■谷文晁展

■サントリー美術館、2013.7.3-8.25
イキイキとした江戸後期の世界が文晁を通してみえる展示会です。 文晁は芸術家というより職人絵師で教養人という感じですね。 やはり若い時に玄対に師事し南蘋画等中国文化に触れたこと、松平定信の仕官になったことが大きいですね。
今なら米国へ留学して官僚になったようなもんです。 しかも文化人との交流や弟子の育成が巧い。 弟子への絵画教育も①古画模写②実物写生③個性確立と現実的社会的な段取りを踏んでいます。
芸術家肌ではないので感動して唸る作品はありませんが、安心納得するものばかりです。 「ファン・ロイエン筆花鳥図模写」は模写以上の何かがあります。 後期の「八仙人図」は教養プロ絵師の作品そのものです。
「石山寺縁起絵巻」の補作や六・七巻は素晴らしい色ですね。 カネをかけているのがわかります。 これも安心納得します。 谷文晁を連れ立って江戸時代を周遊してきたようです。