■シャルダン展ー静寂の巨匠-

■三菱一号館美術館,2012.9.8-13.1.6
シャルダンの果物をみてディドロが「旨そうで思わず手が出そうになる」と言ったようです。 でもこの旨さは現代とは違う味にみえる。 リアルさの追求より光や空気や当時の雰囲気を重視しているので、これは18世紀のウマ味ですね。
むしろ17世紀フランドル静物画の果物のほうが現代的なおいしさが迫ってきます。 人物画は表面に光沢がないので物語にすんなりと入り込める。 高級な童話画をみているようですね。
セザンヌは彼を「只者ではない」と言っています。 それは色使いを褒めたのであって、セザンヌの静物画や人物画に漂う<存在の謎>は感じられません。 シャルダンは18世紀のウマサであり、世紀を越えられません。 ですから現代人にとって安心して観ていられる画家の一人です。