■鬼に訊け

■監督:山崎祐次,出演:西岡常一ほか
■東京都写真美術館,2012.5.26-6.8
■宮大工西岡常一の記録映画である。 宮大工棟梁の知らない世界を観るのはウキウキする。 「用材は木を買わずに山を買え」、「木は生育の方位のまま使え」、「堂塔の木組みは、寸法で組まず木の癖で組め」、・・、法隆寺宮大工口伝である。
木の建物としての法隆寺が一千年経ってもなぜ残っているのか少しずつ分かってくる。 西岡の鉄との対決、コンクリートとの対決は凄まじい。 前者では法隆寺棟梁を辞し、後者は薬師寺で辛苦を舐めた。
しかし今や法隆寺や薬師寺を建てる人・物・情報の多くを失ってしまった。 彼が持っているすべてを残そうとしているが限度がある。 この映画を「西岡常一の遺言」とチラシに書いてあったが、たとえ遺言があっても将来への不安感が漂う内容であった。