■ゴッホと静物画、伝統から革新へ

■SOMPO美術館,2023.10.17-2024.1.21
■会場は混雑していますね。 当館では珍しい。 先ずは「麦わら帽のある静物」(1881年)が気に入りました。 器などはセザンヌを思い起こす。 その前の「髑髏」(1887年)もなかなかです。 ゴッホの絵画歴は10年しかない。 それだけ密度が濃い。
ゴッホが花へ向かったのは色彩訓練の為と聞いている、モデル代が無かったのも理由でしょう。 モンティセリなどを高く評価していたことも分かる。 そして花の静物画に焦点を当てているのである意味華やかです。
そして彼の最後の5年は衝撃的です。 「ひまわり(1888年)」も激しいがどこか冷めている。 過去を意識させるネットリ感が無いからでしょう。 自身の耳をそぎ落とした直後の「皿とタマネギのある静物」(1889年)は光も空気も爽やかです。 「ゴッホは何を学び、何を伝えたのか?」。 彼の精神は極限状態です。 しかし冷静にみえる。 乾いた狂気ですね。 この凄まじい均衡を自身の内に蓄え続けながらそれを作品として我々に突きつけた。 彼が教えてくれるのは<正気と狂気の均衡を保て>です。 関連する他画家の作品も多くて満足しました。