■松尾敏男展 ー清心な絵画ー

■そごう美術館,2018.9.8-10.14
■松尾敏男の作品はよく見ますがまとまった展示は初めてですね。 1章「新しい日本画を志して」2章「内省的な絵画から写生重視へ」3章「現代における日本画の可能性を信じて」の構成です。 4章は・・なかった? 会場出口付近が分かり難かった為です。
初期作品の木々などは平面のように広げて具体と抽象の中間を狙っています。 対象群を大きく分割して力強さがある。 かつ異界に通ずる物語もみえる。 これが新しい日本画であり内省的と言える。
彼はフランス映画や歌舞伎、旅行が好きだったようです。 舞台美術や緞帳も担当している。 人物画は少ないので記憶に残ります。 マルセル・カルネ「夜の波止場」の女優は人間の強さが窺えるし、歌舞伎役者七代目中村芝翫は人柄が表れている。  相撲取りの化粧まわしもあったが花模様は変わっていて面白いですね。 旅行の成果である中国の山々やヨーロッパの都市、日本の四季風景画は大画面で迫力があります。
後半は写生重視に移った。 でも植物画はどこか幽玄的にみえます。 ここが彼の絵の忘れられない一因となっている。 内省が続いているかのようです。
会場のインタビュー映像では生まれ故郷長崎について多くを語っていました。 「長崎夜景」は山々の民家の灯りをホタルのようにたくさん描いて素朴さがある。 でも日本画の可能性については聞き洩らしてしまった。
*2016年8月没後初の回顧展
*館サイト、https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/18/matsuo_toshio/