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■2019年美術展ベスト10

□ ブルーノ・ムナーリ,役に立たない機械をつくった男   世田谷美術館 □ ザ・ローリング・ストーンズ展   TOC五反田メッセ □ ラファエロ前派の軌跡展   三菱一号館美術館 □ ギュスターヴ・モロー展,サロメと宿命の女たち   パナソニック汐留美術館 □ キスリング展,エコール・ド・パリの夢   東京都庭園美術館 □ マリアノ・フォルチュニ,織りなすデザイン展   三菱一号館美術館 □ コートルド美術館展,魅惑の印象派   東京都美術館 □ 岸田劉生展,この世の宝なるものを目指し   東京ステーションギャラリー □ ミナペルホネン/皆川明つづく   東京都現代美術館 □ 渋谷フクラス   渋谷フクラス *並びは開催日順。 選出範囲は当ブログに書かれた作品。 映画は除く。 *「 2018年美術展ベスト10 」

■クリムト、エゴン・シーレとウィーン黄金時代

■監督:ミシェル.マリー,スタフ&キャスト:ロレンツィオ.リケルミー,リリー.コール,日本語ナレーション:柄本佑 ■(イタリア,2018年作品) ■副題の「エゴン・シーレとウィーン黄金時代」に焦点を当てた作品にみえます。 グスタフ・クリムトは背景として居るのですが、そこにはもう一人の人物ジークムント・フロイトも見え隠れしている。 インタビューに精神科医も登場します。 つまり精神医学界からクリムトやシーレ、ウィーン芸術を眺めるようなドキュメンタリー映画になっている。 そしてもう一つ、女性解放からみた当時のウィーンを語っているのも特長です。 これは監督の意向かもしれない。 クリムトもシーレも枠に収まらない女性観を持って行動していたからでしょう。 批評家ジェーン・カリアのシーレの革命的意味を語っている場面が面白い。 これにハプスブルク帝国の崩壊を絡めウィーン黄金時代<エロスとタナトス>を感じさせる作品に仕立て上げている。 今年春に開催された二つの美術展に併せて観ていたら深みが増したはずです。 それでも面白く観ることができました。 美術展広告「ウィーン世紀末の全貌をまだ、あなたは知らない」はこの映画の文章にしても似合いそうです。 *「クリムト展」特別タイアップ企画作品 *クリムト,シーレ没後100年記念作品 *映画comサイト、 https://eiga.com/movie/91084

■渋谷フクラス SHIBUYA FUKURAS

■設計:手塚建築研究所,日建建設ほか,施工:清水建設 ■鉄とガラスのコンビネーションが21世紀初頭の中層建築を表している。 同系列の「 東急プラザ銀座 」と外面装飾は違うが基本は似ていると思う。 一階エントランスや2階が狭いのはバス停や銀行が入った為だろう。 3階からは通路が円形になっていて歩きやすい。 死角がなく前方が見渡せるからだ。 同形の「 東京ミッドタウン日比谷 」は吹き抜けだがこれと同じ歩行感覚が持てる。 17階屋上テラスから二つの新高層ビルが性格の違う親子のように眺めることができる。 フクラスはエレベーター周りが小忙しいが全体としては良くできた建物にみえた。 ところで紀伊國屋書店が無くなっていた。 本はWEB経由で買うことが多くなったが一度手に取ってパラパラさせてからにしている。 読まない本が溜まってしまうのを防ぐ為だ。 渋谷ではこの東急プラザで購入の選択をしていたのだが・・。 東急本店丸善は駅から遠すぎる。 新宿駅も小田急の三省堂が無くなってしまった。 新宿紀伊國屋も駅から遠すぎる。 ターミナル駅の大規模書店は行動の要なのだが。 そして昔の古ぼけて閑散としたレストラン階や雑多な地下生鮮食品売場が懐かしい。 ロゴスキーも今はない。 当時の東急がセゾン文化に抗したのは(文化村ではなく)渋谷など数か所のプラザだと思う。 「いつもの生活」対「おいしい生活」。 渋谷が20世紀中頃の匂いを持つ<いつもの生活>からやっと別れる時が来た。 序でに「 渋谷スクランブルスクエア 」へ行く。 スクエア感を一つ追加したい。 商業店舗階の多くに窓カーテンが掛かっていたのが気にかかる。 フロアーを<日常>に近づけてしまった。 特別な場所を除いて窓(外)を、しかもカーテンを客に見せてはいけない。 窓があると外を見たくなる。 *渋谷フクラスサイト、 https://shibuya-fukuras.jp/

■ブタペスト、ヨーロッパとハンガリーの美術400年

■国立新美術館,2019.12.4-2020.3.16 ■ハンガリー主要美術館の来日は25年ぶりらしい。 つまり四半世紀に一度で十分ということかな? コスパを考えれば実際そう思う。 「ハンガリー文化センター」の開業を知ったが東欧のニュースは近頃はまず聞かない。 ソビエト崩壊の1991年に行った時は活気があったが今はどうなのだろう? 以降ハンガリーの興味は薄れてしまった。 ドイツやイタリアなど他国作品を最初に持ってくるのは止むを得ない。 場内をみてもハンガリー美術はこれらの国の後追いにみえる。 でも19世紀以降のハンガリー作家は結構楽しめた。 マルコ・カーロイ「漁師たち」が気に入る。 ヴァサリ・ヤーノシュ「黄金時代」をみて何故かハンガリー的だと思ってしまった。 「赤ワインを飲む父と伯父」の二人の表情が今のハンガリーの姿かもしれない。 もう一度東欧へ行く気を起こさせてくれ! *ブタペスト国立西洋美術館&ハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵 *日本・ハンガリー外交関係開設150周年記念 *館サイト、 https://www.nact.jp/exhibition_special/2019/budapest2019/

■渋谷スクランブルスクエア

■設計:日建設計,東急設計コンサルタント他,デザイン:隈研吾建築都市設計事務所,SANAA事務所他 ■2019.11.1開業 ■早速SKYへ。 出入口周辺はとても暗い。 案内係がいても歩き難いわね。 47階スカイステージに立つ。 あっけらかんと眺めるとはこういうことかしら? 対抗するビル群がないから野原にいるよう。 渋谷から始まる住宅が西へ広がるのが副都心からのいつもの眺めね。 やはり東京は150メートル前後からの風景が一番活気があって面白いと思う。  地下のスーパーマーケットKINOKUNIYAから上階の東急ハンズで囲まれた商業施設16フロアーは東急東横店を整理整頓した雰囲気を持つ。 東急本店の落ち着きや先日開業の渋谷パルコの騒がしさを取り払った感じかしら?*1 オフィス階は多くのIT企業が入ると聞いている。 渋谷ストリームに移転するグーグルを含めIT村が出来つつある*2。 文化とITの一大エリアになりそうだわ。 そして低層階の波のような建築デザインは外からは面白いが内側から見ると無理した設計にみえる。 アーバンコアの活用は地下鉄工事などが終わらないと何とも言えない。 西棟と中央棟の完成は2028年だから周辺の工事はあと10年も続くのね。 *1、「 渋谷パルコ 」(2019.11.29開業) *2、「 渋谷ストリーム 」(2018.9.13開業) *渋谷スクランブルスクエアサイト、 https://shibuya-scramble-square.com/

■山沢栄子|私の現代  ■至近距離の宇宙  ■東京、中野正貴写真展

■東京写真美術館,2019.11.12-2020.1.26 □山沢栄子|私の現代 ■初めて聞く名前です。 山沢栄子は美術学校日本画科を出てカルフォルニアに渡り油絵を学ぶ。 写真はたまたまアルバイト先で知ったらしい。 抽象絵画のような写真も多く展示されている。 師カネガや米国の流行が背景にあるのかもしれない。 当時はどう見られたのか知りませんが、でも巧いとは言えない。 そして1929年に帰国しています。 戦争中は諏訪に疎開していたようです。 諏訪の人々を撮った写真が生き生きしている。 気に入りました。 新劇女優山本安英もいいですね。 サントリー角などの商業写真も多くある。 「仕事に愛情を持つこと、健康な身体、強気精神力、この三つはとても重要であうる。 この要素なしに仕事を続けることは難しい」。 こう彼女は言っています。 戦争を挟んで写真家としての職業を持っていられたのはこの三つ以外にも必要だったはず。 その苦労は分かりませんが、天晴です。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3445.html □至近距離の宇宙,日本の新進作家vol.16 ■タイトルがいいですね。 面白かったのは、井上佐由紀の生まれたての赤ちゃんの目を撮った作品です。 新生児の目は両生類だと感じました。 山椒魚やヤモリなどに近い。 一人ではなく沢山の新生児の目を見て分かることです。 赤ん坊は人類の歴史を背負って生まれてくるのですね。  *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition /index-3447.html □東京,中野正貴写真展 ■誰もいない東京をまじまじと見つめてしまった。 例えば新宿駅南口、銀座通り等々をです。 誰もいない時刻に撮ると聞きました。 ちょと信じられない。 「誰も知らない都市」があるのですね。 *館サイト、 https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3612.html