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■フェルデナント・ホドラ展-脈動する生命のリズム-

■国立西洋美術館,2014.10.7-15.1.12 ■「古代ギリシャではリズムは形という概念に近い」とあったけど、ホドラーはこの言葉をどのように噛みしめていたのかしら? 初期のダンスなど外部にあるリズムを作品に取り込んでいるのを見ると、E・J=ダルクローズのリトミックの影響は特に大きかったということね。   ある種のダンスは「身体化された感情」を表現するから「感情Ⅲ」はダンスを観ている感じだわ。 「無限へのまなざし」は描かれた身体そのものがリズムを作ろうとしている瞬間。 「バラのある自画像」の身体はリズムとして共鳴している。 脳の中はリズムで一杯だと目が言っているの。 ホドラーは少しづつカンディンスキーに近づいているんじゃない? 「ダンスを観る感動」から「ダンスの感動」へ。 彼はリズムと形の間にある雑音を取り除こうとしていたのかもしれない。 でも抽象ではないから大変。 それと彼の興味は既にそこから拡散してしまった・・。 この文章を書いているときに「リトミック音楽教育」の存在を見つけたの。 「オイリュトミー」からはR・シュタイナー(*1)を思い浮べるのでコンガラカル! 二人は関係があるのかしら?  *1、 「ルドルフ・シュタイナ展」(2014年) *館サイト、 http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2014hodler.html

■トーベ・ヤンソン展-ムーミンと生きる-

■そごう美術館.2014.10.23-11.30 ■ムーミンには口が有る? 探せば結構あります。 しかし鼻の穴のムーミンはいません。 ・・会場で見た限りですが。 ヤンソンは画家を志望していた。 でも上手いとはいえません。 自画像が多く展示されていました。 彼女の強い志がみえます。 1975年作品が最高と書いてありましたが、若い時の自画像の方が印象深いですね。 それとフィンランドの歴史と生活を知るのも楽しかった。 彼女の学生時代、冬戦争や継続戦争、ラップランド戦争のことなどです。 フィンランドが枢軸国だったことは言われてみて思い出すという始末です。 クルーヴ島の「夏の家」で過ごしたフィルムの中に「花のサンフランシスコ」が挿入されていました。 彼女の生きてきた時代、避暑地での安らぎを得る迄のすべてが凝縮されている歌に聞こえました。 *館サイト、 https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/14/tove/index.html

■ウフィツィ美術館展-黄金のルネサンス、ボッティチェリからブロンヅィーノ迄-

■東京都美術館,2014.10.11-12.14 ■ボッティは「パラケン」だけ? 行ってみたら10点近くも展示されていた。 おまけが付いて嬉しい気分だ。 ウフィツィ美術館では「ヴィーナス誕生」の横に陳列されていたはずである、昔のことだが。 しかしこの「パラケン」の方が強く印象に残こったことを覚えている。 理由はボッティの中ではパラスの顔が一番端整だからである。 この顔はダヴィンチに通ずるところがある。 つまりルネサンスの典型顔ということだ。 しかしボッティは固い。 よそよそしさが残っている。 この余所余所しさを取り除いて初めてルネサンスの黄金期と呼べるだろう。 それにはレオ、ミケ、ラファを待たねばならない。 もちろん猫の名前ではない。 他にはブロンジィーノの肖像画6点が気に入る。 初期を含めてのルネサンスはご無沙汰であった。 久しぶりに再会できてまたまた嬉しい気分だ。 *館サイト、 http://www.tobikan.jp/exhibition/h26_uffizi.html

■デ・キリコ-変遷と回帰-  ■佐藤信太郎-The spirit of The Place- 

■デ・キリコ-変遷と回帰- ■汐留ミュージアム、2014.10.25-12.26 ■ http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/14/141025/ ■このミュージアムが混んでいるのは珍しい。 狭いから余計ね。 でも章ごとに部屋の区切りもあって、キリコの全てがコンパクトにまとまっているの。 章の解説は易しい言葉で書かれているけど解りずらかったわ。 「変遷と回帰」が意味深な為かもしれない。 3章「ネオ・バロックの時代」は濃密さが漂っていて晩秋の今の季節にぴったりね。 そしてこんなにもキリコの馬を見たのは初めてかも。 4章「再生新形而上絵画」の道や建物そして空はギリシャの色と形。 彼がギリシャ生まれと知って納得。 子供時代の郷愁が彼の当時の思想と混ざり合って不思議な静寂が漂っているのね。 キリコを見るには周りが煩かった。 3章はいいけど4章は展示室が窮屈すぎる。 作品を見た直後は広い空間に目を持っていきたいの。 観終わっても変わった感覚が残って面白かったけど。   ■佐藤信太郎-The spirit of the place- ■キャノンギャラリーS、2014.10.31-12.15 ■ http://cweb.canon.jp/gallery/archive/sato-spirit/index.html ■キリコ展の帰りは品川に寄り道。 東京の風景写真展よ。 場内周囲の壁にはスカイツリーを眺めた作品が並べてあるの。 雪景色の東京は素敵ね。 でも「墨田区京島2010年12月25日」が一番。 昭和中期の下町の家々が並び背後にスカイツリーがちょっとだけ顔を出している作品。 光が物質に見えるの。 その光が反射した家々も物質そのものが表れている感じがする。 作者が言っている「ゲニウスロキ」かしら? あとは飲み屋のネオンや看板を写した作品。 これは見慣れた光景。 でも写真としてみると一味違った感じがする。 これも「ゲニウスロキ」かも。 多くの人にはホッとする場所だし、普段はじっくりと観察していないからよ。 

■ユートピアを求めて-ポスタに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム-

■世田谷美術館,2014.9.30-11.24 ■映画ポスターの第2章室に入った時は圧倒されました。 デザイン<力>が迫って来たからです。 1枚のポスターでその映画の全てが分かってしまう表現力もあります。 でも殆ど知らない映画ばかりです。 監督もS・エイゼンシュテイン、D・ヴェルトフそしてドイツのE・ルビッチくらいしか知らない。 それとB・キートン。 終わりの方では似たような作品が続いているので飽食気味になってしまいました。 これは第3章の政治ポスターでも同じです。 しかしコラージュ、タイポグラフィ、フォトモンタージュ等々あらゆる技法を使っての作品たちは、もし街角に貼ってあったら目に焼き付くこと間違いなしです。 レーニンは芸術に対しても包容力があったのでしょうか? 映画選択理由の一つに国民の低識字率とありました。 そしてスターリンでユートピアは全滅ですか? 最悪の世界情勢下でソビエト革命が達成できたのは奇跡といっても過言ではありません。 芸術と奇跡は相性が良いのでしょう。 ビデオ「ステンベルク兄弟の軌跡」のMOMA展示会(1997年)場面で、ロシア人が彼らの作品をやっと見ることが出来たとインタヴュに答えていたのが印象に残ります。 *松本瑠樹コレクション *館サイト、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00172 ■北大路魯山人展 ■塩田岩治を初めて知りました。 人との出会いとは面白いものですね。 魯山人の一点物は納得できる大柄ですが非実用と言えます。 しかしセット物は「食器」として唸らせる何かを持っています。 赤玉酒盃(5点1組)、赤呉須茶碗(5点1組)、赤呉須向付(10点1組)、総織部四方向付(5点)、志野釉輪花皿(5点1組)、鉄絵皿(5点)・・。 この器で酒を飲みたい!食事をしたい!と切に思わせる寸法・形・色を持っています。 *塩田コレクション *館サイト、 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00090 ■アート・ゴキュメンタリスト安齋重雄 ■美術展等の記録写真ですか? クリムトやボイス、ノグチなどが登場していまし

■ウィレム・デ・クーニング展

■ブリジストン美術館,2014.10.8-2015.1.12 ■日本初公開27点を含む展示会である。 ポロックは知っているがクーニングは知らない。 なるほど作品をみればナゼ一般人に無名なのかがわかる。 一つは具象と抽象のどちらでもない中途半端な為である。 理解できないだけではなく不安も先走る。 二つめは対象が女体であるがこれもどっちつかずの感じだ。 滑らかさも無く想像し難い。 しかも会場で分かったことがある。 作者は端整で物静かな顔立ちだが、作品と落差があるのでA・ヒッチコックのサイコ映画に登場するような内なる狂気を秘めている人物なのでは? これらが重なり合い素人は直観的に避けたのかもしれない。 美術界では時代の位置づけからみて重要人物なのだろう。 改装があったようだ。 「ピエール・スラージュと新収蔵作品」「堂本尚朗とザオ・ウーキ」」「パナソニック4K」の部屋が出現していた。 堂本尚朗が去年亡くなったことを知る。 4Kディスプレイをいじったが拡大できるのがいい。 部屋ごとに置けば利用者も増えるだろう。 但しデータの弛まぬ更新が条件である。 *美術館、 https://www.artizon.museum/exhibition/past/detail/300

■高野山の名宝-高野山開創1200年記念-

■サントリー美術館,2014.10.11-12.7 ■これだけ沢山の仏像に出会えるなんて素敵だわ。 それも運慶快慶だもんネ。 二人の違いは一目瞭然。 運慶は地中海的で人間味が溢れている。 恵光、矜羯羅童子は健康優良児のよう。 制多伽、恵喜童子とで二組の双子みたい。 運慶も面倒くさくなってコピーしたのかも。 それに比べて快慶はアジア的ね。  「四天王立像」や「孔雀明王坐像」は仏画から抜け出たような感じがする。 どちらも柔剛の違いがあるけど、躍動感溢れる独特のハートビートが聞こえるの。 ドッキ・ドッキ・ドッキ・・。 ウーン、最高!! *美術館 、 https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2014_5/index.html

■東山御物の美-足利将軍家の至宝-

■三井記念美術館,2014.10.4-11.24 ■当時の会所では一度に千点以上も展示したと言われています。 現在陳列されているのは選び抜かれたものということになりますね。 伝来には凄そうな名前ばかり並んでいますし・・。 工芸室の「油滴天目」や「鸞天目」、「青磁輪花茶碗」はお馴染みです。 絵画室はいきなりですね。 「鴨図」「鶉図」は羽の温かみが伝わってきます。 「梅花小禽図」「梅花双雀図」の鳥たちもです。 これで「桃鳩図」が出品されていたら何も言うことはありませんでした。 後半は山水図と再び工芸です。 「秋景山水図」など見ているとゆったりした気分になります。 「東山御物は宮廷絵画と禅宗絵画の二種類に分類できる」と書かれていました。 この組み合わせは適度な緊張と安堵の両方が得られ精神的にとても良い。 足利将軍家たちもこのリズムに浸っていたのでしょうか? 南宋時代にちょっと行ってきた気分でした。 *館サイト、 http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/list.html

■ロイヤル・アカデミー展、ターナーからラファエル前派まで

■東京富士美術館,2014.9.17-11.24 ■富士美術館は初めてである。 チラシを持っていたので割引料金にしてくれた。 気前の良い館である。 ロイヤル・アカデミーの宣伝色が濃い企画展のようだ。 「設立・名声への道」「国家的地位の確立」「名声と繁栄」「モダンの受容と妥協」「アーティスト教育」の章名をみてもそれがわかる。 しかし章名が厳めしすぎないか? 聞いたこと見たことのない作者・作品が多い。 このため18・19世紀の英国の画家が何を見つめていたのか?興味深く観ることができた。 J・カンスタブルの風景は英国風土が直に伝わってきて面白い。 他に10枚前後気に入ったのがあったが全体の印象は弱い。 常設展示室にも寄る・・。 *館サイト、 http://www.fujibi.or.jp/exhibitions/profile-of-exhibitions.html?exhibit_id=1201409171 ■常設展 ■これはビックリ! なかなかのモノが揃っている。 宝を掘り当てた感じだ。 ・・。 最後の展示室6は「ロイヤルアカデミーの作家たち」で企画展と連携しているのも心配りが良い。 レノルズ、サージェント、ターナー等が並ぶ。 E・W・ウェイトの「雛菊の野の子供たち」が気に入る。 常設展も含めれば八王子迄来た甲斐は十分にあった。 *館サイト、 http://www.fujibi.or.jp/our-collection/exhibited-collected-works/exhibited-works-collection-list.html?exhibit_id=8201409051 ■創価大学 ■美術館に来たついでに見学する。 どちらも創価学会系のため隣接しているのだろう。 キャンパス内を一周したが広大である。 都内の大学からみたら考えられない敷地面積である。 木々の紅葉が素晴らしい。 校舎建物は宗教的な威厳を出そうとしている為かデザインが変わっている。 好みではないが。 途中、学生食堂で食事をする。 大学見学ではなるべく食堂に寄ることにしている。 正門前からバスで八王子駅に出て帰途に就く。

■活動のデザイン

■2121デザインサイト,2014.10.24-15.2.1 ■このような企画を担当したら心配で夜も眠れないでしょう。 活動やデザインが漠然としているからです。 デザインサイトでしか出来ない企画展名かもしれませんが・・。  「百年後の水筒」や「ドローンの巣」などがナゼ展示されているのか理解できません。 前者はとても興味深いのですが。 「ア・ミリオン・タイムズ」は会場を間違えているのでは? しかし一番面白かった。 「フィックスパーツ」のピクニックバッグを作る映像にはいつも紅茶が整然と置いてあるのがヤラセにみえました。 これで「ロースさんのセーター」は楽しかったのにもかかわらず、セーターでこれだけ盛り上がるのか?疑心暗鬼になりました。 一つ一つは面白いのですが焦点や作品間の連携が見えません。 手あたり次第に集めてきて作品を並べただけにみえました。 *館サイト、 http://www.2121designsight.jp/program/fab_mind/

■醍醐寺-御法に守られし-

■松涛美術館,2014.10.7-11.24 ■2階入口のビデオ「文化財調査」「五大力さん」をみてから地下1階会場に入る。 館へ行ってから知ったのだが、「過去現在絵因果経」は後半部しか展示されていなかった。 全場面を見られなくて残念! わかり易い絵で漢文が読めなくても誰もが理解できる絵巻だ。 国宝重文級の仏画も周囲に陳列されていて副題にあるような空間が現前している。 空海筆「大日経開題」は上手いとは言えない。 抄物からいって空海多忙の時に書いたのだろう。 2階は桃山・江戸時代の作品が並ぶ。 俵屋宗達「舞楽図屏風」は面白い。 宙に浮いて踊っている感じである。 足利尊氏の自筆物や信長・秀吉・家康の書状等もじっくりみる。 醍醐寺は昔のことだが二度行っている。 確か地下鉄の終点駅から歩いたはずだ。 途中の風景や境内を歩いた時のことを思い出しながら、帰りは神泉駅へ向かった。 この館は神泉が一番近い駅である。 *館サイト、 http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/160daigotemple/

■伊東豊雄展-台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡-

■ギャラリー間、2014.10.17-12.20 ■ http://www.toto.co.jp/gallerma/ex141017/index.htm ■やっと完成に近づいたのね。 会場は資料と模型、再現トランスウォールが陳列されていて9年の作成過程が簡素にまとめてあるの。 全方位3Dやドキュメンタリの映像もある。 「洞窟のような空間では床は壁になり、壁は天井へと変化していく・・」。 「誰も真似ができない集大成である」。 「21世紀に残る最初の建築物になるだろう」。 写真家や建築家の感想よ。 全景は箱型でおもったより普通に見える。 内部の体感を得るには実物を見に行かないとわからない感じね。 台湾は近いから機会がありそう。 楽しみが一つふえたわね。

■ザハ・ハディド  ■抽象の楽しみ  ■高畠依子展

■東京オペラシティアートギャラリー,2014.10.18-12.23 ■ザハ・ハディド ■嬉しい企画だわ。 東京オリンピック新国立競技場の動向がみえなかったからよ。 会場は素晴らしい。 ここでのジャン・ヌーベルや伊東豊雄の展示会を思いだしちゃった。 場内は彼女のアンビルド時代を意識した陳列作りにみえる。  「ザ・ビーク」の延長である「ヴィトラ社消防所」までは抽象絵画をそのまま建築に移し変えたような感じね。 でもマッスのある建物には移せない。 3D映像の「ギャラクシーSOHO」は気が抜けたようだわ。 この平凡さを越えるには高さを求める以外にない! 「北京商業中心コア・エリア」はこれで持ちこたえているし、ドバイの「オーパスタワー」は体積充満だけど周囲の高層建築がそれを許しているの。 しかも砂漠だし。 彼女の作品は<類は友を呼ぶ>特徴を持っているのかもしれない。 これに生物的な匂いのない事が加わる。  だから低階層で体積のある建物にする場合は周囲とのマッチングがとても重要。 新国立競技場の場合は周囲に高層建築が連なっていれば「北京商業中心」のように全体を維持できるの。 でも周りが公園だと違和感が先立つのね。 新競技場を異物として本能が感じちゃうのかもしれない。 この欠点を回避するには競技場を東京湾に持っていけばよいかも。 海は砂漠と同じで生物も無生物も受け入てくれる場所だから。 神宮外苑には合わないということね。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh169/ ■抽象の楽しみ ■加納光於は空間的緊張感があっていいわね。 逆に白石由子は色彩的ホンノリ感でホッとする。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh170.php ■高畠依子展 ■布をキャンバスに貼ってあるかと思った。 よくみたら描いているの。 ・・。 ハッハッハッ。 *館サイト、 https://www.operacity.jp/ag/exh171.php