■オラファー・エリアソン、ときには川は橋となる  ■もつれるものたち  ■いまーかつて、複数のパースペクティブ

■東京現代美術館,2020.6.9-9.27
□オラファー.エリアソン,ときには川は橋となる
■「二酸化炭素排出量を抑制しながらベルリンから日本まで作品を運ぶには・・?」。 最初の作品「クリティカルゾーンの記憶」をみて環境維持をここまで徹底するのか!と呆れてしまった。 いや、エリアソンは本気だ。 この流れが最後まで続くからだ。 途中の作品「サステナビリティの研究室」ではモノの再生可能性をこれでもかと追及している。
並行して光を取り込んだ作品が多いのに気付く。 幾何光学や波動光学の利用だ。 これは大気光学にも広がり、霧や氷そして氷河も対象にしている。 もちろん環境問題に繋がっている。
エリアソンを知ったのは「ニューヨーク・ウォーターフォール」に感動してからである。 副題「ときには川は橋となる」から巨大な滝を期待していたのだが、・・! 都市を利用する作家に梱包芸術のクリストがいるが環境アートとしてはエリアソンが直截だ。 彼の環境への本気度を知ることができて嬉しい。
□もつれるものたち
■見当の付かない展示会だったが、配布資料を読みながらゆっくり進んでいくと作者と作品が現れてくる。 国家・政治・経済・自然を見つめ直す作品が多い。 考えさせられる内容ばかりだ。
例えば・・、①「進化する植物」②「ビットコイン採掘と少数民族のフィールド・レコーディング」③「ポーセリン(磁器)」④「解剖学教室」の映像4作品に絞ってみると・・。
①は韓国の共同体批判を自然や高齢者に語らせている。 ②は中国の情報・エネルギ獲得が少数民族の犠牲で成り立ってきたこと、③はベトナム植民地時代の歴史文化の解釈問題を扱っている。 ②③は面白い出来栄えだった。 ④は福島にある博物館が原発事故に遭遇した後の文化的危機を議論する作品。 これは方向性が多様で内容が掴めなかった。
4映像をみるのに100分かかったが充実度も100%だ。 政治経済に関連付けると思いもよらない姿が作品に表れてくる。
□いま-かつて,複数のパースペクティブ
■「もつれるものたち」で疲れてしまった。 閉館時刻も迫ってきた・・。 既知の作品が多いので速足で回る。