■ジェームズ・アンソール 写実と幻想の系譜

損保ジャパン東郷青児美術館,2012.9.8-11.11
「牡蠣を食べる女」は明るく暖かみがある。 彼は自信を持ってこれを出品したが、女性の食事場面を描くことに非難が出たらしい。 このような文化的非難が起こることは彼も事前にわかっていたはずだが?
このような彼の情報の偏りは、父と母の格差から来る家族のいざこざが原因だろう。 画家に似合わない服装の自画像を描くのもそうだ。
格差を引き継いだ彼の時代把握の偏りがグロテスクへ向かった。 この結果としての展示会目玉である「陰謀」はなるほどいい絵だ。 疑心暗鬼からくる希望や不安のブラックな笑顔で一杯だ。
*館サイト、http://www.sjnk-museum.org/program/past/353.html