■中川衛、美しき金工とデザイン

■パナソニック汐留美術館,2023.7.15-9.18
■中川衛(なかがわまもる)は重要無形文化財「彫金」保持者で、特に追求しているのは象嵌です。 「象嵌(ぞうがん)とは金属の表面を鏨(たがね)で彫りそこに異なる金属を嵌め込んで模様を作る技法・・」とチラシにある。
中川はパナソニック(株)で商品デザインを担当していたらしい。 1970年代の電気カミソリやヘアドライヤー、ラジオが展示してある。 当美術館と関係が深いですね。 その後、故郷の伝統工芸加賀象嵌に魅了され彫金家の道に入る。
象嵌は細かい。 作品にぐっと近づいてみる。 それにしても照明が暗い。 作品も暗くなる。 もっと照明を! 「夕映えのイスタンブール」(2011年)の作成過程を映像でみたが1年近くかけている。 必要条件は忍耐ですか? 条件の結果、幾何学的で地味な作品が多くなる。
後継者の問題が雰囲気として伝わってきます。 3章の「国境と世代とジャンルを超えて」でもそれが分かる。 金属を扱う工芸家に若者の成り手が少ないのでしょう。 ジュエリーは人気らしいが・・。
食器や花瓶、建築や衣装(靴)など本体につける模様である象嵌はそれだけで不利です。 現代は(商品としての)本体が優先されるからです。 しかも社会にゆとりがないと模様は衰えていく。 厳しい時代が続く予感がします。
*開館20周年記念展