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7月, 2022の投稿を表示しています

■ライアン・ガンダー、われらの時代のサイン ■ライアン・ガンターが選ぶ収蔵品展 ■黒坂祐

■東京オペラシティアートギャラリー,2022.7.16-9.19 ■会場はガランとしています。 作品が少ない? 最初に目に入ったのは「タイーサ」像。 ペリクリーズの妻を演ずる役者です。 床をみると腰掛くらいの黒い立方体が30近く並んでいる。 一つ目は、取り付けられているLCDがゴドーを待つ時間を表示しているらしい。 芝居好きには嬉しいですね。 しかし舞台との関係は複雑です。 マッチ箱くらいの作品もある。 よーく見ないと見落としてしまう。 チラシにあったネズミも壁から顔を出していましたね。 ネズミの言葉は映画「独裁者」から引用している。 車椅子に乗った人が会場内で客?を相手に動き回っている。 ホールで上映していたビデオをみて彼が当作家だと知りました。 来日していたのですね。 それにしても作品が捻ってある。 情報社会と如何に付き合っていくのか?試行錯誤しているように見えました。 イギリス国民向け?広告「何でも最後のつもりでやりなさい」は人生の一回性を言っています。 情報が持つ繰り返しを否定している。 次に「彼が選ぶ収蔵品展」の4階へ・・。 右壁に作品を展示して、その対となる左壁に作品の寸法線とタイトルが描かれている。 選んだ絵はモノクロが多い。 本展の作品もほぼ全てがモノクロだったことを思い出しました、この理由は見落としたが。 今回の2展でガンダーがサインを出していることは分かりました。 作品からはサインの方向が隠れているように感じます。 最期に「黒坂祐展」を観る。 これは目が和む。 中間色の呆けた色が心も和ませてくれる。 大和絵を思い出させる春霞の風景です。 心地よい温度と湿度が伝わってきます。 作者はD型2色覚だがこれを積極的に受け入れている。 「生きるために見る」ことがあらゆる眼を肯定にします。 *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh252/ *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh252/j/collection.php *美術館、 https://www.operacity.jp/ag/exh254.php

■末光弘和+末光陽子/SUEP.展

■TOTOギャラリー・間,2022.6.8-9.11 ■地球温暖化に如何に対処していくのか? 作品を作り込んでいく過程で日光や風、温度や湿度にとても敏感に振舞っている。 ここまで温暖化を前面に出している小さな建築展は少ないはずよ。 でも、そこまで追い詰められているの。 太陽の傾きから建築の形、木々の配置まで考える。 地下や水も利用する。 植物の壁、屋根瓦の形にも凝る。 十数年後には北海道まで亜熱帯気候に入るらしい。 方向性としては南アジアの建物に近づいていくようだわ。 好む好まないにかかわらず自然エネルギーの最大限の活用は必須ね。 一つ一つの作品(模型など)の説明がとても分かり易い。 専門と素人の融合が上手にできている。 映像を含めた展示量もちょうどよい。 私のような素人でも消化できた。 疲れないでみることができたわよ。 建築展を重視するのは<衣・食・住>の三つはどれも譲れないから。 *美術館、 https://jp.toto.com/gallerma/ex220608/index.htm

■クリストとジャンヌ=クロード、包まれた凱旋門

■2121デザインサイト,2022.6.13-2023.2.12 ■パリの凱旋門を布ですっぽり覆ってしまう・・! ほぼ映像展です。 すべてを観ると2時間かかる。 大画面で「設計」「実装」「完成」の各フェーズの記録を、中画面で「担当者へのインタビュー」、小画面で「プロジェクト総括」の計5画面で構成されている。 最初に門の構造調査から骨組みの構成、布や綱の強度、水や煙の通気性などなどを設計・実験していく。 実装では数十人もの作業員がロッククライミングのようにして門を包み込んでいく。 そして完成後は観客や街の光景を映し出す・・。 インタビューでは「銀色の布がパリの風景に合う」こと、「いかに門の形を表現できるかに腐心した」ことが語られます。 門が彫刻のようにみえる。 「布で隠すと根本的な形が現れる」からです。 「クリストは未来に目を向けた力強い思想の持主」「現実に根差していないと作品は作れない」。 このような人物です。 昨年にドキュメンタリー「 ウォーキング・オン・ウォーター 」を観ているが、今回は作品が街の中に造られたことで社会へのインパクトは十二分にあります。 但し行政との調整や法律問題などは省いていましたね。 展示会だからでしょう。 *美術館、 https://www.2121designsight.jp/program/C_JC/ *「ブログ検索🔎」に入れる語句は、クリスト ・・ 検索結果は4展示 .

■スイス プチ・パレ美術館展、印象派からエコール・ド・パリへ

■SOMPO美術館,2022.7.13-10.10 ■見かけない画家が多くて新鮮ね。 2章「新印象派」は点描画で一杯。 点描画は雪や霙、氷菓子を思い出させてくれるから暑い夏には最高ね。 自然のクーラーと言ってよい。 次の3章は「ナビ派・ポン=タヴァン派」。 派内の理論家モーリス・ドニの「休暇中の宿題」が気に入る。 この作品は初めてだわ。 4章「フォーヴィスムまで」はマンギャンとカワモン、5章「キュビスムまで」はロートとマレヴナが目に留まる。 6章「エコール・ド・パリ」はキスリングの4枚が素敵ね。 「サン=トロペのシェスタ」は近年みた記憶がある。 でもどこで観たのか思い出せない。 グランではなくプチしかもスイスらしく小粒でもピリリと感じる作品が多かった。 こういう展示会は気持ちが解れる。 *美術館、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2021/petit-palais/

■ルートヴィヒ美術館展、20世紀美術の軌跡

■国立新美術館,2022.6.29-9.26 ■「発見!ナチス略奪絵画執念のスクープの舞台裏」をテレビで観た直後に乃木坂へ行ったのだが、そこには「市民が創った珠玉のコレクシヨン」が展示されていた。 しかも「ブリュッケ」「青騎士」から始まる20世紀初頭のドイツ絵画が並んでいて久しぶりに堪能できた。 線も色も力強く激動の世紀の幕開けに相応しい。 次に「ロシア・アヴァンギャルド」が続き流れとしては申し分ない。 当時のロシアは活き活きしていたのにウクライナ侵攻を重ねると複雑な気分だ。 副題「20世紀美術の軌跡」にもあるように後半は「シュルレアリスム」「ポップ・アート」「1960年代」「1970年代」と続く・・。 しかし時代が上るにつれて感動は徐々に薄れていく。 ルートヴィヒ美術館展はいつも100年間をだらだらと展示するが、100年前に的を絞ったほうが今回は集中できたと思う。 *美術館、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/ludwig/