■渋谷フクラス SHIBUYA FUKURAS

■設計:手塚建築研究所,日建建設ほか,施工:清水建設
■鉄とガラスのコンビネーションが21世紀初頭の中層建築を表している。 同系列の「東急プラザ銀座」と外面装飾は違うが基本は似ていると思う。 一階エントランスや2階が狭いのはバス停や銀行が入った為だろう。 3階からは通路が円形になっていて歩きやすい。 死角がなく前方が見渡せるからだ。 同形の「東京ミッドタウン日比谷」は吹き抜けだがこれと同じ歩行感覚が持てる。 17階屋上テラスから二つの新高層ビルが性格の違う親子のように眺めることができる。 フクラスはエレベーター周りが小忙しいが全体としては良くできた建物にみえた。
ところで紀伊國屋書店が無くなっていた。 本はWEB経由で買うことが多くなったが一度手に取ってパラパラさせてからにしている。 読まない本が溜まってしまうのを防ぐ為だ。 渋谷ではこの東急プラザで購入の選択をしていたのだが・・。 東急本店丸善は駅から遠すぎる。 新宿駅も小田急の三省堂が無くなってしまった。 新宿紀伊國屋も駅から遠すぎる。 ターミナル駅の大規模書店は行動の要なのだが。
そして昔の古ぼけて閑散としたレストラン階や雑多な地下生鮮食品売場が懐かしい。 ロゴスキーも今はない。 当時の東急がセゾン文化に抗したのは(文化村ではなく)渋谷など数か所のプラザだと思う。 「いつもの生活」対「おいしい生活」。 渋谷が20世紀中頃の匂いを持つ<いつもの生活>からやっと別れる時が来た。
序でに「渋谷スクランブルスクエア」へ行く。 スクエア感を一つ追加したい。 商業店舗階の多くに窓カーテンが掛かっていたのが気にかかる。 フロアーを<日常>に近づけてしまった。 特別な場所を除いて窓(外)を、しかもカーテンを客に見せてはいけない。 窓があると外を見たくなる。
*渋谷フクラスサイト、https://shibuya-fukuras.jp/