■ライアン・ガンダー、われらの時代のサイン ■ライアン・ガンターが選ぶ収蔵品展 ■黒坂祐

■東京オペラシティアートギャラリー,2022.7.16-9.19
■会場はガランとしています。 作品が少ない? 最初に目に入ったのは「タイーサ」像。 ペリクリーズの妻を演ずる役者です。 床をみると腰掛くらいの黒い立方体が30近く並んでいる。 一つ目は、取り付けられているLCDがゴドーを待つ時間を表示しているらしい。 芝居好きには嬉しいですね。 しかし舞台との関係は複雑です。
マッチ箱くらいの作品もある。 よーく見ないと見落としてしまう。 チラシにあったネズミも壁から顔を出していましたね。 ネズミの言葉は映画「独裁者」から引用している。
車椅子に乗った人が会場内で客?を相手に動き回っている。 ホールで上映していたビデオをみて彼が当作家だと知りました。 来日していたのですね。
それにしても作品が捻ってある。 情報社会と如何に付き合っていくのか?試行錯誤しているように見えました。 イギリス国民向け?広告「何でも最後のつもりでやりなさい」は人生の一回性を言っています。 情報が持つ繰り返しを否定している。
次に「彼が選ぶ収蔵品展」の4階へ・・。 右壁に作品を展示して、その対となる左壁に作品の寸法線とタイトルが描かれている。 選んだ絵はモノクロが多い。 本展の作品もほぼ全てがモノクロだったことを思い出しました、この理由は見落としたが。 今回の2展でガンダーがサインを出していることは分かりました。 作品からはサインの方向が隠れているように感じます。
最期に「黒坂祐展」を観る。 これは目が和む。 中間色の呆けた色が心も和ませてくれる。 大和絵を思い出させる春霞の風景です。 心地よい温度と湿度が伝わってきます。 作者はD型2色覚だがこれを積極的に受け入れている。 「生きるために見る」ことがあらゆる眼を肯定にします。