」も驚きでしたが何度でも言います。 いやー、写真は奥が深い! *美術館、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4043.html

■奇想のモード、装うことへの狂気またはシュルレアリスム

■東京都庭園美術館,2022.1.15-4.10 ■1章「有機物への偏愛」の黒髪の「ジャケット」(ジョージ・ニーズ)に先ずはビックリ! 思えば黒髪の上着は有るようで無いから。 でも猿の毛なの。 比して3章「髪へと向かう、狂気の愛」の作品群は人毛だが小さすぎて驚きがない。 2章「歴史にみる奇想のモード」では纏足靴に目がいく。 10cmの丈が思った以上に小さくみえるからよ。 靴を知ったのはパール・バックの「大地」だった。 隣のコルセットとともに奇想の慣習ね。 5章「鳥と帽子」と違って肉体改造の凄さが伝わってくる。 4章「エルザ・スキャパレッリ」では「ブローチ・イヤリング・ブレスレット」(1950年代)が気にいる。 ガラスと人工真珠等の組み合わせに彼女の目の鋭さが現れている。 真似したくてもできない微妙な割形だとおもう。 主題となる6章「シュルレアリストとモード」では「分断された身体へ」「裁縫とシュルレアリスム」「物言わぬマネキンたち」の分解→結合→再構成で進む身体改造が面白い。 途中にあった「ヘクトールとアンドロマケー」(ジョルジュ・デ・キリコ)の青い空が素敵ね。 同じ部屋の「室内または静物+部屋」(マン・レイ)もなかなかだわ。 8章「和の奇想」では花魁の奇想の深さを再認識できる。 帯留は自然を取り込んだ強みがでている。 別館に行き・・、9章「ハイブリッドとモード」では舘鼻則孝の代表作群、永澤陽一のパンツ3点、串野真也の沢山の靴をみることができ現代に繋がる奇想モードの状況が分かる。 モードとシュルレアリスムは愛相が良い。 楽しかったわよ。 *美術館、 https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/220115-0410_ModeSurreal.html

■2121年FuturesInーSight展

■ディレクター:松島倫明,グラフィクデザイン:上西祐里,会場構成:中原崇志 ■21_21DESIGN SIGHT,2021.12.21-2022.5.8 ■「なぜ22世紀を想像できないのか?」(ウィリアム・ギブスン)。 ディレクター松島倫明は「現在から未来を想像するより、未来から今がどう見えるかをバックキャストで想像してみよう・・」と言っている。 つまり「2121年を想像するとはいかなる行為でどんな視座と洞察が込められているか?」を作品として展示したようです。 会場で幾つかの気になった文章を書き留めました・・。 「西洋中心的な単数形の未来から文化的多様性の複数系未来は始められるか?」。 「恩送りを始めよう。 恩を他者に贈り、贈られた人もまた他者に贈る。 助ける助けられる負い目を気にしなくなるから」。 「日常のなかに、起きていたかもしれないが幸運にも回避できた破局を、想像することができなければいけない」。 「なるべく人との繋がりを切り、自分一人で生きていけるという幻想を植え付け、その為にお金が必要だと信じ込ませる。 人々は従順に働き、お金を手に入れようとする。 ・・未来もまだ、お金で楽しさを購入しているだろうか? そのために働いてお金を手に入れようとしているだろうか?」。 ・・。 関連するSF小説が展示されていたが、その中に「三体」がでんと置いてあった。 じつはまだ読んでいない。 読みたいがスケジュールに入らない・・。 *美術館、 http://www.2121designsight.jp/program/2121/

■ダミアン・ハースト、桜

■国立新美術館,2022.3.2-5.23 ■これは酷い桜だ! でも花見はできるから良しとしよう。 八重桜かな? 作者は「自然の模写ではない」と言っている。 桜は写実も抽象も区別し難い。 青空が濃い作品ほど気持ちがいい。 コロナが無ければ館内を花見会場として開放してもいいだろう。 作者へのインタビュービデオをみると「ベーコンの技法を使いポロックで完成させた」らしい。 水平と垂直の違いはあるが「筆を垂らすのではなく投げている」とは驚きだ。 ベーコンとの関係は聞き漏らしてしまったが。 東京の開花より先に開催されたので注目度が上がったと思う。 *美術館、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/damienhirst/

■ミケル・バルセロ展 ■水戸部七絵

■東京オペラシティアートギャラリー,2022.1.13-3.25 □ミケル・バルセロ展 ■「子供の頃は沢山のタコを捕って遊んだ・・」。 羨ましい! しかも子供時代の母の影響で美術界に進むとは! でも作品に自然賛歌はみえない。 美術学校時代にシュルレアリスムそしてアール・ブリュットに影響を受けた為ですか? ミクストメディアは地そのものが激しいこともある。 彼は1988年からアフリカのマリで制作を初めます。 「・・故郷マジョルカ島にいる時いじょうに大地の接触が身体的である」。 東京に住んでいる者にとってはマジョルカからマリの変化は想像できない。 「小波のうねり」「飽くなき厳格」「恐れと震え」などマジョルカの海は題名に現れている。 その青い海をそのまま白い砂漠へ移した。 白は生と死がより身近にみえる。 彼は陶芸にも興味があるらしい。 手を動かすのが好きなのでしょう。 「大地を描くガラス」は楽しんでいるのが分かる。 こねこねし過ぎてパフォーマンスまで行ってしまった。 「幻影」そして行き着いた先は「パソ・ドブレ」。 振付家ジョセフ・ナジと共演の粘土ねりねり遊びです。 タコ捕りから粘土遊びへ、最高ですね。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh247/ □水戸部七絵展 ■日本のバルセロですか? *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh/detail.php?id=273

■上野リチ、ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展

■三菱一号館美術館,2022.2.18-5.15 ■荒さ有る筆使いと色使いで描かれた草木花・・。 リチの作品を前にすると目が楽しんでいるのが分かる。 子供が描いたようにもみえる。 でもちゃんと収まっている。 草花の線がいいわね。 マティスやデュフィも感じられる。 上野リチの素直な遊び心が表れている。 琳派に近づけた作品は上野伊三郎からの影響かな? 今回と違って2009年展は伊三郎を強く出していたことを覚えている。 彼女は七宝も沢山作ったのね? でも探究心は小柄になっている。 たぶん戦争の影響かしら? 展示会も後半は萎んでしまった。 教育者に収まってしまったこともあるわね。 もっと日本美術へ入り込んでほしかった。 室内装飾はウィーン工房からの総仕上げにみえる、人間関係からみても。 *美術館、 https://mimt.jp/lizzi